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映画『きらきら眼鏡』のあらすじ・感想・評判・口コミ(ネタバレなし)

人気作家森沢明夫著『きらきら眼鏡』を実写映画化。数々の名ヒットを生み出してきた森沢明夫の物語『きらきら眼鏡』は、主人公が古書店で古本を買うところから始まる。一冊の本を巡って、森沢氏の生まれ育った千葉県船橋市を舞台に、見ている人をほっとさせる心温まるヒューマンストーリーが今秋スクリーンに登場する。

映画『きらきら眼鏡』の作品情報

きらきら眼鏡

タイトル
きらきら眼鏡
原題
なし
製作年
2018年
日本公開日
2018年9月15日(土)
上映時間
121分
ジャンル
ヒューマンドラマ
監督
犬童一利
脚本
守口悠介
製作
相羽浩行
製作総指揮
前田紘孝
キャスト
金井浩人
池脇千鶴
古畑星夏
杉野遥亮
片山萌美
志田彩良
安藤政信
鈴木卓爾
製作国
日本
配給
S・D・P

映画『きらきら眼鏡』の作品概要

吉永小百合主演『ふしぎな岬の物語』や有村架純主演『夏美のホタル』などのヒット映画を手掛ける、人気作家・森沢明夫の小説が、発売から1年も経たずに実写映画化。主演に新人の金井浩人を、ダブル主演に池脇千鶴を抜擢し、映画『つむぐもの』や『カミングアウト』を手掛ける若手監督・犬童一利がメガホンを取る。恋人の死と言う心に重くのしかかる現実が、一冊の本によって運命的な物語へと変貌していく。

映画『きらきら眼鏡』の予告動画

映画『きらきら眼鏡』の登場人物(キャスト)

立花明海(金井浩人)
恋人を亡くし、その事実から立ち直れないでいる青年。たまたま立ち寄った古書店で買った古本をきっかけに出会ったあかねに、次第に心を許していく。
大滝あかね(池脇千鶴)
明るく聡明な女性、恋人がいるが余命宣告を受けている。前向きな性格で、明海の心を解きほぐしていく。

映画『きらきら眼鏡』のあらすじ(ネタバレなし)

自分の人生に真剣に向き合ったことのない青年、立花明海。彼は、愛するものを亡くし、その死から立ち直れずに、漠然とした日々を過ごす。そんな折、古書店で一冊の自己啓発本を手に取る。「死を輝かせてくれる生き方」と言う本の中には、栞代わりの名刺が挟まれている。

ふと、その名刺の人物を知りたくなった明海は、名刺に書かれている大滝あかねと連絡を取る。日常のあらゆる些細なことから幸せを感じ取ることのできる才能を持つ「幸せの天才」大滝あかね。彼女と知り合い、彼女と語り合う中で、明海の心は大きな変化を迎える。次第にあかねの存在を意識し、あかねの前向きで素直な思いが明海を変える。

だがあかねには、余命宣告を受けた恋人がおり、あかね自身も「死」に深く捕らわれていた。近くにありそうで遠い存在の「死」に向き合うこと、それは、明海が自分の人生を向き直すきっかけを与えてくれた。

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映画『きらきら眼鏡』のネタバレあらすじ結末と感想
映画『きらきら眼鏡』のネタバレあらすじと感想。ストーリーを結末まで起承転結で分かりやすく簡単に解説しています。映画ライターや読者による映画感想も数多く掲載。

映画『きらきら眼鏡』の感想・評価

交錯する恋愛観と死生観

「死」は生きとし生ける者全てに共通し、いつかどこかで必ず体験することになる。けれど「死」はあまりにも日常とかけ離れており、誰しもが明日死ぬかもと思って生活などしない。明海はたまたま、恋人と言うとても身近な存在が死んでしまったことによって、「死」を敏感に感じ取り、そこから抜け出せないでいる。

「死」についての定義は各個人それぞれで、宗教や育った環境によって全く異なってくる。だが、「死」が訪れた人には決して会うことができない、と言うのは、また同じく全ての人に共通する。会えないとは、かくも辛く心を蝕んでいく。特に、相手が自分にとってとても意味のある大きな存在であればあるほど、人は「死」を受け入れ難く感じてしまう。

「死」を重くするものの正体とは、「愛」や「恋」と言ったプラスの要素が反転した結果ではなかろうか。焦がれる程に愛しく大切な存在であるからこそ、死んでしまった後も思わずにはいられない。愛しい人の「死」とそうでない人の「死」は、とても大きな乖離を生む。主人公・明海は乗り越えられない大切な人の死を、どのように受け止め、どのように理解するだろう。「死」の比重を大きくする「愛」を、どのようなものであると定義するだろうか。

幸せ探し

自分を取り巻く日常の中には、とても大量の「当たり前」が存在している。「息を吸う」「太陽が昇る」「電車が走る」「学校へ行く」「ご飯を食べる」。おおよそ意味など今更考えないような当たり前が溢れ、いつしかその当たり前に感謝をすることすら忘れてしまう。

しかし、ヒロインの大滝あかねはそうではない。小さなことに喜びを覚え、感動し、感謝の意を込めて笑う。そういう人を、幸せ探しの天才とでも呼ぶのだろう。その紹介だけで、大滝あかねがどれほど素敵な魅力を持つ人物なのだろうかと感嘆する。人を幸せにできる人は、まずは自分が幸せであらねばならない。しかし、現代社会を生きる人たちは時間に追われ、物事に追われ、人間関係に追われ、感謝する余裕もない。

知らず知らずのうちに自分を追い込み、疲弊し、いつしか下を向いて歩くようになる。そんなときに、大滝あかねのような人物に出会ったらどうだろう。人間だれしも、悩みは尽きないものだが、自分の横で日常のありとあらゆる事象の中から小さな幸せを見つけてくれる隣人は、なんだか自分の心まで救ってくれそうではないだろうか。

千葉県船橋市

東京に近い位置にある千葉県船橋市。人口60万人を超える大きな都市のここは、原作者の森沢明夫の生まれ育った町でもある。この場所は、言ったことない人でも都市の名前を聞く機会は多いのではないだろうか。文学者・川端康成、太宰治、村上春樹は実際に執筆のために住んだり、幼少期を過ごしたりした人物たち。

タレントやミュージシャンでは、倉木麻衣、奥華子、劇団ひとり、秋元才加、中村正人などのビッグネームが並ぶ。船橋市で生まれた者、引っ越してきた者それぞれだが、テレビでもよく活躍する人物が多い。そして、時事的な話題を出すならばオウム真理教の教祖として処刑された麻原彰晃もまた、船橋市で商いをしており開祖している。

これだけ話題性の尽きない都市も、首都東京に近い恩恵ではないだろうか。船橋市は、縄文時代から始まり平安、鎌倉、戦国、江戸時代と有史以来歴史をきちんと記録し保管してきた市でもある。今を賑わす人気作家森沢明夫の今作も、船橋市を舞台に繰り広げられる。深みがあり、重みもあり、実直でしかし進化を止めない大胆さを持つような船橋市の雰囲気を、映画の中でもぜひ感じてみたい。

映画『きらきら眼鏡』の公開前に見ておきたい映画

映画『きらきら眼鏡』の公開前に見ておきたい映画をピックアップして解説しています。映画『きらきら眼鏡』をより楽しむために、事前に見ておくことをおすすめします。

カミングアウト

今作のメガホンを取る監督・犬童一利の初長編映画監督作品。男性の同性愛者(ゲイ)である主人公・赤間陽は、同じ大学のサークルの親友・昇に恋心を寄せる。だが、サークル内では同性愛者が身近にいるなど誰も思っておらず、家族も息子が同性愛者だとは微塵も疑っていない。更に、親友・昇はサークル内の女の子と付き合いだしてしまう。

一時は、このまま自分が誰にも本当のことを告げずにいた方が、皆の安寧を壊すこともなく誰も傷つけることもなく、平和に暮らせると自分を納得させる。しかし、同じ同性愛者が集まるゲイバーの仲間がカミングアウトを決意し、苦悩と後悔を間近で見ているうちに、陽も周りの人たちにゲイであることをカミングアウトしていく。

ヒューマンドラマの面白い点は、主人公が様々なことに悩み、ぶつかり、挫折し、泣き、しかしもう一度前を向いていくポジティブさを経てハッピーエンドに向かっていくところだろう。そういう意味では、『カミングアウト』は実に王道な映画でもあると言える。世間的にも認められつつあるLGBTをテーマに、主人公のリアルな心境を繊細に描くこの作品は、ぜひ鑑賞しておきたい作品の一つ。

詳細 カミングアウト

ふしぎな岬の物語

2011年6月に発行された森沢明夫著の『虹の岬の喫茶店』を原作に、2014年吉永小百合を主演に迎え、実写映画化。千葉県鋸南町を舞台に、そこに登場する喫茶店である絵を巡って交わる人々を描いた映画。

岬カフェには、一枚の虹の絵が飾られている。店主悦子(吉永小百合)の人当たりの良さと、淹れたコーヒーに美味しくなれと魔法を掛ける様が評判で、常連客で賑わっている。悦子の甥の浩司(阿部寛)は、45歳にもなるが変人で、掘立小屋に住む独身。そこへ、浩司のことが昔から好きだったみどり(竹内結子)が戻ってきたことで浩司にも変化が現れる。

また、店に飾られていた虹の絵の本当の持ち主が分かり、亡き夫との思い出の一部が失われた悦子は呆然とし、店が失火で焼け落ちてしまう。多くのものを失いながら、悦子は落胆し希望を無くすが、周りの人に支えられ仮店舗を出店。温かな気持ちでエンディングを迎えられる森沢明夫ならではのハートフルドラマ。

詳細 ふしぎな岬の物語

夏美のホタル

こちらも、2010年12月24日のクリスマスに角川書店から発行された森沢明夫の同名小説を2016年に有村架純主演で映画化。父の愛した写真とバイクを受け継いだ女学生の夏美(有村架純)は、恋人の慎吾と将来のことで諍いになり1人父親のバイクに乗って旅に出る。

父親との思い出の山村に向かい、そこで父に見せてもらったホタルをもう一度見るためにテントを張り、腰を落ち着ける。その山村で訪れた万事屋を経営する恵三と恵三の母ヤスエに迎えられ、夏美は万事屋に泊まることになる。

人懐っこく、近所の人たちからも親しまれ、子供たちにも好かれる恵三が、重い病に伏せってしまったとき、夏美は自分を追いかけてきた恋人の慎吾と共に、恵三のために恵三の妻と子供を探し始める。人々の小さな優しさが、やがて繋がり絆になり、更に大きな優しさと幸福感で見ている人の心をほっとさせ包み込んでくれる。そんな森沢明夫の人情味あふれる作品は、リアルでの人との繋がりが希薄になってきた現代だからこそ見ておきたい作品ではないだろうか。

詳細 夏美のホタル

映画『きらきら眼鏡』の評判・口コミ・レビュー

映画『きらきら眼鏡』のまとめ

森沢明夫の作品が人々に好まれるのは、やはりそこに人の心が込められているからだと考察する。嫌なニュースや気分が悪くなるような出来事が多く蔓延する現代社内の中に、こんなちょっとした温かみの溢れるお話があっても良いのではないか。森沢明夫の作品は、そうして人々に語り掛け、元からみんなが持っている誰かを思う気持ちに寄り添っている。死を乗り越え、笑顔で前向きに生きる主人公を見た時、自分も誰かに優しくありたいと願わずにはいられなさそうだ。

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みんなの感想・レビュー

  1. サトピー より:

    映画『きらきら眼鏡』
    3年前の誕生日おめでとうメールに返信しないまま、恋人の死から立ち直れないでいる明海と余命宣告された恋人を持つ あかね…日々衰弱していくあかねの恋人 裕二。観たものに死生感を問いかけると共に、心の目がね『きらきら眼鏡』の存在に気付かせる。観覧後、幸福感に満たされました。

  2. サトピー より:

    彼女との死別を3年たっても受け入れられずにいた明海と余命宣告をされた彼氏を持つあかねが古本をきっかけに出会う。病魔で衰弱していくあかねの恋人 裕二。死生というテーマの中で心にかける『きらきら眼鏡』の素晴しさを観覧したものに教えてくれた。