この記事では、映画『北のカナリアたち』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『北のカナリアたち』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『北のカナリアたち』の作品情報
上映時間:122分
ジャンル:ヒューマンドラマ、サスペンス
監督:阪本順治
キャスト:吉永小百合、柴田恭兵、仲村トオル、森山未來 etc
映画『北のカナリアたち』の登場人物(キャスト)
- 川島はる(吉永小百合)
- 元教師。図書館で務めた後に定年退職する。殺人犯となったかつての教え子の信人と再会するため、離島へと向かう。かつての生徒達と再会し、最後にみんなで合唱をする。優しくて包容力がある。過去に、阿部という刑事と不倫関係にあった。
- 鈴木信人(大人:森山未來 / 小学校時代:小笠原弘晃)
- はるの元生徒で鳶職人。妻に暴力を振るっていた会社の社長を殺し、殺人犯として指名手配される。はるの元生徒で、はるのことを慕っている。はるに言われて、故郷である北海道の離島へと逃げ、そこでかつての旧友達と再会する。
- 生島直樹(大人:勝地涼 / 小学校時代:相良飛鷹)
- はるの元生徒。札幌の会社に勤めるも、倒産して財務整理をしている。子供の頃は貧乏で、その原因を結花の母親のせいだと思っていた。
- 戸田真奈美(大人:満島ひかり / 小学校時代:渡辺真帆)
- はるの元生徒。北海道で結婚し、仕事をしながら幸せに暮らしている。行夫が死んだのは、自分せいだと自分を責め続けている。
- 安藤結花(大人:宮崎あおい / 小学校時代:飯田汐音)
- はるの元生徒で保育士。小学校時代、合唱コンクールの寸前に直樹と喧嘩して声が出なくなってしまう。足を滑らせて崖から落ちてしまい、助けに向かった行夫が死んでしまう。
- 藤本七重(大人:小池栄子 / 小学校時代:佐藤純美音)
- はるの元生徒で溶接工。はるの不倫現場を目撃し、はるを憎む。しかし、自分も妻を持つ男を愛してしまい、はるのことを理解する。
- 松田勇(大人:松田龍平 / 小学校時代:菊池銀河)
- はるの元生徒。警官で医者の息子。成績優秀な兄に対して劣等感を感じていて、信人にちょっかいを出していた。
- 川島行夫(柴田恭兵)
- はるの夫。余命を宣告され、死に対する恐怖を感じながら生きている。妻の不倫を黙認し、妻の生徒を助けようとして死んでしまう。死に怯え、凶暴になるときがある。
- 阿部英輔(中村トオル)
- 元刑事。敏腕刑事だったが、自分の勇気のなさで人が死んでしまった過去を自ら責め続けている。はるに恋をする。外国で、地雷撤去の仕事をしている。
映画『北のカナリアたち』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『北のカナリアたち』のあらすじ【起】
20年間図書館で務めたはる。その日、彼女は最後の勤務を終えて定年退職を迎える。無事定年退職したはるを、二人の刑事が訪ねてくる。鈴木信人という殺人犯の部屋に、はるの連絡先があったのだと警察は話す。
はるはかつて、北海道の離島で小学校の教師をしていた。信人はその学校の生徒で、はるにとっての最後の生徒だったのだ。
20年前、離島の小学校には鈴木信人、酒井真奈美、生島直樹、安藤結花、藤本七重、松田勇という六人の生徒がいた。鈴木信人は、その中でも一番の年少だった。
はるは、信人のことを尋ねるために真奈美のもとを訪れる。真奈美ははるとの再会を喜び、過去の話をする。
20年前、6人の生徒達はみんな新人教師のはるのことを楽しみに待っていた。そしてそこに現れたのは、はるとその夫の行夫だった。はるは優しく、これまで退屈していた生徒達も学校生活を楽しみ始める。
信人のことはあまりよく知らないと話す真奈美。彼女は、20年前に起きたある事故のことを話し始める。

映画『北のカナリアたち』のあらすじ【承】
20年前の合唱コンクールを間近に控えたある日。緊張で、結花がソロパートを歌えなくなってしまう。はると行夫と生徒達は、その緊張をほぐすためにバーベキューをする。
独唱がやりたかった真奈美は、そこで結花に自分が独唱をやりたいと告げる。すると、私が死ねば良いのだと真奈美は叫び、崖から海に飛び込んでしまう。助けに向かった行夫は、溺れて死んでしまう。
真奈美はそのことに責任を感じていた。そして、何か分かるかもしれないと直樹の住所を教える。
会社が倒産して、財務整理をしている最中の直樹に会ったはる。彼もまた、行夫が死んだのは自分のせいだと思っていた。
直樹の家は貧乏で、父親は結花の母が経営する飲み屋に入り浸っていた。それに腹が立ち、直樹は結花に酷いことを言う。直樹は、それが原因で結花の声が出なくなったのだと思っていた。
直樹に案内され、はるは結花のもとを訪れる。結花もまた、自分のせいで行夫が死んでしまったのだと思っていた。しかも結花の母親は、結花の事故のときにどこかへ抜け出していたはるのことを揶揄し、別の男と会っていたという噂を流した。それが原因で、はるは町にいれなくなってしまう。はるは、それは事実だと結花に告げる。
映画『北のカナリアたち』のあらすじ【転】
20年前、行夫の余命が残り少ないことを知っていたはると行夫。彼女達は、最後の人生を送るために行夫の故郷に帰ってきたのだった。
行夫は、差し迫る死をはるに見せまいとしていた。行夫はいつも、自分に構わず好きなことをしてくれとはるに言っていた。そんなある日、はるは自分の過去を責め続ける阿部という刑事に出会う。
真奈美に紹介され、七重のもとを訪れるはる。七重は東京で信人と再会し、今度結婚するという報告を受けていた。20年前にはるが阿部と会っているところを目撃していた七重は、そのときはるを少し憎んだと告白する。しかし、妻を持つ男を愛してしまった七重は、今でははるの気持ちが分かると話す。
警官になった勇は、信人が町に戻っていないか調べて欲しいという命令を受ける。ボロボロになった小屋を訪れた勇は、そこで信人を発見する。信人は逃げようとして高所から転落し、意識不明になってしまう。
信人を病院に連れて行った勇のもとを、はるが訪れる。
映画『北のカナリアたち』の結末・ラスト(ネタバレ)
勇ははるに、行夫のことが嫌いだったと話す。勇が可愛がっていた野良犬を、行夫が木の棒で叩いているのを目撃したことがあったのだ。
20年前のバーベキューの数日前。行夫とはるが買い物をしているところを目撃した阿部は、ショックを受ける。そのときは、行夫も阿部の存在を知っていた。
バーベキューの日、阿部が警察を辞めて島を出ることを知った行夫。彼ははるに、阿部のもとへと行って話をしてあげなさいと話す。
意識不明だった信人が目を覚ます。東京から警察が訪れ、信人の事情聴取を始める。信人の会社の社長は、妻に暴力を振るっていた。それを助けた信人と彼女は、恋に落ちる。離婚を決意した妻に酷いことを言った社長と揉み合い、信人は社長を殺してしまう。
勇が警察に頼み込み、信人を廃校になったかつての教室に連れていく。そこには、信人を待っていたはるとかつての生徒達が待っていた。彼らはそこで、合唱を始める。
信人が連行されるのを見送るはると生徒達。彼らはみんな、信人のことを待っていると叫ぶ。
はるの実家に、阿部から手紙が届く。外国で地雷撤去の仕事をしている阿部の手紙には、生きているとだけ書かれていた。
映画『北のカナリアたち』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
吉永小百合と「雪」って本当に美しくて幻想的な組み合わせですよね。彼女の美しさと、何かを訴えかけるような目に一瞬で作品の世界観に引き込まれてしまいました。
昔の教え子が殺人犯になってしまったら…。「昔」のことだからと関わりを持たないようにする人が多数でしょう。しかし、吉永小百合演じるはるは違いました。昔のことだからこそ、寄り添おうと教え子の元を訪ねます。
何故かと考えた時に、私が思ったのは夫のこと、不倫相手のこと、何かに対する「罪悪感」があったのでは無いかという事です。そう感じてからのラストの展開は非常に納得がいくものでした。(女性 30代)
かつての教え子6人が再び集まる場面から始まり、徐々に明かされる過去の事件に引き込まれました。吉永小百合さん演じる教師の葛藤と、教え子たちそれぞれの人生が交錯する展開が胸を打ちます。ラストで明らかになる“事故”の真相と、それを抱えて生きてきた彼らの姿に、過去の痛みをどう乗り越えるかを問われているようでした。自然の美しさと人間の弱さを繊細に描いた一本です。(30代 男性)
物語の静かな始まりとは裏腹に、登場人物たちの抱える心の傷や過去の事件の重さに心を揺さぶられました。特に、教師と生徒という関係性が年月を経て変わっていく様子に感動。あの事件がなぜ起きたのか、誰が何を抱えていたのかを知るにつれて、登場人物たちの心の奥深くに触れていく感覚がありました。映像も美しく、北海道の大自然がストーリーに深みを与えていたように思います。(20代 女性)
この映画を観て、「赦し」について深く考えさせられました。過去の出来事に苦しみながらも、それぞれが前を向こうとする姿に心を打たれました。特に、教え子の一人が自分の心の傷と向き合うシーンには涙がこぼれました。若い頃には理解できなかった教師の言葉が、大人になってようやくわかるようになる…そんな人生の真理も感じられる名作です。落ち着いた語り口ながら、心に深く残る映画でした。(50代 女性)
吉永小百合さんの演技が圧倒的で、彼女の一挙手一投足に目が離せませんでした。過去の秘密が少しずつ明かされていく構成はスリリングでありながら、心温まる部分も多く、ミステリーとヒューマンドラマが融合したような作品です。特に、教え子の一人が「自分があの事故の原因だったかもしれない」と告白するシーンには胸が詰まりました。自分自身の若い頃を振り返るきっかけにもなりました。(60代 男性)
あの「歌」がキーになって過去と現在を繋いでいく構成に感動しました。歌うことで一体感が生まれ、同時に忘れたかった記憶も蘇ってしまうという複雑さが見事に描かれていました。登場人物のそれぞれが違う人生を歩んできたのに、あの時の思い出が彼らを再び結びつける展開には涙。特に終盤、雪の中で歌を口ずさむシーンは、本当に美しくて心が浄化されるようでした。(40代 女性)
10代の自分には少し重たい内容でしたが、それでも登場人物たちの葛藤や再生に胸を打たれました。人間って、誰しも心に「過去」という重たい荷物を抱えて生きているんだなと実感。若い頃の過ちが大人になっても影を落とす、そのリアリティに引き込まれました。特に、同級生の一人が罪悪感から家族とも距離を置いていた理由を知ったとき、思わず涙がこぼれました。(10代 男性)
映画全体に漂う静けさと余白がとても心地よく、じわじわと感情が湧き上がってくるような作品でした。淡々とした展開の中に、人の心の複雑さや、言葉にできない後悔や痛みが丁寧に織り込まれていました。特に、教え子たちが最後にあの歌を合唱する場面は、涙なしでは見られません。どんなに時間が経っても、人は過去と向き合うことができる…そんなメッセージを受け取りました。(30代 女性)
親世代がちょうどこの時代を生きていたので、どこかノスタルジックな気持ちで観ていました。田舎の学校、小さな教室、そして大人になった教え子たちが集う姿に、自分の小学校のことまで思い出しました。事件の真相は決して単純なものではなく、誰が悪いということではないからこそ切ない。音楽の持つ力、人と人とを繋げる力を再確認できた映画でした。(40代 男性)
人間ドラマが好きな人にはぜひおすすめしたい作品です。大きな事件が中心にありますが、それを取り巻く人々の人生が丁寧に描かれていて、とてもリアリティがありました。過去を背負いながら、それでも前に進んでいく姿勢が印象的。特に、吉永小百合さんと柴田恭兵さんの再会シーンには、静かながらも強いエモーションがこもっていました。邦画の良さが詰まっています。(50代 男性)
映画『北のカナリアたち』を見た人におすすめの映画5選
八日目の蝉
この映画を一言で表すと?
母性と贖罪をめぐる、心を揺さぶるヒューマンドラマ。
どんな話?
不倫相手の子どもを誘拐し、4年間逃亡生活を続けた女性と、その娘として育てられた少女の視点で描かれる物語。母として過ごした日々は偽りなのか、それとも本物だったのか――過去と向き合う2人の姿を軸に、感情の深層を丁寧に描いています。
ここがおすすめ!
『北のカナリアたち』と同じく、女性の視点から過去を見つめ直す構成が魅力です。永作博美と井上真央の繊細な演技が光り、親子とは何かを問いかけます。静かで重厚なドラマが好きな方には心に残る作品です。
海街diary
この映画を一言で表すと?
4人姉妹の絆と成長を描く、柔らかく温かな家族物語。
どんな話?
鎌倉で暮らす3姉妹が、父の死をきっかけに異母妹と暮らし始めることから始まる日常と絆の物語。家族の形や距離感を繊細に描き、淡々とした時間の中で少しずつ育まれる感情の変化が、観る人の心を癒してくれます。
ここがおすすめ!
登場人物たちの静かなやり取りの中に、人生の機微が丁寧に描かれているのが魅力。是枝裕和監督ならではの透明感ある映像と、綾瀬はるか・広瀬すずら豪華キャストによる自然な演技も見どころです。
そして父になる
この映画を一言で表すと?
血のつながりと心のつながり、その間で揺れる父の選択。
どんな話?
病院の取り違えによって、自分の子どもではなかったと知った父親が、「本当の家族とは何か」を問われる姿を描いた感動作。2つの家庭、2人の子ども、そして揺れる親の心情が静かに、そして力強く映し出されます。
ここがおすすめ!
深刻なテーマを扱いながらも決して押しつけがましくなく、観る人の価値観に優しく問いかけてきます。福山雅治の抑えた演技と、是枝監督の映像美が融合した、静かで奥深い感動作です。
手紙
この映画を一言で表すと?
罪を背負った家族の苦しみと、再生への道を描いた名作。
どんな話?
兄が強盗殺人で服役している弟が、「加害者家族」として生きる苦悩を描いた作品。世間の偏見や差別にさらされながらも、自分らしく生きる道を模索していく姿が心を打ちます。原作は東野圭吾の同名小説。
ここがおすすめ!
『北のカナリアたち』のように“過去の出来事”が人々の運命を変えていく重みを描いています。山田孝之と玉山鉄二の演技が感情の揺れを見事に表現しており、観終えたあと深い余韻が残る作品です。
阿弥陀堂だより
この映画を一言で表すと?
喧騒から離れた山里で見つける、人生の静かな再出発。
どんな話?
東京の生活に疲れた医師夫婦が、長野の山里に移り住み、地元の人々との交流を通じて少しずつ癒されていく物語。死を目前にした老婆とのやりとりを通して、人の優しさと生きる意味を見つめ直していきます。
ここがおすすめ!
『北のカナリアたち』の北海道の風景に魅了された方には、長野の自然が織りなすこの作品もおすすめ。淡々とした展開の中に、人間関係のあたたかさや再生の希望があり、心が静かに満たされる一作です。
みんなの感想・レビュー
回想画面と今との堺が解りにくい。
監督は注意しよう、回想はセピア色にするとか。