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映画『北の零年』のネタバレあらすじ結末と感想

この記事では、映画『北の零年』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『北の零年』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。

この記事でわかること
  • 『北の零年』の結末までのストーリー
  • 『北の零年』を見た感想・レビュー
  • 『北の零年』を見た人におすすめの映画5選

映画『北の零年』の作品情報

北の零年

製作年:2006年
上映時間:168分
ジャンル:歴史、ヒューマンドラマ
監督:行定勲
キャスト:吉永小百合、渡辺謙、豊川悦司、柳葉敏郎 etc

映画『北の零年』の登場人物(キャスト)

小松原志乃(吉永小百合)
英明を支える忍耐強い女性。移住先の北海道で夫の英明が消息不明となり、周囲の人間から非難されるも、牧場経営をするまでに至った根性の持ち主。静かだが意思が強い。
小松原英明(渡辺謙)
最初は移住者の為に稲が育つ地を探しに行くが、結局家族を裏切り別の家庭を持ってしまう。
アシリカ(豊川悦司)
アイヌと行動を共にする謎の男だが、移住者に生活の術を教えてくれた恩人。

映画『北の零年』のネタバレあらすじ(起承転結)

映画『北の零年』のストーリーをネタバレありの起承転結で解説しています。この先、結末までのネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『北の零年』のあらすじ【起】

時は明治3年のこと。
洲本の蜂須賀の家臣が筆頭家老の稲田に関係する建物を襲撃した事件が起こった。
この一件以来、淡路島は徳島県では無く兵庫県のものになる。
しかもこの明治の事件の処分は、稲田家に関わる人間は全員北海道に移住しろと言う命令が下されてしまった。
荒れた地ではあったが開拓次第でどうにでもなるようで、稲田の人間は新しい土地で自分達の住みかを作れると言うことに夢や希望を見いだしている。

そしてその希望に向かい、北海道・静内にいくために船に乗った。
その旅は半月ほどかかったが家老の堀部や小松原秀明といった人間を中心に先についたグループが土地を耕し、豊かにしようと努める。

遅れて他の仲間もやがて到着。
秀明の妻・志乃、娘の多恵も一緒にやって来た。
夢やロマンに燃えていたものたちも、さすがに北海道の大自然に唖然とする。
残りの家臣や家族も後追い移住が住んだ後は、それぞれが田畑を開拓し夢に向かい暮らそうとイキイキとしていたのだが、現実はそう上手くはいかなかった。

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映画『北の零年』のあらすじ【承】

なんと言っても北海道の冬の寒さは想像以上で、低温では稲も育たず思うように作物が育たない。
その悩みに苦しまされることになってしまう移住者達。
しかも慣れない土地と気候で、間宮の息子は病気になり死んでしまった。
さらに追い打ちをかけるように、静内に向かっていた移住者の第二弾の船が難破したという情報が入り、彼らの心が明るくなることは無い。

ようやく稲田家の当主が静内に到着したのは、翌年の事だった。
だがこの当主は明治政府が出した廃藩置県という御触れにより、移住命令は無効になったことを伝える。
残酷なその命令を受けた移住者達はすでに帰るところも無く、静内で暮らすことしか出来ない。
絶望的だった。

英明達は最初こそ途方にくれるが、このままでは居られないと北海道でも作物や稲が育つ場所があるはずだと思い直す。
そして英明が代表し、妻と娘を静内に残して他の土地を捜しにいくことにした。
だがこの事が悲劇を生むことになる。
何と英明はそのまま静内に戻らず、姿を消してしまったのだ。

映画『北の零年』のあらすじ【転】

この英明の失踪事件は、移住者にとって大きな問題となる。
先の見えない不安と苛立ちからそのやりきれない思いをどこにもぶつけることが出来ない彼らは、思いを妻の志乃と娘の多恵にぶつけることしか出来なかった。
英明がいなくなり心身共に疲弊した妻達は、移住者から辛くあたられているこの状況に打つ手も無く受け入れざるおえない。
ただひたすら静内に戻ってくれることだけを願い、待ちわびていた。

そんなある時、北海道の先住民族アイヌ人と一緒に行動をしているアシリカと出会う。
彼らは北海道に詳しく、牧畜を指導するエドウィンなどの助けを借りながら少しずつ北海道の季節や土地に慣れていった。

この甲斐もありそれから5年後。
志乃と多恵は牧場を経営するまでに至っていた。
だが稲田の家臣達は政府の役人として働くようになっていく。

ある日英明が突然戻って来た。
5年前に何があったのか話し始めた英明だったが、その内容は志乃や多恵を酷く傷つける衝撃的なものだったのである。

映画『北の零年』の結末・ラスト(ネタバレ)

5年前札幌に辿り着いた英明は、長旅の疲れが出たのか病に伏せる。
そんな自分に親身になってくれた女性と今は結婚し、既に子供までいるという。
この話しに志乃は驚きを隠すことが出来なかった。
それは当然であった。
信じ続けていた夫が、別の場所で既に家庭を持っていると言ったのだから。

今回この静内を訪れたのも現在明治政府の役人となっている英明が牧場に馬を調達しに来たところだったのである。
志乃はそんな夫に馬を差しだそうと考えるが、移住者達はそれに反対をした。
というのも、その年イナゴの発生により稲が全滅。
収穫物が無い中で、馬まで持って行かれたら生活が出来ないからである。

そこにアシリカが出てくる。
実は彼の素性はわかっていなかったが、箱館戦争で闘った経歴のある人間だった。
アシリカに従い移住者達は馬を守るため闘うことを決める。
そして見事撤退に成功した。
この一件でさらに移住者達の絆が深まり、改めて北海道で暮らしていこうという思いが各の心の中で強くなっていく。

映画『北の零年』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)

吉永小百合主演で北海道を舞台にした映画群、北の三部作シリーズ第1作目。明治初期の史実を基に北海道・静内の開墾をする人々が懸命に生きる姿を描いている。主演はもちろん吉永小百合で夫役に渡辺謙、アイヌ人に扮して主人公を支える男性役に豊川悦司が演じており、作品に奥行きを加えている。当然、実力を伴った俳優がキャスティングされているため、演技は文句なく素晴らしく、更に北海道の自然の厳しさも描かれ、開墾がいかに困難であったかも描かれている。巷では駄作だという人もいるらしいが、個人的にはとても胸に響く作品だと思っている。終盤の妻と夫の邂逅、妻を支える男の三つ巴が壮絶で印象に強く残っている。(女性 40代)


吉永小百合に渡辺謙、豊川悦司、柳葉敏郎など名優たちが名を連ねる今作は北の三部作の1作目となります。北海道に移住してきた人間の暮らしと、「生きる」とはどういう事かを物凄く強く描いた作品でした。
壮大な自然と言えば聞こえは良いですが、裏を返せばそれは「何も無い土地」。そんな場所で生きていかなければならない吉永小百合演じる志乃や夫の英明。支え合って頑張っていくのかと思いきや、想像とは正反対な展開が待っていました。
英明の役どころはとにかく「最悪な夫」という印象しか無く、そのせいで、豊川悦司演じるアシリカがとても逞しく、強く見えました。彼らの演技力が光る素晴らしい作品でした。(女性 30代)


壮大なスケールで描かれた北海道開拓の歴史と、そこに生きた人々の苦悩と希望に胸が打たれました。特に、仲間由紀恵演じる志乃が、過酷な自然と運命に翻弄されながらも力強く生き抜く姿が印象的でした。夫・轟とのすれ違いと再会には泣かされました。明治という時代の変革を背景に、人間の尊厳と愛が深く描かれた作品です。(30代 女性)


北海道の大地と自然の厳しさ、それに立ち向かう人々の覚悟が見事に表現されていて、日本映画とは思えない壮大さを感じました。移住という国策に翻弄される庶民たちの姿は、今にも通じるテーマだと思います。志乃の気丈な生き方には胸を打たれ、轟との再会シーンは不器用ながらも愛が溢れていて感動的でした。(50代 男性)


観終わったあと、しばらく余韻が抜けませんでした。仲間由紀恵さんの演技が素晴らしく、特に涙を流さず耐えるシーンにグッときました。夫との別れや再会だけでなく、村人たちとの絆や裏切りもリアルに描かれていて、歴史ものとしても見応えがありました。雪景色と音楽が物語の重みを引き立てていました。(40代 女性)


実話をもとにした物語と聞いていましたが、その分リアリティが強く、観ていて何度も胸が締めつけられました。特に、志乃が土地を耕しながらも子を亡くし、夫とも離れ離れになる展開には涙が止まりませんでした。自然と歴史、そして人間ドラマが織り交ぜられた良作でした。映像美も素晴らしかったです。(20代 女性)


正直、重くて苦しい映画でしたが、それだけに登場人物たちの生き様が心に刺さりました。志乃がどんな困難にも屈せず、夫の帰りを信じて生き続ける姿には、本当の強さを見た気がします。政治の犠牲になった民衆の姿が生々しく、ラストの再会には救いを感じました。映画の中で雪が降るたびに、静かに涙が出ました。(40代 男性)


過酷な状況の中で女性がどう生きるかを描いた作品として、強く印象に残っています。志乃の生き方は、自立した女性像として現代にも通じるものがありました。夫との別離や再会がメインテーマかと思いきや、むしろ“生きる選択”を描いた物語だったと感じます。映像の力強さと音楽の余韻も良かったです。(30代 女性)


「和解」がテーマのようにも感じました。志乃と轟だけでなく、人々が土地に根ざすために何を犠牲にし、何を守ろうとしたのかが全編を通して描かれていて重厚です。轟の過去に向き合う場面は苦しくもありましたが、再会した2人の静かな会話がすべてを語っていたように思います。心に染み入る映画でした。(60代 男性)


開拓民たちの苦労が丁寧に描かれていて、日本映画の中でも屈指の骨太な歴史ドラマだと思いました。志乃を中心にした人間関係の描写も丁寧で、ひとつの人生を見届けたような気持ちになりました。特に印象に残ったのは、志乃が子どもを失った後も仲間と共に生きる選択をする強さです。ラストの再会には涙。(20代 男性)

映画『北の零年』を見た人におすすめの映画5選

累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『北の零年』を見た人におすすめの映画5選を紹介します。

劔岳 点の記

この映画を一言で表すと?

文明開化の裏にあった“命がけの地図作り”に挑んだ男たちの壮絶な記録。

どんな話?

明治時代、日本地図の完成を目指す測量官たちが、未踏峰・劔岳の測量に命を懸けて挑む姿を描いた実話ベースの作品。過酷な自然との闘い、人間の誇りと使命感が交差する重厚なドラマです。

ここがおすすめ!

『北の零年』のように、時代に翻弄されながらも己の道を貫く人間たちの姿に胸を打たれます。CGを一切使わない大自然の映像美と、静かに熱い人間ドラマが魅力の一本です。山と命の重さを体感できます。

蝉しぐれ

この映画を一言で表すと?

武士の誇りと淡い初恋を描く、静かで美しい時代劇ドラマ。

どんな話?

父を失い、苦難の中で剣術に打ち込む少年・文四郎が、藩の政変や身分の違いに翻弄されながらも、心に秘めた初恋を貫く物語。武士道と人間の情が丁寧に描かれています。

ここがおすすめ!

時代に翻弄されながらも、自分の信じるものを守ろうとする姿勢は『北の零年』と通じるテーマ。静かでありながら力強い語り口と、抑制された演出が心に響く名作です。映像の美しさも見どころの一つ。

海炭市叙景

この映画を一言で表すと?

過疎の町に生きる人々の“静かな日常”を描いた群像詩。

どんな話?

北海道・函館をモデルにした架空の町「海炭市」で暮らす人々の、ある冬の日常を断片的に綴る。仕事、家族、夢、孤独などを通して、人々の希望と現実の交差を描いた作品。

ここがおすすめ!

『北の零年』のように、過酷な自然と社会に耐えながらも懸命に生きる姿に共鳴します。淡々と進む物語の中に、登場人物たちの心の揺れが深く描かれていて、観る者の心にじんわりと染み込む一作です。

八甲田山

この映画を一言で表すと?

雪と寒さが人間の誇りと命を奪っていく、極限の生存劇。

どんな話?

明治時代、雪中行軍の訓練に挑んだ日本陸軍が、過酷な自然と判断ミスにより多くの命を失う。事実をもとに描かれた、日本映画史に残る壮絶なサバイバルドラマ。

ここがおすすめ!

『北の零年』と同様、自然の脅威と、それに立ち向かう人間の苦悩と尊厳を描いています。極限状況における判断と責任、人間の弱さと強さが交錯する、重くも力強い一作です。

阿弥陀堂だより

この映画を一言で表すと?

喧騒から離れた山里で見つける、“生きること”の静かな意味。

どんな話?

仕事と都会に疲れた夫婦が、長野の小さな村で新たな生活を始める。地元の人々との交流、自然の豊かさ、老いと死を通して、人生の本質と向き合っていく物語。

ここがおすすめ!

『北の零年』が描いた「土地に根ざして生きる」ことの大切さを、穏やかで優しい視点から描いています。華やかさはないけれど、観終わったあとに心が静かに満たされるような映画です。

この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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