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映画『北の零年』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『北の零年』の概要:2004年製作の日本映画。突然の御触れで北海道・静内に移住命令を出された人間が、厳しい自然の中慣れない生活を送りながらも未来を夢見て成功しようと懸命に生き抜く姿を描いた感動巨編。

映画『北の零年』の作品情報

北の零年

製作年:2006年
上映時間:168分
ジャンル:歴史、ヒューマンドラマ
監督:行定勲
キャスト:吉永小百合、渡辺謙、豊川悦司、柳葉敏郎 etc

映画『北の零年』の登場人物(キャスト)

小松原志乃(吉永小百合)
英明を支える忍耐強い女性。移住先の北海道で夫の英明が消息不明となり、周囲の人間から非難されるも、牧場経営をするまでに至った根性の持ち主。静かだが意思が強い。
小松原英明(渡辺謙)
最初は移住者の為に稲が育つ地を探しに行くが、結局家族を裏切り別の家庭を持ってしまう。
アシリカ(豊川悦司)
アイヌと行動を共にする謎の男だが、移住者に生活の術を教えてくれた恩人。

映画『北の零年』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『北の零年』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『北の零年』のあらすじ【起】

時は明治3年のこと。
洲本の蜂須賀の家臣が筆頭家老の稲田に関係する建物を襲撃した事件が起こった。
この一件以来、淡路島は徳島県では無く兵庫県のものになる。
しかもこの明治の事件の処分は、稲田家に関わる人間は全員北海道に移住しろと言う命令が下されてしまった。
荒れた地ではあったが開拓次第でどうにでもなるようで、稲田の人間は新しい土地で自分達の住みかを作れると言うことに夢や希望を見いだしている。

そしてその希望に向かい、北海道・静内にいくために船に乗った。
その旅は半月ほどかかったが家老の堀部や小松原秀明といった人間を中心に先についたグループが土地を耕し、豊かにしようと努める。

遅れて他の仲間もやがて到着。
秀明の妻・志乃、娘の多恵も一緒にやって来た。
夢やロマンに燃えていたものたちも、さすがに北海道の大自然に唖然とする。
残りの家臣や家族も後追い移住が住んだ後は、それぞれが田畑を開拓し夢に向かい暮らそうとイキイキとしていたのだが、現実はそう上手くはいかなかった。

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映画『北の零年』のあらすじ【承】

なんと言っても北海道の冬の寒さは想像以上で、低温では稲も育たず思うように作物が育たない。
その悩みに苦しまされることになってしまう移住者達。
しかも慣れない土地と気候で、間宮の息子は病気になり死んでしまった。
さらに追い打ちをかけるように、静内に向かっていた移住者の第二弾の船が難破したという情報が入り、彼らの心が明るくなることは無い。

ようやく稲田家の当主が静内に到着したのは、翌年の事だった。
だがこの当主は明治政府が出した廃藩置県という御触れにより、移住命令は無効になったことを伝える。
残酷なその命令を受けた移住者達はすでに帰るところも無く、静内で暮らすことしか出来ない。
絶望的だった。

英明達は最初こそ途方にくれるが、このままでは居られないと北海道でも作物や稲が育つ場所があるはずだと思い直す。
そして英明が代表し、妻と娘を静内に残して他の土地を捜しにいくことにした。
だがこの事が悲劇を生むことになる。
何と英明はそのまま静内に戻らず、姿を消してしまったのだ。

映画『北の零年』のあらすじ【転】

この英明の失踪事件は、移住者にとって大きな問題となる。
先の見えない不安と苛立ちからそのやりきれない思いをどこにもぶつけることが出来ない彼らは、思いを妻の志乃と娘の多恵にぶつけることしか出来なかった。
英明がいなくなり心身共に疲弊した妻達は、移住者から辛くあたられているこの状況に打つ手も無く受け入れざるおえない。
ただひたすら静内に戻ってくれることだけを願い、待ちわびていた。

そんなある時、北海道の先住民族アイヌ人と一緒に行動をしているアシリカと出会う。
彼らは北海道に詳しく、牧畜を指導するエドウィンなどの助けを借りながら少しずつ北海道の季節や土地に慣れていった。

この甲斐もありそれから5年後。
志乃と多恵は牧場を経営するまでに至っていた。
だが稲田の家臣達は政府の役人として働くようになっていく。

ある日英明が突然戻って来た。
5年前に何があったのか話し始めた英明だったが、その内容は志乃や多恵を酷く傷つける衝撃的なものだったのである。

映画『北の零年』の結末・ラスト(ネタバレ)

5年前札幌に辿り着いた英明は、長旅の疲れが出たのか病に伏せる。
そんな自分に親身になってくれた女性と今は結婚し、既に子供までいるという。
この話しに志乃は驚きを隠すことが出来なかった。
それは当然であった。
信じ続けていた夫が、別の場所で既に家庭を持っていると言ったのだから。

今回この静内を訪れたのも現在明治政府の役人となっている英明が牧場に馬を調達しに来たところだったのである。
志乃はそんな夫に馬を差しだそうと考えるが、移住者達はそれに反対をした。
というのも、その年イナゴの発生により稲が全滅。
収穫物が無い中で、馬まで持って行かれたら生活が出来ないからである。

そこにアシリカが出てくる。
実は彼の素性はわかっていなかったが、箱館戦争で闘った経歴のある人間だった。
アシリカに従い移住者達は馬を守るため闘うことを決める。
そして見事撤退に成功した。
この一件でさらに移住者達の絆が深まり、改めて北海道で暮らしていこうという思いが各の心の中で強くなっていく。

映画『北の零年』の感想・評価・レビュー

吉永小百合主演で北海道を舞台にした映画群、北の三部作シリーズ第1作目。明治初期の史実を基に北海道・静内の開墾をする人々が懸命に生きる姿を描いている。主演はもちろん吉永小百合で夫役に渡辺謙、アイヌ人に扮して主人公を支える男性役に豊川悦司が演じており、作品に奥行きを加えている。当然、実力を伴った俳優がキャスティングされているため、演技は文句なく素晴らしく、更に北海道の自然の厳しさも描かれ、開墾がいかに困難であったかも描かれている。巷では駄作だという人もいるらしいが、個人的にはとても胸に響く作品だと思っている。終盤の妻と夫の邂逅、妻を支える男の三つ巴が壮絶で印象に強く残っている。(女性 40代)


吉永小百合に渡辺謙、豊川悦司、柳葉敏郎など名優たちが名を連ねる今作は北の三部作の1作目となります。北海道に移住してきた人間の暮らしと、「生きる」とはどういう事かを物凄く強く描いた作品でした。
壮大な自然と言えば聞こえは良いですが、裏を返せばそれは「何も無い土地」。そんな場所で生きていかなければならない吉永小百合演じる志乃や夫の英明。支え合って頑張っていくのかと思いきや、想像とは正反対な展開が待っていました。
英明の役どころはとにかく「最悪な夫」という印象しか無く、そのせいで、豊川悦司演じるアシリカがとても逞しく、強く見えました。彼らの演技力が光る素晴らしい作品でした。(女性 30代)

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