映画『小間使いの日記(あるメイドの密かな欲望)』の概要:若く美しいが気が強く気分屋の小間使い(女の召使い)のセレスティーヌ。住み込みで使えることになった地方の屋敷での出来事を追う一作。原作はオクターブ・ミルボーの「小間使の日記」。
映画『小間使いの日記(あるメイドの密かな欲望)』の作品情報
上映時間:96分
ジャンル:ヒューマンドラマ、歴史
監督:ブノワ・ジャコー
キャスト:レア・セドゥ、ヴァンサン・ランドン、クロティルド・モレ、エルヴェ・ピエール etc
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映画『小間使いの日記(あるメイドの密かな欲望)』の登場人物(キャスト)
- セレスティーヌ(レア・セドゥ)
- 容姿端麗で若い小間使い。母を亡くし天涯孤独の身で、気が強いのが欠点。過去に仕えていた屋敷でのことがトラウマとなり、自由な生活を求めている。
- ジョセフ(バンサン・ランドン)
- 無口で不愛想なシェフ。15年ランレール家に仕えている。実は内々に秘めた計画があり、セレスティーヌの様子を監視し信頼できる相手なのかを伺っている。
映画『小間使いの日記(あるメイドの密かな欲望)』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『小間使いの日記(あるメイドの密かな欲望)』のあらすじ【起】
容姿端麗で賢いものの、気分屋ですぐに仕え先を辞めてしまうセレスティーヌ。良い働き口があると紹介を受け、パリ郊外の屋敷に住み込みで仕えることとなった。内心、郊外の屋敷には気が乗らないものの、斡旋元のクラン夫人の信用を再び得ることが目的である。最後のチャンスだと思い、翌日荷物をもってランレール家へと向かうのだった。
迎えに来てくれたジョセフはとも不愛想で、屋敷を牛耳る夫人も親切とは言い難い歓迎であった。さらに案内された屋根裏部屋は雨漏りをしている。帰宅した主人はあからさまに色目を使い触れようとしてくる最悪の環境に、セレスティーヌは不安ばかりを抱くのであった。しかし、すぐに辞めるわけにはいかない状況のため、耐える決意をする。
夕食は先住の小間使いと迎えに来てくれたシェフのジョセフと一緒である。パリから来たセレスティーヌに嫌味を言う先住の小間使いと、全く喋らず様子を伺うジョセフ。決して居心地のいい時間ではなかった。
翌日、小間使いの仲間・ローズと礼拝に出向いたセレスティーヌ。その様子をジョセフは監視していた。ジョセフの存在に気づいたセレスティーヌは夫人が手をまわしたと確信していた。ローズが仕える屋敷に遊びに行く約束をし、別れたセレスティーヌ。屋敷に戻ると早々に夫人の嫌味と嫌がらせが待っていた。
映画『小間使いの日記(あるメイドの密かな欲望)』のあらすじ【承】
苛立ちを隠せずに仕事を続けるセレスティーヌ。庭で洗濯物を干していると、主人が声をかけてきた。明らかに色目を使われていることに嫌悪感を抱いたセレスティーヌは、夫人に言いつけると主人を脅した。しかしなかなか手に入らない洋ナシを賄賂に愛人になれと迫ってくるのである。強く拒否したセレスティーヌの様子を監視していたジョセフ。セレスティーヌが若いと言うだけで嫉妬が止まらない夫人は、執拗な嫌がらせと小言を繰り返す。その日の夕食で、仕返しがてらに主人と夫人の皿から一つずつプラムをつまみ食いしたセレスティーヌ。しかし夫人はプラムの数を数えており、責められてしまうのだった。
翌日、夫婦が留守の隙にローズが仕える屋敷に出向いたセレスティーヌ。そこの主人は風変わりな男で屋敷の庭を一緒に散歩しようとセレスティーヌを誘う。クレベールと名付けられたフェレットを見つけた主人。セレスティーヌはジョークを言ったつもりだったが、突然主人は機嫌を損ねその場から立ち去ってしまった。一人屋敷に戻るセレスティーヌ。不意に以前仕えていたパリの屋敷での日々を思い返していた。
とても気の優しい老夫婦と病気の孫・ジョルジュが住む屋敷は海の見える綺麗な場所だった。不自由のない環境を与えられ、贅沢すぎると感じていたセレスティーヌ。そしていつからか、夫人公認の元ジョルジュと恋仲になっていったのだ。
映画『小間使いの日記(あるメイドの密かな欲望)』のあらすじ【転】
セレスティーヌとジョルジュはお互いを求め合い、関係を超えて男女の仲になってしまった。しかし、病に侵されたジョルジュの身体は、興奮に耐え切れずセレスティーヌがキスをした矢先に血を吐いて息を引き取った。罪悪感を隠し切れないセレスティーヌは、夫人の頼みを断り屋敷を去ることにした。その後、仕えた屋敷では主人を誘惑し禁忌を楽しんできたのである。
屋敷に戻ったセレスティーヌは、主人が自分のこと「売婦」と言っているところを立ち聞きしてしまう。さすがに落ち込むセレスティーヌを、ジョセフは慰めてくれた。その日の夕食では先住の小間使いの身の上話も聞くことができた。ようやく屋敷になじみ始めたその夜は大雨で、セレスティーヌの部屋は雨漏りしているのだった。
翌日から、セレスティーヌはジョセフの監視を始めた。そして夜な夜なジョセフの部屋には来客があることに気付く。静かにジョセフに尋ねると、反ユダヤの仲間と自発的に冊子を作っている話をしてくれた。セレスティーヌのことを仲間だと思っているというジョセフ。本性を知るために不愛想な態度を取ってきたというのだ。秘密裏に冊子を売り、屋敷での収入を貯めているというジョセフは故郷のシェルブールで商売をするために、セレスティーヌにも協力してほしいと願い出るのだった。
映画『小間使いの日記(あるメイドの密かな欲望)』の結末・ラスト(ネタバレ)
過去に街中を歩いていると、上品な格好をした年配の女性に娼婦として働かないかとスカウトを受けたことがあるセレスティーヌ。てっきりジョセフの思惑は自分の身体にあると勘違いしたセレスティーヌは、険しい表情で断ろうとするがジョセフは「想像しろ」と言い聞かせる。小間使いとして生きるのが正解なのか、悩み始めた。
翌日、小間使いたちの集いがあった。その時の話題は森で少女が殺された事件の犯人についてである。過去にも屋敷の畑で少女を連れ込みいたずらしていたという噂があるランレール家の主人を疑う小間使いが多く、セレスティーヌは不安を隠せずにいた。その矢先、先住の小間使いが部屋から出てこないことを心配し、声をかけると主人の子供を妊娠したかもしれないと不安に襲われ泣いていた。そしてローズが亡くなったことを知り、隣の屋敷の主人の元を訪ねると、「清々した」と言い放ち、自分の屋敷で働くよう金を種に釣ろうとしてきたのである。嫌なことばかり耳にしたセレスティーヌは、ジョセフと屋敷を出る決意をした。その夜、ジョセフと身体を交えながら、計画を練った。
翌日、泥棒が入ったと嘘を付き、騒ぎを起こすジョセフ。大勢の警察が捜査に入るも、ジョセフが犯人である以上証拠は見つかるわけがない。そうしてジョセフは夫人に惜しまれながら屋敷を辞め、先だった。怪しまれないよう、懸命に従順なフリをして過ごすセレスティーヌ。時を待ち、セレスティーヌも故郷で結婚するという理由で屋敷を出た。当初の計画通り、落ち合った二人。人に使われながら生きることを拒んできたセレスティーヌは、ジョセフの計画に従い新たな人生を歩み始めるのであった。
映画『小間使いの日記(あるメイドの密かな欲望)』の感想・評価・レビュー
ジャンヌ・モローを主演に迎え一度映画化されている今作。キャストを一新し、新たに描かれた物語だが、19世紀のフランスという身分格差の時代特有の閉塞感を描き切っている。
小間使いを見下して非常な労働を強いる夫人と、物のように色目で見る主人。環境は人を蝕み、変えていく。その常識に逆らうように、人の下で従順に生きることを拒み続けたセレスティーヌだったが、謎めいたジョセフのギャップに翻弄され彼の元で生きる道を選ぶ。自分の人生を「想像」するということで、新たな希望を抱き期待してしまったのかもしれない。女性の価値を逆手にとるような、選択のエンディングであった。(MIHOシネマ編集部)
意地悪をされ身の危険も感じながら働かなければならない小間使いの仕事が、あまりにも大変で見ていてしんどくなった。夫人に対しては、そんなに若いだけでセレスティーヌのことが腹が立つのならもっと別の人を雇えば良いのにと思ってしまった。働く場所があまりにも劣悪な環境で、雇われることに嫌気が差すのも理解できる。ボソッと悪口を言うセレスティーヌの強気な態度が清々しかった。ジョルジュが生きていれば、一緒に幸せになっていたのかなと思うと切ない気持ちになった。(女性 30代)
本作は、ある召使いが住み込みで働いた地方の屋敷での日常を描いたオクターブ・ミルボー原作の『小間使の日記』を映像化したヒューマンドラマ作品。
ブルジョワ社会のインテリアや衣装のこってりとしたクラシカルな雰囲気や映像が美しい。
また、態度の大きいメイドの冷めた目つき、時折見せる純粋な笑顔がとても魅力的だった。
そして、階級社会や人間の本能である支配欲求や服従といった人間心理の描写や、皮肉っぽい結末も好みだった。(女性 20代)
自分の人生や価値は、自分自身で決めるものであり、決して他人の誘惑や罠にハマってはいけないと感じる作品でした。
屋敷の小間使いとして働くセレスティーヌ。彼女が若く、容姿端麗であることから嫉妬を抱き、嫌がらせをする夫人。そして身体目当てに言い寄ってくる主人。とにかく最低な環境でしたが、自分の道を選ぶチャンスをくれたジョセフはセレスティーヌの価値を分かっていたのでしょう。
彼女の今後の人生も見てみたくなりました。(女性 30代)
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