映画『子猫をお願い』の概要:ペ・ドゥナ主演の青春群像劇。高校を卒業した仲良し5人組の抱える夢や悩みを描く。共演はTVドラマ「善徳女王」のイ・ヨウォン。チョン・ジェウン監督の2001年の韓国映画。女性監督らしいセンスに満ちた作品。
映画『子猫をお願い』 作品情報
- 製作年:2001年
- 上映時間:112分
- ジャンル:青春、ヒューマンドラマ
- 監督:チョン・ジェウン
- キャスト:ペ・ドゥナ、イ・ヨウォン、オク・ジヨン、イ・ウンシル etc
映画『子猫をお願い』 評価
- 点数:65点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★☆☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『子猫をお願い』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『子猫をお願い』のあらすじを紹介します。
商業高校を卒業した仲良し5人組が、10代最後の時間をそれぞれ歩んでいた。明るく行動的なテヒ(ペ・ドゥナ)、プライドが高く、証券会社にコネ入社したヘジュ(イ・ヨウォン)、無職だが絵の上手いジヨン(オク・ジヨン)、双子のピリュとオンジョ(イ・ウンシル、イ・ウンジュ)。
テヒは、実家のサウナ店を手伝いながら週1回、詩人で身障者のタイプ打ちのボランティアをしていた。証券会社に勤めるヘジュは、高卒である事の引け目を感じていた。またプライドも高いため、無職のジヨンと度々、衝突してしまう。
そんなジヨンは、早くに親を亡くし祖父母と貧しい生活をしていた。絵が上手く、テキスタイルデザインの勉強がしたいと思っているがお金がない。友達にお金を無心する事も。ある日、ジヨンは1匹の子猫を拾い、ティテイと名付けて育て始めた。
双子のピリュとオンジュは露店でアクセサリーを売るなどしているが、正規の仕事には就いてはいないようだ。ヘジュがソウルへ引っ越したのを機に、5人はソウルで再会。
満月の夜、未来の夫が見えるという呪いを試してみるが、テヒが扉を閉めた瞬間、鍵がかかってしまい5人は1晩中、外にいるハメになってしまう。
映画『子猫をお願い』 結末・ラスト(ネタバレ)
ソウルから、故郷インチョンへ戻った4人。ところが、ジヨンの家は倒壊し、同時に祖父母も亡くなってしまう。
呆然となる、ジヨン。飼い猫ティティをテヒに預けると、葬儀の後、警察に容疑者として捕まってしまう。
ジヨンが黙秘を続けたため、少年院に入れられてしまう。彼女を心配し、度々面会に訪れるテヒ。
テヒもまた、家族との生活に光を見いだせないでいた。
数か月後、ようやく疑いが晴れて退所したジヨンを迎える、テヒ。
テヒは、一緒に世界中を旅しょうと誘う。家業を手伝った1年間分の給料を持って、テヒはジヨンと共に新しい世界へ旅立つ。
映画『子猫をお願い』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『子猫をお願い』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
学歴コンプレックスを投げ飛ばせ!10代最後の少女達の挑戦と青春!
青春映画は、公開されてから数年後に観るといい。なぜなら、旬の女優へと成長した彼女達が初々しい演技をしていた頃にタイムスリップできるから。「子猫にお願い」(01)では、テヒを演じるペ・ドゥナとヘジュ役のイ・ヨウォンの存在感が光っています。
韓国社会は学歴社会で、高卒だとあまりよく思われない。就職しても何かと周囲と比べられ、肩身の狭い思いをしてしまうのだ。この映画は、大卒の女性監督が高卒の少女達の青春と葛藤を描いたもの。大卒であってもなかなか就職が難しい現実があるそうです。
少女達が使う、携帯が懐かしい。映画の画面に送信したメールの内容が漫画のように表れます。それが、10代の少女らしい感覚に溢れていてかわいい。高校生の時の様に無邪気に笑っているだけではダメ。でも大人になるには何かが足りない。
そんなもどかしさが、5人の少女達を包む。それだけで、画(え)になるのが魅力です!元気さといい具合の鈍感さが同居するテヒ役のペ・ドゥナに共感するのもいいし、プライドが高く、目力で魅せるヘジュ役イ・ヨウォンに自身を重ねてみるのも面白いかもしれない。
自分色に染める、女優ペ・ドゥナ~未知の存在感
ペ・ドゥナは一見、普通の女の子の様でいて、そのまなざしは遠くを見つめています。韓国のみならず、日本やハリウッドでも活躍中!特に日本映画への出演も多く、「リンダ リンダ リンダ」(05)や「空気人形」(09)など凛とした存在感と明るさが特徴です。
あまりに自然体で演じるので、役に成りきるのではなく、役を自分色に染める女優だと感じます。こんな子いるよね?という親近感を醸し出す雰囲気も人気の秘密なのではないでしょうか。現在、彼女は30代ですが、童顔でデビュー当時の印象からあまり変わっていません。
これほど、印象が変わらない女優も珍しい。本作では、身障者で詩人の男の為にボランティアでタイプ打ちをしているシーンや、田舎からソウルへ出てきて外国人にナンパされるシーンが彼女らしくってほのぼのとします。
彼女の今を観たい方は、2015年に公開された「私の少女」がおすすめ。「アジョシ」での名演技が評価されたキム・セロンとの共演は必見です!ぜひ、ペ・ドゥナの未知の存在感を感じて下さい。
高校時代の友達とは会う機会が減り、疎遠になっていましたがこの作品を見ると久しぶりに会いたいなと思いました。
社会人になると生活も一変し、高校時代のようなただ楽しいだけの人生を送ることは出来なくなります。更に、彼女たちが感じている高卒の壁は日本人には理解できないほど高かったのでしょう。
しかし、そんな悩みや苦しみを楽にしてくれるのも友達の存在。大切な友達とは助け合いながら、大人になってもずっと付き合って行けたらいいなと思いました。(女性 30代)
映画『子猫をお願い』 まとめ
永遠の少女、というイメージがぴったりな、国際派女優ペ・ドゥナ主演の作品です。青春という甘い響きに誘われて観ると、決して甘くはない大人への入り口を描いた物語に裏切られてしまうかもしれません。
素と演技の境界が見えない独特の感性を持つ女優として大注目です!ペ・ドゥナの明るい演技と、プライドが強く感情的な少女ヘジュを演じるイ・ヨウォンの演技にも惹きつけられるのではないでしょうか。
イ・ヨウォンは、TVドラマ「善徳女王」で主人公、トンマン公主を演じてブレイク。強烈な存在感を魅せつけました。その烈しさが、この映画でも発揮されています。2人の旬の女優が共演している点と10代の少女の感性を上手く切り取った映像が見どころです。
今から14年前と古い映画ですが、不思議とそんな古さを感じさせない点も面白い。ペ・ドゥナら少女達の空気感に浸ってみるのもいいですよ。
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