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映画『この胸いっぱいの愛を』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『この胸いっぱいの愛を』の概要:子供の頃に住んでいた北九州市門司を出張で訪れた比呂志は、20年前の自分に出会う。1986年にタイムスリップした比呂志は祖母が営む旅館に住み込みで働き、未来を変えるために幼い自分と過ごすことにする。

映画『この胸いっぱいの愛を』の作品情報

この胸いっぱいの愛を

製作年:2005年
上映時間:130分
ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ
監督:塩田明彦
キャスト:伊藤英明、ミムラ、勝地涼、宮藤官九郎 etc

映画『この胸いっぱいの愛を』の登場人物(キャスト)

鈴谷比呂志(大人:伊藤英明 / 子供時代:富岡涼)
百貨店に勤務しており、駅弁フェアの出店交渉のために門司を訪れる。9歳からの約1年、椿の旅館に預けられていた。歳の離れた和美に憧れていた。幼い頃のあだ名はヒロ。和美にバイオリンの弾き方を教えてもらっていた。
青木和美(ミムラ)
蕎麦屋の一人娘。東京にある音楽大学を首席で卒業したが、バイオリニストにはならずに実家に戻ってきた。脳にある腫瘍の摘出手術を拒んで亡くなった。
鈴谷椿(吉行和子)
比呂志の祖母。比呂志のことを厳しく育ててはいるが、家出した際には誰よりも心配していた。和美のことを娘同然に思っている。
青木保(愛川欽也)
和美の父。身寄りのなくなった和美を引き取ったため、血は繋がっていない。摘出手術を受け、和美に生きてほしいと思っている。
布川輝良(勝地涼)
比呂志と同じ224便の乗客。ヤクザの下っ端。1986年にタイムスリップし、妊娠中の靖代に会いに行く。19歳。
臼井光男(宮藤官九郎)
224便の乗客。理科大学の客員教授。中学時代に近所の花壇を荒らしてしまったことを後悔している。
角田朋恵(倍賞千恵子)
224便の乗客。自身の入院中に盲導犬のアンバーが亡くなってしまい、死に目に会えなかったことを後悔している。目が見えない。
布川靖代(臼田あさ美)
輝良の母。レイプ被害に遭い、望まぬ妊娠だったが親の反対を押し切り輝良を出産した。難産だったため、出産時に亡くなった。

映画『この胸いっぱいの愛を』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『この胸いっぱいの愛を』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『この胸いっぱいの愛を』のあらすじ【起】

2006年1月5日。比呂志は出張のため、飛行機で北九州市門司に向かう。幼い頃に住んでいた旅館を見に行くと、20年前の自分がいた。カレンダーの日付が1986年1月になっていることに気が付いた比呂志は、自分と同じくタイムスリップした輝良に会う。2人は浜辺にある目印の下に手紙を入れた空き瓶を埋めて連絡を取り合うことにする。

1月5日の椿の誕生日に調理場でボヤ騒ぎが起こったことを思い出した比呂志は、急いで旅館へ向かう。比呂志が火を消し止めたことで大事にはならなかったが、幼い比呂志は椿に厳しく叱られる。比呂志は“すずきひろあき”という偽名を名乗り、旅館に住み込みで働くことにする。

比呂志は幼い自分をヒロと呼び、同じ部屋で寝起きしていた。朝4時起きで旅館を手伝っていた比呂志は、ヒロの部屋でバイオリンを見つける。比呂志がバイオリンを弾き始めると、和美がやってくる。

比呂志は憧れの和美がまだ生きていることに浮かれていた。和美から将棋に誘われた比呂志は、椿が比呂志のことを死んだ息子によく似ていると言っていると聞かされる。

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映画『この胸いっぱいの愛を』のあらすじ【承】

浜辺に手紙を見に行った比呂志は、商店街で輝良と会う。2人が歩きながら話していると、光男が追いかけてくる。比呂志と同じ224便に乗っていた光男は、タイムスリップした後にずっとバスに乗っていた。光男はバス停で会った朋恵の話をし、思い残すことがなくなったと呟いた朋恵が消えてしまったと説明する。

靖代が働いていた幼稚園を辞めたと知った輝良は、園長にクビにしたのかと問い詰めに行く。半年前にレイプ被害に遭い妊娠した靖代は、無理矢理流産させようとする父親から逃げて家を出ていた。保護者の間で事件の噂が広まり、靖代は自ら退職を願い出たと園長は説明する。

比呂志はヒロに将棋勝負を挑み、自分が勝ったら給料一週間分を渡し、負けたら“ヒロの人生改造十か条”を守らせることにする。負けてしまったヒロは項目が9個しかないと指摘するが、10個目はまた今度教えると比呂志は答える。

和美にデートに誘われた比呂志は、和美の手が震えていることに気が付く。脳に出来た腫瘍の影響で、和美はバイオリンを続けられなくなっていた。比呂志との話を終え、歩き出した和美は倒れてしまう。

映画『この胸いっぱいの愛を』のあらすじ【転】

病院にいる保と電話していた椿の会話を聞いてしまったヒロは、和美が病気であることを認められず家出する。自分の記憶を頼りに探しに来た比呂志に説得され、ヒロは素直な気持ちを手紙で和美に伝えることにする。

比呂志は輝良と連絡を取るため浜辺まで瓶を確認しに行くが、中身は空だった。そのとき、岸に流れ着いた漂流物に航空券が挟まっていることに気が付く。航空券には比呂志の名前が書かれており、漂流物は燃え尽きた座席シートだった。比呂志が動揺していると、輝良が比呂志の腹部と自分の手のひらをナイフで刺す。しかし、2人とも血は出なかった。

飛行機が墜落したことを思い出し、比呂志は自分が既に死んでいると自覚する。比呂志は保から和美が会いたがっていると言われ、病室を訪れる。いままでバイオリニストになるために生きてきた和美は、手術の後遺症で障害が残り、バイオリンを弾けなくなることを恐れていた。

比呂志は病室から和美を連れ出し、死ぬ方がましというのが本心ならこの場でバイオリンを叩き割れと言ってバイオリンを渡す。バイオリンを地面に叩きつけ、和美は泣き叫ぶ。

映画『この胸いっぱいの愛を』の結末・ラスト(ネタバレ)

ヒロは和美と行くつもりだったコンサートのチケットを比呂志にプレゼントする。比呂志は練習中のオーケストラに土下座で頼み込み、和美を演奏に参加させることにする。燕尾服を着た保が着替えを持って病室を訪れ、何も知らない和美はコンサート会場へ向かう。

ラーメン屋で靖代に会った輝良は、子供を産んでも自分のようなチンピラになってしまう、難産で靖代も死んでしまうと訴える。しかし、靖代の決意は揺るがなかった。靖代のお腹に手を当てて胎動を感じた輝良は、靖代の子供に生まれてよかったと言い残して消える。

一方、光男は中学時代に荒らしてしまった花壇がある家を訪ねていた。持ち主は怒っておらず、追い詰められていた光男の気持ちを理解していた。やっと謝ることができた光男は、泣きながら消えていった。

コンサート会場。司会者が和美をステージに招き入れ、演奏を始める。曲が終わった後、ステージ袖に走っていった和美を追いかけた比呂志は、和美の口からもっと生きたいという言葉を聞く。

2006年1月21日。和美はバイオリン教室で先生をしていた。墜落事故により比呂志が死んでしまったことを知った和美は、比呂志の言葉を思い出してこれからも前を向いて生きていこうと誓う。

映画『この胸いっぱいの愛を』の感想・評価・レビュー

タイムスリップした比呂志、光男、輝良、朋恵のそれぞれが過去でやり直したい事や、伝えたい事を胸に抱き、人に会いに行くのだが、一人一人の結末が感動し、夢中になった。途中から、墜落事故で自分はすでに亡くなっているということに気付いた比呂志の気持ちや、幼い頃の憧れの和美と出会い、彼女のためにとった行動など、見所がたくさんある。特に、自分を産んだ後に母親が亡くなってしまった輝良の、母親への最後の言葉が胸に突き刺さり、涙が出た。それぞれの想いを伝えると同時に、消えていくシーンがとても儚かった。(女性 20代)


幼い頃にタイムスリップするのではなく、大人のまま幼い自分に会うというのは珍しいなと感じた。物語の冒頭から嫌な予感はしていたが、タイムスリップした人々が亡くなっていたのはショックだった。なんとか未来が変わって生きていてほしいなと思ったが、そう簡単にはいかず、切ないラストだと思う。比呂志と和美のやり取りも素敵だなと感じたが、何より輝良と母とのやり取りに胸を打たれた。母と会えて良かったなと思いつつ、それが亡くなってからだというのが悲しい。(女性 30代)


同じ飛行機に乗り合わせた人達が、過去にタイムスリップしてしまうお話。かなり無理のある展開ですが、映画だからと割り切って見てほしい作品です。
今の生活に満足していても、ふとした瞬間にあの時ああしていれば…と思うことってありますよね。そんな、過去の小さな過ちや後悔をタイムスリップした先で取り戻していく人々。そこで愛や幸せを受け取りますが、現実の世界では彼らは墜落事故で亡くなっていました。かなり衝撃的なラストでしたが、彼らのおかげで命を取り戻せた人がいるのも事実なので、物凄く切なかったです。(女性 30代)

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