映画『幸福な食卓』のネタバレあらすじ結末と感想 | MIHOシネマ

「幸福な食卓」のネタバレあらすじ結末と感想

幸福な食卓の概要:真面目な父親の自殺未遂をきっかけに、家族に本音が言えなくなった中学3年生の佐和子は、転校生の大浦と親しくなり、彼に救われていくのだが…。原作は瀬尾まいこの同名長編小説。北乃きいが映画初主演を務めた作品。

幸福な食卓の作品情報

幸福な食卓

製作年:2006年
上映時間:108分
ジャンル:青春、ラブストーリー、ヒューマンドラマ
監督:小松隆志
キャスト:北乃きい、勝地涼、平岡祐太、さくら etc

幸福な食卓の登場人物(キャスト)

中原佐和子(北乃きい)
優等生タイプの中学3年生。常に周囲のことを考え、自分の気持ちは抑える。家族にはうまく甘えられないが、大浦の前では素直になれる。
大浦勉学(勝地涼)
佐和子のクラスに転校してきた男子。仕事人間の父親と教育熱心な母親、クワガタマニアの弟と4人家族。家庭は崩壊しているらしいが、大浦自身は非常に前向き。
中原弘(羽場裕一)
佐和子の父親。教師。3年前に自殺未遂したことがあり、家族に心配をかけた。自分を抑えるタイプの真面目な男で、やりたいことを我慢してきたと感じている。
中原直(平岡祐太)
佐和子の兄。地元でも有名な秀才だったが、大学へは進学せず、農業をしている。能天気な男を装い、自分を偽って生きている。次々と彼女ができるが長続きしない。
中原由里子(石田ゆり子)
佐和子の母親。夫の弘とは高校時代から付き合い始め、そのまま結婚した。専業主婦だったが、弘の自殺未遂を機に、1人暮らしを始めた。
小林ヨシコ(さくら)
直の彼女。自分の欲望に忠実で、誰にも遠慮しない。直以外にも付き合っている男がいるが、それも悪いことだと思っていない。

幸福な食卓のネタバレあらすじ

映画『幸福な食卓』のあらすじを結末まで解説しています。この先、ネタバレ含んでいるためご注意ください。

幸福な食卓のあらすじ【起】

中学3年生になった中原佐和子は、朝の食卓で、父親の弘から「今日で父さんは父さんを辞めようと思う」と宣言される。兄の直も佐和子もその意味を図りかねるが、深くは追求しない。

母親の由里子が決めたルールで、中原家は必ず家族全員で朝食を食べることになっている。そのため、大事なことは朝の食卓で発表されてきた。由里子が家を出てアパートで1人暮らしを始めると発表したのも、秀才の直が、大学へ進学せずに農業を始めると発表したのも、やはり朝の食卓だった。

始業式の日、佐和子のクラスに大浦勉学が転校してくる。大浦の席は、学級委員の佐和子の隣になった。大浦は、気さくで明るい感じの男子だった。

学校が終わり、佐和子は由里子のアパートへ昼食を食べに行く。由里子は、パートをしながら風呂のない安アパートで暮らし、自宅へ通ってご飯を作るという非常に不便な生活をしている。由里子は家族を愛しているからこそ、今は距離を置くべきだと思っていた。

学校で、佐和子は大浦から「これからはライバルとして、お前と友達になる」と言われる。大浦の両親(特に母親)は非常に教育熱心で、息子を県内トップの西高へ入れるため、わざわざこの校区へ引っ越してきた。大浦は、西高で3年間トップだった直の噂を耳にしており、その妹の佐和子と友達になろうと決めていた。大浦のストレートな性格は、遠慮がちな佐和子にとって新鮮だった。

教師も辞め、しばらくのんびりしていた弘が、また朝の食卓で「大学に行こうと思っている」と言い出す。弘は、これからはやりたいことをやっていこうと思っていた。その日から、弘は医学部を目指して猛勉強を開始する。家族は、そんな弘を黙って見守る。しかし、佐和子は心のどこかで、家族の在り方に違和感を感じていた。

幸福な食卓のあらすじ【承】

梅雨時の給食の時間。佐和子が苦手なサバを大浦が食べてくれる。大浦は、元気のない佐和子のことを心配していた。

帰宅すると、ちょうど由里子が来ていた。佐和子は、うちの家庭は崩壊しているのかと由里子に尋ねる。由里子は、にこやかにそれを否定する。佐和子は、由里子のさりげない心遣いが嬉しかった。梅雨時になると、佐和子は3年前のことを思い出し、心身ともに調子が悪くなる。離れていても、由里子はいつも家族のことを考えてくれていた。

珍しく大浦が学校を休んだので、佐和子は校区の1番外れにあるという大浦の家を探す。ちょうど祖母の見舞いから帰る途中の大浦と会うことができた。佐和子と大浦の間には、友達以上の感情が芽生えつつあった。

夏休みが始まった。弘は受験勉強をしながら予備校講師のアルバイトを始め、佐和子は大浦と同じ塾に通い始める。佐和子も、大浦と一緒に西高へ行きたいと思うようになっていた。2人は、切磋琢磨して合格を目指そうと誓い合う。

佐和子は携帯を持っておらず、塾へも自転車で通っていた。母親に送迎してもらっていた大浦も、そんな佐和子に刺激され、自転車で塾に通い始める。大浦のおかげで、佐和子の塾通いはとても楽しいものになる。

農業をしながら気ままな生活をしている直は、最近小林ヨシコという女性と付き合い始めていた。佐和子は、図々しいヨシコが苦手だった。

2学期が始まり、佐和子と大浦は席が離れてしまう。佐和子は大浦と仲良くなってから、由里子と話す機会が増えていた。高校時代、由里子は弘より頭が良かったが、彼と結婚するつもりだったので大学へ進学しなかった。自分のそういう変な気遣いが、いつの間にか弘を傷つけていたのではないかと由里子は思っていた。

ある日、佐和子はヨシコが他の男とキスしているのを目撃する。佐和子は兄が可哀想だと抗議するが、ヨシコは謝らない。ヨシコは、直こそいい加減な男だと思っていた。

その夜、佐和子は直の部屋で弘の遺書を見つける。弘が自殺を図った時、直は自分も今のままでは父親と同じ運命を辿ると感じ、完璧主義の自分を捨てた。直の本音を初めて聞いた佐和子は、小林ヨシコと本気で付き合うよう助言する。佐和子は、他人でないと救えないものがあると感じていた。

幸福な食卓のあらすじ【転】

塾の帰り、佐和子は大浦に家族の話をする。そして、自分は梅雨になると調子が悪くなるが、来年は大浦がいてくれたら大丈夫な気がすると話す。大浦は、自分も実はサバが苦手なのだと打ち明ける。大浦が、自分のために苦手なサバを食べてくれたことを知り、佐和子は嬉しくなる。

佐和子と大浦は受験勉強に励み、見事西高に合格する。直もヨシコと真剣に付き合い始める。弘は受験に失敗し、もう1年挑戦したいと言い出す。佐和子は賛成するが、直は「人間には役割がある、我が家はみんなそれを放棄している」と本音を語る。

西高での高校生活が始まった。佐和子は大浦と別のクラスになり、学級委員を押し付けられる。佐和子がそれを愚痴ると、大浦も学級委員に立候補してくれる。佐和子は、大浦のプラス思考に救われる。

西高の1年生は、老人ホームでの交流会で、クラス毎に合唱を披露することになっていた。学級委員がクラスをまとめ、練習に取り組むのだが、佐和子のクラスは誰も歌わない。みんな、真面目すぎる佐和子のやり方に反感を抱いていた。一方、大浦はクラスをうまく盛り上げ、楽しい練習を心がける。

大浦は、何でも正面から立ち向かいすぎる佐和子に、人に頼る秘策を伝授する。そのおかげで、サッカー部の男子が佐和子を助けてくれて、交流会での合唱は無事に終わる。

梅雨の季節になるが、今年は大浦のおかげで、佐和子は楽しい日々を過ごす。佐和子と大浦は男女として付き合い始め、ファーストキスも経験する。

クリスマスが近くなり、大浦は佐和子のクリスマスプレゼントを買うために、新聞配達のバイトを始める。終業式の日、大浦と佐和子は24日の5時に塾の前で会う約束をする。大浦は、佐和子と過ごす初めてのクリスマスを最高の1日にするため、その日まで会わないと宣言する。

幸福な食卓のあらすじ【結】

翌朝、佐和子は早起きして、新聞配達をしている大浦の姿を見る。大浦は、佐和子の家にも新聞を届けてくれていた。本当は声をかけたかったが、佐和子は大浦との約束を守る。佐和子は大浦へのクリスマスプレゼントに、マフラーを編み始める。

待ちに待った24日がやってきた。その日の朝、佐和子は初めて新聞配達中の大浦に声をかける。大浦は佐和子を振り返り、「おう!」と明るく挨拶をして、笑顔で去って行く。そして、それが2人の永遠の別れになってしまう。

その日、バイトを終えて帰る途中、大浦は信号無視の車に轢かれて命を落とす。佐和子はこの現実が受け入れられず、お通夜の場から逃げようとする。その時、「中原!」と大浦に呼ばれた気がして、佐和子は思わず振り返る。しかし、そこに大浦はいない。

由里子は傷ついた娘を気遣い、家へ戻ろうかと提案する。しかし、佐和子は「母さんが帰ってもどうしようもない」と答える。佐和子は弘にも、「父さんみたいに死にたい人が死ななくて、死にたくない人が死ぬなんて不公平だ」と言ってしまう。みんなに心配をかけていることは分かっていたが、今の佐和子に周囲を気遣う心の余裕はなかった。

そんなある日、大浦の母親が、大浦のクリスマスプレゼントを持ってきてくれる。包みの中には、マフラーと手紙が入っていた。大浦は、これから自分たちにはいろいろなことがあるだろうけど、最後は必ず一緒なると書いてくれていた。

ヨシコは直に頼まれ、手作りのシュークリームを持ってきてくれる。ヨシコは、もっと家族に甘えるよう佐和子に助言する。その日の夜、佐和子は「父さんの自殺が未遂に終わってすごく良かった」と本音を語る。弘は予備校に就職し、父さんに戻っていた。直は家族の再生を感じ、今まで捨てられなかった弘の遺書を破く。

後日、佐和子は大浦の自宅を訪ね、大浦に渡せなかった手編みのマフラーを母親に渡す。母親の提案で、マフラーは大浦の弟が使ってくれることになる。弟には少し長すぎたが、彼は「大丈夫、僕、大きくなるから」と言って、佐和子を気遣ってくれる。

大浦の家を出て、川沿いの道を歩いていた佐和子は、「気づかない所で、中原っていろいろ守られている」という大浦の言葉を思い出す。佐和子は何度か後ろを振り向くが、そのうちスッキリとした顔をして、まっすぐ前を向いて歩き出す。

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