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映画『暗闇から手をのばせ』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『暗闇から手をのばせ』の概要:グラビアアイドルの小泉麻耶が、身体障害者専門のデリヘル嬢を身体を張って演じたヒューマンドラマ。元々普通のデリヘルで働いていた沙織は、楽にできそうという軽い気持ちで障害者専門のデリヘルを始める。

映画『暗闇から手をのばせ』の作品情報

暗闇から手をのばせ

製作年:2013年
上映時間:68分
ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ
監督:戸田幸宏
キャスト:小泉麻耶、津田寛治、森山晶之、管勇毅 etc

映画『暗闇から手をのばせ』の登場人物(キャスト)

沙織(小泉麻耶)
障害者専門デリヘル「ハニーリップ」新人のデリヘル嬢。「ハニーリップ」で働く前は、一般のデリヘルで働いていた。障害者相手だと楽そうという軽い気持ちで、「ハニーリップ」で働くことにした。
津田(津田寛治)
障害者専門デリヘル「ハニーリップ」の店長。元々は一般のデリヘルを経営していたが、他に同業者がいないことに目をつけ、この事業形態を立ち上げる。
水谷(管勇毅)
進行性筋ジストロフィーを患っている「ハニーリップ」の常連客。金髪で、全身にタトゥーを入れている。同じ病の平均寿命を超えてしまった自分はいつ死んでもおかしくないと思っている。
中嶋(ホーキング青山)
先天性多発性関節拘縮症の常連客。障害者を可哀想っていうけど、知らない男に奉仕をしているデリヘル嬢の方が可哀想じゃないかと言う。でも、結局最後には「本番やらして」と言うエロオヤジ。
健司(森山晶之)
脊椎損傷のお客。母親共々、自分の障害を受け入れられずにいる。自分に気を使う母親に嫌気が指し、家を飛び出し、沙織と海を見にいく。
小西(モロ師岡)
以前沙織が働いていたデリヘルの客で、ストーカー。かつて沙織が働いていたデリヘルで彼女をよく指名していた。車椅子の障害者を装って、「ハニーリップ」に沙織指名の予約メールを送る。

映画『暗闇から手をのばせ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『暗闇から手をのばせ』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『暗闇から手をのばせ』のあらすじ【起】

デリヘルの新人、沙織は車でタバコを吹かしながら待機していた。時間になり店長と一緒に客の家に向かう。向かった家には、車椅子に乗った水谷がいた。店長が水谷をベッドへ運び、沙織の障害者専門デリヘル「ハニーリップ」での初仕事が始まる。水谷は、進行性筋ジストロフィーで、身体中にタトゥーを入れているのだった。

一仕事終え、弁当を車の中で食べている沙織。店長と話している。沙織は、元々は普通のデリヘル嬢だったが、障害者専門の方が楽に仕事できて、怖くないと思い、移ってきたのだった。店長も元々は普通のデリヘルをやっていた。障害者専門の派遣型風俗なら、同業者がほとんどいないだろうと、障害者専門のデリヘルを立ち上げたのだった。店長は「この国は348万人の在宅障害者がいる。人口比率からすると、この街にも1万人の障害者がいるはずだが、街で見かけることはない。この国は、障害者にとっては、めちゃくちゃ住みにくいから、誰も好き好んで外に出ようとしない」と話すのだった。

店長と沙織は、次の常連客、中嶋のところへ向かう。店長を先に帰らす中嶋だが、沙織一人では巨漢の中嶋をベッドに移すこともできず、再度店長を呼ぶ。店長はリフトを使って中嶋をベッドに移すのだった。沙織とのプレイの最中、中嶋は「障害者って可哀想って思う?」と問う。しかし、沙織は答えられない。中嶋は続けて「自分たちは可哀想な部類にカテゴライズされる」と言う。中嶋は、「オレは両親に祝福されて生まれて来た。それに比べ、デリヘルをやっている、あんたの方が可哀想じゃないか」とも言うのだった。

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映画『暗闇から手をのばせ』のあらすじ【承】

さらに沙織は、三人目の客、健司のところに向かう。向かう途中、店長に電話が入り、沙織は一人で行くことになる。チャイムを鳴らすと、母親が出てくる。少し戸惑う沙織。店長に電話で確認をすると、母親公認のデリヘルだった。健司をベッドに移して、母親は2時間ほど買い物に出て行く。沙織は服を脱ぎ、プレイを始めるが、途中でやめてしまう健司。脊椎損傷の健司は、勃起もしないし射精もしない。そんな彼に、デリヘル嬢をあてがえば、生殖機能が回復すると母は信じて、「ハニーリップ」に連絡したのだった。

「ハニーリップ」での初日が終わった沙織は、障害者デリヘルの仕事を続けると店長に言う。沙織は、家に帰り着替えをし、化粧を落とす。鏡に写る自分の胸元を見て、健司の家でシャワーを借りたときに、ネックレスを置き忘れたことに気がつく。翌日、ネックレスを取りに健司の家に行く沙織。そこで、見舞いに来ていた健司の友人カップルに出会い、悪態をつき、自分が健司の彼女だと言ってしまう。

沙織は客の家に勝手に行き、トラブルを起こしたことで、店長にこっぴどく叱られる。その日の客は、先日の中嶋。沙織は、中嶋に健司のことを話す。中嶋は、他の客のことを話すなよと言いながらも、沙織のことを良い女だなと褒めるのだった。

映画『暗闇から手をのばせ』のあらすじ【転】

「ハニーリップ」にメールで予約が入り、沙織が指名される。客の待つホテルに行く沙織。部屋に入ると車椅子の男が、突然立ち上がりナイフを突きつけてくる。沙織は、手足を縛られ風呂場で沈められ、責苦を受ける。男は以前、沙織が働いていたデリヘルの客で、ストーカーの小西だった。風呂に沈められ、意識を失う沙織。しかし、沙織からの連絡がないことに異変を感じた店長がホテルの部屋に乗り込み、沙織を助け出す。沙織は入院することになるが、それでも仕事を続けたいと店長に言うのだった。

退院した沙織は、自分を襲ったストーカー小西に面会に行く。小西から「お前はカタワが好きなのか?そう言う性癖か?」と聞かれる。そんな小西に沙織は、「私もあんたもどこかしら欠けている。障害者と健常者に違いはない」と言い捨て、拘置所を出るのだった。

その帰り、沙織は水谷の家に行く。しかし、水谷は死んでしまっていた。玄関先に出て来た水谷の妹は、「あんたが風俗の人?」と見抜かれてしまう。沙織が水谷の最後の様子を聞いても、「関係ないでしょ、帰って。気持ち悪い」と扉を閉められてしまうのだった。

映画『暗闇から手をのばせ』の結末・ラスト(ネタバレ)

健司の母親は、とうとう宗教にも頼り始めていた。そんな母に嫌気がさし、街に出る健司。偶然、沙織と出会う。沙織は、先日のことを謝る。しかし健司は、「自分の言いたかったことを代わりに言ってくれてありがとう」と言うのだった。沙織は、健司と一緒に散歩することにする。そして、沙織はヒッチハイクし、健司を軽トラに乗せて、一緒に海へ向かう。

二人は海を見る。健司は夢の中では歩いていると、未だに自分の障害を受け入れられずにいた。沙織は、そんな健司に「生きていく理由を何か見つけられたら、良いんじゃないか」と言うのだった。

海岸で海を見ながら夜明けまで過ごし、うとうとした沙織が目を覚ますと健司は、車椅子のまま海に飛び込む。沙織も、助けるために飛び込む。生きていくのが嫌になっていた健司に沙織は、「あたしのために生きて」と言うのだった。飛び込んだ海の中から朝日を見つめる二人。そして、二人はずぶ濡れのまま帰るのだった。

健司は、沙織を指名するために職を探し始める。沙織もデリヘルを続けている。そして、沙織は今日も時間になると店長の運転する車から降りて客のところへ向かう。その日、向かった先は健司の家だった。

映画『暗闇から手をのばせ』の感想・評価・レビュー

障がいを持った男性たちの相手をするデリヘル嬢はなにを思うか。
内容が内容だけに、苦手に思う方も多いことでしょう。しかし、大きな軸としては人間ドラマとなっています。客として利用する人々がどう生きてきたか、どう生きるか、それらに触れることでデリヘル嬢の心が揺れ動く様がリアルです。途中、客と一緒に歩くところを通行人がジロジロみるシーンが印象的です。
なかなか切り込めないテーマを鋭く切った良作でした。(女性 20代)


本作は、楽そうだからという気軽な気持ちで身体障害者向けのデリヘル嬢になった主人公沙織が、障害を抱える客たちと交流するうちに考え方が変わっていく様子を描いたヒューマンドラマ作品。
初めは内容に重みを感じながら鑑賞していたが、意外にもユーモアや優しさの描写が多く、68分という時間の中にハートフルが収縮されていて温かい気持ちになった。
それだけでなく、目には見えないデリケートな部分もしっかり表現されていて、「普通」「幸せ」とは何かを考えさせられる作品でもあった。(女性 20代)


「障害者」と「デリヘル嬢」。どちらも私の身近な存在にはいないため、彼らについて詳しく知っていることはありません。しかし、それは障害者とデリヘル嬢だからでは無く、どんな仕事でもどんな人でも「他人」だから知らなくて当たり前だし、それぞれの生き方があるということをこの作品で教えてもらいました。
出会う人によって人生は変わるし、その出会いがこれからどう生きていくかを決める道標になるかも知れません。どんな人でも、どんな出会いでも人と繋がることはとても素敵だと感じました。(女性 30代)

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