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映画『リンカーン』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『リンカーン』の概要:アメリカでは奴隷制度の問題について、南北で争いが起きていた。南部は奴隷制度を取り入れており、反乱を起こした。1865年1月、南軍の敗戦が濃厚になる中、奴隷達の将来は何も決まっていなかった。

映画『リンカーン』の作品情報

リンカーン

製作年:2012年
上映時間:150分
ジャンル:ヒューマンドラマ、歴史
監督:スティーヴン・スピルバーグ
キャスト:ダニエル・デイ=ルイス、サリー・フィールド、デヴィッド・ストラザーン、ジョセフ・ゴードン=レヴィット etc

映画『リンカーン』の登場人物(キャスト)

エイブラハム・リンカーン(ダニエル・デイ=ルイス)
第16代アメリカ合衆国大統領。奴隷制度を廃止するため、憲法修正案を下院で可決させようと奮闘する。南北戦争で多くの人の血が流れていることを嘆いている。心優しい人物。
メアリー・トッド・リンカーン(サリー・フィールド)
エイブラハム・リンカーンの妻。息子のウィリアムが数年前に病死しており、心の傷が癒えていない。
タデウス・スティーブンス(トミー・リー・ジョーンズ)
共和党議員・奴隷解放急進派。厳格な人物。黒人の妻がいるが、周囲には秘密にしている。

映画『リンカーン』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『リンカーン』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『リンカーン』のあらすじ【起】

アメリカの民主主義の試みは、奴隷制度の問題で分裂の危機にあった。奴隷制を取り入れている南部と自由な北部との対立が激化し、戦争にまで発展する。1865年1月、反乱を起こした南軍の敗北が迫る中、300万人もの奴隷の将来は何も決まっていなかった。リンカーン大統領は戦争と共に奴隷制度を終わらせようとしていた。

1865年1月、リンカーン大統領再選から2か月後のこと、南北戦争は4年目を迎えていた。妻のメアリー・トッド・リンカーンは疲弊しており、戦争のことで苦悩する夫を心配していた。リンカーンが乗った馬車が事故に遭ったことがあり、メアリーは暗殺を疑っていた。だが、リンカーンは事故だと言って気にしてはくれなかった。

リンカーンは奴隷制廃止の憲法修正案を下院で可決させようとしていた。他の者は可決されるはずがないと否定的な言葉を述べるが、リンカーンは諦めるつもりはなかった。共和党議員で保守派の重鎮であるプレストン・ブレアに会いに行き、協力を求めた。ブレアが見返りに求めたのは、南軍連合の大統領J・デイビスに会うことだった。共和党の保守派はリンカーンが南軍連合に歩み寄り、和平交渉の第一歩を踏み出すことを求めていた。

2年前、リンカーンは奴隷解放宣言を行った。だが、その宣言で完全に奴隷が自由になったわけではなかった。奴隷制廃止の憲法修正案が戦争終了前に可決されなければ、解放された人々が再び奴隷に戻される可能性があった。そのため、リンカーンは周囲が止めるのも聞かず、奴隷制廃止の憲法修正案を採用させようと奮闘していた。

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映画『リンカーン』のあらすじ【承】

奴隷制廃止の憲法修正案の件で、リンカーンは共和党の急進派にも協力を求めた。急進派はリンカーンがなぜ修正案の可決を急いでいるのか理解できず困惑していた。修正案で脅して、南軍連合に降伏を迫る気ではないかという考えもあった。急進派も南軍連合との和平を望んでいた。急進派のタデウス・スティーブンス議員は、リンカーンのことが好きではなかった。しかし、共和党の党首であるリンカーンが、自分達に命令ではなく協力を持ちかけ、奴隷制を廃止しようとしていることについては敬意を表している様子だった。その一方で、リンカーンの味方であるウィリアム・スワード国務長官は、賛成票と引き換えに無職の民主党議員に職を与えようとロビイストに会っていた。

リンカーンは協力してもらう代わりにブレアをリッチモンドに行かせ、デイビスの使節団と対談させた。スワードは何も聞かされていなかったことと、ブレアを行かせたことで怒りを爆発させた。もし、今回の対談で南軍が和平交渉のために使節団を送ってくる事態になれば、奴隷問題で溝を深めないよう世論が動き、賛成票を失うことになるからだった。だが、リンカーンは終戦締結の機会を無視したのがバレれば、それこそ賛成票が無くなると考えていた。リンカーンは修正案を採決させることを諦めた訳ではなかった。

メアリーは息子のウィリアムが亡くなった悲しみの中にいたが、パーティーに出席し大統領夫人としての役割を果たしていた。パーティー終了後、リンカーンは妻に息子のロバートが入隊を希望していることを話した。メアリーはもちろん反対した。ロバートまで失うことに耐えられなかったのだ。リンカーンも同じ気持ちだった。

映画『リンカーン』のあらすじ【転】

1865年1月20日、アメリカ合衆国陸・軍総司令部・グラント中将からリンカーン宛に電報が届いた。そこには、南軍が平和と統一を望んでいること、リンカーン大統領が南軍の使節団と謁見する必要があることが書かれていた。リンカーンは終戦よりも先に修正案を可決させるため、使節団到着を遅らせることにした。

1月27日下院議会。修正案についての討論で、スティーブンスは修正案の目的が「人種の平等」ではなく「法の前での平等」だと述べた。スティーブンスは長年人種の平等を謳ってきた。議会で発言した内容は、スティーブンスの意見を変える行為であった。スティーブンスは奴隷制が無条件で禁止されるように、信条を曲げてでも修正案を通すことにしたのだ。

リンカーンは病院を訪れ、入院している兵士に声を掛けた。外で待っていたロバートは、目の前を通り過ぎていく荷台が気になった。その荷台は布がかけられており、血が落ちて地面が赤く染まっていた。ロバートが荷台について行くと、穴の前で布が取られた。そこにあったのは、バラバラになった人の手足だった。ロバートは衝撃的な光景に涙し、軍に入隊することを強く決意した。自分だけ過酷な場所から逃げたくなかったのだ。リンカーンは思わず頬を殴って怒るが、ロバートの決意は変わらなかった。リンカーンがロバートを守るためにできることは、できるだけ安全な場所に配属させることだけだった。メアリーはロバートを引き止められなかった夫を強く非難した。

映画『リンカーン』の結末・ラスト(ネタバレ)

1865年1月31日採決の朝、多くの黒人が傍聴席に座った。奴隷制強硬賛成派の議員は、南軍が内戦の即時停止に向けた提案書を持って使節団を派遣して来ていることを暴露した。議員達が動揺する中、可決のために和平提案が隠蔽されたのなら採決を延期するべきだという意見が挙がった。リンカーンはそれに対し、「私の知る限り使節団は街におらず、可能性もない」と書いた文章を議会に届けさせた。結局使節団が来ているのかいないのか分からないまま、採決が行われることになった。その結果、欠席または棄権が8票、反対56票、賛成119票により修正案が可決されることになった。

スティーブンスは修正案の原本を借りると、自宅に帰った。それを、黒人の家政婦であるリディアに渡した。実は周囲には内緒にしていたが、リディアはスティーブンスの妻だった。スティーブンスはリディアに修正案を読ませ、それを微笑みながら聞いていた。

リンカーンは南軍の使節団と対話した。使節団の一員で南軍連合の副大統領は、修正案が可決されたことを知り降伏することを嫌がった。奴隷制が消滅されれば、南部は大打撃を受けるのだ。だが、リンカーンは副大統領の意見を一蹴し、降伏することを求めた。彼にとってこれ以上戦争で血が流れるのは、耐えられないことだった。

リンカーンはメアリーと馬車に乗って出かけ、劇を見に行った。リンカーンの息子のタッドは、両親とは違う場所で劇を見ていた。そんな時、父が撃たれたという知らせが入る。タッドは泣き叫んで悲しんだ。仲間や家族達が見守る中、リンカーンは息を引き取った。

みんなの感想・レビュー

  1. トウシュ より:

    スティーブン・スピルバーグ監督のらしさがよく出た作品で歴史的な世界感のリアリティが素晴らしい。名前と事績は知っていても、人となりなどにはまるで馴染みのないリンカーンのドラマも新鮮味があり全体的に満足感が高かった。映画の価値に登場人物の立派さはあまり含めて考えないが、それでも奴隷解放の立役者である彼の行動は胸に来るものがある。実際には奴隷解放以後も長い差別の歴史があることも併せて考えさせられる。ダニエル・デイ=ルイスの演技だけでも映画の元は取れる。