この記事では、映画『マン・ダウン 戦士の約束』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『マン・ダウン 戦士の約束』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『マン・ダウン 戦士の約束』の作品情報

上映時間:91分
ジャンル:ヒューマンドラマ、戦争
監督:ディート・モンティエル
キャスト:シャイア・ラブーフ、ゲイリー・オールドマン、ケイト・マーラ、クリフトン・コリンズ・Jr etc
映画『マン・ダウン 戦士の約束』の登場人物(キャスト)
- ガブリエル・ドラマー(シャイア・ラブーフ)
- アフガニスタンの戦場から帰還した兵士。過酷な戦争から無事帰還したが、戦場で悲惨な現場を多く経験したことが彼の人生を大きく変えることとなる。
- ナタリー・ドラマー(ケイト・マーラ)
- ガブリエルの妻。戦場に行く夫と離れ離れになることに不安と寂しさが入り混じる。
- ジョナサン・ドラマー(チャーリー・ショットウェル)
- ガブリエルの息子。学校では虐めに遭っている。
- デビン(ジェイ・コートニー)
- ガブリエルの親友で同じくアフガニスタンへ赴任する。
映画『マン・ダウン 戦士の約束』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『マン・ダウン 戦士の約束』のあらすじ【起】
アフガニスタンから帰還したアメリカ兵士のガブリエル。彼の隣には長年に渡り親交を深めていった親友のデビンもいた。デビンもまた彼と同じく、アメリカ兵としてアフガニスタンに派遣されていたのであった。
戦場から帰還したガブリエルは、軍の面談を行った後、真っ先に自分の故郷に戻るのであった。
故郷へ帰還するとそこは人気のいなくガブリエルの家族もいなかった。ガブリエルはデビンと協力し周囲の散策にあたる。そこで一人の見知らぬ男が生存していた。彼に事情を聞くも何も答えてくれなかったため、ガブリエルは一旦彼を連れて荒廃した故郷を周ることにする。
時は遡り、ガブリエルが故郷に帰る前に帰還兵との面談を担当するペイトン大尉と行った面談の話に戻る。
戦争から疲弊した彼は、ペイトン大尉に戦争のことを話そうとしなかった。だが、規定時間は面談をする必要があるとの話を受けたガブリエルは、アフガニスタンの戦場に行く前の過程や戦場で起きたこと、自身の身に起き体験したことを話し始めるのであった。

映画『マン・ダウン 戦士の約束』のあらすじ【承】
アフガニスタンへの赴任前、ガブリエルは自分の息子ジョナサンを学校に送り届けようとしていた。妻のナタリーからジョナサンが学校でいじめを受けていることを聞いていたガブリエル。
学校へ送る車の中でジョナサンにいじめの経緯を聞く。いじめの発端は、ナタリーが周囲の子供や保護者の前でジョナサンに「愛している」と言ったことがきっかけであった。ガブリエルは、今後は直接的な言葉ではなく代わりの言葉を代用しようと提案する。その言葉とは「マンダウン」というアメリカ軍が戦場で仲間に危険を知らせるために使用する言葉であった。ジョナサンもこの言葉を使用することを了承し、2人だけの約束の言葉となる。
その後、アフガニスタンへの赴任が正式に決まる。ナタリーは夫と離れ離れになることに不安と寂しさを感じていた。だが、ガブリエルは必ず戻ると約束する。
相棒のデビンは負傷していたため、後から戦場に行くこととなった。妻や子供をデビンに頼み、ガブリエルは戦場へ向かうのであった。
映画『マン・ダウン 戦士の約束』のあらすじ【転】
アフガニスタンでの戦場は悲惨なものであった。敵兵士を殺害し、仲間は殺される惨劇を繰り返すことで彼の精神は次第にすり減っていく。
彼の心の支えである妻ナタリーに電話をするもナタリーは電話に出なかった。そこでデビンに伝言を頼み、戦場に行く生活を繰り返していた。
その後、デビンも戦場に復帰し任務をこなす。敵地を制圧するため居住地に侵入するガブリエル。だが、そこでデビンは何者かに撃たれて死んでしまう。銃声が聞こえたほうにすぐさま発砲するガブリエル。発砲したのは民間人であった。だが、彼はそれに気が付かず殺害してしまうのであった。
デビンの遺品を整理すると、妻ナタリーとデビンが不倫関係であったことを匂わせるチャットのメッセージを見てしまう。その後ガブリエルは、デビンのアカウント経由でナタリーに連絡する。事実を知ってしまったガブリエルへの罪悪感からナタリーはかける言葉を見つけられずにいた。ガブリエルも無言のままチャットを終わらせてしまう。
映画『マン・ダウン 戦士の約束』の結末・ラスト(ネタバレ)
ここまでの経緯をペイトン大尉に話したガブリエル。面談の終了時刻となり、彼は故郷へ戻るのであった。
自宅の前に着いたガブリエル。家に入るのを躊躇しデビンと話し始める。そこへナタリーが玄関の扉を開き、ガブリエルを見つける。だが、彼女はガブリエルの姿に驚愕する。彼は独り言をずっと言っていたからであった。ガブリエルは、アフガニスタンでの経験や妻の不倫などがきっかけでPTSDに陥っていた。それによりデブリの幻覚を幻覚と認識していなかった。それ以外にも彼は現実と幻の区別ができなくなっており、異常な行動を繰り返していた。故郷が荒廃し、街から人の気配がしなく家族も消えていたのは、全てガブリエルが見ていた幻であった。
その後、ガブリエルの行動はエスカレートし、ついには夜中寝ているジョナサンを連れ去ってしまう。すぐにナタリーは警察を呼び、ガブリエルは追い込まれる。そんな状況下でも戦場と勘違いし必死にガブリエルは息子を守るべく行動する。
立て籠もったガブリエルのもとへナタリーも駆けつける。そして悲しむ2人の姿を見てようやく幻であったことに気が付く。すぐさま2人に謝罪しようとしたところガブリエルは警察に撃たれてしまう。撃たれたあとガブリエルは「マンダウン」と書かれた紙をジョナサンに渡す。手紙を見たジョナサンは瀕死の父のもとに駆け寄り、「愛している」と伝えるのであった。
映画『マン・ダウン 戦士の約束』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
戦場から帰還した兵士のその後を描いた本作。イーストウッドが監督した『アメリカン・スナイパー』とテーマは類似している。
戦争を経験した兵士がPTSDに陥ってしまう過程を最初は伏線として散らばせ、最後の数分で一気に回収するという少しサスペンスチックな作風。物語の大半をガブリエルの経験談に割いているので途中話が長く感じるが、それがあるからこそ最後数分、ガブリエルのシーンに重みが増し鑑賞者の心を締め付けるクライマックスとなっている。
戦争から帰還した兵士がどれだけ心を痛めているか。ある人は病気となり、ある人はホームレスとなり、そしてある人は命を絶ってしまう。そんな現実がアメリカ社会では起きている。兵士と言えど人間であることに変わりはない。その事実を一人でも多くの人が考えるきっかけとくれる貴重な作品だと思うので多くの人に鑑賞していただきたい。(MIHOシネマ編集部)
戦場の恐怖と心の崩壊を描く本作は、ラストのどんでん返しで全てが一変する。序盤は息子への手紙を通して父親の強さが描かれるが、実際には息子も妻もすでに亡くなっていたという真実が突きつけられた瞬間、胸が締めつけられた。 PTSDという見えない戦争の爪痕を、リアルに、そして痛烈に描いた作品。シャイア・ラブーフの演技は圧巻で、悲しみと狂気の境界を見事に表現している。(20代 男性)
戦争映画というより「心の再生の物語」として観た。主人公が荒廃した街をさまよう映像は、彼の心の中の荒野そのもの。途中で「これは現実ではない」と気づいてから、全てのシーンの意味が変わる。戦争が終わっても、兵士の中では戦争が続いているというメッセージが深く突き刺さった。重いテーマだが見応えあり。(30代 女性)
息子を失い、妻を失い、自分も壊れてしまった男の幻想の旅だった。終盤での真実が分かったとき、最初の手紙の言葉がまったく違う意味に変わる構成が見事。戦争そのものの残酷さよりも、「戦争が奪うものの広さ」に焦点を当てているのが印象的だった。静かな余韻が残る映画。(40代 男性)
観終わった後、しばらく何も話せなかった。主人公の精神世界が崩壊していく様子が痛々しく、特に息子を抱きしめる幻想のシーンでは涙が止まらなかった。戦争の現実よりも、帰還後の孤独と喪失感がリアルに描かれている。映像も幻想的で、終始胸が締めつけられるような作品。(20代 女性)
この映画を「鬱映画」と言う人もいるが、私は「人間の尊厳を問う映画」だと思った。戦争によって壊れた心をどう癒せるのか、誰が癒せるのか――その答えは描かれないが、観客に強く問いかける。演技、構成、音楽、すべてが静かに重く心に残る。観るには勇気がいるが、観てよかったと思える一本。(50代 男性)
全体的に暗くて重いが、テーマが明確でブレていない。特にカウンセラーとの面談シーンが印象的で、会話が進むごとに現実と幻想の境界が曖昧になる演出が巧い。後半の展開で初めて「この世界は彼の心の中だった」と気づいた瞬間、涙腺が崩壊。精神の闇をここまでリアルに表現できるのはすごい。(30代 男性)
映画のテンポは静かで淡々としているが、その中に痛みと愛が詰まっている。主人公が戦争から戻っても「息子を守る」ことだけを目的に生きている姿が切ない。真実が明かされてからのシーンがあまりにも悲しく、余韻が長く残った。戦争映画というより「父親の愛の形」を描いたヒューマンドラマ。(40代 女性)
正直、最初は難解だった。なぜ世界が荒廃しているのか、誰と戦っているのか分からないまま進むが、終盤の真実で全てがつながる。彼の見ていた世界は心の中だったのだと理解した時、冒頭からの映像の意味が変わった。何度も観返したくなる映画。静かな衝撃を与えるラストが印象的。(20代 男性)
戦争から帰還した兵士の心の傷というテーマは珍しくないが、この映画は幻想と現実を巧みに交錯させ、観る者にも混乱と悲しみを体感させる。シャイア・ラブーフの演技が本当にすごい。彼の涙や震える手に、演技を超えたリアリティを感じた。決して明るい映画ではないが、深い余韻が残る。(30代 女性)
映画『マン・ダウン 戦士の約束』を見た人におすすめの映画5選
アメリカン・スナイパー(American Sniper)
この映画を一言で表すと?
戦場と家庭の間で揺れる“英雄”の孤独を描いた衝撃の実話。
どんな話?
アメリカ海軍シールズの狙撃手クリス・カイルは、仲間を救うため幾度も戦場に戻り続ける。しかし帰還後も心の中では戦争が終わらず、家族との関係が崩れていく。戦場のリアリティと帰還兵の心の葛藤を克明に描いた、実話を基にしたヒューマンドラマ。
ここがおすすめ!
『マン・ダウン』と同様に、PTSDに苦しむ帰還兵の姿を真正面から描いている。ブラッドリー・クーパーの繊細で力強い演技が圧巻。戦場の臨場感と家庭の静けさ、その対比が痛いほど美しい。戦争の“後”を描いた映画として必見。
ザ・メッセンジャー(The Messenger)
この映画を一言で表すと?
“戦場のあと”に続く、心の戦いを静かに描く傑作。
どんな話?
アメリカ陸軍の帰還兵ウィルは、戦死者遺族に訃報を届ける任務を命じられる。彼はその仕事を通して、自身の心の傷と向き合いながら再生の道を探る。戦場の暴力ではなく、戦争がもたらす精神的荒廃を描いた人間ドラマ。
ここがおすすめ!
ドン・チードルやウディ・ハレルソンの演技が光る。『マン・ダウン』と同じく、戦争が終わっても癒えない心の痛みをリアルに表現している。静かなトーンながら深い余韻を残す作品で、戦争映画の枠を超えた感動を味わえる。
ジャー・ヘッド(Jarhead)
この映画を一言で表すと?
「撃たない戦争」の虚無と狂気を描くリアルな兵士ドラマ。
どんな話?
湾岸戦争に従軍した若い海兵隊員スウォフォードは、過酷な訓練と終わりのない待機の中で次第に心を蝕まれていく。戦うことなく戦争を終えた兵士たちの虚しさと、戦場が生む孤独を独自のスタイルで描く。
ここがおすすめ!
ジェイク・ギレンホールの繊細な演技が印象的。『マン・ダウン』の主人公が抱える内面の崩壊と通じるテーマがあり、戦場そのものより「戦争にいる人間の心」に焦点を当てた哲学的な作品。美しい映像と音楽も必見。
イン・ザ・バレー・オブ・エラ(In the Valley of Elah)
この映画を一言で表すと?
“帰還した兵士”の姿から、戦争の真の代償を問う社会派サスペンス。
どんな話?
退役軍人ハンクは、帰還直後に失踪した息子の行方を追う。だが捜索の過程で、戦場での息子の変貌と軍の隠蔽体質を知ることになる。真実を追う父の目を通して、戦争が若者たちの心をどのように壊していくのかを描く。
ここがおすすめ!
トミー・リー・ジョーンズの渋い演技と抑えた演出が心に響く。『マン・ダウン』のように、戦争が残す“見えない傷”を社会の視点で描いた作品。ミステリーとしても完成度が高く、重厚なテーマが観る者に深い思考を促す。
ザ・ラスト・フル・メジャー(The Last Full Measure)
この映画を一言で表すと?
50年越しの名誉回復に込められた、仲間への誇りと贖罪の物語。
どんな話?
ベトナム戦争で命を懸けて仲間を救った空軍兵士ピッツェンバーガー。彼の英雄的行為は長年正当に評価されず、数十年後、若い政府職員がその名誉回復に挑む。生存者たちの証言を通して、戦争と記憶の意味を浮かび上がらせる。
ここがおすすめ!
実話に基づく感動作で、戦場に残された“約束”を描く点で『マン・ダウン』と共鳴する。エド・ハリスやサミュエル・L・ジャクソンら名優陣の重厚な演技が胸を打つ。戦友の絆、名誉、喪失という普遍的テーマが静かに心に響く。






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