映画『マリリン 7日間の恋』の概要:ミシェル・ウィリアムズ主演でマリリン・モンローの知られざる撮影秘話を描く人間ドラマ。共演はケネス・ブラナー、エディ・レッドメイン、エマ・ワトソン。サイモン・カーティス監督の2011年英国・米国映画。
映画『マリリン 7日間の恋』 作品情報
- 製作年:2011年
- 上映時間:100分
- ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ
- 監督:サイモン・カーティス、ミシェル・ウィリアムズ
- キャスト:ミシェル・ウィリアムズ、ケネス・ブラナー、エディ・レッドメイン、ドミニク・クーパー etc
映画『マリリン 7日間の恋』 評価
- 点数:70点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★★
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★☆☆
[miho21]
映画『マリリン 7日間の恋』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『マリリン 7日間の恋』のあらすじを紹介します。
1956年、ロンドン。貴族出身で映画青年のコリン・クラーク(エディ・レッドメイン)は、オリビエ・プロに通ううち、念願の第3助監督の仕事を得ます。助監督といえど、雑用係なのですが撮影現場に携わるとあってコリンはわくわくしていた。
この物語は、そんなコリンの回想録を基に、女優マリリン・モンローとの淡い恋や撮影秘話を描いたものです。
ローレン・オリビエ(ケネス・ブラナー)が出演し、監督も務めた映画「王子と踊り子」のヒロイン役にマリリンが決まり、彼女は夫同伴でロンドンへ。当時、新婚だったマリリン・モンロー(ミシェル・ウィリアムズ)は空港や町中で歓迎されます。
ローレンス・オリビエも妻ヴィヴィアン・リー(ジュリア・オーモンド)を伴って、インタビューに応じますが、ヴィヴィアン・リーは夫の心がマリリンに向くのではないかと心配します。
マリリンは、撮影が始まると本読みの段階から、演技プランが噛み合わず、演出をするラリーから怒られてばかり。その度に、自分に自信のないマリリンはラリーの態度に委縮して撮影が進まないのでした。
演技コーチのポーラは、そんな彼女をなだめつつ付き添っていた。映画には、女王を演じる、ベテラン女優シビル・ソーンダイク(ジュディ・デンチ)が温かく見守りつつも、存在感を魅せつけていた。
また、コリンは衣装係のルーシー(エマ・ワトソン)と親しくなってゆくが、その一方で繊細なマリリンに心惹かれてゆくのだった。ある日、マリリンの様子を見に行ったコリンは、泣いているマリリンの姿を目撃します。
夫とのいさかいを聞いてしまう。その後、夫はマリリンの世話に疲れたと言って、アメリカに帰ってしまう。昼頃、マリリンのもとを訪れたコリンは、マリリンに”あなたは誰の味方?”と聞かれ、”あなたです!”と答えます。
マリリンは30才、コリンは24才。打ち解けた2人は仲良く、庭を散歩するのでした。
映画『マリリン 7日間の恋』 結末・ラスト(ネタバレ)
オリビエは、マリリンの度重なる遅刻やNG連発に毎日、不機嫌だった。しかし、試写を観ながらコリンに胸の内をこぼす。”私は彼女との共演で生き返るつもりだったが、私の瞳は死んでいるようだ”と。
そしてマリリンにもう近づかないほうがいいと言うが、コリンの想いは止められない。2人は度々、デートに出かけた。城を見学したり、コリンの母校イートン校にも足を伸ばした。
イートン校でも、大勢の男子学生に囲まれた。その後、2人は川で泳ぐ。冷たさを感じながらもはしゃぐ。このように撮影現場でも、それ以外の場所でも2人で過ごすことが多くなった。
ところが、ある晩、マリリンの執事に呼ばれたコリン。大量の睡眠薬を服用したらしい。窓から彼女の部屋に入り、無事を確かめるとマリリンを優しく抱きしめた。そんな夜が幾晩か続いた後、マリリンの妊娠が分かった。
”私達の事は忘れて”と告げるマリリン。妊娠を知った夫も駆けつけ、2人の淡い恋は終わった。それから、順調に撮影は進み、映画「王子と踊り子」は完成した。
オリビエは言う、”映画監督はこの世に与えられた最高の職業だ”と。そして、コリンはその後、ドキュメンタリー映像作家になった。
映画『マリリン 7日間の恋』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『マリリン 7日間の恋』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
マリリン・モンローの内面に迫る!演技と恋の狭間で
マリリン・モンローといえば、「7年目の浮気」という映画で、地下鉄の通気口からスカートが巻き上げられたシーンがあまりにも有名です。彼女は、金髪であまり頭の良くない女性といった印象が強い。この映画では、セクシーな魅力ではなく、マリリン・モンローの壊れやすい内面性や演技の勉強をしていた努力家の一面を知ることができます。
マリリンを演じるのは、「ブロークバック・マウンテン」で注目されたミシェル・ウィリアムズ。外見はマリリンにあまり似ていないけれど、繊細な演技でマリリンの葛藤や自信のなさを表現するのに成功しています。
ただマリリンってもっと舌たらずで・・とかマイナスな面ばかり想像しちゃう。ミシェル・ウィリアムズが演じるとスマートすぎて、かわいいけれど面白くない。
マリリン・モンローが主役だと思われるが、本当の主人公はエディ・レッドメイン演じる、第3助監督のコリン・クラークだと思う。うぶで優しい青年。マリリンへの同情から、瞬く間に恋に落ちてしまう。
マリリンとコリンがささやかなデートをするシーンがいい。冷たい川に全裸で飛び込み、泳ぐ。自然体でちょっとドキッとする瞬間。だが、2人の歩く道には”枯葉”のメロディが流れています。
2人の別れを予感させるデートが切ない。このようにマリリン目当てに観ても、エディ・レッドメインをはじめとする俳優たちがしっかり演じてくれているおかげで、とても説得力のある作品に仕上がっています。
演技対決?ケネス・ブラナーVSローレンス・オリビエ
ローレンス・オリビエは、シェイクスピア劇で名声を得た名優です。映画にも数多く出演し、「ハムレット」(47)や「ロミオとジュリエット」(68)、「ドラキュラ」(79)等で活躍。
演劇を愛する人なら、尊敬と称賛のまなざしで彼を見つめるでしょう。この映画では、シェイクスピア劇での演出経験も豊富なケネス・ブラナーが、まさに適役!といった堂々たる風格で演じています。
ケネス・ブラナー演じる、ローレンス・オリビエ役へのプレッシャーがひしひし伝わってくるのが、試写を観ながら演技について語るシーンです。”私は彼女との共演で生き返るつもりだったが、私の瞳は死んでいるようだ”と語り、マリリンへのライバル心をむきだしにするのです!
マリリンの演技は下手なのに、なぜか心を捉えて離さない魅力があるのです!ローレンス・オリビエでさえ、そう思うのですから、映像として表現された時の印象が強烈なのでしょう。
私は、ローレンス・オリビエ役を真摯に演じた彼に拍手を送りたい。最高の舞台人として活躍したローレンス・オリビエを演じる難しさは相当なものだったと思われるから。
この映画は、マリリンが素晴らしいのもあるが、ケネス・ブラナーやエディ・レッドメイン、ジュディ・デンチら英国俳優の類まれな演技力に支えられていると感じました。
まるで、シェイクスピア劇を観るように楽しめます。と同時に演技の奥深さを知る人間ドラマとして語り続けられるに違いない。
映画『マリリン 7日間の恋』 まとめ
外見と内面との印象の違いに悩む人は多い。この映画は、セックス・シンボルとして人気だったマリリン・モンローの素顔が見られる貴重な作品です。自信がなくて、オリビエに怒られて落ち込むマリリンはかわいいと思う。
ただ男にべったり甘えてしまうところはやはり好きになれない。コリンとの淡い恋も、きまぐれな風のように思えてしまう。きっと精神的な自立が彼女には足りなかったのだ。
ミシェル・ウィリアムズの内面的な演技は良かったが、マリリン・モンローの外見があまり似ていなくて物足りない。ただそれ以上で演技を補ってくれる、コリン役のエディ・レッドメインやオーレンス・オリビエ役のケネス・ブラナーの演技が素晴らしかった!
また、大女優の貫禄を魅せつけたジュディ・デンチ。キュートな魅力を持つ、ルーシー役のエマ・ワトソンなどの演技が、この映画の見どころだと思う。マリリン・モンローよりもずっと観ていたい。
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