映画『ママレード・ボーイ(2018)』の概要:両親同士がパートナーチェンジしたことにより、2組の家族が同じ家に暮らすことになった。同い年の息子と共に暮らし始めたヒロインは、次第に彼へと惹かれるように。だが、彼はある日突然、態度を一変させ家から出て行ってしまう。一途な恋を描いた青春映画。
映画『ママレード・ボーイ』の作品情報
上映時間:127分
ジャンル:ラブストーリー、青春
監督:廣木隆一
キャスト:桜井日奈子、吉沢亮、佐藤大樹、優希美青 etc
映画『ママレード・ボーイ』の登場人物(キャスト)
- 小石川光希(桜井日菜子)
- 小石川家長女。頭が固く精神的に若干、幼い面がある。両親の複雑な関係を受け入れることができず、反発してばかりいた。幼馴染の銀太に恋をしていたが、告白を断られたことがある。遊に恋をして一途に思い続ける。
- 松浦遊(吉沢亮)
- 松浦家長男。柔軟な考えを持ち、いつも余裕な態度で光希を翻弄する。優しく穏やかながら時々、相手をからかうなどママレードのような少年。唯一の相手を探し続け、光希に出会い恋をする。実はとても男らしく一途。
- 須王銀太(佐藤大樹)
- 光希の幼馴染。光希の告白を断ったことがある。明るくスポーツ万能でテニス部所属。実は光希のことが好き。
- 小石川仁(筒井道隆)
- 光希の父。少々古風だが、優しい父親。かつて大学時代、千弥子と付き合っていたことがあるが、留美と結婚する。
- 松浦要士(谷原章介)
- 遊の父。優しく穏やかで心の広い人物。息子の遊をとても愛している。かつて留美と交際していたが、千弥子の相談を聞いているうちにほだされて結婚。
- 小石川留美(檀れい)
- 光希の母。明るくしっかり者。かつて要士と交際していたが、仁との間に絆が芽生え結婚。後に親友同士のような気軽な間柄になる。
- 松浦千弥子(中山美穂)
- 遊の母。優しく控え目な女性。仁と交際し子供を妊娠するが、有名建築家の助手として忙しく働き、仁ともうまくいかなくなり流産してしまう。要士の覚悟を受け入れ結婚する。
映画『ママレード・ボーイ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ママレード・ボーイ』のあらすじ【起】
小早川光希は高校生。この度、父の仁と母の留美が離婚し、別々の相手と再婚することになった。彼女の両親は元々、親友同士のような関係でいがみ合って別れるわけではない。だが、そのことが娘の光希には容易に受け入れられず、いい歳をした大人がみっともないと憚ることなく口にしているのだった。
その日の夜、両親の相手との食事会へ。両親の相手は松浦夫婦だ。旅行先のハワイで出会い、意気投合した後、それぞれの相手に恋をしたと言う。そして、松浦家には光希と同じ年の息子、遊がいるらしい。遅れてやって来た彼は茶髪のイケメンで両親の意向には賛成している様子。だが、光希は納得できずに1人だけ反対する。ところが、松浦夫婦は突然、驚くべきことを言い出す。小石川家と松浦家とで同じ家に引っ越すと言うのだ。しかも、光希と遊は戸籍上、それぞれの父親に引き取られることになるので、同じ家に住むものの苗字は変わらないらしい。
そうして、総勢6人ともなる大家族として、2組の一家は同じ家へ引っ越し。光希と遊の部屋は隣同士になるが、そのことに意を唱えた光希は、留美から彼を好きになってはいけないと忠告されるのだった。
月曜日、遊が光希の学校へ転校して来る。その日の夕食時、苛立ちを募らせた光希は遊の無神経な言動で怒りを爆発させ、これからは夕食を1人で摂ると宣言するのであった。
その後、なぜか窓から遊がやって来て、光希に謝罪。彼は父、要士の実子ではないことを明かし、光希の怒りを宥めるのであった。
そんなある日、遊の元彼女に敵愾心を剥き出しにされたりする光希であったが、家庭は思いの外、上手くいっていると幼馴染の須王銀太に報告した。そうして、光希の態度が軟化する頃、遊と2人だけの朝食を摂ることに。その際、彼女は遊のことをママレードのようだと例えるのだった。
映画『ママレード・ボーイ』のあらすじ【承】
テニス部のエースが怪我をしたことで、遊を試合のピンチヒッターとして引っ張って来た光希。ダブルスの相棒は銀太であったが、彼は光希へ試合に勝ったら付き合って欲しいと告白。以前、光希からの告白を断った銀太だったが、実は彼も幼馴染へと恋心を抱いていた様子。当時、男子同士で牽制し合っていたらしく、光希の告白を断るしか選択肢がなかったらしい。その様子を目にした遊もまた、試合に勝つべく奮闘。そうして、2人は勝利を手にするのだった。
試合終了後、遊は銀太と光希の様子を横目にコートを出ようとする。だがその時、光希に向けて誰かがラケットを投げつけ、銀太によって救われるも意識を失ってしまう。彼女は保健室へ運ばれたが、誰もいない室内へ遊がやって来て、眠る光希へと口づけをして去った。彼の行動に疑問を抱く光希。その夜、自宅へ銀太が訪れる。会わないつもりだった光希だったが、遊から告白の答えを告げるべきだとアドバイスされ、銀太には付き合えないと返事をした。
それ以降、遊のことが気になって仕方ない光希。2組の家族が共に暮らして数か月後、両親が晴れて再婚。4人は婚姻届けを出した後、新婚旅行へ向かった。光希と遊は留守番をすることになり、しばらくは2人暮らし。以前、要士の実子ではないと言っていた遊。彼は密かに実の父親を探しており、可能性の高い有名建築家の元に事実確認へ向かうことになった。だが、建築家は父親ではないと言う。図らずもその答えを一緒に聞くことになった光希は、彼の不安を受け止め優しく抱き締めるのだった。
互いに励まし合い共に暮らすことにより、距離を縮め意識するようになった遊と光希。彼は初対面の時から光希に好意を抱いていたと言い、光希もまた折に触れて彼の優しさに触れ、いつの間にか恋をしていた。2人は互いに気持ちを確かめ合い、真剣に付き合うことに。そうして、両親に隠れて甘い逢瀬を続けた。
映画『ママレード・ボーイ』のあらすじ【転】
そんなある夜、部屋の外灯が切れそうになっているのを発見した遊は、物置にて換えの蛍光灯を探しアルバムを発見。懐かしい思いでアルバムを開いた彼は、そこに挟まっている古い写真を見つけてしまう。それは、両親が大学生時代のものであったが、仁の隣には千弥子が並び、要士の隣には留美が並んでいた。それは暗に彼の実の父親が仁なのではと思わせ、同時に光希とは異母兄妹である疑念を抱かせた。
以来、遊の態度が一変。彼は進学する大学を京都に変更し、家を出て行こうとする。更に光希とも距離を置き、別れを告げた。突然のことでショックを受けた光希は別れたくないと追い縋ったが、彼が頑なな態度を崩すことはなかった。
そうして、2人は別れ季節が巡る。無事に高校を卒業し大学へ進学した光希。彼女は未だに遊への未練を断ち切れずにいる。別れる理由をはっきり口にしなかった彼に理由を聞いても良いのではないか。親友にアドバイスされた光希は、思い切って京都へ向かうことにした。
遊が通う大学で待ち伏せをして、彼と久しぶりに再会した光希。ひとまずは元気そうな様子に一安心。2人は互いに手探りで会話をしたが結局、恋心を隠すことはできず。離れても尚、互いに思い合っていたことを正直に告白。そして、遊が別れを決意した理由を聞かせてもらうことに。
彼が住む部屋へやって来た光希は、両親が映っている古い写真を見せられる。あの、大学時代の写真だった。そこで、遊は疑念を明かし、光希とは異母兄妹かもしれないと告げる。すると、一頻り涙を流した光希が突然、旅行へ行こうと言い出す。兄妹であることは忘れ、ただの恋人同士に戻って思い切り旅行を楽しもうと。そして、旅行を終えたら互いに恋心を封印しようと話し合い、旅へ出るのであった。
映画『ママレード・ボーイ』の結末・ラスト(ネタバレ)
様々な場所を巡り、沢山の思い出作りをした2人。その日の夜はホテルに宿泊。別々の部屋を取っていたが、光希は自らの貞操を彼に捧げようとする。だが、遊は彼女のことを思い、それを優しく拒絶。2人はただ抱き締め合ったまま、夜を明かした。
早朝、遊が泣きながら覚悟を決めたと光希に告げる。心から惹かれる相手を求め続けていた遊。それが、光希であった。唯一の相手を簡単に諦めることなどできない。強い心に賛同する光希。
2人は手を固く手を繋ぎ、すぐさま実家へ。両親に2人の関係を明かし許してもらう。許されなかったら、駆け落ちするつもりだった。そして、両親と対峙し結婚したいと宣言。更に異母兄妹で、仁が遊の父親ではないかと疑念を明らかにした。すると、両親は息子と娘に誤解していると真実を明かしてくれる。
大学時代、彼らは確かに現在のパートナー同士で交際をしていた。そして、千弥子は仁の子を密かに妊娠していたと言う。だが、彼らはまだ若く社会の荒波を知らなかった。社会へ出た恋人同士は関係がうまくいかなくなり、留美は仁へ恋愛相談をし、千弥子は要士へ恋愛相談。そうしているうちに、互いに恋心を抱くようになる。そして、仁と留美が結婚。だが、千弥子は仕事と精神的に追い詰められたことで、流産してしまう。それでも要士が結婚しようと覚悟を決めてくれたため、彼と結婚することにした。そうして、それぞれの間に子供が誕生する。それが、遊と光希である。しばらく後、ハワイで偶然、再会した4人はやけぼっくいに火が点いて、元鞘に戻ったのだった。
正真正銘、要士の子であることを告げられた遊は、不安から解消され涙をこぼした。要士は密かに思い悩んでいた息子に謝罪し、抱き締めるのである。そして、両親たちは娘と息子の関係を容認。晴れて2人の関係は認められ、家族は全員で笑い合いながら食卓を囲むのであった。
映画『ママレード・ボーイ』の感想・評価・レビュー
原作は同タイトルの少女漫画で、連載当時はかなりの人気を博していた。ヒロインの恋人となる遊役に吉沢亮が演じているが、原作通りの雰囲気に感服。ヒロイン役を桜井日菜子が演じ、可愛らしくも現代っ子風に新たなヒロイン像を確立している。
連載当時は、複雑な家庭環境に何の違和感も覚えなかったが、今思うとかなり型破りな設定だと思われる。更にその中で息子と娘が恋愛に陥るなど、混乱の極みである。現実的に考えてもあり得ない設定ではあるものの、物語の本質は一途な恋心だ。血の絆をも凌駕する強い愛を描いた青春映画に仕上がっている。(MIHOシネマ編集部)
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