19世紀・イギリス。メアリーは小説家を夢見ていたが、周囲の理解をなかなか得られずにいた。そんな時、天才詩人として有名なパーシー・シェリーに出会う。パーシーには妻子がいたが、メアリーは恋に落ちてしまう。
映画『メアリーの総て』の作品情報
- タイトル
- メアリーの総て
- 原題
- Mary Shelley
- 製作年
- 2017年
- 日本公開日
- 2018年12月15日(土)
- 上映時間
- 121分
- ジャンル
- ラブストーリー
ヒューマンドラマ - 監督
- ハイファ・アル=マンスール
- 脚本
- エマ・ジェンセン
ハイファ・アル=マンスール - 製作
- エイミー・ベアー
アラン・モロニー
ルース・コーディ - 製作総指揮
- ジョハンナ・ホーガン
ピーター・ワトソン
マシュー・ベイカー
イザベル・デイビス
チャールズ・オーティ
フィル・ハント
コンプトン・ロス
エマ・ジェンセン
ジョアニー・バースタイン
レベッカ・ミラー
マーク・アミン - キャスト
- エル・ファニング
ダグラス・ブース
スティーブン・ディレイン
ジョアンヌ・フロガット
ベン・ハーディ
メイジー・ウィリアムズ
ベル・パウリー
トム・スターリッジ - 製作国
- イギリス・ルクセンブルク・アメリカ合作
- 配給
- ギャガ
映画『メアリーの総て』の作品概要
200年語り継がれ続けているゴシック小説『フランケンシュタイン』の生みの親であるメアリー・シェリーを描いた作品。18歳という若さで、メアリーはなぜ怪物が登場する『フランケンシュタイン』を書いたのか。メアリーに訪れた禁断の恋と、様々な悲劇が紐解かれていく。主人公のメアリーを演じたのは、子役から活躍し続けているエル・ファニング。映画『少女は自転車にのって』(12)でサウジアラビア初の女性監督として一躍有名になった、ハイファ・アル=マンスールが本作の監督・脚本を担当している。
映画『メアリーの総て』の予告動画
映画『メアリーの総て』の登場人物(キャスト)
- メアリー・シェリー(エル・ファニング)
- ゴシック小説『フランケンシュタイン』の生みの親。小説家を夢見ている。妻子がいるパーシーと恋に落ちてしまう。
- パーシー・シェリー(ダグラス・ブース)
- 異端の天才詩人。妻子がいながらも、メアリーと恋に落ちてしまう。しかし、前妻が忘れられずにいる。
映画『メアリーの総て』のあらすじ(ネタバレなし)
18歳のメアリー・シェリーは、200年語り継がれるゴシック小説『フランケンシュタイン』を生み出した。その小説を生み出すまでに、様々な悲劇が彼女を襲った。
19世紀・イギリス。小説家を夢見ていたメアリーだったが、周囲からは理解されなかった。そんな時、異端の天才詩人として有名なパーシー・シェリーに出会う。メアリーとパーシーは急速に惹かれ合っていったが、パーシーには妻子がいた。メアリー達は全てを捨てて駆け落ちすることを決意する。
メアリーはパーシーとの間に子供をもうけた。幸せな日々が始まり、美しい作品が生み出せるようになると信じていた。しかし、メアリーを待ち受ける現実は過酷なものだった。メアリーが深く愛していた我が子の死、破産、そしてパーシーから今でも前妻を愛していると衝撃の言葉を告げられる。
孤独になったメアリーは、我が子を生き返らせたいと思うようになる。メアリーは悲しい気持ちを、物語として書き綴った。
映画『メアリーの総て』の感想・評価
メアリー・ウルストンクラフト・ゴドウィン・シェリー
本作品の主人公であるメアリー・シェリーは実在の人物で、正式名はメアリー・ウルストンクラフト・ゴドウィン・シェリー。メアリーは映画のように妻子あるパーシーと出会い恋に落ちている。そして、娘と息子を相次いで亡くしている。
メアリーの実母はフェミニズム(女性主義)の創始者として有名である。この時代若い女性が作家を目指すことは、世間からなかなか認められることではなかった。映画の中でも、若い女性が書いた怪物作品など誰が読むのだと馬鹿にされる場面がある。それでも、メアリーは執筆することを止めなかった。その意思の強さに実母の血を感じる。だがそれだけではなく、メアリーは心の悲しみを書くことで昇華しようとしたのではないかと思う。メアリーが実在した人物だからこそ、深い悲しみが伝わってくる作品になっている。
ゴシック小説『フランケンシュタイン』
世間に発表されてから200年経った現在でも、映画化や創作作品が作られているメアリー原作の小説『フランケンシュタイン』。映画『フランケンシュタイン』(1931)のイメージが強く、怪物の名前をフランケンシュタインだと誤解している人も多い。だが、フランケンシュタインは怪物を生み出した科学者の名前である。
メアリーが執筆した小説では、北極探検隊のロバート・ウォルトンが書いた手紙の形式で物語が進んでいく。ロバートが北極海で救助した男性がヴィクター・フランケンシュタインで、ヴィクターが自身の体験をロバートに聞かせることになる。ぜひ、映画を見る前に、メアリー原作の『フランケンシュタイン』も見て欲しい。映画をより深く理解できると思う。
細部までこだわって作られた作品
メアリーが何かに追われるように『フランケンシュタイン』を書く場面は、物語の中でも重要な場面と言える。そのシーンは、メアリーを演じたエル・ファニングが実際に文字を書いている。だからこそ、鬼気迫る雰囲気がしっかり伝わってくるシーンになっている。ぜひ、注目しながら見て欲しい。
登場人物達が着ている衣装は、19世紀の時代と現代の感覚を合わせて作られている。だから古めかしい雰囲気などなく、おしゃれで素敵な物に仕上がっている。反対に、店や道路などは19世紀の時代の写真を参考にしており、当時の雰囲気がしっかり感じられるようになっている。本作品は19世紀の雰囲気と現代のおしゃれを感じられる、他にはない作品になっている。
映画『メアリーの総て』の公開前に見ておきたい映画
I am Sam アイ・アム・サム
エル・ファニングの映画初出演作品。エルの実姉であるダコタ・ファニングが演じたルーシー・ダイアモンド・ドーソンの幼い頃を演じた。ルーシーの父親で知的障害を持つ男性をショーン・ペンが演じており、「アカデミー賞・主演男優賞」にノミネートされている。実際に障害者施設を取材し、映画が作られている。
サム・ドーソンは知能障害を患っており、7歳の娘ルーシーよりも知的能力が劣っていた。だが、ルーシーはそんなことは気にならなかった。他の父親とは違い、一緒に遊んでくれる自分の父親が大好きだった。しかし、ソーシャル・ワーカーにルーシーの将来のことを心配され、親子は引き離されることになる。サムは娘を取り戻すため、法廷で争うことを決意する。
少女は自転車にのって
ハイファ・アル=マンスール監督の代表作。マンスール監督は本作の脚本も担当している。サウジアラビアの俳優を起用しており、撮影も全てサウジアラビア国内で行われた。「2012年ヴェネツィア国際映画祭・国際アートシアター連盟賞」や「ドバイ国際映画祭・最優秀作品賞」など数々の賞を受賞している。
サウジアラビアでは宗教の戒律によって、女性の行動が厳しく制限されていた。家系図には男性の名前しか載らず、好きな靴を履くこともできず、スカーフ(ヒジャブ)を外すことも禁止され、自転車に乗ることも叶わなかった。少女ワジダはそんな日々に不満を募らせていた。ワジダは自転車を手に入れるため、コーランの大会に出場して賞金を得ようと奮闘した。
詳細 少女は自転車にのって
ワン・デイ 23年のラブストーリー
ラブストーリー作品。アン・ハサウェイが主演を務め、ジム・スタージェスが演じる友人とのすれ違いの恋が描かれている。2人が歩んだ23年間の内、「7月15日」だけスポットを当てた作品。デヴィッド・ニコルズ原作の小説『ワン・デイ』を元に作られている。原作者のデヴィッドは本作品の脚本も担当した。監督を務めたのは、『17歳の肖像』(09)で「サンダンス映画祭・観客賞」を受賞したロネ・シェルフィグである。
エマとデクスターは大学の卒業式で出会った。2人は惹かれ合っていながらも、親友の関係を選んだ。会えない日も他の誰かといた日も、お互いのことを思い合っていた。しかし、デクスターは恋人との間に子供ができ、結婚することを決めてしまう。
映画『メアリーの総て』の評判・口コミ・レビュー
【メアリーの総て】
メアリー・シェリー。孤独、理不尽、絶望と闘い、愛を探した、とても強い女性。周りの人間に翻弄されてしまう人生…その中で生み出されたもの。フランケンシュタインは本当に恐ろしいだけの怪物なのか。私にはとても身近な何かじゃないのかと思えます。 pic.twitter.com/5MTdT0drCY— yoko* (@moomin_sopi) 2018年12月15日
【映画】『メアリーの総て』
愛を強く求め、愛に翻弄された少女が、女性を軽視する風潮の中、小説「フランケンシュタイン」で孤独な怪物を世に発表するまでを描く。(俗に言う”純情恋愛物”的な意味ではなく)
“純粋な愛”と、それに必然的に伴う孤独を、時に激しく時に静かに、そして残酷に描き上げる。 pic.twitter.com/RpPe6zfBZV— 狐木つくね[1Movie 1Tweet] (@tkn_kitsunegi) 2018年12月15日
ディノスシネマズ札幌にて #メアリーの総て
「フランケンシュタイン」の作家が女性であることは知っていたが、その壮絶な人生をエル・ファニングの圧倒的な演技力で描いた本作。子を失い夫に裏切られながらも自分の言葉を見つけ出し、作品を世に送り出す強い意志を持った女性に胸を打たれます pic.twitter.com/HK9XnpnNxo— アダムとハヤト (@NbfxlDSeAYEMCZX) 2018年12月16日
メアリーの総て@シネ・リーブル梅田
意識や理想は高くとも自分が選んだ人生は…。むぅ、分かりみがあって辛い💦 周囲を死や喪失が彩るM.シェリーの道程と、彼女が著した、死体を繋ぎ合わせた醜い怪物と。
雰囲気は好きだけど…色々惜しいとか思っちゃった😞 まぁ僕はエルさん観られるだけでも👌 pic.twitter.com/guAdVY9tIR— nissy (@ni_ssy) 2018年12月15日
My choice made me who I am.
I regret nothing.#メアリーの総て 、最高だった。フランケンシュタインの執筆に至るまでのプロセス。胸に熱いものが込み上げる。孤独と絶望を経て、my voiceを手に入れた女性、メアリー・シェリー。エル・ファニングのベストアクトだと思う。創作者は必見。 pic.twitter.com/GdwOVsza3H— ヴェノちこさん🦐🦀🐇 (@hogehoge_moon) 2018年12月16日
映画『メアリーの総て』のまとめ
メアリーが演じたエル・ファニングはとても美しく、物語の最初は人形のように儚い雰囲気がある。そんなメアリーが妻子ある男性に恋をし、借金に追われるようになり、我が子を失い、様々なことを経験する。すると、メアリーがただ美しいだけの女性ではなくなっていく。怒りや悲しみなど様々な表情を見せるようになり、人間らしさが感じられるようになる。そんなメアリーを、エルはしっかりと演じ切っている。物語を通してメアリーという人物がどう移り変わっていくのか、実際に見て感じて欲しい。
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