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映画『メアリーの総て』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『メアリーの総て』の概要:物書きに憧れるメアリーは、ある時、パーシーという詩人の青年に出会う。惹かれ合った二人は駆け落ちし、生活を始めるが、自由恋愛を信条とするパーシーに次第に振り回されるようになる。しかし、それはある作品を生み出すきっかけでもあった。

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映画『メアリーの総て』の作品情報

メアリーの総て

製作年:2017年
上映時間:121分
ジャンル:歴史、ラブストーリー、ヒューマンドラマ
監督:ハイファ・アル=マンスール
キャスト:エル・ファニング、ダグラス・ブース、スティーヴン・ディレイン、ジョアンヌ・フロガット etc

映画『メアリーの総て』の登場人物(キャスト)

メアリー・ゴドウィン(エル・ファニング)
父ウィリアム・ゴドウィンの営む書店で働く娘。母親は自由恋愛の第一人者として有名になったメアリー・ウルストンクラフト。作家になることを夢見ているが年齢的にも経験が未熟で人の物まねのような作品しか書けていない。パーシーと出会い一目惚れし、駆け落ちする。
パーシー・シェリー(ダグラス・ブース)
詩人の青年。スコットランドにやってきていたメアリーと出会い惹かれ合う。妻と子供がいるが、二人を捨ててメアリーと生活を始める。
クレア・クレアモント(ベル・パウリー)
メアリーの義妹。実家での生活に退屈しており、メアリーと共にパーシーの所に転がり込む。

映画『メアリーの総て』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『メアリーの総て』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『メアリーの総て』のあらすじ【起】

政治評論家で作家のウィリアム・ゴドウィンと思想家でフェミニズムの先駆者であったメアリー・ウルストンクラフトの娘メアリー・ゴドウィンは、二人の血を受け継ぐかのように物書きに憧れを持っていた。

ゴドウィン書店を営むウィリアムは再婚し、メアリーは義妹のクレアや義弟と楽しく暮らしていた。だが、継母はメアリーを毛嫌いする。考えたウィリアムはメアリーをスコットランドのバクスターの所へ行かせることにした。それは、メアリーに経験を積ませるためでもあった。彼女の書く物語は人の物まねでしかなく、ウィリアムは、孤独の中で自分を見つめろと言い、メアリーの成長を後押しした。

バクスター家に送られたメアリーは、最初こそ田舎の静かな暮らしに戸惑ったものの、すぐに慣れていった。ある晩、詩人たちが集まるパーティが開かれた際、パーシー・シェリーという詩人の青年がやってくる。メアリーは一目で彼に惹かれ、彼が紡ぎだす詩に心を奪われていった。

そんな時、クレアが病気だという知らせが届く。パーシーのそばにいたかったがクレアが心配なメアリーは実家に戻ることにした。しかし、それはクレアの芝居だった。メアリーに会いたかった彼女は一芝居うったのだ。

再び退屈な店番の毎日が始まり、パーシーに会えなくなったことを残念に思うメアリー。ところが、ある晩、ウィリアムの所にパーシーが客人としてやってきた。彼はウィリアムに生徒として師事したいという。裕福な彼は授業料を払うと言った。金銭的に余裕が無かったゴドウィン家にとって、それは大いに助かり、また、メアリーにとってもパーシーと一緒にいられる良い口実だった。

メアリーの母は自由恋愛を提唱する思想家として有名だった。彼女はメアリーを産んだ時に亡くなったが、既婚男性とその妻と三人婚をしたことで知られていた。自由恋愛を尊重するパーシーは、そのことについてどう思うかメアリーに尋ねる。メアリーは、悪いことではない、愛は自由だとパーシーに語った。

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映画『メアリーの総て』のあらすじ【承】

メアリーとパーシーは必然的に惹かれ合い、愛し合っていった。パーシーは本を出版し、それはウィリアムの書店に並んだ。メアリーは彼の愛の言葉に夢中になったが、そこへ彼の妻だというハリエットが幼い娘を連れて現れる。夫が戻らない、夫に近づかないでほしいとハリエットは言ったが、メアリーはショックを受けながらも、パーシーはただの父の生徒だと言って冷静を取り繕った。

愛する人に妻がいたことにメアリーは大きく傷ついた。そんな彼女にパーシーは、ハリエットとの間にもう愛はない、養育費を払うだけの存在だと弁解した。メアリーはスコットランドから戻ってきて以来、実家に息苦しさを感じており、パーシーにもそれが分かっていた。ここを出て僕について来てほしいという彼に言葉に突き動かされたメアリーは、パーシーと生きていくことを決める。

そのことを聞かされたウィリアムは動揺を隠せない。まるでお前の母親のようだと呟き、彼女のように苦悩することになると説得した。しかし、メアリーは母が提唱した自由恋愛を口にし、考えを変えるつもりはないと力説。ウィリアムは許可を与えなかったが、メアリーはこっそりと家を出ることを決めた。

息苦しさを感じていたのはクレアも同じだった。クレアは自分も連れて行ってほしいと言う。メアリーはクレアと共にパーシーの家へと転がり込み、新たに始まった生活に胸を躍らせた。

だが、人生はなかなかうまくいかない。メアリーと駆け落ちしたことでパーシーは父親から勘当されてしまう。新作の小説も評価されず、無一文になってしまった。メアリーは町でウィリアムと顔を合わせたが、父は応援してくれたものの、娘が愚かな道を選んだことに内心嘆いていた。

パーシーに臨時収入があり、彼は科学に興味のあるメアリーのために実験のおもちゃをプレゼントする。更に、一等地に引っ越しもした。メアリーは幸せだったが、物書きという夢に近づいていないことに苛立ちを感じ始めていた。そんな時、自分が妊娠していることを知る。

次第にメアリーは不安になってくる。パーシーとクレアが関係を持っているような雰囲気になっていったからだ。しかも、パーシーの親友のトマス・ホッグから突然に求められ、動揺する。そのことをパーシーに相談すると、君は僕のものではないのだし、自由恋愛は僕らの信条だ。好きな相手と関係を持っていいと返されてしまう。その言葉にメアリーはショックを受け、私にはあなたしかいないのだと叫んだ。

メアリーを落ち着かせるため、パーシーは、僕と君の間には誰も入りこませないと愛を語った。そして、元気づけるために幻想劇場へと彼女を連れていく。そこで開催されていたのは電流を使って死んだカエルの足を動かすという実験だった。科学で死を克服できる日も近いと言いながら魔術師が電気棒をカエルに押し当てると、その足はビクリと動いた。その様子を見たメアリーは、まるで電気に打たれたかのような衝撃を受ける。

映画『メアリーの総て』のあらすじ【転】

やがてメアリーは女児を出産。子を持つ喜びを知ったメアリーとパーシーは、しばし満たされた時間を過ごす。しかし、ある夜、借金の取り立てに追われたパーシーは雨の中を逃げようと言いだした。赤子には熱があったがパーシーにせかされ、仕方なくメアリーとクレアは赤子を連れて雨の中へ。だが、そのせいで赤子は命を落としてしまった。メアリーはショックを受け、本も読まずに長く寝床から起き上がらなくなる。

ある夜、娘が蘇る夢を見たメアリーは沸々と湧く執筆欲にペンを走らせた。が、ドアの向こうから親密にするパーシーとクレアの声を聞いたメアリーは、その熱を急速に冷ましてしまう。

幻想劇場で出会った作家のバイロン卿から招待があったとクレアから言われ、メアリーとパーシーも来てほしいとお願いされる。クレアはバイロンとたまに密会しており、彼の子を妊娠していると言うのだ。パーシーはチャンスだと喜ぶが、悲しみから立ち直れないメアリーは気が進まない。しかし、気分転換が必要だと言われ、しぶしぶ同行する。

バイロンの屋敷についたメアリーたちは連日、酔って歌い、踊っては気ままに愛し合った。屋敷にはポリドリ医師も遊びに来ていたが彼は良識人で、メアリーに生体電気の記事を見せてくれた。長雨が続く時期になり、皆、退屈し始める。それを見たバイロンは一人ずつ怪奇談を書いて朗読しようと提案。真剣勝負だと言われ、メアリーの胸に熱いものが湧き上がってくる。

だが、その時、バイロンは同時にクレアに真実を伝えてしまった。それは、彼がクレアをただの遊び相手だと思っているということだ。その言葉にクレアは傷つき、屋敷を飛び出してしまう。メアリーは雨の中、彼女を追いかけた。

パーシーに電報が届き、それを読んだ彼は一目散に屋敷を出て行った。翌朝、メアリーが酔って戻ってきたパーシーにどこに言っていたのかと尋ねると、妻のハリエットがテムズ川に身を投げて亡くなったのだと聞かさせる。それを聞いたメアリーは、ここを去る時が来たと呟いた。バイロンに妊娠を告げたクレアだったが、彼は養育費を払うと言っただけだった。自分の過ちを嘆くクレアと傷心のパーシーを連れ、メアリーは自分たちの家へと戻って行った。

映画『メアリーの総て』の結末・ラスト(ネタバレ)

戻ってきたメアリーの中には、様々な体験からある物語が浮かび上がってくる。メアリーは夢中でペンを走らせ、『フランケンシュタイン』という物語を書き上げた。フランケンシュタイン博士が死体を繋ぎ合わせ、死者を蘇らせるが、生まれたのは怪物だったという悲劇の物語だ。その原稿を渡されたパーシーは作品の出来を絶賛する。しかし、博士が死体を繋ぎ合わせ完璧な人間を作ろうとしたのに、出来上がったのが怪物では希望がない、怪物ではなく天使にして人類の可能性を示し、その美をメッセージにしようと口にする。それを聞いたメアリーは、希望と理想がないことがメッセージなのだと彼に伝えた。現状の自分たちの酷い有り様を指摘されたパーシーはぐうの音も出なかった。

メアリーは一人で作品を売り込みに出た。だが、女性だということや18歳という若さとグロテスクな内容などでなかなか信用してもらえない。また、詩人のパーシーのパートナーだということも疑念のタネとなり、盗作を疑われる始末。草稿をどこに送っても良い返事はもらえなかった。

『フランケンシュタイン』を読んだクレアは、怪物が博士に捨てられる心境に共感し、同じように思う女性がたくさんいるだろうと感想を述べた。クレアは実家に戻ることを決め、絶対に出版してほしいと言って去って行った。

足を棒にして出版社を回ったメアリーはラッキントン出版に辿り着く。そこでようやく出版に漕ぎつけるが、条件として作者は匿名でパーシーの序文を付けるように言われてしまう。パーシーは喜んで序文を書くというが、メアリーは悔しさでいっぱいだった。女性ということで名前を出せず、多くの人はパーシーが書いたと思うからだ。

二人は口論になり、メアリーは、あなたには責任能力がないと叫んでしまう。それを聞いたパーシーは、今の不幸は僕だけでなく君のせいでもあると反論した。あなたを信じてついていった私にも罪はあるとメアリーは言い、それを聞いたパーシーは怒り、家を出て行ってしまった。

『フランケンシュタイン』は出版され、その本は父ウィリアムも読むこととなった。ある日、ポリドリ医師がメアリーの家を訪ねてくる。彼は『吸血鬼』の本を書いたが、作者はバイロンということになっていた。お互いに作品を人の物にされたと笑ったポリドリは自作を置いて帰って行ったが、その本には朗読会の招待状が挟まっていた。それは『フランケンシュタイン』の朗読会をゴドウィン書店で行うというものだった。

朗読会が気になったメアリーは、久しぶりに実家の書店へとやってくる。こっそり隠れながら朗読会を盗み見た。そこに集まった者たちにウィリアムは本を絶賛。この物語は人との繋がりの重要性について描かれていると語った。ウィリアムはメアリーに気がついたが、そこにはパーシーも来ていた。彼は拍手で迎えられ、この本の作者について話し出した。パーシーは、この本は私なくしては生まれなかったが私は作者ではない。メアリー・ゴドウィンが作者だと宣言した。驚いたメアリーはパーシーの前へと進み出る。パーシーは、自分は今まで何も気がついていなかったとメアリーに謝罪した。メアリーがパーシーについて行ったのは、パーシーとなら何かを作り出せるのではないかと感じたからだった。お互いに苦労と苦悩の時期を過ごしたが、それを経た今でもあなたを選んだことに後悔はないとメアリーはパーシーに告げた。

『フランケンシュタイン』の第二版からは匿名ではなく、メアリー・シェリー著と刻まれることとなった。その後、メアリーはパーシーと正式に結婚し夫婦となった。

映画『メアリーの総て』の感想・評価・レビュー

名作『フランケンシュタイン』の誕生に至る悲劇が描かれているが、現実は小説より奇なりを体現するような物語。当時の時代背景もあっただろうが、パーシーの自由奔放ぶりは今も昔も酷いものだったと思う。彼について行ってしまったメアリーは精神的に未熟で愚かとしか言いようがないが、その体験なくして名作は生まれていなかったというのがなんとも皮肉だ。メアリーの思考を表現する映像は少し物足りないが、エル・ファニングの演技は良かった。(MIHOシネマ編集部)


美しい男女の乱れた恋愛や自堕落な生活が目についてしまうのですが、本題は『フランケンシュタイン』の作者が18歳の女性だったということです。人間の好奇心で作られた怪物の孤独と苦悩の物語。メアリーが書いたと信じてもらえないのも無理はないような気もします。でもこの時代に『フランケンシュタイン』を書き上げたメアリーはとても聡明で魅力的な人物だったのだろうと思います。
夫のパーシーは身勝手なところもありましたが、メアリーの才能を評価し「作者は彼女だ」と表明してくれる人で良かったです。(女性 40代)

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