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映画『マックイーン モードの反逆児』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『マックイーン モードの反逆児』の概要:2010年に自らの命を断ったファッションデザイナー、アレキサンダー・マックイーンの生涯を描く。彼の創作活動の裏側を見せると共に、彼と人生を共にした男女の語りによってマックイーンの素顔が覗く。

映画『マックイーン モードの反逆児』の作品情報

マックイーン モードの反逆児

製作年:2018年
上映時間:111分
ジャンル:ヒューマンドラマ、ドキュメンタリー
監督:イアン・ボノート、ピーター・エテッドギー
キャスト:リー・アレキサンダー・マックイーン、イザベラ・ブロウ、サラ・バートン、ミラ・チャイ・ハイド etc

映画『マックイーン モードの反逆児』の登場人物(キャスト)

リー・アレキサンダー・マックイーン
ロンドンの労働者階級に生まれるが、服飾の道を志す。ブランド創業者。
イザベラ・ブロウ
ファッションディレクター且つVOGUEなどの伝説的エディターであり、マックイーンの支援者。
サラ・バートン
マックイーン存命時のブランドスタッフ。現在はブランドのクリエイティブ・ディレクターを務める。
ミラ・チャイ・ハイド
ヘアメイクスタイリストであり、マックイーンのブランドスタッフ。数々のショーで彼と仕事を共にする。
セバスチャン・ポンス
マックイーンのアシスタント。あらゆる仕事で彼と苦楽を共にする。
ボビー・ヒルソン
ロンドンのセントラル・セント・マーチンズ美術大学にファッションのMAコースを設立した人物。
トム・フォード
マックイーン存命時のグッチ・グループディレクター。

映画『マックイーン モードの反逆児』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『マックイーン モードの反逆児』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『マックイーン モードの反逆児』のあらすじ【起】

1969年、ロンドン南東部のルイシャムで、タクシー運転手の父と教師の母の間に生まれたマックイーン。決して裕福とは言えない家で育つが、家族との結びつきは強かった。手先が器用で縫製も得意だった彼は、16歳で学校を退学した時にサヴィル・ロウで求人があるから受けてみたら、と母親に言われる。サヴィル・ロウとはオーダーメイドの高級紳士服を作る名門店が集まる地域を指し、採用されたマックイーンはここで見習いとして基本的な技術を身につけていく。

その後、イタリアのロメオ・ジリという名門ファッションメゾンのアトリエに入った彼は、さらに技術を吸収し、ロメオ自身を驚かせるようになる。そしてロンドンに帰国した後、もっと学術的な勉強もしたいと考えた彼は学費を捻出し、名門大学セントラル・セント・マーチンズのファッションMAコースに入学する。MAコースとは日本の大学院のようなもので、卒業すると修士号を獲得できる。ボビー・ヒルソンという女性が創設した。下町育ちのマックイーンに対する彼女の第一印象は決して良いものではなかったが、彼の能力には驚嘆せざるを得なかった。

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映画『マックイーン モードの反逆児』のあらすじ【承】

1991年の卒業制作での彼の作品の斬新さは多くの人の目を惹き、その中には有名なファッションディレクターでありエディターのイザベラ・ブロウも含まれていた。彼女はマックイーンに支援を申し出、彼の卒業制作作品を全て買い取った。
1992年に自身のブランド「アレキサンダー・マックイーン」を立ち上げファッションショーを行うと、その奇抜さに賛否両論の話題を呼ぶ。しかし、ショーでは作品そのものはもちろんユニークな会場演出などで多彩な才能を発揮し、彼は次第に有名になっていく。ただしこの時点でも彼はまだ生活保護で暮らしており、働いているのがバレたら保護を打ち切られるという理由でテレビのインタビューにも顔を見せないのだった。

ヘアメイクスタイリストであるミラ・チャイ・ハイドなどは初期にはノーギャラで彼のために働いていたと言う。それだけマックイーン自身と彼の仕事に魅力があったということだ。

1996年、マックイーンはロンドン・コレクションに参加しブリティッシュ・デザイナー・オブ・ザ・イヤーを受賞する。彼はその後の人生において同賞を合計4度に渡り受賞することになるのだった。さらに同年、フランスのブランド「ジバンシィ」のデザイナーに抜擢される。彼のような下町育ちで実績の少ない若手がそのポジションを務めるのは異例のことだった。マックイーンは仲間と共にフランスへ移り、創作活動に明け暮れる。

映画『マックイーン モードの反逆児』のあらすじ【転】

ジバンシィにおいても伝統的なメゾンの特色を取り払い、彼独特のやり方で様々な作品を生み出したマックイーン。サラ・バートンやセバスチャン・ポンスなどの優秀なスタッフも育っていた。だが、2000年、彼は当時のグッチ・グループのディレクターであったトム・フォードの誘いにより自社株の大半をグッチ・グループに売却する。
グッチはジバンシィが所属する巨大企業LVMHと敵対関係にあり、このことがジバンシィブランドの怒りを買う結果となる。そして翌年、マックイーンはジバンシィのデザイナーを解任されることとなった。

その後、彼はグッチ・グループのクリエイティブ・ディレクターに就任する。しかしその結果、彼の生活は多忙を極めていく。年14回ものショーを行い、さらに他社有名ブランドであるプーマなどとのコラボレーション事業もこなしていた。

マックイーンはその頃から薬物に手を出すようになる。過度な期待、それに応えようとするプレッシャー、やり場のないストレス。元々はぽっちゃりした体型だったマックイーンは、同時期に整形手術によりスリムな体を手に入れる。しかし、精神の安定は得られず、彼は次第に孤独感を強めていく。

映画『マックイーン モードの反逆児』の結末・ラスト(ネタバレ)

その結果、彼の創作人生の全ての面において彼のことを支援し力になってきたイザベラに対しても、彼は攻撃的になってしまう。ある日、彼女が催したパーティーに招待されたマックイーンだったが、遅れて行った挙句に別室で過ごし、イザベラとは少し会話をしただけで別れてしまう。

イザベラが自殺したのはその後だった。彼女の夫は、「彼女は老いていくことが耐えられない」と話していたと語る。彼女なりの幕引きであり、あのパーティーは最後のお別れとして開いたのかもしれない。マックイーンは憔悴するが、やがて彼女を追悼するショーを行う。そのショーは感動的で、全ての作品にイザベラが宿っていた。

彼は次第に自分を取り戻していく。「一時期は自分を見失ってしまい絶望のどん底にいたが、最近は楽しいんだ」とインタビューで語っている。相変わらず多忙ながらも精力的にショーを行い、たくさんの作品を作り出して行った。

しかし2010年、マックイーンの最愛の母親が亡くなる。徐々に回復してきたとは言え常に不安定だった彼に、その事実はあまりに重いものだった。母親の葬儀の前日、マックイーン自身も自らの命を断つ。自宅での自殺だった。

出演した当時のスタッフ達は一様に、彼との仕事は大変だったことも含め素晴らしいものだったと涙ながらに語る。アレキサンダー・マックイーンのブランドは彼の生前メンズウェアのデザイナーだったサラ・バートンがメンズ、ウィメンズ両方のクリエイティブ・ディレクターとして引き継ぎ、今現在も世界中で愛されている。

映画『マックイーン モードの反逆児』の感想・評価・レビュー

傍目からは華やかに見える活躍の裏で、マックイーンはある時期から孤独を抱えるようになってしまった。アレキサンダー・マックイーンというブランドを生み出さなければ、もしかしたら自ら命を断つことはなかったのかもしれない。だが、彼の時に我儘で、だけど楽しそうな仲間達との創作活動を見ていたらやはり彼は「アレキサンダー・マックイーン」で、それ以外の人生は有り得なかったんだなと思う。どうか今は安らかに眠れているようにと願う。(MIHOシネマ編集部)

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