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映画『HOT SUMMER NIGHTS ホット・サマー・ナイツ』のあらすじ・感想・評判・口コミ(ネタバレなし)

HOT SUMMER NIGHTS<熱帯夜>に起きた、甘く切なく、そして少しだけスリリングな青春映画。『君の名前で僕を呼んで』でアカデミー賞主演男優賞ノミネートのティモシー・シャラメが愛する父を失った喪失感から自身を取り戻していくひと夏の経験物語。

映画『HOT SUMMER NIGHTS ホット・サマー・ナイツ』の作品情報

HOT SUMMER NIGHTS ホット・サマー・ナイツ

タイトル
HOT SUMEER NIGHTS ホット・サマー・ナイツ
原題
Hot Summer Nights
製作年
2017年
日本公開日
2019年8月16日(金)
上映時間
107分
ジャンル
ヒューマンドラマ
青春
監督
イライジャ・バイナム
脚本
イライジャ・バイナム
製作
ダン・フリードキン
ブラッドリー・トーマス
ライアン・フリードキン
製作総指揮
ピーター・ファレリー
ネイサン・ケリー
ケイシー・ワイルダー・モット
キャスト
ティモシー・シャラメ
マイカ・モンロー
アレックス・ロー
マイア・ミッチェル
ウィリアム・フィクトナー
トーマス・ジェーン
エモリー・コーエン
製作国
アメリカ
配給
ハピネット

映画『HOT SUMMER NIGHTS ホット・サマー・ナイツ』の作品概要

最愛の父を亡くした青年ダニエル・ミドルトンが、心に傷を負いながらも立ち直っていく青春物語。『君の名前で僕を呼んで』や、『ビューティフル・ボーイ』でその活躍が世界中から注目を浴びているティモシー・シャラメが主演を務める。監督は、この映画で長編映画デビューを果たすイライジャ・バイナム。23歳の頃に書いた脚本が評価され、監督経験のないバイナムが監督に抜擢。アカデミー賞で作品賞を受賞した『ムーンライト』の制作スタジオA24が、この夏、少年少女の切なく、儚く、美しい様をスクリーンに描き出す。

映画『HOT SUMMER NIGHTS ホット・サマー・ナイツ』の予告動画

映画『HOT SUMMER NIGHTS ホット・サマー・ナイツ』の登場人物(キャスト)

ダニエル・ミドルトン(ティモシー・シャラメ)
大好きだった父親を亡くし、茫然自失としている青年。ふさぎ込み、沈んだ気分のため周囲とも溶け込めずにいる。
マッケイラ(マイカ・モンロー)
町で一番の美女と噂される美少女。ハンターの妹で、シスコン気味のハンターの目を盗んでダニエルと密会を重ねる。
ハンター・ストロベリー(アレックス・ロー)
マッケイラの兄。地元のケープコッドでは一番のワルとして知られている。高校を中退後、大麻ディーラーとして稼ぐ。かなりのシスコン。

映画『HOT SUMMER NIGHTS ホット・サマー・ナイツ』のあらすじ(ネタバレなし)

1991年、アメリカ市が市海岸に位置する海辺の町ケープコッドには、記録的な猛暑が訪れた年であった。この年の6月、例年と同じく多くの観光客で賑わう海辺に、高校を卒業したばかりのダニエルはやって来た。

ダニエルは、卒業の少し前にとても仲の良かった父を亡くした。父親の墓前に母と2人で茫然と立ちつくし、とてつもなく大きな喪失感が2人を襲った。ダニエルはそれから部屋にこもりきりになり、それを見かねた母親はダニエルに夏の間だけ叔母のいるケープコッドに向かわせた。

大学が始まるまでの3か月、知らない土地でいきなり暮らせと言われたダニエルは、「追放かよ」と悪態を吐く。この町には、よその土地から観光にやってくる金持ちか、貧乏な地元民しかいない。ダニエルは、そのどちらともうまく馴染めないでいた。

ある日、地元で一番のワルだと言われているハンター・ストロベリーと出会う。ハンターは、とても荒々しくて粗暴で暴力的。高校も中退していて、現在は大麻のディーラーを生業としてかなりの額を稼いでいた。ダニエルはハンターに頼み込み、自分も大麻を捌くために事業に参加する。ビジネスは軌道に乗り始め、ハンターとダニエルの関係も良好に見えた。だが、町で一番の美人だと言われるマッケイラが現れたことで、ダニエルの運命は大きく変わっていくのだった。

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映画『HOT SUMMER NIGHTS/ホット・サマー・ナイツ』のネタバレあらすじ結末と感想
映画『HOT SUMMER NIGHTS/ホット・サマー・ナイツ』のネタバレあらすじと感想。ストーリーを結末まで起承転結で分かりやすく簡単に解説しています。映画ライターや読者による映画感想も数多く掲載。

映画『HOT SUMMER NIGHTS ホット・サマー・ナイツ』の感想・評価

儚い少年の代名詞「ティモシー・シャラメ」がひと夏の恋に挑戦する

ティモシー・シャラメの名が有名になったのは、2017年に公開された『君の名前で僕を呼んで』からである。それまでは、さまざまコマーシャルや短編映画に出演しており、ドラマにも小さな役で出演していた。

だが、『君の名前で僕を呼んで』が公開され、アカデミー賞主演男優賞にノミネートされると、ティモシーの名は全世界に知れ渡った。美しい北イタリアの別荘地で、自信家の男性と恋に落ちる儚く知的な青年エリオ。ティモシーが演じるエリオに、映画を見た観客は誰もが虜となった。

そして2018年公開の『ビューティフル・ボーイ』では、薬物に侵された青年ニックの役を熱演する。薬物依存から抜け出すためにあらゆる治療を施し、父親との二人三脚で挑む姿に、多くの人が胸を打たれた。

ティモシー・シャラメは、か細く見た目も小柄で、日本人がイメージするアメリカ人とはかけ離れている。だが、そんな弱そうな青年でも他の人たちと同じように思い悩み、青春を謳歌する。むしろ普通の人に近い姿に、多くの人が共感し、応援したくなる。ティモシー・シャラメとは、そんな俳優である。

激動の1991年

映画の舞台となる1991年は、まさに激動の時代であった。この年は、湾岸戦争が始まった年である。中東イラクのクウェート侵攻をきっかけに勃発した戦争で、国際連合が多国籍軍を多数派遣し、イラクを中心に空爆が行われた戦争である。

日本でも、湾岸諸国から原油を輸入していたことでアメリカから同盟国として戦費の拠出や、戦地への同行が求められていた。結果、多国籍軍に10億ドルにも及ぶ資金を捻出し、その後も何度か追加資金を拠出、紛争地域へは20億ドルを経済援助として提供している。今からおよそ30年も前の話ではあるが、アメリカでは現在でもイラク湾岸戦争時に負った傷によって生活が苦しくなっている帰還兵などが多くいる。

また、戦争とは別で、1991年の秋には世界的に有名なアーティスト・フレディ・マーキュリーが45歳の若さで亡くなった。フレディがエイズにかかっていたことは周知の事実だったが、最期はエイズによる免疫不全が引き起こした気管支肺炎であった。こうした激動の年に、アメリカの東海岸のケープコッドには記録的な猛暑が訪れた。激しい時代の移り変わりのときに、懸命に自分を取り戻そうとする青年たちの物語は、熱帯夜よりも熱く漲っているかもしれない。

批評家たちの評価とファンの狭間

全米で公開されたとき、この映画は12館限定で公開された。全米配給権を獲得できなかったからだ。そのせいもあり、公開初週末には1万ドル強という少額の興行成績であった。それに比例するかのように、批評家たちの評価は平凡的で、平均点は10点満点中5.2点。アメリカで有名な映画批評サイトRotten Tomatoesでは、支持率44%であった。

その原因の1つは、古典的名作のいくつかを参照して映画が製作されているところである。だが、その魅力的な古典的名作の魅力が、ストーリーとかち合ったとき、ストーリーにつぶされているとの見解である。「魅力的な」という言葉の中には、カリスマ性を持つティモシー・シャラメの存在も含まれている。

物語性が強すぎると、役者が死んでしまうことがしばしばある。というのも、「この役は彼または彼女でなくても良かった」という評価である。かといって、役者だけが良ければ良いという単純な話ではない。実際、批評家たちのそうした判定とは裏腹に、ファンは期待に胸を膨らませている。批評家たちの評価も参考にしつつ、ファンとして純粋にティモシーの恋物語を楽しむのも、映画に対する自身の新たな発見の1つとなるかもしれない。

映画『HOT SUMMER NIGHTS ホット・サマー・ナイツ』の公開前に見ておきたい映画

映画『HOT SUMMER NIGHTS ホット・サマー・ナイツ』の公開前に見ておきたい映画をピックアップして解説しています。映画『HOT SUMMER NIGHTS ホット・サマー・ナイツ』をより楽しむために、事前に見ておくことをおすすめします。

君の名前で僕を呼んで

ティモシー・シャラメが主演の2017年公開の映画である。実は、今回の『HOT SUMMER NIGHTS ホット・サマー・ナイツ』も2017年に制作されている。

この映画は、2007年の『Call Me by Your Name』が原作とされており、北イタリアの別荘で出会った2人の青年の恋物語を描く。元々の時代設定は1987年だが、映画の公開にあたって、エイズが社会問題になる前を描くために1983年頃とされている。また、監督は制作当初から続編の制作を匂わせるような発言もあり、2019年になってから、監督のルカ・グァダニーノが続編の冒頭の構想を公開している。

君の名前で僕を呼んで』の物語は、1983年北イタリアの避暑地から始まる。17歳のエリオは、聡明で多言語を操り、ピアノやギターを嗜むだけでなく編曲を趣味とする感受性豊かな青年。一方で、エリオの父親であるパールマン教授の助手を務めるオリヴァーは、24歳で課程論文の執筆中の青年。オリヴァーは、自信に満ち溢れた男性で、エリオよりも優れた知性を持っている。初めは嫌悪感を露わにしていたエリオは、段々と知的で自信家でしかし話も合うオリヴァーに思いを寄せるようになる。

この映画の見どころは、もちろん美しい青年たちの恋物語でもあるが、自分が「同性を好きかもしれない」と思い葛藤する姿やぎこちなく距離を縮めていく姿以上に、ラストシーンのパールマン教授がエリオに投げかけるセリフではないだろうか。これは、映画を最後まで見て、物語をしっかり把握した上でぜひ鑑賞してほしいシーンである。

詳細 君の名前で僕を呼んで

ビューティフル・ボーイ

同じく、ティモシー・シャラメが出演したことで話題となった2018年公開の映画で、薬物中毒に陥った青年が、何度も治療・更生と再発を乗り越える物語である。青年のニック役をティモシー・シャラメが演じ、ニックの父親役であるデヴィッドをスティーブ・カレルが演じる。ティモシー・シャラメが第76回ゴールデン・グローブ賞と第72回英国アカデミー賞の助演男優賞にそれぞれノミネートされた話題作である。

この映画は、実在した家族がモデルとなっており、父親と息子のそれぞれの視点で描かれた手記が原作となった。絶望に陥る家族の中で、唯一父親のデヴィッドだけは最後まで息子を信じ、何度息子に裏切られようとも何度でも手を差し伸ばす。

日本公開のポスターには、ニックとデヴィッドが抱き合い、ニックの顔とデヴィッドの顔がそれぞれ見えるように視点を変えたイメージが上下に映し出されている。そして、キャッチコピーには、「すべてをこえて愛してる」の文字。そのポスターからは、最後まで息子を信じた父親の愛に満ちた表情と、全てを受け入れてくれた父親に安堵しているニックの表情が伺える。薬物依存者は再発率がとても高く、長い年月をかけて更生していく必要がある。日本でも多くの有名人たちが薬物に陥り、キャリアを台無しにするニュースが報道されるが、更生に至るには多くの人の手助けが必要である。この映画は、一番身近で自分を支えてくれた父親への愛を形にした、涙の物語でもある。

詳細 ビューティフル・ボーイ

レディ・バード

今回の『HOT SUMMER NIGTHS ホット・サマー・ナイツ』を制作したA24スタジオが2017年に制作した映画。2017年に公開された映画の中で、異常なほど高い評価を得て、アメリカの映画批評サイトRotten Tomatoesでは、支持率100%という驚異の数字を叩き出した。

映画の主題にもなっているレディ・バードが物語の主人公で、本名はクリスティン・”レディ・バード”・マクファーソン。2009年の『ラブリーボーン』や2015年の『ブルックリン』に出演したシアーシャ・ローナンが主演を務めた。

鬱病で仕事が不定期の父親と、ニートの兄を精神科医の母親が世話する家庭を持つレディ・バードは、ニューヨーク(大都市)にある大学へ進学を希望していた。だが、母親が州内の大学への進学を進言したことで2人は口論となり関係は破たん。カトリック系の厳しい学校で子高校生活を送るレディ・バードは、恋をした男の子が実は同性愛者であったり、女の子同士の友情の難しさであったり、初めての性体験であったりと目まぐるしい日々を送る。そして、念願の大都市での大学生活や、ぎくしゃくした家族との和解など、どこにでもいるような普通の女の子の姿を、とてもリアリティ豊かに熱演する。

自分にもこんな時代があったと思う人や、懐かしさに思いを馳せたい人たちには、ぜひコーラではなく温かい紅茶やコーヒーを片手に鑑賞していただきたい。

詳細 レディ・バード

映画『HOT SUMMER NIGHTS ホット・サマー・ナイツ』の評判・口コミ・レビュー

映画『HOT SUMMER NIGHTS ホット・サマー・ナイツ』のまとめ

日本で公開されている『HOT SUMMER NIGHTS ホット・サマー・ナイツ』のポスターは、ティモシー・シャラメが演じるダニエルと、マイカ・モンロー演じるマッケイラが鼻でキスをしているシーンのアップである。青春映画でありがちな、気恥ずかしさと興奮が混ぜ合わさり、触れるほどの距離でお互いを感じる寸前を映し出した魅力的なシーンである。孤独で内気で、誰も話し相手がおらず、自分の殻に閉じこもっていたダニエルの、脱皮の瞬間の1つと言ってもいい。ハイスクールを卒業して沈んでいた少年から、魅力的なカリスマ性と少しのスリリングさを持つ危ない“男”へと成長してくダニエルから目が離せない。

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