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映画『Miss ZOMBIE』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『Miss ZOMBIE』の概要:全編がほぼ白黒画面で構成され、ゾンビの異様さと幸せな家族の崩壊を描いている。テーマは母と子の愛。一切セリフのないゾンビ沙羅の無表情と、彼女をいいように扱う人間の醜悪さが絶妙。

映画『Miss ZOMBIE』の作品情報

Miss ZOMBIE

製作年:2013年
上映時間:85分
ジャンル:ヒューマンドラマ、サスペンス、ホラー
監督:SABU
キャスト:小松彩夏、冨樫真、大西利空、駿河太郎 etc

映画『Miss ZOMBIE』の登場人物(キャスト)

沙羅(小松彩夏)
ゾンビウィルスの感染率が低く、人間に近いゾンビ。若い女性だが、ゾンビでなければ相当に美しい容貌を持っている。ゾンビに襲われ、子供を失っている。
志津子(冨樫真)
寺本の妻。健一を溺愛しており、夫のために良妻賢母になろうと努めているが、夫と子の裏切りにより発狂してしまう。
健一(大西利空)
寺本と志津子の子。ポラロイドカメラで写真を撮るのがマイブーム。無邪気で明るい少年。推定年齢5歳。
寺本(手塚とおる)
医者。沙羅の妖艶さに惹かれ、妻を裏切る。志津子がやることにはほとんど口を出さない。亭主関白な面もある。

映画『Miss ZOMBIE』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『Miss ZOMBIE』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『Miss ZOMBIE』のあらすじ【起】

ある日、友人からある物を2・3日、預かって欲しいと頼み込まれた寺本。彼は仕方なくそれに了承する。しかしその後、自宅に届いた大きな荷物を開けてみると、若い女のゾンビが檻に入れられていた。
ゾンビは発見されると隔離地区に全て閉じ込められてしまうため、通常は目にすることがほとんどなく、しかも人を襲うとのことで恐れられていた。

若い女のゾンビは沙羅という名前らしく、非常に大人しい。荷物には他に飼育説明書と処分用の拳銃が一丁付属されていた。寺本は沙羅を、町はずれの倉庫へ連れて行くように言いつけた。

翌朝、寺本家へ町内会長が乗り込んで来る。どうやら宅配業者が寺本家にゾンビを届けたと吹聴しているらしい。沙羅はゾンビウィルスの感染率が低く、人間に近い存在であるため、人を襲うことはない。いざとなったら拳銃で処分するからと、どうにか説得した。

1日目、沙羅が寺本家へとやって来る。志津子は恐る恐る彼女へと、庭に敷き詰められたタイルを掃除するように言いつけ、タワシを渡して様子を見ることにした。沙羅は言葉を忘れているのか、一心不乱にタイルを磨き続けた。

ゾンビに与える食べ物は果物や野菜が主である。そして、与えてはいけない物が肉であった。誤って肉を与えてしまうと凶暴性が増す恐れがあるらしい。志津子は沙羅の勤勉な態度に好感を持ち、ジャガイモと花を1輪、報酬として渡した。

寺本家からの帰り道。沙羅は子供達から石を投げられ、3人の若者にはペンで刺される。だが、ゾンビである沙羅には痛覚がなく、それらをやり過ごして住処へと帰宅。そして、志津子から貰った花を飾り、ジャガイモを生のまま食すのであった。

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映画『Miss ZOMBIE』のあらすじ【承】

2日目も寺本家へ出勤した沙羅。この日も一定のリズムでタイルを磨く。そんな彼女を健一がポラロイドで撮って歩く。ゾンビだが、若い女でもある沙羅。一心不乱にタイルを磨く彼女を、庭先で一日中眺めている左官業の青年2人は、彼女の美しさに気付き邪な考えを巡らせるのだった。
その日の帰りも、石を投げられ3人の若者に工具のドライバーを刺される。

3日目もタイル磨き。一定のリズムでタイルを磨く音は、寺本家では当たり前の音として看過されるようになる。掃除の後は水で洗い流して作業は終わりとなるが、しかしこの日はなぜかあるべき場所にホースがない。沙羅はホースを探して、寺本家の倉庫へと足を踏み入れ、そこで待ち伏せていた左官業の青年2人に性的な虐待を受けてしまうのだった。
仕事の息抜きの散歩中、たまたまそこへ居合わせた寺本。沙羅が青年に犯されている姿を目撃してしまう。
それでも、彼女は何事も無かったように帰宅。今日は若者に果物ナイフを刺された。

4日目。健一が朝から1人で遊びに出掛ける。そこへ沙羅が出勤。今日も一心不乱にタイルを磨く。タワシの音に沙羅が来たことを知った寺本は、昨日の光景を脳裏に思い浮べてたまらなくなる。

しばらくして、意識を失った健一が自宅へ運び込まれる。遊んでいて誤って池へ落ちてしまったらしい。少年にはすでに息がなかった。半狂乱になった志津子は、沙羅に生き返らせろと命令。彼女は少年の首筋を噛み、健一をゾンビとして生き返らせるのだった。

映画『Miss ZOMBIE』のあらすじ【転】

沙羅が健一を襲っていると勘違いした寺本が沙羅を刺してしまったため、彼女は別室で傷痕を補修。その途中に寺本が訪室し、沙羅に魅入られてしまう。更に夫の裏切りを向かいの窓から志津子が目撃。このことにより、幸せだった寺本家に亀裂が入った。

その帰り、沙羅はいつものように石を投げつけられ、若者には包丁を刺されるも、彼女の脳裏には人間だった頃の記憶が駆け巡っていた。
どうやら、健一を噛んだことにより、記憶が蘇りつつあるようだった。

5日目。沙羅が出勤して来て、いつものようにタイルを磨き始める。しかし、彼女の傍には健一がいた。志津子はその光景に危惧を覚え、強い口調で健一を呼び寄せるのだった。
花に水をやっていた志津子だったが、その先の階段に座っていた健一が突然、倒れる。慌てた志津子と寺本だったが、そこへ沙羅がやって来て、志津子の腕から健一に血を飲ませた。
成りたてのゾンビには、人間の血液が必要らしい。

記憶が蘇りつつある沙羅は、帰宅後に包丁を手にする。健一のために餌を手に入れることにした。夜道を全速力で走り、若者を襲う。

6日目。ここ数日で様々な裏切りに遭った志津子が、居間のソファで臥せってしまう。沙羅は3人の若者を殺し、手に入れた血液を密かに健一へと飲ませた。
そうして、いつものようにタワシの音が寺本家に響く。

3人の若者から摂れる血液は充分な量があった。母性本能を思い出した沙羅は鼻歌を歌いながら、健一へと血を与える。
志津子は相変わらず、ソファで臥せっていた。そんな中、寺本が自宅内へと沙羅を呼び入れる。
足音に気付いた志津子は、ふらつく足で自宅の2階へと上がり、夫がゾンビの傷を縫合している様を目撃。その時、沙羅が志津子へと視線を合わせて逸らした。

映画『Miss ZOMBIE』の結末・ラスト(ネタバレ)

憎悪を滾らせた志津子は、自宅の床を磨く沙羅へ肉を投げつける。だが、沙羅はその肉を食べることもせず、返そうとした。その行動に志津子の憎しみがヒートアップ。そんな妻の姿を目にした寺本だったが、彼は何も言わず妻へと背を向けるのだった。

志津子は更にショックを受け、健一の部屋へ向かいブリキの箱を発見。中を見てしまう。中には大量のポラロイド写真が収めてあり、全て沙羅との交流を撮ったものだった。
狂気に迫られた志津子は、夫の書斎で処分用の拳銃を手にするも誤射。弾丸はそこにいた夫を撃ち抜いてしまう。

その音を耳にした沙羅は、健一を連れて寺本家を逃亡。窓から逃げる2人を目にした志津子は拳銃で左官業の青年2人を殺害し、沙羅と健一を追いかけた。その姿はさながら鬼のようである。

子供を連れて必死に逃げる沙羅の脳裏に記憶が蘇る。
愛する夫との間に、子供が生まれようとしていた矢先だった。若い夫婦はゾンビの群れに遭遇し、襲われてしまう。夫は身重の妻を守るために車外へ出て、ゾンビにやられてしまった。沙羅は傷を負うも必死に逃げて病院へ駆け込む。彼女はそこで帝王切開にて出産。しかし、ゾンビウィルスに感染していた沙羅は隔離地区へ投げ出され、産まれた子供とは会わせてもらえなかった。そうしている内に寺本の友人に捕縛され、ペット用として檻に入れられたのである。

森を抜け、ススキの原へ逃げて来た沙羅と健一だったが、沙羅が転倒してしまう。そこへ志津子が追いつき拳銃を向けるも、健一が沙羅を必死に起こそうとする。その様を目にした志津子は、逃げ去って行く2人の姿に慟哭し絶望。自ら拳銃にて自死する。

音に立ち止まった健一は、倒れた母親の元へ戻り彼女を生き返らせようとする。沙羅を産みの母親とするならば、志津子は育ての母親だろうか。そんな少年の健気さに心打たれた沙羅は、健一の意を汲んで志津子をゾンビとして蘇らせる。
そうして、要らない存在となった沙羅は、頭部を拳銃で撃ち抜き自らを処分するのだった。

映画『Miss ZOMBIE』の感想・評価・レビュー

SABU監督が初めて女優を主演に迎えた作品以来、10年振りとなる完全オリジナルストーリー。全編のほとんどが白黒で描かれ、ラストシーンだけが鮮やかなカラーとなる演出が印象的。
人ではないが、完全なゾンビでもない沙羅が現れたことで、平穏な生活を送っていた家族が崩壊していく様を描いている。主人公は人を襲うこともなくとても従順で抵抗らしい抵抗もほとんどしないが、人間達はそんな彼女を欲望の赴くまま虐待していく。巷ではゾンビは危険な存在だと言われているからだと思うが、主人公が無害なのは傍から見ても明白である。生きているはずの人間が虐待する姿は酷く醜悪に映る。物事は一家の息子が死に、ゾンビとなって生き返ったところから始まり、そこからの展開に引き込まれる。さすがSABU監督作品だと感嘆する。(女性 40代)

この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ局の映画番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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