映画『萌の朱雀』の概要:当時中学生だった尾野真千子のデビュー作品。奈良県の山間にある小さな過疎の村を舞台に、ある一家の姿を綴ったヒューマンドラマ。本作において、監督の河瀬直美は、カンヌ映画祭のカメラ・ドール(新人監督賞)を史上最年少で受賞。
映画『萌の朱雀』の作品情報
上映時間:95分
ジャンル:ヒューマンドラマ、青春
監督:河瀬直美
キャスト:國村隼、尾野真千子、和泉幸子、柴田浩太郎 etc
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映画『萌の朱雀』の登場人物(キャスト)
- みちる(尾野真千子 / 幼少期:山口沙也加)
- 孝三と泰代の娘。幼いことから兄妹のように一緒に生活をしてきた栄介に淡い恋心を抱いている。父、孝三の死後、栄介にその想いを告げるが、母と共に村を去る決意をする。
- 田原孝三(國村隼)
- みちるの父。鉄道工事の仕事をしており、村に通るはずだった路線のトンネル工事に携わっていた。鉄道計画が頓挫した後は、仕事がなく、村の人々の生活を手伝う毎日を過ごしている。
- 栄介(柴田浩太郎 / 幼少期:向平和文)
- 孝三の姉の息子。幼い頃に母から、孝三の家族と一緒に生活をしている。実の母は、彼を孝三に預けたまま、行方知れずになっている。泰代にほのかな恋心を抱いている。
- 幸子(和泉幸子)
- 孝三の母。優しい眼差しで家族を見守っている。孝三が死んでしまった泰代の胸の内を察し、この村を出て実家に戻るように促す。
- 泰代(神村泰代)
- 孝三の妻。仕事のなくなった孝三の替わりに家計を支えるため、旅館で働き始める。慣れない仕事に体調を崩し倒れてしまう。
映画『萌の朱雀』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『萌の朱雀』のあらすじ【起】
ある家族の朝食の風景。過疎化が進む奈良県吉野村、この山間の村にある田原家の朝の景色だ。兄妹と思われる二人がいる。しかし、男の子の栄介は、田原孝三の姉が残していった子どもで、女の子のみちるとは血の繋がりはない。本当の兄妹のように、学校から帰ってくる二人。移動販売の魚屋のトラックのすぐそばで、水遊びや、木登り、かくれんぼをする村の子供たち。仕事から帰ってきた父、孝三は、カブトムシの御土産を持っている。家族で、夕食を済ませ、風呂に入る孝三と栄介、みちる。過疎化が進むこの村でも人々は、淡々と暮らしているのだった。
ある日、家族は孝三の母、幸子とともに墓参りへ出かける。ピクニックのように、お弁当を準備して、山間の景色のいい場所で昼食をとる。孝三と幸子は、孝三の姉の行方が未だに分からないことを話す。帰り道、孝三は、みちると栄介の二人を連れて、工事中のトンネル入り口に行く。みちるを連れてトンネルの中に入る孝三。そして、その後をついて歩く栄介。栄介は、一瞬孝三の姿を見失い、暗いトンネルの中で「おっちゃん」と声をかける。孝三はすぐそばにいた。孝三は、「栄介、お母ちゃんに会いたいか?」と聞き、頷く栄介に「辛抱せい」と言うのだった。
映画『萌の朱雀』のあらすじ【承】
数年後、成長した二人の姿がある。栄介は、カブを乗りこなし、みちるは制服姿になっている。
夜、集会所で、村民会議が開かれている。鉄道の計画が中断されることが新聞報道で、村の人たちに伝わっていた。トンネル工事をしていた孝三は、暗い面持ちで、その会議に参加しているのだった。
孝三の仕事がなくなったため、家では、泰代が栄介の働いている旅館で働くことが決まった。朝、いつものように、みちるは、栄介のカブの後ろに乗せてもらってバス停まで行き、そして帰りも送ってもらうのだった。
泰代が旅館で働き始めた。その1日目の仕事が終わり、栄介がカブの後ろに泰代を乗せて帰る。みちるはその姿を見て、一人、歩いて家に帰るのだった。夜、音楽を聴きながらタバコをふかす孝三の姿があった。泰代は、翌日の仕事があるので、そんな孝三を放っておいて、先に寝てしまう。同じ夜、眠れないみちるは、トイピアノの取り出し、鍵盤を叩くのだった。
翌日、いつものように栄介のカブに乗せてもらい、バス停まで送ってもらうみちる。授業中、ぼんやりと窓の外を眺めながら栄介のことを考えるのだった。
泰代は、慣れない仕事中に倒れてしまう。栄介は、泰代の元に駆けつけ、そのまま家へ一緒に帰る。そんなことが起こっているとは知らないみちるは、バス停で栄介の迎えを待ち続けるのだった。仕方なく歩いて帰るみちる。途中まで迎えに来た栄介に、母が倒れたことを聞くのだった。
雨の夜、孝三は眠れずいた。別室で母、幸子も眠れずにいるのだった。孝三は、自室に行き、レコードをかける。そして、そっと家を出て、中断されたトンネル工事現場に向かうのだった。
映画『萌の朱雀』のあらすじ【転】
夜、電話がかかってくる。栄介が出ると警察からだった。出ていったきり帰ってこない孝三の8ミリカメラが見つかったとの連絡だった。家族は、警察に向かい、そして孝三の死を知る。
屋根の上で遠くを見る、みちる。ふと、視線を落とすと、ふらふらと何処かへ行く母の姿が、目に入る。泰代は何処へ行くともなく歩いていく。追いかけてきた栄介から声をかけられても応えず、ただ歩く。仕方なく一緒に歩く栄介。やがて雨が降ってくる。雨の中、立ち尽くす二人。雨宿りをするが、やがて雨の中を走り出す泰代。栄介は、それを追いかける。やがて雨は上がり、二人は家に帰ってくるのだった。
夜、みちるは家の外で栄介と会う。栄介の泰代への想いを知ったみちるは、泣きながら栄介にしがみつく。栄介は、みちるの手をとり、祭の行われている場所へ行き、夜店の中を歩くのだった。
孝三が死んでしまったので、幸子は、泰代にしばらく実家に帰ったらどうだと勧める。栄介は、幼い頃に一緒に歩いた、孝三が工事に携わっていたトンネルへ行く。そして、意を決し、トンネルの中へと走り出すのだった。
泰代は、みちるの部屋で、実家に帰ろうと思っていることを話す。みちるは「あたしは、ここにおりたい」と答えるのだった。
映画『萌の朱雀』の結末・ラスト(ネタバレ)
いつものように栄介のカブの後ろに乗って登校するみちるは、栄介に母が実家に帰ることを告げる。学校から帰って来たみちるを出迎える泰代は、蝉の幼虫の抜け殻を手渡し、「あんた、昔好きだったん覚えてる?」と話す。夜、みちるは、栄介の部屋に行き「好きやねん」と告白をする。しかし、母とこの村を去ることを告げ、部屋を出る。栄介は、部屋に戻りかけたみちるを呼び止め、屋根の上に上がる。二人は、屋根の上でじゃれ合うのだった。
翌朝、朝食の準備をしているみちる。泰代が起きてくる、幸子も起きてくる。栄介は、孝三のカメラに入っていた最後のフィルムを出し、一緒に見てみないかと言う。そして、四人でその映像を見る。そこには、村の自然、村の人々の姿が写っているのだった。
家を出る日、みちると泰代を見送る栄介と幸子。この村に残る二人も、この家を出て、住み込みで働くことになったのだった。みちるは、栄介と握手をし、別れる。軽トラに乗って家を出る二人。みちるは、泣きながらいつまでも手を振るのだった。
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