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映画『盲目のメロディ インド式殺人狂騒曲』のあらすじ・感想・評判・口コミ(ネタバレなし)

地元インドで大ヒットとなったあの映画が、とうとう日本にやってきた!皮肉を含んだブラックジョークに、嘘をついていたばかりに翻弄されることになる主人公。見ていてスカッとする一本。

映画『盲目のメロディ インド式殺人狂騒曲』の作品情報

盲目のメロディ インド式殺人狂騒曲

タイトル
盲目のメロディ インド式殺人狂騒曲
原題
Andhadhun
製作年
2018年
日本公開日
2019年11月15日(金)
上映時間
138分
ジャンル
コメディ
サスペンス
監督
シュリラーム・ラガバン
脚本
シュリラーム・ラガバン
アリジット・ビシュワース
プージャ・ラダ・スルティ
製作
不明
製作総指揮
不明
キャスト
アーユシュマーン・クラーナー
タブー
ラーディカー・アープテー
製作国
インド
配給
SPACEBOX

映画『盲目のメロディ インド式殺人狂騒曲』の作品概要

地元インドでは既に公開され、そのぶっ飛んだ設定から高い評価を受けた本作。インド映画界のあらゆる賞を総なめにした名作が、とうとう日本上陸。盲目のピアニストとして活動していたアーカーシュだが、実はそれは単なる話題作りのための設定だった。なんと、彼の目はバッチリ見えていたのである。さらには彼が盲目だと信じている周囲の人間が、彼の前で殺人を犯すという破茶滅茶な事件まで起きてしまう。そんな、思わずくすりと笑ってしまう、ブラックコメディに仕上がっている。出演している俳優陣も、『ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日』や『パッドマン 5億人の女性を救った男』への出演経験があるなど一流俳優陣ばかり。友達とも家族とも、恋人とも楽しむことができる万人にオススメの一本。

映画『盲目のメロディ インド式殺人狂騒曲』の予告動画

映画『盲目のメロディ インド式殺人狂騒曲』の登場人物(キャスト)

アーカーシュ(アーユシュマーン・クラーナー)
盲目のピアニスト。しかし、それは単なる話題作りのための嘘。そんなある日、招待された屋敷で殺人事件に遭遇してしまう。
シミー(タブー)
演奏の依頼人であるプラモードの妻。アーカーシュが盲目であると信じ込んでいるため、彼の前で夫を殺害する。

映画『盲目のメロディ インド式殺人狂騒曲』のあらすじ(ネタバレなし)

アーカーシュは、プロのピアニストとして活動している人物。そんなアーカーシュは、目が見えない、『盲目のピアニスト』として大きな話題を呼んでいた。しかし、アーカーシュには大きな秘密があった。なんと、実は彼の目は見えていたのである。彼は話題作りのために、自分は盲目であると嘘をついていたのだ。そんなアーカーシュは、ある日演奏の依頼を受けたプラモードという富豪家へと向かっていた。しかし、なんとそこではプラモードの妻が、愛人と協力してプラモードを殺害している真っ最中だったのだ。アーカーシュは咄嗟に盲目のため何も見えていないフリをしてなんとかその場を切り抜ける。しかし、警察がその場に駆けつけてきた時、アーカーシュは更なる驚愕の事実を目にすることとなる。なんと、駆けつけてきた警察の署長こそが、今回の事件の犯人だったのだ!

映画『盲目のメロディ インド式殺人狂騒曲』の感想・評価

絶対にありえないとは言えない設定!?

ピアニストが盲目を偽って活動して、挙げ句の果てには殺人事件に遭遇してしまう。一見荒唐無稽な話のように思えるが、実はこれは『絶対にあり得ない』話ではないのではないだろうか。覚えている方も多いのではないだろうか。近年日本でも、プロの音楽家が自らの障害をでっち上げていたことが発覚して大きな話題となっている。その事件はピアニストではなく作曲家による捏造だったが、プロが話題獲得のためにそういったことをするのは、実際にあるのだ。人間の、そこまでするかという欲望には感心すら覚えてしまうが、一方で、嘘がバレないことは決してない。その嘘を隠すために必死に奔走する主人公と、そんな主人公に次々と襲いかかるハプニングの連続が滑稽で、思わず笑ってしまうこと間違いなし。

目まぐるしい展開

本作の大ヒットを支えたのは、何と言ってもそのぶっ飛んだ設定。主人公が盲目を偽っており、そんな主人公の前で殺人事件が起きてしまう。犯人を知っているが自身の嘘がバレてしまうため打ち明けることができない主人公。それだけでも、なんとも興味がそそる設定であるが、しかし、本作の魅力はそれだけではないのだ。実はその後、主人公が毒薬を盛られたり、誘拐事件が起こったり、臓器売買が絡んだり、立て続けに事件が起こっていく。その中で、誰が敵で味方が分からなくなり、どんどんと混乱していく。まさしく、騙し合いと裏切りの連続。そんな中で、最後に見事に全ての伏線を回収していく脚本は見事の一言。激しい騙し合い合戦を制し、勝利を収めるのは一体誰か。一緒に考えながら見たくなる一本。

主人公の葛藤

本来であれば、本作で起きた殺人事件ほど簡単に片がつくものもない。なぜなら、殺人の現場をバッチリ目にしている目撃者がいるのだから。しかし、本作を面白くしているのが、目撃者が『盲目である』と嘘をついているピアニストであるという点。勿論、彼が犯人を指摘すれば即事件解決なのだが、それをすることは、彼が今までついてきた嘘がバレてしまうということを意味している。即ち、彼のピアニストとしての人生が終わってしまうということ。果たして彼は、倫理観に則って嘘がバレることを厭わず真実を告げるのか、ピアニストとしてのキャリアを守るのか、はたまた誰も考えつかなかった第三の選択肢を作り出すのか。主人公の選択にも注目が集まる。

映画『盲目のメロディ インド式殺人狂騒曲』の公開前に見ておきたい映画

映画『盲目のメロディ インド式殺人狂騒曲』の公開前に見ておきたい映画をピックアップして解説しています。映画『盲目のメロディ インド式殺人狂騒曲』をより楽しむために、事前に見ておくことをおすすめします。

FAKE

先述した、ゴーストライターを立てていた上に耳が聞こえないという虚偽をしていたことが明らかになり大きな話題を呼んだ作曲家の真実に迫るドキュメンタリー作品。2014年に騒動となった例の事件よりも後の時期を撮影した作品で、現在の彼の様子を知ることができる貴重な作品となっている。事件以降、彼の家には数多くのジャーナリストやパパラッチが毎日のように押しかけていた。そして、メディアを遮断していた彼は、なぜか本作監督の依頼を受けることになる。本作の監督は、過去に『A』などを撮影した森達也。まさしく、ドキュメンタリー制作においては右に出る者はいないほどの人物。なぜ彼は、社会に衝撃を与えるほどの大胆な嘘をつき続けたのか。狙いを定めたパパラッチの恐ろしさも体感することが一本。

詳細 FAKE

ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日

主人公が盲目であることを利用し、彼の前で大胆と殺人を行ってしまった富豪夫人。そんな大胆不敵な女性を演じた女優タブーが、以前が出演しているのが本作。タブーが演じているのは、主人公であるパイの母親。本作は、第85回アカデミー賞にて11部門という圧倒的な数の部門でノミネートされ、さらにはその中の4つを受賞するという快挙を成し遂げた作品。パイが生まれたパテル家は、動物園を営んでいる一家だった。しかし、政府からの支援が打ち切られることが決まり、パテル家は動物園を畳むことになる。新天地を求め船に乗り込んだパテル一家。しかし、そんな一家を更なる悲劇が襲う。なんと、彼らが乗っていた船が海難事故に会い、乗客の殆どが命を落としてしまったのだ。ライフボートで助かったパイ。しかし、乗客は彼一人ではなかった。そのボートには、数多くの動物達が同乗していたのだった。

詳細 ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日

ステキな金縛り

本作と最新作の共通点は、犯人を知っている筈の目撃者がそのことを周囲に伝えられないという点。最新作の主人公は自分が盲目であると嘘をついているからで、本作はなんと、証言者が幽霊だから!!幽霊役を演じた西田敏行のチャーミングさも話題となった、現在『記憶にございません!』が公開中の三谷幸喜監督作。宝生エミは、やる事なす事全てがうまくいかない三流弁護士。そんな彼女は、ある日妻殺しの容疑で逮捕された矢部五郎の弁護を請け負うことになる。そして、矢部はなんと、事件当日は落ち武者の霊に跨られており身動きが取れなかったというアリバイがあるという。その事実を確かめるべく、彼が宿泊していた旅館に向かった宝生。そして、その幽霊は彼女の前に現れた!かくして、三流弁護士と落ち武者幽霊の、ドタバタ犯人探しが始まるのだった。

詳細 ステキな金縛り

映画『盲目のメロディ インド式殺人狂騒曲』の評判・口コミ・レビュー

映画『盲目のメロディ インド式殺人狂騒曲』のまとめ

第25回スター・スクリーン・アワードで最優秀監督賞、最優秀脚本賞、最優秀音楽賞、最優秀編集賞、第64回フィルムフェアで最優秀脚本賞、最優秀編集賞、最優秀スコア賞。その他様々な賞レースであらゆる賞を獲得したインドの新たな名作が、とうとう日本にやってくる。幅広い世代に受け入れられそうな軽快なテンポと、最後までオチを読ませない脚本は圧巻。『バーフバリ』シリーズや、『きっと、うまくいく』などに続く、新たなインド映画の代表作となること間違いなし。

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