映画『MUD マッド』の概要:14歳になるエリスは、ミシシッピ川の中州でマッドという指名手配犯と出会い、親友のネックボーンとともに、彼と恋人の逃亡劇を助けようとする。「ダラス・バイヤーズクラブ」でオスカーを受賞したマシュー・マコノヒーが、この作品でも見事な役作りを見せている。
映画『MUD マッド』の作品情報
上映時間:130分
ジャンル:青春、ヒューマンドラマ
監督:ジェフ・ニコルズ
キャスト:マシュー・マコノヒー、タイ・シェリダン、サム・シェパード、マイケル・シャノン etc
映画『MUD マッド』の登場人物(キャスト)
- マッド(マシュー・マコノヒー)
- 逃亡中の指名手配犯。幼なじみの恋人を傷つけた男を銃殺し、警察と殺した男の家族に追われている。ミシシッピ川の中州に隠れていたところをエリスたちに発見され、彼らに逃亡の助けを求める。
- エリス(タイ・シェルダン)
- ミシシッピ川のボートハウスで、両親と暮らしている14歳の少年。愛は永遠に続くものと信じており、ジュニパーとの愛を貫こうとしているマッドを助ける。両親は離婚しかけている。
- ネックボーン(ジェイコブ・ロフランド)
- 通称ネック。エリスの親友。両親のいない孤児で、川に潜って貝をとっているゲイレン叔父さんと暮らしている。手先が器用で、自分で修理したバイクに乗っている。
- ジュニパー(リース・ウィザースプーン)
- マッドの幼なじみ。マッドのことを愛していると言いながら次々と男を作り、困ったことがあるとマッドを頼る。今は町のモーテルに身を隠している。
- トム・ブランケンシップ(サム・シェパード)
- エリスのボートハウスの向かいに住む老人。両親のいないマッドを我が子同然に育ててきた。元海兵隊の狙撃手。出産の時に妻と子供を亡くし、それ以来独身を貫いている。
映画『MUD マッド』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『MUD マッド』のあらすじ【起】
アーカンソー州の川沿いで暮らす14歳のエリスと親友のネックは、家族に内緒でミシシッピ川の中州へ向かい、洪水で木の上に引っかかったままになっているボートを見にいく。2人はそのボートを秘密基地にしようと思っていたが、すでに誰かがここで暮らしているようだった。
ボートを根城にしていたのは、マッドという中年の男で、この中州を離れられない理由があるらしかった。マッドは、食べ物を運んでくれたらボートを譲ると約束してくれ、エリスはその取引に応じることにする。
自宅へ帰ったエリスは、家にあった缶詰などをリュックに入れ、再びネックと中州へ渡る。約束を守ったエリスたちをマッドは信用し、ここでジュニパーという恋人が来るのを待っているのだと教えてくれる。ジュニパーはマッドの幼なじみで、命の恩人でもあった。
翌日、エリスとネックは、スーパーへ入っていくジュニパーらしき女性を見かける。その女性には、マッドが言っていた通り、手に鳥のタトゥーが入っていた。
その夜、エリスは父親から、両親が離婚するかもしれないという話を聞く。エリスたちが暮らしているボートハウスは、母親が祖父から相続したものなので、母親が町へ引っ越せば、行政に解体されてしまう。ここでの暮らしを気に入っているエリスは、両親の身勝手さに腹を立てる。
エリスは夜中に家を抜け出し、マッドのところへ行く。マッドは、食料を持ってきたエリスを歓迎してくれる。マッドはエリスの話を、親身になって聞いてくれた。エリスからジュニパーの居場所を聞いたマッドは、明日彼女に会いに行くことにする。
映画『MUD マッド』のあらすじ【承】
翌日、母親と車で買い物へ出たエリスは、州道で警察の検問に止められる。警察が指名手配犯として捜していたのは、マッドだった。エリスは検問のことを知らせるため、ネックと中州へ急ぐ。
マッドは2人に、指名手配されている理由を話してくれる。マッドはジュニパーを弄んで流産させ、子供の産めない体にした男を撃ち殺していた。マッドとジュニパーが助かるためには、木の上のボートを修理してメキシコ湾へ出るしか方法がなく、マッドは2人に協力して欲しいと頼む。エリスは無条件でやるつもりだったが、ネックはマッドの拳銃をもらうという条件付きで、ボートの修理を手伝うことにする。さらにマッドは、エリスの家の前のボートハウスで暮らすトムという老人を呼んできて欲しいと頼む。
トムは町の人々から孤立した存在で、エリスも話したことがなかった。しかし“マッドからの伝言だ”と言うと、トムは一緒に来てくれる。
トムは、マッドがジュニパーの男を殺したと知り、怒って帰ってしまう。マッドを叱るトムの姿は、まるで父親のようだった。マッドは仕方なく、ジュニパーへの伝言をエリスに託す。
エリスとネックは魚売りを装って、ジュニパーが滞在しているモーテルへ向かう。そこで女性の悲鳴を聞き、その部屋に飛び込む。部屋には男に殴られているジュニパーがいて、彼女を守ろうとしたエリスは男に殴られる。その男は、マッドの居場所を捜していた。
男が部屋を出た後、エリスはジュニパーにマッドからの手紙を渡す。手紙には“待っていろ”と書かれていた。ジュニパーは“待つと伝えて”と微笑み、危ないからこれ以上この件に関わらないようエリスに忠告する。
映画『MUD マッド』のあらすじ【転】
エリスとネックは、ボートの修理に必要なものを揃え、マッドに届ける。その時、ジュニパーが男に殴られていた話をする。それを聞いてマッドは激怒し、その男が殺した男の兄であることを教えてくれる。マッドが殺した男の父親はマフィアのボスで、賞金稼ぎの連中を集め、血眼になってマッドの行方を追っていた。
エリスは、高校生のメイ・パールをしつこい男から救ったことがあり、彼女とデートの約束をしていた。エリスが“彼女になって”と告白すると、メイ・パールは彼の頰にキスしてくれる。エリスはそれをオッケーの返事だと思い込む。
トムはエリスを自宅に呼び、ジュニパーはこうなることがわかっていて、マッドを窮地に追い込んだのだと話す。マッドの親代わりをしてきたトムは、ジュニパーに振り回されるマッドを見てきた。しかしエリスは、“2人は愛し合っているし、うまくいく”と反論する。両親の不仲に傷ついていたエリスは、マッドとジュニパーの愛は本物だと信じたかった。
ボートの修理はほぼ完了し、あとはエンジンを取り付けるだけとなる。マッドは、明日ジュニパーと逃げることに決め、エリスに彼女への伝言を頼む。エリスはジュニパーに電話をかけ、“明日5時に部屋から出てきたところをネックがバイクで拾う”と伝える。町には賞金稼ぎたちが集まり、ジュニパーの動向を探っていた。
船のエンジンは、中古部品屋から盗み出し、翌日マッドに届けることにする。エリスの家の前には、トムからと思われるマッドへの差し入れと現金が置かれていた。
翌日の5時。ジュニパーは計画を無視して、近所のバーにいた。エリスとネックは、そこで酒を飲みながら男といちゃついているジュニパーを見る。ジュニパーの裏切り行為を目の当たりにし、エリスは強いショックを受ける。
映画『MUD マッド』の結末・ラスト(ネタバレ)
エリスとネックはマッドにエンジンを届け、真実を伝える。マッドは黙ってその話を聞き、エリスを家に帰す。
翌日、エリスはエンジンを盗んだことで父親から厳しく叱られる。そのことで両親が喧嘩になり、エリスは暗い気持ちになる。
エリスとネックはマッドのところへ行ってみる。マッドは自暴自棄になっているようだった。そしてエリスにジュニパーへの伝言を託す。ネックはエンジンの修理を手伝う。
エリスはジュニパーに手紙を渡す。ジュニパーは、“彼を愛しているけど、一生彼と逃げるのは嫌”と話す。マッドの手紙には“終わりだ”と書かれており、ジュニパーは“わかった”と伝えて欲しいとエリスに頼む。
エリスは、マッドがジュニパーとの愛を諦めてしまったことにショックを受けていた。さらにメイ・パールにも振られてしまい、ボロボロの状態で中州へ行く。
エリスはマッドに怒りを爆発させ、やみくもに走って毒ヘビのいる小川に落ちてしまう。マッドはすぐにエリスを助け出し、危険も顧みず、自ら町の病院へ運ぶ。病院側は、エリスを預けて姿を消した男が指名手配犯だと気付き、警察に通報する。
買収していた警察から連絡を受け、マフィアたちも動き出す。マッドは捜査の目をかいくぐり、ジュニパーのいるモーテル前に姿を現す。マッドとジェニパーは、無言で別れの挨拶をする。
夜、エリスは自宅のベッドで目覚める。マッドのおかげで、エリスは命を落とさずに済んだ。マッドは逃げる前にどうしてもエリスに会いたくて、川からエリスの部屋へ忍び込む。しかしエリスの家は、マフィアに見張られていた。
マフィアたちは一斉に襲撃を開始し、エリスの自宅で激しい銃撃戦が始まる。トムは対岸からマフィアを撃ち殺していく。マッドはエリスをかばいながら応戦していたが、川へ飛び込もうとした瞬間、腹を撃たれる。
この銃撃戦でマフィアは全滅し、マッドは行方不明になる。トムはいつの間にか姿を消し、エリスのボートハウスは解体される。
両親は別居し、エリスは母親と町のアパートへ引っ越す。エリスは、マッドから愛していても結ばれないこともあるということを学び、少し大人になっていた。
姿を消したトムは、ボートでミシシッピ川を下り、メキシコ湾にたどり着いていた。ボートには、密かに救われたマッドも乗っており、2人は晴れ晴れとした表情で広い海を見る。
映画『MUD マッド』の感想・評価・レビュー
少々複雑な家庭で暮らす少年2人と、訳あって離れ小島でとある計画を進める男のヒューマンドラマです。思春期の少年の初恋や、惚れた幼馴染のために奮闘する男の、それぞれの愛が描かれています。男性の純粋さや弱さ、女性の心の強さが3人の行動と絡み合い、ややほろ苦い結末へと向かいます。また、そんな経験を共有した3人の友情や、周囲の人間との関わりなども丁寧に描かれていて、綺麗に1つの物語になっています。しみじみとした気分になりたい日にお勧めの上質な作品です。(男性 20代)
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