映画『泣きたい私は猫をかぶる』の概要:突拍子もない行動をすることで、クラスでは無限大謎人間と呼ばれている美代。実は、彼女には誰にも言えない秘密がある。面を被ることで猫になれる彼女は、密かに片思いする少年へと会いに行っているが、いつしか猫と人間との境が曖昧になってしまう。
映画『泣きたい私は猫をかぶる』の作品情報
上映時間:105分
ジャンル:ファンタジー、青春、アニメ
監督:佐藤順一
キャスト:志田未来、花江夏樹、寿美菜子、小野賢章 etc
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映画『泣きたい私は猫をかぶる』の登場人物(キャスト)
- 笹木美代 / 太郎(志田未来)
- 無限大謎人間を略してムゲと呼ばれている。いつも明るく突拍子もない行動をしてしまうが、実は辛いことを胸の奥に隠し周囲に酷く気を遣って生活している。クラスメイトの日之出賢人に片思いをしており、猫の面で猫になり賢人へと会いに行っている。
- 日之出賢人(花江夏樹)
- ムゲのクラスメイトでクール。祖父がやっている陶芸工房にて修行し、陶芸家を目指している。優秀な成績でムゲからの猛烈なアタックを躱し続けている。実は動物が大好き。
- 深瀬頼子(寿美菜子)
- ムゲの親友。小学校の頃から友人関係にあり、ムゲの家庭の事情なども知っている。絶対的にムゲの味方をすると決めており、正道と良い雰囲気になる。
- 伊佐美正道(小野賢章)
- 賢人の友人で傍観者という立場ではあるが、事情を聞いて同情してくれる。頼子となぜか良い雰囲気になる。
- 猫店主(山寺宏一)
- お面屋を経営しており、人間が猫になれる面を売っている。大柄で体格が良い。猫になった人間の寿命を交渉材料にし、人間になりたい猫にも面を売りつけている。阿漕な商売人。
映画『泣きたい私は猫をかぶる』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『泣きたい私は猫をかぶる』のあらすじ【起】
突拍子もない行動ばかりをして無限大謎人間、略してムゲと呼ばれている笹木美代。中学2年生である彼女は、妄想が逞しく同級生でクラスメイトの日之出賢人に片思いしていた。普段は学校で賢人ばかりを追い回すため、現在は彼から無視されてしまっている。そんなムゲだったが、実は誰にも言えない秘密を持っていた。
学校ではクールな賢人に父親はおらず、帰宅すると祖父が営む陶芸工房で陶芸の修行をしている。彼はふらりと立ち寄る野良猫の太郎をとても可愛がっており、わざわざ手作りの餌を作ってご馳走しているのだった。
だが、その太郎こそムゲが変身した姿である。彼女は不思議な猫の面を持っており、それを身に着けることで真っ白な猫に姿を変える。太郎という名は以前、日之出家で飼っていた犬の名前らしい。祭りの日、賢人は太郎と出会った。
同じ祭りの日、ムゲは不思議な世界へ迷い込み、大柄な猫のお面屋の店主と出会い猫の面を手に入れた。以来、ムゲは猫になってこっそり賢人へと会いに行っている。
それなのに、猫ではないムゲにはいつもつれない賢人。そんなある日、賢人の悪口を言っているクラスメイトを発見したムゲは、親友の深瀬頼子の制止も聞かず学校の渡り廊下がある2階から飛び降りて文句を言ってやる。騒ぎを聞きつけ駆け付けた賢人は、ムゲを保健室へ連れて行き弁当を半分分けてくれるのだった。
その日の夕方、再び太郎になって賢人の家を訪ねたムゲだったが、賢人の祖父が工房を閉めるという話を聞く。そのせいで賢人が落ち込んでしまったため、ムゲは彼に会わずに帰った。夕食後、太郎になってもう1度賢人の元へ向かうと、彼は工房で陶芸の修行をしていた。賢人は母に陶芸を続けたいと言えなかったことを悔いていたが、進学校を変更することで陶芸を続けようと考えているらしい。
映画『泣きたい私は猫をかぶる』のあらすじ【承】
ムゲが小学生の頃、両親が離婚した。彼女は父親に引き取られることになり、新たに迎えられた若い義母の3人で暮らしている。義母はムゲと距離を縮めようと努力しているようだが、ムゲは彼女を受け入れることができずにいるのだった。あの祭りの日、猫になったムゲは賢人と出会ったことで救われたのだ。故に、ムゲは彼の力になりたいと考えておりあの日以来、熱烈なアピールをしているのだった。
猫店主はそんなムゲに猫の面を与え、彼女から人間の面を奪おうとしている。猫になる度に現れ、完全な猫になってしまえと唆してくるのだが、ムゲは必死に突っぱねていた。
翌朝、真面目な思いを記した手紙を賢人へと渡そうとしたムゲ。ところが、クラスメイト達によって、手紙を読まれるという辱めを受けてしまう。ムゲは教室内で暴れて奴らをこらしめたが、賢人はムゲの手紙を握り潰し大嫌いだと告げてしまうのだった。ショックを受けたムゲは教室を飛び出して行く。頼子が後から駆け付けくれたが、本人よりも泣いていたため、ムゲは満足に泣くこともできなかった。
放課後に帰宅したムゲはようやく失恋に泣き暮れたが、そこへ心配した義母が部屋を訪れる。実母のことが大好きだったムゲは義母と父に鬱屈した思いを怒鳴り散らし、猫になって家から飛び出してしまうのだった。公園にて再び泣き暮れた後、賢人の家を訪ねたムゲは、そのまま夜を明かしてしまう。
翌朝、登校時間を過ぎて目覚めたムゲの前に猫店主が現れる。失意を抱えた彼女は猫のままでいいと思ってしまい、人間の面が剥がれ落ちてしまう。猫店主はムゲの面を手にし、中身まで完全な猫になったらいい所に連れて行くと告げ、去って行った。
その頃、学校ではムゲが家出したことが問題になっていた。校長室にはムゲの父と義母が来ていて、賢人と頼子が呼び出される。頼子は心からムゲを思っていて、自分の所に来てくれていたら絶対に味方すると告げた。
校長室から解放された賢人は小学校からの親友、頼子からムゲの家庭事情を聞く。ムゲは突拍子もない行動の裏で、弱音を吐かず辛いことも明るさで隠してしまう子なのだった。
一方、ムゲが家出したと知らせを聞いた実母がやって来て義母と大喧嘩してしまう。家に帰ることもできないムゲは、猫のまま近くの神社へ身を寄せた。そこで、ムゲを探す頼子を発見し、賢人が自分を捜していると知る。
映画『泣きたい私は猫をかぶる』のあらすじ【転】
帰宅した賢人と共に行動することにしたムゲ。どうやら自分がいなくなったことで騒ぎになっているらしい。賢人は太郎になら本音を話してくれる。彼はどうやら本当のムゲを知って自分が大嫌いと言ってしまったことを後悔しているようだ。ところが、彼の独白が途中から聞こえなくなってしまう。人間性を失い本物の猫になるということは、人間の言葉も分からなくなるということなのだろう。
家出騒動からムゲが帰って3日。それまで突拍子もない行動をしていた彼女が、まともになったことで頼子も賢人も彼の親友である伊佐美正道も違和感を覚えていた。だが、ムゲ自身は太郎として存在している。ムゲの面を被った何者かがムゲとなって人間の生活を送っている。その正体は、義母が飼っているきなこという猫だった。
きなこは幼い頃から義母に育てられ、ムゲになって義母の傍にずっといたいらしい。彼女はまだ半分が猫なので、太郎となったムゲに事情を明かした。すでに人間の言葉が分からないムゲは、きなこと話している内にあっちの世界の道が見えるようになってしまう。赤い道を辿れば、猫店主がいるあっちの世界へ行けるらしい。
道を進み小さな鳥居に辿り着いたムゲだったが、猫店主に止められてしまう。猫店主は次の夏祭りの日にムゲは完全な猫になると言う。彼女は人間に戻るため、猫店主の後を追ってあっちの世界へと渡ってしまうのだった。
一方、頼子に夏祭りへ誘われたきなこは、義母が未だに落ち込んでいることに心を痛めていた。猫の自分が戻らないことで気落ちしているのだ。そこで、彼女は必死に励ましたが、義母は悲しい笑みを浮かべるばかり。きなこは賢人の元へ向かい自分がムゲではないことと、猫であることを明かした。きなこはムゲの事情も全て話し、ムゲを助けて欲しいと頼む。
映画『泣きたい私は猫をかぶる』の結末・ラスト(ネタバレ)
きなこに連れられあっちの世界、いわゆる猫の世界である猫島へ。夏祭りがあるその日は猫島のご神木が目覚めるため、人間が猫になれる日なのだと言う。
その頃、白猫のムゲは猫島で猫店主を必死に探していた。そこで、元人間だった猫が集まる酒場へと案内される。
同じ頃、きなこに連れられ猫店主の店へやって来た賢人。猫面を被らされたものの、なぜか変わったのは両手だけだった。きなこはムゲの寿命を猫店主と半分ずつ分け合うという条件で、ムゲに成り代わったのだが、猫店主によって店に閉じ込められてしまう。
人間から猫になった人たちは人間でいることに耐えられず、逃げて来た人ばかりだった。だが、そこへ猫店主が現れる。奴から賢人ときなこが猫島に来ていると知らされ愕然とするムゲ。ところが、元人間の猫たちが助けてくれたため、無事に逃れることができた。
無事にお面屋へ辿り着いたムゲは、賢人ときなこを救出。きなこはムゲの面を返してくれたが、面を被ってもムゲが人間に戻ることはできなかった。
突如、妨害から逃れて現れた猫店主によって、攫われてしまったムゲ。じきにご神木が目覚めてしまう。目覚めればムゲはもう二度と人間に戻ることはできない。急いで後を追いかけた賢人。ムゲが人間に戻れなかったのは、人間に戻っても幸せな未来が描けないかららしい。暴れたムゲは猫店主から逃れ、ご神木へ向かっている賢人を追いかけた。
賢人もムゲも互いに名前を呼び合いつつご神木へ。そこで、賢人は木登りをしているムゲの元へ飛び降り、共に帰ろうと言う。賢人は猫を抱えて走り出した。しかし、そこへ猫店長が再び現れる。奴は賢人の寿命も奪おうと考え、1人と1匹を捕らえご神木の鳥居へと飛んで行ってしまう。2人はその場所が互いに出会った場所とよく似ていることに気付く。賢人はムゲがいない世界は考えられないと呟き、2人で猫店主へと襲い掛かる。すると、とうとう花が満開となり、ご神木が目覚めてしまう。
ムゲは猫店主によって寿命を抜き取られてしまい、賢人が奪い返そうとする。その姿を目にしたムゲは全て自分のせいだと気付く。2人は猫店主へと抗ったが、敵うはずもなく。しかし、そこへ元人間の猫たちが助けに入り猫店主をやっつけてくれた。賢人はムゲへと寿命を返し、自分の気持ちを告白。2人ときなこは世話になった猫たちにお礼を言って、人間世界への帰路に就いた。
無事に人間に戻ることができた賢人とムゲは、猫島が眺められる丘の上で街を眺望し、手を繋いで互いの気持ちを確かめ合う。そうして、無事に家へと帰るのであった。
映画『泣きたい私は猫をかぶる』の感想・評価・レビュー
『ペンギン・ハイウェイ』を制作したスタジオコロリオが長編アニメーション映画、第2弾として制作した作品。猫の世界を通して、ヒロインが自分を見つける青春ファンタジー。
ヒロインはいつも明るく謎行動ばかりしてしまう少女。両親の離婚に納得できず義母を受け入れられずにおり、内心では周囲を嫌っている。周囲に気遣って生活をしているが、明るく振る舞い突拍子もない行動で内心を隠している。親友にすら心を明かさない彼女はある意味、不器用かもしれない。猫になれるというファンタジー要素を加えることで、立ち直るきっかけを与え、分かりやすく演出している。猫世界の猫島があるなら、行ってみたい。爽やかでちょっと胸に染みる作品。(MIHOシネマ編集部)
ゆるく可愛くも、なんとも切ないアニメーション映画。
クラスメイトから無限大謎人間と呼ばれる程、お調子者で明るい少女だが、実は心に深い闇を抱えている。そんな少女が元気に振る舞い、好きな人の前では猫になり甘え、時に切ない本音をもらす。観ているといつの間にか感情移入してしまい、少女を応援したくなってしまう。
日常生活でどうしようもなく辛いときや悲しいとき、猫になりたいと思ったことはないだろうか。アニメーションらしい内容ではあるものの、色々な思いを募らせてしまうなんとも素敵な作品である。(女性 20代)
可愛い猫達がたくさん登場する作品ではあるが、ストーリーは深く考えさせられるものだった。笹木美代の気持ちは、多くの人が理解できるものだと思う。みんな大なり小なり辛いことを胸に秘めながら、明るく振る舞っていると思う。美代達と同じ同世代だけでなく、大人の心にも響く物語だった。
人間として生きる希望が持てず、猫になりたいと思ってしまう気持ちはなかなか切ないなと思った。実際自分だったらどうするだろうと考えた。人間の言葉が分からなくなって、大切な人と会話できないのは淋しいかもしれない。(女性 30代)
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