東京建電では営業部長・北川誠の指導の下、「結果主義」が用いられていた。営業一課課長の坂戸宣彦は、トップセールスマンとして会社に貢献していた。ある日、万年係長の八角民夫が、坂戸をパワハラで訴えた。坂戸は左遷させられることになる。
映画『七つの会議』の作品情報
- タイトル
- 七つの会議
- 原題
- なし
- 製作年
- 2019年
- 日本公開日
- 2019年2月1日(金)
- 上映時間
- 119分
- ジャンル
- ヒューマンドラマ
ミステリー - 監督
- 福澤克雄
- 脚本
- 丑尾健太郎
李正美 - 製作
- 伊與田英徳
- 製作総指揮
- 不明
- キャスト
- 野村萬斎
香川照之
及川光博
片岡愛之助
音尾琢真
藤森慎吾
朝倉あき
岡田浩暉 - 製作国
- 日本
- 配給
- 東宝
映画『七つの会議』の作品概要
池井戸潤原作の経済小説を元に作られた作品。池井戸原作ドラマに携わったことがある監督や俳優達が集結し、重要無形文化財「能楽」保持者に認定された野村萬斎が主演を務めている。また、ノーベル文学賞を受賞したボブ・ディランの『メイク・ユー・フィール・マイ・ラヴ』が主題歌に起用されており、重厚な物語に花を添えている。中堅の電機メーカーで働いている社員達の姿が描かれており、「パワハラ問題」や「企業犯罪」など現代の働く全ての人にも突き刺さる内容になっている。
映画『七つの会議』の予告動画
映画『七つの会議』の登場人物(キャスト)
- 八角民夫(野村萬斎)
- 東京建電・営業一課。万年係長。通称「ぐうたら社員」。最低限の仕事しか行わない。
- 北川誠(香川照之)
- 東京建電・営業部長。「結果主義」の方針の下、部下にノルマをこなすよう強制している。
- 原島万二(及川光博)
- 東京建電。坂戸が左遷したことにより、営業一課課長に就任する。平凡な男。
- 坂戸宣彦(片岡愛之助)
- 東京建電・営業一課課長。トップセールスマンとして活躍している。八角にパワハラを訴えられ、左遷することになる。
- 浜本優衣(朝倉あき)
- 東京建電・営業一課員。寿退社を控えている。坂戸の左遷に疑問を抱く。
映画『七つの会議』のあらすじ(ネタバレなし)
北川誠は東京建電に勤め、営業部長の職に就いていた。北川は「結果主義」の方針の下、売って売って売りまくれと部下達にノルマを強制していた。営業一課課長の坂戸宣彦はそんな北川のやり方にもめげず、トップセールスマンとして会社に貢献していた。一方、万年係長の八角民夫は、会議にも積極的に参加せず「ぐうたら社員」として最低限の仕事しか行わなかった。
坂戸は八角の態度を疎ましく思い、お荷物は生きている価値がないのだと詰った。八角はパワハラを受けたとして、坂戸を訴えた。その結果、坂戸に左遷命令が下った。その不可解な人事に、誰しもが首を傾げた。坂戸に変わって、万年二番手だった原島万二が課長に着任することになった。
営業一課員の浜本優衣は坂戸に起きた不可解な人事に疑問を抱き、原島と共に八角のことを調べてみることにした。そして、八角に関わった者達が、皆別の部署に飛ばされていることを知る。八角は一体何を隠しているのだろうか。
映画『七つの会議』の感想・評価
原作者・池井戸潤
本作品は『下町ロケット』や『空飛ぶタイヤ』などの原作者で知られている、池井戸潤の経済小説を元に作られている。2013年にはテレビドラマ化が行われており、ジャニーズに所属する東山紀之が主演を務めた。ドラマ版では本作で及川光博が演じている、原島万二が主人公になっている。
本作品は中堅の電機メーカーで働いている社員達の姿が描かれている。「パワハラ問題」や「行き過ぎた結果主義の指導」など、現代の会社でも問題になっていることが取り上げられている。池戸は飲食店で偶然聞いたサラリーマンの話から着想を得て、本作品を書き上げている。会社で働いている人達の胸に突き刺さるような場面や言葉が、たくさん散りばめられている。
池井戸原作のドラマに出演している俳優達が集結
池井戸原作のドラマに出演経験がある俳優達が集結している。結果主義の下、部下にノルマを強制する営業部長・北川誠を演じるのは、TBS系列の連続ドラマ『半沢直樹』で「第78回ザテレビジョンドラマアカデミー賞・助演男優賞」を受賞した香川照之である。香川が演じる役は物語の中でも重要な位置におり、主演の野村萬斎との緊迫したやり取りがある。
その他にも『半沢直樹』に出演していた及川光博、片岡愛之助、北大路欣也。TBS系列の連続ドラマ『陸王』に出演していた音尾琢真などが登場する。池井戸原作のドラマならではのリアルで重厚感がある作品に出演していた俳優達が集結しているため、本作でも物語の雰囲気を損なわず、社員同士の緊迫感溢れるやり取りがしっかり感じられる作品に仕上がっている。
ボブ・ディランの楽曲を主題歌に起用
福澤克雄監督は池井戸原作のドラマを多数手がけた人物で、『半沢直樹』のブレイクで一躍有名になった人物である。『半沢直樹』以前にも数多くの名作を生み出しており、豊川悦司と常盤貴子が主演を務めたことでも話題になった『愛していると言ってくれ』やジャニーズ所属の中居正広が主演を務めた『砂の器』などがある。
本作品で特に注目してもらいたいのは、ノーベル文学賞を受賞したボブ・ディランの『メイク・ユー・フィール・マイ・ラヴ』が主題歌に起用されていることである。プロデューサーの伊與田英徳が約1年かけて交渉を行い、今回の楽曲の起用が実現した。『メイク・ユー・フィール・マイ・ラヴ』は90年代に発売されたアルバムに収録されている曲のため、知っている人も多いと思う。ぜひストーリーと合わせて、主題歌にも注目してもらいたい。
映画『七つの会議』の公開前に見ておきたい映画
私は貝になりたい
福澤克雄初監督作品。中居正広が主演を務めた。1958年にフランキー堺が主演を務め、初めてドラマ化された。その後、1959年にフランキー堺が主演・監督・脚本を担当し、映画版が公開された。そして、1994年に所ジョージが主演を務め、リメイク版のドラマが放送されている。
清水豊松は兵士として招集され、戦場へと駆り出されることになる。昭和21年。無事に家族の元へと帰った豊松は、妻や子供達と穏やかな暮らしを送った。そんなある日、戦犯容疑で逮捕されることになった。その罪とは、アメリカ兵の殺害だった。豊松は怪我を負わせただけのため無実を訴えたが、聞き入れてはもらえなかった。妻の清水房江は夫を救うため、必死に署名を集めた。
詳細 私は貝になりたい
陰陽師 ~おんみょうじ~
野村萬斎の代表作。夢枕獏原作の伝奇小説『陰陽師』を元に、映画版ならではのオリジナルストーリーが描かれている。2003年には続編となる『陰陽師II』が公開されている。狂言方和泉流の能楽師である野村萬斎が安倍晴明を演じており、「第25回日本アカデミー賞・新人俳優賞と優秀主演男優賞」を受賞している。
右近衛府中将・源博雅はひょんなことから陰陽師・安倍晴明に出会い、交流を持つようになった。そんなある日、帝と女御任子との間に産まれた子供・敦平が原因不明の病に罹ってしまう。源博雅は安倍晴明に助けを求めた。安倍晴明は敦平の命を救うため、人魚の肉を喰らって永遠の命を手に入れたと言われている青音の手を借りることにした。
詳細 陰陽師 ~おんみょうじ~
空飛ぶタイヤ
池井戸潤原作の小説を元に作られている。池井戸初の映画化作品。『七つの会議』にも出演している木下ほうかが、ホープ自動車の品質保証部部長・柏原博章を演じている。主演を務めたのは、TOKIOのメンバーである長瀬智也。2009年にWOWOWでテレビドラマ化されており、仲村トオルが主演を務めた。
ある日、1台のトレーラーが脱輪事故を起こした。赤松運送会社は整備不良を疑われ、警察から捜査されることになる。赤松運送会社の社長である赤松徳郎はトレーラーの製造不良を疑い、製造元であるホープ自動車に再調査を依頼した。果たして、事故なのか事件なのか。赤松は世間からのバッシングに耐えながら調査を進めた。その先にあったのは、巨大企業が隠す闇だった。
詳細 空飛ぶタイヤ
映画『七つの会議』の評判・口コミ・レビュー
七つの会議
組織の暗黙のルールに従うのか抗うのか。
大半は耐えながら前者を選択するが八角みたいに正義の為に抗う人がいても良いなと。
ハ角は影の必殺仕事人でかっこいい!
キャスト陣も凄く豪華。
及川光博、藤森慎吾辺りが特に。
野村萬斎の不敵な笑みたまらん!
日本の労働者は必見です。 pic.twitter.com/XlVIESdb65— ディーン・フクヤマ (@masuyou1005) 2019年2月2日
「#七つの会議」
超豪華俳優陣の濃厚で圧巻の顔芸!w
一人一人のキャラ設定もしっかりしてて👍
会社体質の闇と社会的問題にメスを入れ濃厚且つ重圧に描きつつもクスッと笑えるシーンもあり観やすかった。
起承転結の重量感やテンポも丁度よく、どんでん返しも素晴らしかった✨ pic.twitter.com/anZySDrKku— 零@映画垢🎬🐉 (@silentwater04) 2019年2月2日
“七つの会議”
シリアスな、池井戸潤原作映画”空飛ぶタイヤ”と変わって、歴史の中育まれた、日本人の、組織優先の負の特性を笑い飛ばす、ブラック・コメディ。其を、狂言と云う、日本の伝統文化を担う、野村萬斎が主演を勤めるのも面白い。この特性を変えられればって思うのは、ポジティブ過ぎかな? pic.twitter.com/8xvI3mZ655— 常山の住職 (@CinemaCLAIRfan) 2019年2月2日
『#七つの会議』
面白いっちゃ面白いし役者陣の怪演は見所。
でもこれを映画と呼んでいいかは微妙なところ。映画ならなんでも台詞で説明しないで少しは映像的に語ってほしい。
『マスカレード・ホテル』といい『十二人の死にたい子どもたち』といいテレビ局は映画を作る気ないのか? pic.twitter.com/ahTN3gKS9e— ヨッシー/映画当たり屋CH (@kurono_dran) 2019年2月2日
『七つの会議』鑑賞。リアリティさが欠如したクセの強い俳優陣による過剰演技合戦に最初戸惑ったものの、それに慣れさえすれば一切隙を与えさせないほどのテンポの良さと二転三転するスリリングな展開で最後まで夢中になって観てしまった。元祖TOHOシネマズのナビゲーターである朝倉あきも超良かった。 pic.twitter.com/VQ6anakR5h
— 飯間 (@iima1115) 2019年2月2日
映画『七つの会議』のまとめ
「パワハラ問題」や「部下へのノルマ強制」など、現代社会でも問題になっていることが作品内に盛り込まれており、社会派ドラマとしての要素がある。またそれだけではなく、主人公の八角や会社が何かを隠している様子が見られるため、ミステリーとしての要素も併せ持った作品になっている。ホラーとはまた違った、人間が内面に秘めている残酷さや怖さがうまく表現されている作品である。原作者の池井戸潤のファンだけではなく、全ての大人達が楽しめる作品になっている。
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