映画『何者』の概要:就活生となった拓人。事あるごとにSNSを更新し、書き込むことで優越感に浸っている。だが、友人の就活が順調に進んでいく中、本当の自分を見失い、負のスパイラルに陥っていく。
映画『何者』の作品情報
上映時間:98分
ジャンル:ヒューマンドラマ、青春
監督:三浦大輔
キャスト:佐藤健、有村架純、二階堂ふみ、菅田将暉 etc
映画『何者』の登場人物(キャスト)
- 二宮拓人(佐藤健)
- 光太郎達と一緒に就活を進める大学生。事あるごとにSNSを更新し人を分析する。過去演劇部に所属していたが、就活を機に芸の道を諦める。
- 神谷光太郎(菅田将暉)
- 拓人と一緒に住む学生。天真爛漫で人から好かれる性格。元バンドマン。
- 田辺瑞月(有村架純)
- 拓人や光太郎の友人。物腰柔らかい女性。光太郎とは昔付き合っていた。
- 小早川理香(二階堂ふみ)
- 瑞月の友人。自分の家を就活対策本部として拓人達に貸すなど就活に懸ける気持ちが強い。
- 宮本隆良(岡田将生)
- 理香の彼氏。芸術思考が強いため、就活する人を下に見る傾向がある。
- サワ先輩(山田孝之)
- 拓人のバイト先にいる先輩。人を見る目が穿っている拓人に厳しく注意する等、常識がある人間。
映画『何者』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『何者』のあらすじ【起】
就活をしている拓人は、ライブハウスへやってきた。ライブハウスでは友人で同居人である光太郎がボーカルを務めるバンドの解散ライブが行われていた。
光太郎のライブの模様を見ていると友人で留学していた瑞月と出会う。彼女に好意を持っていた拓人は、照れくさそうに会話をする。だが、会話を終えるとすぐにSNSをチェックするなど、拓人は事あるごとにスマホを弄る癖があった。
ある日、拓人と光太郎の家のインターホンが鳴る。扉を開けると瑞月がいた。瑞月は友人が拓人達の住むアパートの上階に偶然住んでいたため立ち寄った。
瑞月からの誘いもあり、瑞月の友人である理香の家に挨拶しに行く。理香も拓人達と同じく就活生であった。仲良くなった彼らは理香の部屋を就活対策本部として、みんなで就活に関する対策を行う場とすることを決める。
拓人達が理香の部屋で就活に向け準備していたところ、理香の彼氏である隆良が帰宅する。拓人達とは異なり隆良は、会社に縛られずに自由に生きたいという理由で就活を行っていなかった。隆良とは相性が合わないことを実感しつつも拓人達は各々就活に向け理香の部屋で進めるのであった。
映画『何者』のあらすじ【承】
SNSが主流の時代、情報は簡単に手に入るようになっていた。理香は企業担当者やOBと名刺交換しSNSで接触する等インターネットツールを駆使していた。だが、拓人や光太郎は理香の必死過ぎる就活への思いに若干引いていた。
拓人は就活の間も頻繁にツイッター等のSNSを使用していた。特に昔演劇部に同じ演劇部に入っていた鳥丸ギンジのツイッターのチェックしていた。彼は就活はせずに役者業一本で飯を食う気でいた。ツイッターでも度々役者業に関するツイートをするギンジに対し、拓人は現実を見ろと否定的な意見をLINEで送る。
ギンジの役者業にかける想いに冷めた態度をとっている拓人にとっては芸術思考の隆良も同様冷めた目で見ていた。そのことをバイト先の先輩であるサワ先輩に話す。
拓人は、ギンジと隆良は時代錯誤である似た者同士と評するが、そんな拓人に対しサワ先輩は全然違うと厳しく言う。サワ先輩にもっとギンジに対し理解がある人間だと思っていたと言われた拓人はその場に立ち尽くす。
映画『何者』のあらすじ【転】
理香の家で就活対策を行う拓人と光太郎。その夜、拓人のスマホに瑞月から着信が入る。瑞月は内定を取れたという報告を電話越しでする。
その後光太郎もある出版会社から内定を貰った。だが、拓人と理香はいまだ内定は取れていなかった。
あるとき、拓人と理香は同じ面接のグループディスカッションで同じグループになる。だが、理香は拓人の話を遮るなど、自分本位なディスカッションを進めることに対し、拓人は嫌悪感を抱いていた。
その後、光太郎の内定祝いとして拓人のバイト先でパーティをする。サワ先輩も合流し3人で祝賀会が行われたが途中、サワ先輩と拓人は2人きりになる。拓人は前にサワ先輩から叱られたことについて弁論しようとするが、サワ先輩はSNSでは人を判断できないと一蹴されてしまう。SNSを頻繁に使う拓人にとっては核心を突かれてしまい、またしても何も言えなくなってしまう。
その夜、光太郎と共にタクシーで帰宅する。タクシーの中で光太郎は、なぜ拓人が内定を貰えないかが理解できないとフォローする言葉を呟く。だが拓人は自分のことをここまで評価してくれることに戸惑いと後ろめたさを感じていた。
映画『何者』の結末・ラスト(ネタバレ)
家に戻った拓人はコピー機を借りるため理香の家に行く。コピー機を使用するため、拓人は理香のパソコンを操作するが興味本位でインターネットの検索履歴を見てしまう。一方、理香も自分の携帯が使えないため、拓人から携帯を借り検索履歴を見てしまう。
拓人は光太郎の内定先の評判を、理香は瑞月の内定先の評判をお互い見ていたのであった。妬みからか、友人が内定した会社を調べる醜いことをしていた2人。拓人は理香を非難する。だが、理香も拓人がツイッターの裏垢で友人達を貶している事実を知っていることを拓人に突き付ける。拓人の裏垢には、光太郎や理香等に対する冷めた言葉がぎっしりと書かれていた。理香によって自分の醜さを改めて向き合わされた拓人であったが、理香も同時に常に自分本位で拓人と変わらないと存在だと泣き出す。
その後、拓人は企業の採用面接に行く。1分間の自己PRの時間、彼は夢を追うギンジについて語り始める。しかし1分では収まりきらなかった。拓人はギンジの夢を追う行動から目をそらし続けていたが、本当はギンジが羨ましかったことに気が付く。
面接を終えた拓人は今までは異なる雰囲気を纏い、嫌な自分と決別する覚悟を決めた。
映画『何者』の感想・評価・レビュー
就活生の心の心情を現代のSNSというツールに乗せて表現した本作。だが、結末の描き方が正直雑というか消化不良。結局拓人は気持ちをどう入れ替えることができたかが描けていない。拓人の性格の悪さを映画冒頭から終わりのほうまで長い時間描き過ぎているため、物語終盤では拓人には鑑賞者は感情移入できない作りになってしまっているのも問題。観終わった後、心に靄が残ってしまう可能が高いため観るのは覚悟が必要。(MIHOシネマ編集部)
原作の圧倒的などんでん返しが好きで、映画ではどのように表現されるのか気になって鑑賞。文章で読み進めていくときのドキドキ感はそこまでなかったが、映像ならではの演劇を通して見せる演出は面白かった。
就活の大変さだけでなく、同じ就活中の友達と話すときのあの感情も蘇ってきて辛かった。社会人になり今は痛々しさを客観視することも、痛々しさの中で何かに熱中することも出来ないくらい余裕がなくなったのだが、どちらの気持ちもわかるのは、大人になったからなのだろうか。目を背けたくなる感情と共に色々と考えさせられた。(女性 20代)
自分と向き合い、自分は何者なのか、初めて真剣に考えることとなる就活を通し、大人になる瞬間を描いた作品。SNS依存気味の主人公や、仲間の内定先の評判がすぐ調べられてしまうなど、現代の就活ならではのシーンがリアルで、20代の自分は共感する場面も多かったです。
それぞれ演劇やバンドから離れ、社会人になる覚悟を決める時期でもあり、平凡な人生を歩むのだとはっきり気づかされた数年前の自分を思い出しました。自分と向き合い、能力や環境を受け入れ、そこで何ができるか、就職して数年たった今でも考え続けています。働き続ける限り悩むであろうこの問題に、初めてぶつかった瞬間のことを思い出させてくれる作品でした。初心に帰りたい時にまた観たいと思います。(女性 20代)
学生から社会人になる狭間にいる若者達の話だが、自分の時のことを思い出すと参考にならないことに気付いた。現代の若者達にはSNSがあって情報が有り余っている。ニックネームで不満を載せたり、内に秘めた気持ちを吐露する場所でもあるSNSはそりゃ便利だろう。学生と社会人では責任の重みが違う。何になりたいか、どうしたいか。明確な目的がある人なら進むべき道が分かるだろうが、覚悟がない人は何者にもなれない。特別でありたいなら相応の努力が必要だと思うし、社会は甘くない。不満ばかりで嫌な人になってしまうのは、学生から社会人になる不安もあるのだろう。自分は主人公には共感できなかったし、そんなことをしているならもっと前向きに未来を見据えた方が自分のためになるのではないかと思ったが、思い悩み時に嫌な自分になってしまって自己嫌悪に陥ったりと、そうやって大人になっていくのだなと妙に納得してしまった点もあった。(女性 40代)
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