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映画『夏ノ日、君ノ声』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『夏ノ日、君ノ声』の概要:神村友征監督の長編デビュー作。難病と闘う少女とやんちゃな高校生のひと夏の恋を、思い出の場所を巡りながら描く。大人になった主人公が過去を振り返りながら、今と向かい合う物語。

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映画『夏ノ日、君ノ声』の作品情報

夏ノ日、君ノ声

製作年:2015年
上映時間:94分
ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ
監督:神村友征
キャスト:葉山奨之、荒川ちか、古畑星夏、大口兼悟 etc

映画『夏ノ日、君ノ声』の登場人物(キャスト)

戸上哲夫(葉山奨之)
仲間を思うあまり、ケンカが絶えない高校生活を送っていた主人公。骨折を機に入院していた病院で舞子と出会い献身的に尽くしひと夏を過ごした。
高代舞子(荒川ちか)
幼いころから難病を患い、耳が聞こえず言葉を発することができない。外の世界を知らずに成長したため、哲夫と出会い人生が色付き始める。
森野ユカ(古畑星夏)
哲夫の幼馴染。舞子と出会い変わる哲夫を見守り嫉妬していた時期もあるが、大人になり同棲していた。

映画『夏ノ日、君ノ声』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『夏ノ日、君ノ声』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『夏ノ日、君ノ声』のあらすじ【起】

遅くまで帰りを待ってくれていた恋人のユカに対して、外食してきたと連れない素振りを見せる哲夫。付き合って5年目のその日、ユカは同棲している家を出て実家に戻ってしまった。

後を追うように哲夫も実家に戻った。二人は幼馴染で実家も近所なのである。何の連絡もせずに実家へ戻った哲夫に、母親は振られたのではないかと心配をする。そんな母親にもつれない態度で接する哲夫だが、昔愛用していたものが詰まった段ボールを見つけるのであった。その中に入っていたタイピング装置を手に取り高校生の頃を思い返す哲夫。

足を骨折した哲夫はしばらく入院をしていた。その時一人の寡黙な少女と出会ったのだった。その少女は何度話しかけても言葉を話さず、まるで無視しているようだった。しかしそれは難病で耳が聞こえず声を出すこともできないからであった。口の形を読み取り会話する少女の名前は舞子。彼女はもう長いこと病院で生活しているのであった。

一方でユカも哲夫と過ごした思い出の場所に出向き学生時代を思い出していた。偶然にも、舞子と出会った日のことを。

少しずつ距離を縮めていく哲夫を舞子に嫉妬していたユカ。ある日の夜、舞子は「外へ出たい」と哲夫を誘うのであった。2人は近くの神社へ向かい、舞子が無事に退院できるようにお参りをした。しかし、2人の時間はそう長く続かず、病院を抜け出したことがバレてしまった。舞子が母親から哲夫ともう会わないように注意を受けているところを立ち聞きしてしまった。それでも舞子への気持ちを諦めきれない哲夫は、舞子と毎日会いに来る約束をするのであった。そして舞子は退院したら「初恋灯台」と呼ばれる恋路ヶ浜へ行きたい希望を伝えるのであった。

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映画『夏ノ日、君ノ声』のあらすじ【承】

哲夫の退院の日。哲夫は舞子の姿を探すが見つけられずにいた。舞子は、迎えに来たユカと親しく話す姿を見かけ物陰から見送っていたのである。翌日、舞子の見舞いに向かおうとする哲夫だったが、ケンカに巻き込まれてしまい病院に着いた頃には面会時間は当に過ぎてしまっていた。翌日も病院に出向いた哲夫だったが、母親に遮られてしまうのだった。帰り道、気分の晴れない哲夫にユカは「海へ行こう」と誘いに行く。しかし哲夫は「めんどくさい」と一蹴し去って行ってしまった。ユカの嫉妬心は抑えきれず、舞子の元へ向かった。そして舞子の病気のことを聞きだし、「哲夫は同情で付き合っているだけ」と舞子に嘘をつくのだった。落ち込む舞子を置き去り、ユカは病室を後にした。

翌日、舞子は母親に素直な気持ちを伝えた。母親は娘の初恋を応援するべきだったと涙を見せる。そして二人を対面させるのであった。数日ぶりに哲夫の顔を見て話せることを喜ぶ舞子。実は誕生日が近く1日だけ外出許可が下りたことを哲夫に知らせ、「海に連れていって欲しい」とお願いするのであった。

舞子の誕生日当日。自宅へ迎えに行くとおめかしをした舞子が外で哲夫を待ち構えていた。母からの「舞子をお願いします」というメモを持ち浮足立っていた。愛らしい舞子の姿に見惚れながら、自転車の後ろに乗せて走り出した哲夫。海に着くと初めての景色に笑顔を見せた舞子。哲夫は誕生日プレゼントに指輪を送った。決して病気の影を感じさせない舞子だったが、波打ち際を歩きながら突如倒れてしまう。駆け寄った哲夫は心配しながらもキスをしてしまった。心配しながら舞子を背負って病院に戻ることにした哲夫。しかし、自転車で走った距離は遠く、病院に戻ったころには日が暮れてしまっていた。帰りが予定より遅くなった哲夫と舞子を心配し、両親や看護師は外で待ち構えていた。疲れ切った様子の舞子を見た父親は激怒し、哲夫との接触を一切禁止させる。さらに転院させるなど徹底ぶりであったが、熱心に毎日病院に通う哲夫に胸打たれた看護師は、内緒で転院先の病院を教えてくれるのであった。

しかし、舞子の父親の監視は厳しい。転院先の職員に面会を一切禁止させていたため、哲夫は何度足を運んでも門前払いを食らってしまうのだった。せめて手紙を渡して欲しいと託すが、父親は破り捨ててしまった。

映画『夏ノ日、君ノ声』のあらすじ【転】

舞子と初めて出向いた神社で祈る哲夫。そこへ現れたユカは哲夫に現実を伝えようと熱心に説得するが、哲夫の気持ちは固かった。毎日転院先の病院へ通い続ける熱意は母親へ伝わり、こっそりと舞子に外を見させてあげるのであった。父親には内緒で翌日、舞子と面会をする約束を取り付けた哲夫。母親の好意を無駄にしないよう、身なりを整えて自転車で向かうのであった。

しかし、哲夫の前に以前ケンカした相手が立ちはだかる。友人を人質にし、哲夫との決着をつけようとしていたのである。仲間の助けの元、なんとか病院へ向かうが傷だらけの身体では思うように進めず、病院に着いた頃にはとうに面会時間を過ぎてしまっていた。舞子が待つ病院の前で力尽きた哲夫。ふと目を覚ますと哲夫は病院のベッドの上にいた。その横には舞子がほほ笑んでいたのである。そして舞子は指輪のお礼にと、哲夫の手のひらにはなまるマークを書き、病室を後にする。

傷だらけの身体に鞭を打ち舞子の後を追ったが、そこには舞子の姿はなかった。ただ、廊下に舞子の母親が座り込んで泣いていたのである。舞子がいたはずの病室には空のベッドだけがあり、母親から実は前日に舞子が亡くなったことを聞かされた哲夫。現実を受け止めきれない哲夫は手のひらを見たが、はなまるマークなど書いていなかった。絶望に追われた哲夫は思い出の梅へ一人向かった。不意に舞子に貸していた携帯ゲームを手に取ると、その中には舞子からのメッセージが入っていた。

映画『夏ノ日、君ノ声』の結末・ラスト(ネタバレ)

昼間に到着したはずの実家で気が付けば日が暮れるまで昔を思い返していた哲夫。古い段ボールの中から見つけたタイピング装置が光っていることに気づく。そこには「てっちゃん、わたしとうだいにいきたい」とメッセージが表示されていた。舞子が生前来たがっていた「初恋灯台」へ向かった哲夫。そこでタイピング装置から「ありがとう、連れてきてくれて」というメッセージが読み上げられる。ふと目線をあげるとそこには舞子の姿があった。記憶の中と交えるように哲夫の手のひらに舞子は、はなまるマークを書き背中越しに涙を流す。華奢な舞子の後ろ姿に思わず抱きしめてしまった。

ふと、我に返った哲夫の前に居たのは舞子ではなくユカだった。昔と違い、手のひらのはなまるマークは残っていた。夢うつろな哲夫の様子を伺っていたユカは、不意に哲夫の頬をはたいた。そして清々しい表情で哲夫が漕ぐ自転車の後ろに乗り、灯台を後にする。哲夫の実家に戻った二人は、舞子との思い出の品を段ボールにしまい込んだ。哲夫は封をした段ボールにはなまるマークを書き、リビングで待つユカの元へと向かうのであった。

映画『夏ノ日、君ノ声』の感想・評価・レビュー

実にピュアな物語であった。少女漫画か韓国ドラマのような悲劇を生み出す展開には思わず笑ってしまったが、思い出時代の哲夫と舞子に年代と感性が近い人が見ればその弊害はとても大きなものだろう。なんとも言い難い不器用さと真っ直ぐさは、登場するキャラクターのみならず演出にも垣間見えた。しかし、舞子の誕生日に海で過ごす二人のナチュラルな表情や素振りはとても美しく儚いシーンであった。繊細な音楽も伴って純愛の透明感を体感できる時間である。凝った作品を観た後のお口直しにはいい一作かもしれない。(MIHOシネマ編集部)

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