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映画『西の魔女が死んだ』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『西の魔女が死んだ』の概要:登校拒否になってしまった中学1年生のまいは、おばあちゃんの田舎でしばらく生活する。代々魔女の家系に生まれたというおばあちゃんは、まいを立派な魔女にするため物事の正しい方向をキャッチするアンテナと何事も自分で決める力を授けてくれる。

映画『西の魔女が死んだ』の作品情報

西の魔女が死んだ

製作年:2008年
上映時間:115分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:長崎俊一
キャスト:サチ・パーカー、高橋真悠、りょう、真実一路 etc

映画『西の魔女が死んだ』の登場人物(キャスト)

まい(高橋真悠)
思春期を迎えた中学1年生。クラスに馴染めず学校へ行かないと宣言する。イギリス人のおばあちゃんが大好き。繊細で感受性が強い。
おばあちゃん(サチ・パーカー)
まいの母方の祖母。単身でイギリスから日本へ来て中学の英語教師となる。その時に理科教師だったまいの祖父と知り合い結婚した。山奥の森の一軒家で暮らしている。
ママ(りょう)
まいの母。夫は単身赴任中で、自分も忙しく働いている。登校拒否になったまいの扱いに困り、しばらく母に預ける。
ゲンジ(木村祐一)
おばあちゃんの家の近所に住む男。無神経な田舎者だが、悪い人間ではない。

映画『西の魔女が死んだ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『西の魔女が死んだ』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『西の魔女が死んだ』のあらすじ【起】

“おばあちゃんが倒れた”という連絡を受け、まいとママはおばあちゃんの暮らす森の一軒家へ急いでいた。おばあちゃんの状態は悪いらしく、車を運転しながらママは泣き出す。まいは2年前におばあちゃんの家で過ごした日々のことを思い出していた。

2年前、中学生になったまいはクラスに馴染めず“学校には行かない”とママに宣言する。仕事で忙しいママはそんなまいを持て余し、しばらく自分の母親のところへ預けることにする。まいはママがパパに自分のことを“扱いにくい子”と話しているのを聞いてしまい、そのことにも傷ついていた。

まいのおばあちゃんは人里離れた山奥で自然に囲まれて暮らしている。理科の教師をしていたおじいちゃんは数年前に亡くなり、現在はひとり暮らしだった。まいはイギリス人の優しいおばあちゃんが大好きだ。おばあちゃんもまいを歓迎してくれる。

荷物を取りにひとりで車へ戻ったまいは、この近所で暮らすゲンジという男と遭遇する。学校を休んでここへ来ていることを“ええ身分じゃな”とバカにされ、まいはゲンジに反感を持つ。

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映画『西の魔女が死んだ』のあらすじ【承】

翌日の朝早くママは東京へ帰り、まいとおばあちゃん2人の生活が始まる。おばあちゃんはまいと一緒に野いちごのジャムを作り、おじいちゃんとの思い出を話してくれる。おばあちゃんは小さなことでもまいを褒めてくれた。まいが“おばあちゃん大好き”と言うと、おばあちゃんはいつも“I know”と答えてくれる。

まいはおばあちゃんの家系には代々魔女の血が流れているという話を聞き、自分も魔女になりたいと思うようになる。魔女になるためには強い精神力が必要で、それを培うために規則正しい生活をすることが大切だと言われ、まいはそれを実行しようと決心する。

まいの魔女修行が始まった。早起きして家事を手伝い、午後からはきちんと勉強をして夜は早く眠るという生活は新鮮で楽しかった。ここでの生活に何の不満もなかったが、まいはゲンジのことだけはどうしても苦手で、嫌悪感すら感じるようになる。

ある朝、まいはおばあちゃんの鶏が食い殺されているのを発見する。おばあちゃんは野良犬かイタチの仕業だと言って大騒ぎしなかったが、まいはショックを受ける。

夜、まいはおばあちゃんに“人は死んだらどうなるの?”と聞いてみる。おばあちゃんは死とは魂が体から離れて自由になることだと信じていて、“自分が死んだらまいに知らせて、その証拠を見せてあげる”と約束してくれる。

映画『西の魔女が死んだ』のあらすじ【転】

鶏小屋の修理をしてくれたゲンジにお金を届けたまいは、ゲンジの犬の抜け毛が鶏小屋の金網に付いていたものと同じだと思い込む。おばあちゃんに“あの犬が鶏を殺した犯人だ”と報告するが、おばあちゃんは見てもいないのに決めつけてはいけないとまいを注意する。おばあちゃんはまいに“疑惑や憎悪の感情は人を自滅させる”ということをわかってほしかった。しかしまいは納得できない。

その夜、おばあちゃんは夜中にクッキーを焼いてくれる。おばあちゃんのクッキーはおいしかった。まいは“ここが好き”とおばあちゃんに伝える。おばあちゃんもまいにずっといて欲しいと思っていた。

しかしママはパパと今後の相談をしていた。パパは休暇を取ってまいに会いに来て、3人で一緒にパパのいる町で暮らそうと提案する。

その夜、まいはおばあちゃんに学校へ行かない理由を初めて話す。女子のグループ行動に馴染めないまいは、例え転校しても根本的な問題は解決しないと考えていた。おばあちゃんはいつものように“どうするかは自分で決めなさい”と答える。

翌朝、まいはママと一緒にパパのところへ行くと告げる。学校は自分で選びたいというまいの成長をパパは喜んでくれる。引越し先はおばあちゃんの家から随分遠いところだった。

映画『西の魔女が死んだ』の結末・ラスト(ネタバレ)

帰る数日前。まいは自分の大切な場所にゲンジがいるのを見て、激しい怒りを感じる。ゲンジは庭で使う土を掘っていると言っていたが、まいはあの土地を盗られてしまうとおばあちゃんに訴える。しかしおばあちゃんはその訴えを聞いてくれない。感情的になったまいは“あんな汚らしい奴、死んじゃえばいいのに”と口走り、おばあちゃんに頰を打たれる。まだ幼いまいには大らかな心で人を許すということができなかった。

別れの時がきた。おばあちゃんが“大好き”という言葉を待っていると知りながら、まいは何も言わずに帰っていく。おばあちゃんはまいの乗った車をいつまでも見送っていた。それから2年。順調な日々を送っているまいは、あれから一度もおばあちゃんを訪ねていなかった。

おばあちゃんの家に着くと、おばあちゃんはすでに亡くなっていた。最期を看取ってくれたのはゲンジと郵便屋さんで、ゲンジは“何かすることがあったら何でも言うてくれ”とまいに声をかける。ゲンジはまいが思っているような悪い人ではなかった。

まいは温室で“ニシノマジョカラヒガシノマジョヘ オバアチャンノタマシイダッシュツダイセイコウ”というおばあちゃんからのメッセージを見つける。おばあちゃんはあの約束を覚えてくれていた。まいが“おばあちゃん大好き”と呟くと、台所の方から“I know”というおばあちゃんの声が聞こえる。

映画『西の魔女が死んだ』の感想・評価・レビュー

とても物知りな、魔女と呼ばれたおばあちゃん。そのおばあちゃんのもとで過ごした中学時代の思い出。田舎で過ごした大切な時間と、おばあちゃんから学んだことを思い出すきっかけとなったのが、おばあちゃんの死だったのだろう。後悔の気持ちが湧き上がってくるが、そんな主人公を大丈夫だと諭すように、おばあちゃんは主人公との約束を果たしてくれたことに、とても安心感が生まれる。それでよかったんだと思わせてくれるような、包容感のある映画だ。(女性 30代)


サチ・パーカー演じるおばあちゃんが穏やかで、しかし人生において大切なことをしっかりと孫に伝えていて好感が持てた。少し語尾を上げるような話し方も好きだった。

不登校や、母と子の関係(まいとママ、ママとおばあちゃん)、単身赴任の父子・夫婦関係など、現代の社会問題も考えさせられた。魔女についての説得力が足りない気もしたが、ターシャ・テューダーを思わせるようなおばあちゃんの「オールド・ファッション」な暮らしに憧れる人も多いだろうと思わせられた。(女性 40代)


まいとおばあちゃんの関係性がとても良く、羨ましいと感じた。悪いことにはしっかりと叱り正しい方向へ導いてくれたり、良いことには全力で誉めてくれたりと、近すぎず遠すぎずのちょうどいい距離感を保っていた。夫婦間の問題や、親子との時間の作り方など、現実的な問題も目を向けさせられた。まいが嫌っていたゲンジの人間性が最後に理解でき、また規則正しい生活の大切さも、見に染みるように共感できた。最後の最後までまいのためにメッセージを残したおばあちゃんの凄さが感動した。(女性 20代)


物語の中で主人公のまいは、ハーフ顔で仕事熱心な母親と自分とを比べ卑下するような言葉をよく発する。母親と娘は実にいびつな関係だと思う。母親は娘をだんだん女性として認識し始め、無意識のうちに娘を傷つける。そのことに、感受性が高いまいは気づいていて、戸惑っているのではないかと感じた。しかし、映画の冒頭、まいが母親にハンカチを差し出すシーンを見て、まいは思春期を無事乗り越えられたんだと感じ救われたような気分になった。(女性 20代)


おばあちゃんがすごく素敵。
厳しくもあるのだけど、他人を見た目だけで判断しなかったり、ジャムに入れるすごい量の砂糖を「全部食べるわけじゃないから」とか、歯磨きの後のクッキーを「また歯磨きすればいい」と言ってくれるようなゆるさも持ち合わせていて、自分のおばあちゃんだったらいいなと羨んでしまう。

ラストからエンディングが流れるところがまたいい。
映画が終わりすぐに、エンディングを歌う手嶌葵さんの深く息を吸い込む音が聞こえて、曲が始まる。
いい映画、いい音楽、いい余韻に浸れます。(女性 40代)


題名からSFファンタジーを想像するような印象があるがそうではない。だがしかし、見進めていくと魔女という言葉がぴったりに思えてくる。全体的な印象はセリフが棒読みでキャラクターが生きていない感じがあった。原作の小説を読んだことがあり、内容の面白さは知っていたのだが、少し残念に思えた。だがしかし、祖母の家の印象は小説通りで非常にファンタジーな雰囲気が出ていて素敵であった。
幼いころにこんな素敵なところで過ごせることにかなり羨ましく感じた。(女性 20代)


本作は、学校へ行くことが苦痛になってしまった中学生のまいが、母の勧めでしばらく身を置いた祖母の家での体験を描いた小説原作のヒューマンドラマ作品。
特に、庭でおばあちゃんとまいがイチゴのジャムを作るシーンが印象的で、森の中でこんな暮らしがしたいと憧れを抱いた。
何よりおばあちゃんの言葉一つ一つが心に響いて、こんな気品のあるおばあちゃんになりたいと思った。
そして、温かい気持ちに包み込まれるような作品だった。(女性 20代)


題名を見てファンタジー作品なのかと勝手に思っていたが違っていて、予想以上に心温まる物語で感動した。おばあちゃんの愛情が物凄く伝わってくる作品だった。学校に行きたくないという子供に対して何があったのか追求することはなく、自分で考えて行動できるように知恵と勇気を授けていく。サチ・パーカーが演じたおばあちゃんは、自分もこういう年の取り方をしたいなと思うような人だった。
まいはおばあちゃんの最期を看取ることはできなかったけれど、亡くなっても愛情と絆は消えないのだと表しているかのような終わり方で心が温かくなった。(女性 30代)

みんなの感想・レビュー

  1. holy より:

    原作は梨木香歩の同名小説でデビュー作。この小説で日本児童文学者協会新人賞、新美南吉児童文学賞、第44回小学館文学賞を受賞している。
    実は原作が発売された当時、何気なく購入して読んでいた作品であり、ストーリーに酷く感動し思わぬ拾い物をしたという思い出がある。原作の雰囲気を保ちつつ、それぞれの俳優たちが自然な演技をすることで、より良い作品になっている。もちろん、祖母役のサチ・パーカーは予想以上に素晴らしい。凛としていながら柔軟で孫にとても大切なことを教える。原作もさることながら、今作も素晴らしい作品となっている。

  2. 匿名 より:

    祖母を演じているのは、サチ・パーカーという女優。母はアメリカの女優シャーリー・マクレーン。両親ともに親日家で、子供の頃は日本で過ごした。だから自然な日本語を話していて、恐らく他に適任はいない。サチ・パーカーこそこの祖母の役にはぴったりだと思った。
    落ち着いていて、まさに魔女かと思うような雰囲気もあり、なおかつ上品。
    現代なのに電化製品はほとんどなく、野菜を作ったり果物やハーブを摘んでお茶をしたり、『赤毛のアン』のような雰囲気がある。
    孫をかわいがり褒めまくるけれど、甘やかすことはしないし、自分の事は自分で決めさせるしっかりした頼れるいいおばあちゃんだった。

  3. 匿名 より:

    祖母がまいに語って聞かせるのが、体と魂は別々のもので、死んだら魂は体から離れるということ。
    祖母の「魔女修行」は、規則正しい生活をして、自分で物事を考える。つまりは豊かな精神を育むこと。人としての理想的な生き方だと思う。これを続けた末に、魂は体から離れる。最後の祖母からのメッセージは、「死ぬことは決して悲しいことではない」のだと思わせてくれるものだった。
    こんな風に死ねるのは、自分が正しいと思うことを毎日繰り返して生きたからだと思う。自分が死ぬとき、こんな風にお茶目に明るく振る舞えるかと考えると、なかなか難しそうだ。このおばあちゃんのように生きようとは思わないけれど、自分に正直に生きたいな、と思わせてくれる映画だった。

  4. 匿名 より:

    この映画でしかサチ・パーカーを見たことがなく、初めて知ったのだが、よくこれほどドンピシャの俳優をキャスティングできたな、と驚いた。演じているというよりも、サチ・パーカー本人がこういう人なんじゃないかと思えるほど自然体で、本当に素晴らしかった。あとは意外にもキム兄がいい。ほとんど出番はないけれど、キーパーソンで、ここぞというときにいい演技をしてくれる。
    自然のままにシンプルに、派手なことはない映画だけど、最後の「西の魔女」のメッセージが本当にグッとくる。