映画『日曜日の憂鬱』の概要:8歳で別れた母親と再会した女性。自分の平凡な人生とは対照的に、裕福で満たされた生活を送る実の母親にねだったのは「10日間一緒に過ごすこと」であった。実は秘密を抱えた娘と母親の時間を追う一作。
映画『日曜日の憂鬱』の作品情報
上映時間:89分
ジャンル:ヒューマンドラマ、ミステリー
監督:ラモン・サラサール
キャスト:バルバラ・レニー、スシ・サンチェス、ミゲル・アンヘル・ソラ etc
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映画『日曜日の憂鬱』の登場人物(キャスト)
- キアラ(バルバラ・レニー)
- 8歳の時に母親に捨てられ、父親にも先立たれてしまった天涯孤独な女性。35年ぶりに再会した母親と10日間一緒に過ごし空白の時間を埋めていく。
- アナベル(スシ・サンチェス)
- 幼い娘・キアラを残し夫・マチューの元を離れた過去を抱える。大成功している経営者と再婚し、何不自由のない生活と娘を授かり過ごしていた。もう一人の娘と再会し、希望通り一緒に過ごし始める。
- ベルナベ(ミゲル・アンヘル・ソラ)
- アナベルの現在の夫。アナベルには自分との間以外にも子供がいることを知りつつ、触れずにいた。経営者として大成功し、妻と娘を養っている。
映画『日曜日の憂鬱』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『日曜日の憂鬱』のあらすじ【起】
大木が聳え立つ森の中、一人たたずむ女性。彼女の名前はキアラ。最も太い木の幹に身体を寄せ、考え事をするのだった。
大豪邸で行われる大事な晩餐会に向けて、アナベルは使用人たちに説明する。夫・ベルナベの大事なゲストを迎える夜だったのである。気を張ったアナベルにワイン注ぎに来たキアラは、禁止していたアクセサリーをしている。晩餐会が終わり注意しようとしたアナベルは、キアラの顔を見てハッとさせられた。電話番号を書いたメモを置き、キアラは無言のままその場を離れるのだった。
アナベルは後日キアラと会うことにした。アナベル馴染みのホテルで会った二人。キアラは「家族に言ったの?」と話題を切り出した。有名な富豪の妻であるアナベルを探すのは簡単だったと言うキアラ。キアラの希望はお金ではなく「10日間一緒に過ごすこと」であった。
その夜、アナベルはベルナベに相談した。アナベルは脅されていると勘違いしたベルナベ。実はアナベルは8歳の娘を捨て、ベルナベの元に嫁いでいた。そのことに責任を感じているアナベルは、キアラは自分の娘だと確信し要求を呑もうとしていた。
映画『日曜日の憂鬱』のあらすじ【承】
奇妙な願いに戸惑う夫婦だったが、代理人を立て希望を叶えた後には親子関係をやめる誓約書を書かせ10日間一緒に過ごすことを了承する。そして二人の娘に、他に子供がいることを明かすのだった。娘は「優しくね」とだけ言い、アナベルを送り出した。
アナベルの車でキアラが向かったのは携帯電話も通じないような山奥にある、昔住んでいた家だった。道中、元夫のマチューが亡くなったことを知ったアナベル。キアラが作った夕食を食べながら、アナベルは夫との馴れ初めや娘の話をした。キアラは大学を中退し、誇れるものはない人生だという。しかしアナベルを責めることはなかったと付け加えた。
翌朝、キアラは煙草を吸いながら湖のほとりで力尽きそうな水鳥を見つける。徐にその水鳥を抱き上げたキアラは、大きな石を手に取り水鳥の息の根を止めた。その足でキアラは友人に預けていた飼い犬のナターシャを迎えに行った。再び森に戻り、ナターシャを泥で汚すのだった。
その頃、気分転換にランニングしていたアナベルは、近所の住民に森の先に進みすぎるのは危険だと注意を受ける。帰宅し、休んでいると汚れた犬を抱いたキアラが戻ってきた。キアラは井戸に落ちた犬を助けたと嘘をつく。ナターシャを洗うのをアナベルに手伝ってもらいながら少し距離を縮めたものの、嫌がるアナベルに水をかけたことで機嫌を損ねてしまう。「これが田舎の生活だ」と言い切るキアラは、アナベルの裕福な生活を皮肉交じりに羨むのだった。
映画『日曜日の憂鬱』のあらすじ【転】
町に出たアナベルはベルナベに数日間の出来事を話した。窮屈で品格ある生活から解放されたアナベルは、帰宅後一人でお酒を飲みながら音楽に浸り踊った。そんなアナベルを町の祭りに誘ったキアラ。禁酒中だったはずのキアラは、酔いに任せてアナベルに見せつけるようにその日であった男性とキスをし始める。放っておくことができなかったアナベルは、無理やりキアラを連れて帰り介抱した。その時、キアラは何度も「死にたくない」と言い続けていた。
翌朝、キアラの部屋の前には朝食が用意されていた。嬉しそうに貪るキアラだったが、突然苦しそうに悶え、自ら注射をして痛みを誤魔化すのであった。その頃、マチューの墓を探しに行ったアナベル。キアラの友人に出くわし、マチューのことを聞くと再婚しパリに住んでいると知らされるのだった。
体調を崩したキアラは眠りから覚め、お茶を飲んでいた。ちょうどアナベルが帰宅し、実は2日間も眠っていたことを知らされた。土曜日だと思っていたが、その日は日曜日だったのである。
二人は数少ない思い出の写真を一緒に見ていた。都会に住んでいては気づくことのなかったたくさんの音に心洗われた始めたアナベル。不意にうたたねしてしまい、キアラから助けを求められる夢を見た。目を覚ますとキアラは窓辺に佇んでいた。その姿を見たアナベルは、キアラは病気を抱えているため、この家に呼んだのだと勘づくのだった。
映画『日曜日の憂鬱』の結末・ラスト(ネタバレ)
キアラは同じ窓から外を眺め、ずっとアナベルを待っていたという。娘の孤独に気付いたアナベルは、病院でキアラの病状を聞き、懸命にキアラに尽くし始めた。
アナベルの優しさはキアラを反抗させる。満足したので元の生活に戻るべきだと、アナベルを突き放し始めた。本当の望みを言うから無理ならば戻ってほしいというキアラ。アナベルの耳元で囁くのだった。
アナベルが家を出ていく姿を見て落胆するキアラ。実はアナベルはマチューの元を訪ねていた。キアラの願いはマチューも知っていた。反対するマチューの言葉に耳を貸さないアナベル。帰宅すると「疲れた」と畑に寝そべるキアラの姿を見て決心するのだった。
荷台にキアラを乗せ湖に向かったアナベル。まず自分の洋服を全て脱ぎ、「もうひと頑張りだ」とキアラに声をかけた。丁寧にキアラの洋服を脱がすと、キアラは初めて「お母さん」とアナベルを呼んだ。
キアラを抱き上げたアナベルは、ゆっくりと湖に入りキアラを沈めた。苦しむキアラを必死に押さえつけ、涙を流しながら娘の最期の願いを全うする。アナベルは、娘と過ごした家へ一人戻っていくのだった。
映画『日曜日の憂鬱』の感想・評価・レビュー
背徳感に苛まれるアナベルは「恨んでいる?」と娘・元夫・夫、皆に聞き続ける。“許し”を求めるアナベルの言葉から、キアラと再会するまでの35年間は重い苦しみとの葛藤だったのだろうとを想像する。
10日間という期限付きの母娘の時間は、満たされたものだったのだろうか。離れていた時間をも取り戻せるような濃度だったのだろうか。疑問ばかりが浮かぶが、決して嫌悪感に苛まれないのはゆったりと美しい画を見ていたせいなのかもしれない。(MIHOシネマ編集部)
映像は美しくも憂鬱な雰囲気で、全体的にぼんやりしています。個人的に好きな感性の作品です。娘を捨てた母親と、母親を待った娘。ようやく再会した再会してしまった2人。20年間分の10日間を淡々と過ごす二人。読めない心情、常に漂う死の気配、不思議な緊張感で映像から目が離せません。ラストは意外でした。残酷で切ないです。これが愛情なのかと…その人にとって必要なものは何だろうか。観終えた後に深く考えさせられました。(男性 20代)
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