諏訪満男は夢だった小説家の道を順調に歩み始めていた。だが、なぜか気持ちが乗らず、次回作の執筆に難色を示す。そんなある日、他界した妻の七回忌の法要で実家に帰り、破天荒だがとても優しい伯父の寅さんのことを思い出す。
映画『男はつらいよ お帰り 寅さん』の作品情報
- タイトル
- 男はつらいよ お帰り 寅さん
- 原題
- なし
- 製作年
- 2019年
- 日本公開日
- 2019年12月27日(金)
- 上映時間
- 116分
- ジャンル
- コメディ
ヒューマンドラマ - 監督
- 山田洋次
- 脚本
- 山田洋次
朝原雄三 - 製作
- 深澤宏
- 製作総指揮
- 不明
- キャスト
- 渥美清
倍賞千恵子
吉岡秀隆
後藤久美子
前田吟
池脇千鶴
夏木マリ
浅丘ルリ子 - 製作国
- 日本
- 配給
- 松竹
映画『男はつらいよ お帰り 寅さん』の作品概要
『男はつらいよ』シリーズ、50周年を記念して制作された作品。『男はつらいよ』シリーズに出演していたお馴染の俳優&女優達が多数出演している。車寅次郎の甥の諏訪満男を中心に、登場人物達の現在の様子が描かれている。山田洋次が監督を務め、朝原雄三と共に脚本を執筆している。ロックバンド「サザンオールスターズ」のボーカルである桑田佳祐がオープニング主題歌を担当しており、楽曲『男はつらいよ』を歌っている。
映画『男はつらいよ お帰り 寅さん』の予告動画
映画『男はつらいよ お帰り 寅さん』の登場人物(キャスト)
- 車寅次郎(渥美清)
- 通称、寅さん。テキ屋稼業を生業としている。度々実家に戻っては、ふらりとどこかに旅に出て行く。破天荒だが、心優しい人物。
- 諏訪さくら(倍賞千恵子)
- 寅さんの腹違いの妹。寅さんの一番の理解者。破天荒な寅さんに、度々振り回されている。満男の母親。
- 諏訪満男(吉岡秀隆)
- 寅さんの甥。サラリーマンを辞め、夢だった小説家の道を歩き始める。妻は他界し、娘と2人で暮らしている。
- イズミ・ブルーナ(後藤久美子)
- 旧姓、及川泉。満男の初恋の人で、結婚の話も出ていた。現在は海外のUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)で働き、夫と2人の子供と一緒に暮らしている。仕事で日本に一時帰国する。
- リリー(浅丘ルリ子)
- 寅さんのかつての恋人。元歌手。現在は、小さなジャズ喫茶店を経営している。
映画『男はつらいよ お帰り 寅さん』のあらすじ(ネタバレなし)
諏訪満男は妻を亡くし、中学3年生になった娘のユリと2人で暮らしていた。サラリーマンを退職して夢だった小説家になり、次回作の執筆を担当者から勧められるほど順調に活躍していた。だが、なぜかやる気が出ず、次回作の執筆を喜ぶことができなかった。
満男は妻の七回忌の法要で実家へと帰った。親戚や両親と会話する中で、変わり者だが明るくて優しかった伯父の車寅次郎(通称、寅さん)のことを思い出す。満男は寅さんに自分の想いを聞いて欲しいと思うようになった。
満男は書店でサイン会を行った。そこに、初恋の人であるイズミがやって来る。イズミは結婚しており、子供もいた。満男は驚きながらも再会を喜び、イズミを連れて小さな喫茶店を訪れた。そこは、寅さんの元恋人のリリーが経営する店だった。
映画『男はつらいよ お帰り 寅さん』の感想・評価
『男はつらいよ』シリーズ、50周年記念作品
『男はつらいよ』シリーズは全48作+特別篇1作が公開されており、累計配給収入は464億円を超えている。国民的人情喜劇として、多くの人から愛される作品となった。主人公の車寅次郎を演じた渥美清の代表作となり、国民に喜びと潤いを与えたとして死後に国民栄誉賞が贈られている。
『男はつらいよ』シリーズの第1作目は、1969年8月27日に公開された。今年50周年を迎えるに当たり、本作が制作されることになった。吉岡秀隆、後藤久美子、浅丘ルリ子など、今まで『男はつらいよ』シリーズに出演していた俳優&女優達が本作に多数出演している。長年『男はつらいよ』シリーズが好きだというファンは懐かしさが感じられ、満足できる作品に仕上がっているはずである。また、今まで見たことがない人も、『男はつらいよ』シリーズならではの温かで優しいストーリーに胸を打たれるはずである。
寅さんの甥・諏訪満男を中心に、皆の「今」を描いた物語
寅さんの甥である諏訪満男は、大人になり小説家になりたいという夢を叶えた。中学生の娘と2人暮らしながらも、順風満帆に生活しているように見えた。しかし、満男は次回作への執筆が上手くいかず、悶々とした悩みを抱えていた。さらに、結婚の約束をしていた初恋の人・イズミと再会を果たし、複雑な思いを抱える。
満男だけでなく、作品内に登場する人達は様々な思いや悩みを抱えている。そんな時、ふと思い浮かぶのは、破天荒だけれども人情が厚く優しい寅さんの姿だった。寅さんの何気ない一言が温かく、胸に沁みるように響いてくる。本作を見た人は、満男や登場人物達と同じように寅さんの言葉に励まされるはずである。大人になったからこそ悩みを抱える満男達の行く末を見届けて欲しい。
『男はつらいよ』シリーズでお馴染の山田洋次監督
『男はつらいよ』シリーズの第3作目と第4作目以外、全ての作品の監督を務めた山田洋次監督が再びメガホンを取った。『釣りバカ日誌20 ファイナル』(09)の監督&脚本を担当した朝原雄三と、共同で脚本も執筆している。新しく撮られたシーンと共に、『男はつらいよ』シリーズの過去の映像が4Kデジタル修復を経て使用されている。渥美清演じる寅さんも登場するため、楽しみにしていてもらいたい。
オープニング主題歌『男はつらいよ』を担当したのは、ロックバンド「サザンオールスターズ」のボーカルである桑田佳祐。山田洋次監督からの熱烈なオファーを受け、実現した。桑田佳祐の温かさと哀愁を感じる歌声が、作品にとてもマッチしている。ぜひストーリーと合わせて注目して欲しい。
映画『男はつらいよ お帰り 寅さん』の公開前に見ておきたい映画
男はつらいよ
『男はつらいよ』シリーズの第1作目。フジテレビ系列で放送されていた連続ドラマの劇場版作品。ドラマ版の最終話で主人公の車寅次郎がハブに噛まれて亡くなり、視聴者から抗議の電話が相次いだことで映画が制作されることになった。「第24回毎日映画コンクール監督賞」や「シナリオ作家協会シナリオ賞」などの賞を受賞している。
車寅次郎(通称、寅さん)は20年ぶりに故郷に帰り、家族や友人達と再会を喜び合った。だが、妹のさくらのお見合いで酔っ払ってしまい、縁談をダメにしてしまう。寅さんは再び故郷を出て旅を行った。そんなある日、寅さんは奈良で幼馴染の冬子と再会する。寅さんは美しく成長した冬子に心を奪われる。果たして、寅さんの恋の行方は?
詳細 男はつらいよ
八つ墓村
渥美清の代表作。渥美清は探偵の金田一耕助を演じている。横溝正史原作の小説を元に制作された。『八つ墓村』は何度も映画化&ドラマ化されており、古谷一行や豊川悦司が金田一耕助を演じている作品もある。渥美清の『八つ墓村』は他の作品とは違い、「本物の祟り」が事件に絡んでいるオカルト映画となっている。
寺田辰弥は新聞の尋ね人欄の記述を見て自分のことだと思い、大阪の法律事務所を訪ねた。そこで、母方の祖父である井川丑松と初めて会う。だがその直後、井川が突然苦しみ出し、亡くなってしまう。寺田は自分の出自を知るため、生まれ故郷である八つ墓村へ行くことにした。そこで、自分が豪家の田治見家の後継者であることを教えられる。田治見家には悲惨な過去があった。
詳細 八つ墓村
幸福の黄色いハンカチ
山田洋次監督の代表作で、渥美清や倍賞千恵子も出演している作品。アメリカ出身のピート・ハミルのコラム『Going Home』を元に制作された。高倉健が主演を務め、武田鉄矢が映画初出演を果たした。倍賞千恵子は高倉健が演じた島勇作の妻の光枝を演じている。「第1回日本アカデミー賞・最優秀作品賞」など、様々な賞を受賞している。国内外でリメイク版が制作されている。
花田鉄也は恋人にフラれ、車に乗って北海道へ旅行に出かけた。その道中、恋人を奪われて傷心旅行に来た朱美と海岸にいた島勇作に出会う。3人は意気投合し、一緒に車で移動することになった。勇作は殺人事件を起こし、網走刑務所から出所したところだった。勇作は今まで何があったのか、鉄也達に語った。
詳細 幸福の黄色いハンカチ
映画『男はつらいよ お帰り 寅さん』の評判・口コミ・レビュー
『男はつらいよ お帰り 寅さん』これは、切ない。シリーズ屈指の切なさ。これほど全編が死と喪失に彩られた寅さん映画は見たことがない。すごく出来が良いとは言いにくく、ケチをつけられるところはあるのだが、そんなものを一蹴するほどのエモさに満ちている。これはたまらん。
— ぼのぼの (@masato009) 2019年12月27日
仕事納めして『男はつらいよ お帰り 寅さん』観てきた!凄くよかった!美しいファンタジーだった!このシリーズがそもそもファンタジーであることを思うと、あまりに素晴らしく正しく22年ぶりの新作。かつてのように泣き、笑った。49作目(97年)から22年後の第50作。”我ら、時をゆく”映画でした!#ozkn pic.twitter.com/97nJsWpxNi
— 岩下 和了 (@shinshoga) 2019年12月28日
『男はつらいよ お帰り 寅さん』鑑賞。葛飾柴又の老舗だんご屋を舞台にした山田洋次監督作品。書店で再会し、互いの結婚生活を語らう満男と泉が『ビフォア・サンセット』のようで好み。オリジナルキャストが軒並み顔を揃えていただけに、泉の父親役が寺尾聰から橋爪功に変更されていた点が残念。 pic.twitter.com/3UZcElYMbY
— だよしぃ (@purity_hair) 2019年12月28日
『男はつらいよ〜お帰り寅さん』観了。ズバリ良かった!回想(渥美清名場面)と現在との対比に込められた山田洋次の思い、リズム良い編集、難民問題を絡める作法、そのどれもが見事で、ラストの畳み掛けでは思わず嗚咽を漏らしそうになった。泣きまくりじゃ。全49作観てから観よう!#男はつらいよ50 pic.twitter.com/J6bVhdM5vF
— ソウル・フラワー・ユニオン (@soulflowerunion) 2019年12月27日
『男はつらいよ お帰り 寅さん』鑑賞。あれほど劇場で笑いと涙を共有できるのは貴重な体験。庶民の生活に寄り添って来た暖かくホロ苦い人情悲喜劇として時代を振り返りつつ、今を見つめ静かに歩き出す新たな一本の作品としても成立している。大衆娯楽の王道ここに極まれり。日本には、寅さんがいる。
— air-is (@idolresolutions) 2019年12月27日
映画『男はつらいよ お帰り 寅さん』のまとめ
人情溢れるストーリーが多くの人の心を掴み、国民的人情喜劇として今なお愛され続けている作品『男はつらいよ』シリーズ。今回50周年を記念し、22年ぶりに新作が制作された。過去のシリーズ作品の映像と新しく撮られた映像が見事にマッチしており、50周年に相応しい作品が誕生している。『男はつらいよ』シリーズならではの「笑いと涙」がギュッと詰まったストーリーになっており、諏訪満男と同じように寅さんのことを思い出しながら見て欲しい。
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