この記事では、映画『おんなのこきらい』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『おんなのこきらい』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『おんなのこきらい』の作品情報
上映時間:80分
ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ
監督:加藤綾佳
キャスト:森川葵、木口健太、谷啓吾、井上早紀 etc
映画『おんなのこきらい』の登場人物(キャスト)
- 和泉キリコ(森川葵)
- 過食症のOL。自分が可愛いことを自覚しており、男性に媚を売ることを処世術のひとつとして活用している。ユウトのことが好き。自分の本性を知る高山に、徐々に心を開いていく。
- 高山幸太(木口健太)
- アクセサリーデザイナー。実はキリコと同じ専門学校の卒業生で、在学中からキリコのことを知っていた。黒砂糖の飴をいつも持っている。
- ユウト(谷啓吾)
- キリコが行きつけにしているバーの店長。キリコのことを度々自宅に呼んでいる。
- さやか(井上早紀)
- バーの新しい店員。異性からの告白をはっきり振ることが苦手で、お願いされると断れない性格。
- ケンジ(松澤匠)
- バーの元店員。自分の代わりのアルバイトとして、ユウトにさやかを紹介した。さやかのことが好き。
- まゆみ(緑茶麻悠)
- キリコの同僚。異性にしか媚を売らないキリコを嫌っており、度々嫌味を言う。
- 茜(加耶乃)
- キリコの後輩。田辺と付き合っている。
- 田辺(巴山祐樹)
- キリコの同僚。2人きりで飲み会に誘うなど、以前からキリコを狙っていた。
- ユリエ(福原舞弓)
- 高山の妻。キリコとは違い、自分を着飾ることなく明るく振る舞う。
映画『おんなのこきらい』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『おんなのこきらい』のあらすじ【起】
“可愛い”に固執するキリコは、可愛い見た目の食べ物を食べては吐き出してしまう過食症のOL。異性に媚を売ることで自分の可愛さを誇示するキリコは、職場でまゆみにあからさまな嫌味を言われようとも自分の価値観を変えない。
別の日。田辺からの誘いを断り、仕事終わりにキリコはユウトのバーを訪れる。ユウトは久々に来店したキリコに、辞めることになったケンジの代わりのアルバイト、さやかを紹介する。ユウトとキリコの関係が気になるさやか。彼女はいないとユウトが言っていたことを思い出したさやかに、キリコは自分が彼女のようなものだと答える。
キリコはまゆみのアシスタントとして、高山の店での打ち合わせに参加する。企画書に目を通した高山は難色を示す。次回の打ち合わせで修正案を提示することになり、キリコとまゆみは席を立つ。2人が店を出て行ったあと、高山はキリコがペンケースを忘れていったことに気が付く。
ユウトの自宅へ呼び出されたキリコ。いつものごとく一夜を共にした翌朝、身支度を整えたキリコはまだ寝ぼけているユウトに好きだと囁いてから立ち去る。

映画『おんなのこきらい』のあらすじ【承】
連絡を受けたキリコは、高山の自宅へペンケースを取りに行く。キリコが持参した修正案に納得しない高山。その帰り道、ユウトとさやかが親しげに話しているのを目撃したキリコは、2人がただの同僚ではないことを察する。
一方、職場ではまゆみがキリコの身勝手な行動に憤慨していた。暴言を吐かれても態度を変えないキリコに呆れたまゆみは、キリコにこれ以上関わることをやめる。
その日の夜、修正案を持って高山の自宅に押し掛けたキリコ。高山は、媚を売るキリコの本性を見抜いていた。そこでキリコは高山が自分と同じ専門学校に通っていたことを知る。取り繕うことをやめたキリコは、高山との距離を確実に縮め始める。
就業前、キリコは茜とごみを捨てに行く。キリコは茜と田辺が付き合っていることを知っていたが、誰かに言うつもりはなかった。口止めをした茜は、以前からキリコの心の強さを羨ましく思っていた。そんな茜からのランチの誘いを、キリコは保留にする。
ある夜、キリコはケンジからさやかについて相談される。異性関係の激しいさやかは、自分はユウトと付き合っていると言いながらも、ケンジを始めとした様々な相手と関係を持っていた。キリコは、自分の想像以上にユウトとさやかの関係が深まっていることを知って茫然とする。
映画『おんなのこきらい』のあらすじ【転】
高山の店。放心状態のキリコに、高山は黒砂糖の飴を差し出す。そんな突拍子もない高山の行動に、キリコは心を落ち着かせる。
高山からもらった飴を飲み込み、キリコはユウトのバーへ入っていく。何食わぬ顔でキリコのドリンクを持ってきて雑談を始めるさやかに、キリコは話を切り出す。
ストレートな質問にも、さやかは怯まない。優しいユウトはキリコと拒めないだけというさやかの主張を受け入れられないキリコ。悪びれる様子のないさやかに、キリコはドリンクをぶっ掛ける。ユウトへの思いを口にするキリコだが、ユウトが選んだのはさやかだった。
次の日の朝。家中のものを食べつくしたキリコは、会社を無断欠勤し公園のベンチにぼんやりと寝そべっていた。心配して探しに来た田辺はそんなキリコを見つけ、声をかける。
キリコは田辺とラブホテルへ行った。浮かれた田辺は、キリコに交際を申し込んできた。自宅でシャワーを浴びたあと、キリコは泣きながらはさみを手に取る。鏡に映る自分の姿は、抜け殻のようだった。
映画『おんなのこきらい』の結末・ラスト(ネタバレ)
自分で髪の毛を切ってしまったキリコ。キリコに急に呼び出された高山は、キリコはユウトに振られたのだと予想していた。高山は、今までと違うキリコを受け入れてくれた。
キリコは茜を呼び出し、田辺と自分の間に起ったことを暴露した。田辺は軽率であると忠告するキリコ。しかし、茜はそれを拒絶してしまう。
キリコは鍋の材料を持って高山の家へ向かう。キリコの突然の訪問に、ちらちらと家の中を気にする高山。気になったキリコは、話があるからと言って家に入る。そこにはユリエがいた。高山は、キリコを友達だと説明する。
3人で鍋を囲みながら、甲斐甲斐しく高山に世話を焼くユリエ。キリコは食事の途中にも関わらず帰ってしまう。態度には出さなかったが、ユリエはキリコが高山に向ける好意に気が付いていた。そして高山に、キリコを追いかけるよう促す。
夜の公園。座り込んで泣きじゃくるキリコを見つけた高山は、そっと黒砂糖の飴を差し出す。高山の手を振り払い、不満を爆発させるキリコ。すべてを聞いた高山はキリコの告白を断り、ユリエが待つ家へと帰っていく。
感情をすべて吐き出せたキリコの心は、振られたにも関わらずどこかすっきりとしていた。翌朝、自転車で出掛けたキリコ。声をかけてきた男性に、明るく返事をしただけで去っていく。
映画『おんなのこきらい』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
主人公の森川葵が、「ザ・女の子」という感じの役柄を演じているのが、本当に可愛いです!モテたいから可愛く着飾って女の子らしい雰囲気になるために努力をしている、同棲からは嫌われるという主人公の設定は、分かりやすくて好きでした。だからこそ、全体的なストーリーが少し物足りなかったです。
できれば、なぜそんなにも「可愛い女の子」を追求する子になったのか、過去の話も欲しかったです。過食症っぽい表現も中途半端に出てきて、特にストーリーに深く絡まないので、もう少し内容がブラッシュアップされていればもっと面白い作品になったんじゃないかな、と思います。(女性 20代)
同じ女性として「あるある!」と共感できるポイントがたくさんあり、容姿などに対して自分だけでなく充実してそうに見えるような子であっても悩んでいるんだということに気づかされました。物語後半に主人公は前半とかなり雰囲気が変わりますが、主人公役の森川葵さんが性格や表情を前半と演じ分けていて、すごいです!しかし、欲を言うなら挿入歌がなければもっとストーリーに集中できたのかな?と思いました。(女性 20代)
森川葵さんが本当に可愛くて、和泉キリコという役にピッタリと合っていた。実際にキリコのような女性が傍にいたら、仲良くはできないだろうなと思ってしまった。でも、強いように見えて弱いところもあるところや、体当たりで恋をしている姿に人間として魅力を感じた。失恋を経験して、これからさらに素敵な女性になっていくのではないかと思った。女の子としての良い部分もダメなところも描かれていて、おもしろい作品だった。(女性 30代)
長いMVを見ているみたいだった。主演の森山葵さん(キリコ)が素晴らしすぎる女の子指標でものすごくしんどい気持ちになる。セリフの一つ一つに共感しかなかった。女の子は大多数がそう考えていると思う。
過食症の女の子、を演じているそうだが、あまりそういったシーンは多くなく伝わりにくかったのが残念。
サヤカのキャラがいい。善し悪しではなく、「いいキャラ」。アカネが残念。社内の関係はあれならもっともっとドロドロしていてよかった。キリコの周りはクズ男ばっかりで、本当に辛辣。コウタはずば抜けて最悪でいい。
わかる人にしか結局伝わらないのが腹立たしい。
わたしは女の子が嫌いだ。(女性 20代)
本作は、過食症のキリコは、女子の価値は可愛いことだと信じているが、ある日好きな人ができて価値観が変わっていく様子を描いたラブヒューマンドラマ作品。
思いの外、内容は過食症にフォーカスしているわけではなく、主観と客観の狭間でもがいたり、恋に悩んだりする等身大の女の子の物語といった印象である。
同性に嫌われるキリコが可愛らしかった。もし、キリコが自分の身近な存在だったら間違いなく嫌いになっていると思う。(女性 20代)
森川葵が「過食症」の女性を演じた今作。あえて過食症という設定を使うのはとても珍しいと感じ鑑賞しましたが、そこまで過食症について詳しく描いている訳では無く、自分を「可愛い」と思っている女性が、1つの武器として「過食症」を扱っているような雰囲気があり、設定に加える必要があったのかなと疑問に感じました。
もともと森川葵が好きでは無いのもありますが、彼女が演じるキリコのキャラクターはかなり個性的で生理的に受け付けない人もいるのではないでしょうか。一度見れば十分な作品でした。(女性 30代)
「かわいい」を追い求めて生きる女性が、素の自分をさらけ出して人と向き合うことを知るストーリー。自分のかわいさを自覚し、それを武器に生きる主人公を演じる森川葵さんが本当にかわいく、説得力がありました。
他人からかわいいと思ってもらうために、見た目や仕草に気を付けること自体は大切で、自信にもつながるもののはずなのに、そこに自分の意志や好みがなくなった瞬間、作られたかわいいは弱くて脆いということを学んだ気がします。
見た目がイケメンじゃなくても性格が素敵で気になる男性が既婚というのが、現実でもあるあるすぎて強く共感してしまいました。(女性 20代)
思い込みやヒステリックな感情、寂しさに悶え苦しむ主人公キリコ。それなのに尚、可愛らしさに囚われ続けます。男性からモテることがそんなに重要なのか、ふと疑問が湧いてきました。また、人は必ず老いることも考えねばなりません。確かに可愛いと得することもあるでしょう。しかし、こうも情緒不安定では生き辛くて仕方ないだろうなと感じます。人の目や思いに振り回されるのではなく、自分の心の中を静観することを優先したほうが良さそうです。(女性 30代)
可愛いに拘り、可愛い自分を作り上げている女の子が、自分の思い通りにならない男性に出会い徐々に変わっていく物語。職場でも男性に媚びを売り、女性からは疎まれ、いわゆるぶりっこの典型である。実際にこんな女性が身近にいたらと思うとゾッとする部分もあるが、演じている森川葵がとにかく可愛く、違和感なく観ることができる。映画全体を通して可愛い女の子の生活を観ているような作品で、女性には意外にハマる作品だと思う。(女性 20代)
自分の可愛さを武器にして男を翻弄するキリコという主人公に、最初は嫌悪感すら抱きました。でも、彼女の裏にある“本当の自分を受け入れられない”痛みや孤独が見えてきた瞬間、印象がガラリと変わりました。ファンシーな世界観とは裏腹に、心の奥をぐさりと突いてくるような映画です。見終わった後に、自分自身にも問いかけたくなるような感覚が残りました。(20代 女性)
映画『おんなのこきらい』を見た人におすすめの映画5選
勝手にふるえてろ
この映画を一言で表すと?
妄想と現実の間で揺れる、こじらせ女子の赤裸々なラブコメディ。
どんな話?
24歳のOLヨシカは、10年間片思いしている“イチ”と、今アプローチしてくる“ニ”との間で揺れながら、自分の妄想の世界に逃げつつも現実と向き合っていく。自意識過剰でこじらせた女子のリアルが詰まった物語。
ここがおすすめ!
主人公の突飛で正直すぎるモノローグが共感と笑いを誘い、最後には心がじんわり温かくなります。『おんなのこきらい』のように内面のこじれを描いた作品が好きな人にぴったりの一作です。
愛がなんだ
この映画を一言で表すと?
“都合のいい女”であることに自ら甘んじる、痛くて切ない恋の記録。
どんな話?
主人公テルコは、好きなマモルのためなら何でもしてしまう。けれど彼にとってテルコはただの「都合のいい女」。報われない関係に悩みながらも、それでも彼を想い続けるテルコの不器用な恋愛を描く。
ここがおすすめ!
登場人物の感情がリアルすぎて、思わず自分を重ねてしまう場面も多いはず。恋愛の“歪さ”をそのまま描いた脚本と岸井ゆきのの繊細な演技が光る作品。恋愛の痛みを描いた映画が好きな人に刺さります。
ホットギミック ガールミーツボーイ
この映画を一言で表すと?
自己肯定感の低さと向き合う、等身大の成長ドラマ。
どんな話?
平凡な女子高生・初が、家族ぐるみで付き合いのある幼なじみ・亮輝から秘密を握られ、関係が変化していく。その一方で、別の男子たちとの出会いを通じて、初が“自分”を見つけていく成長物語。
ここがおすすめ!
抑圧や支配の中で葛藤する女性の心理をリアルに描きながら、最終的に「私は私」と言えるようになる主人公の変化が感動的。『おんなのこきらい』のように自分と向き合うストーリーを求める人におすすめです。
リバーズ・エッジ
この映画を一言で表すと?
欲望と虚無が入り混じる、90年代思春期の青春群像劇。
どんな話?
ある高校の生徒たちが、死体のある秘密の場所を共有することから関係性がねじれていく。性、暴力、孤独など、思春期特有の不安定な感情と現実が交錯しながら、静かに破滅へと向かう群像劇。
ここがおすすめ!
心の闇や自分でも説明できない感情を見つめる、挑戦的な青春映画。吉川ひなの原作、行定勲監督によるビジュアルと演出も魅力。自己肯定感と孤独に悩む少女の姿に、『おんなのこきらい』を思い出す人も多いはず。
アズミ・ハルコは行方不明
この映画を一言で表すと?
消えた“普通の女の子”が社会に一石を投じる、新感覚フェミニズム映画。
どんな話?
地味で目立たないアズミ・ハルコが突然行方不明に。彼女の足取りを追う中で浮かび上がる、現代社会に潜む女性差別、承認欲求、暴力の構造。並行して描かれる若い女の子たちの反乱が交差していく。
ここがおすすめ!
現代女性の「生きづらさ」と「怒り」をポップな映像で表現したユニークな一作。キリコのように自分を抑えながらも爆発寸前の女性像に心当たりがある人は、必見の作品です。社会的メッセージも強く、観応えあり。
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