映画『おおかみこどもの雨と雪』の概要:「サマーウォーズ」「バケモノの子」などで有名な細田守監督作品。第36回日本アカデミー賞で最優秀アニメーション作品にも選ばれた名作。声優は全キャラクター、有名俳優陣が担当している。
映画『おおかみこどもの雨と雪』の作品情報
上映時間:117分
ジャンル:ファンタジー、ヒューマンドラマ、アニメ
監督:細田守
キャスト:宮崎あおい、大沢たかお、黒木華、西井幸人 etc
映画『おおかみこどもの雨と雪』の登場人物(キャスト)
- 花(宮崎あおい)
- 天涯孤独だが逞しく生きる少女。おおかみおとこと出会い、雨と雪を授かる。夫が亡くなった後は、1人で子供達を力強く育てる。
- おおかみおとこ(大沢たかお)
- 普段は人間に化け、人間として生活している狼男。とたる事故で命を落とす。
- ゆき(少女期:黒木華 / 幼年期:大野百花)
- あめの姉。天真爛漫でどこか野生的な一面を持っており、自分は狼であるという意識を持っていたが…。
- あめ( 少年期:西井幸人 / 幼年期:加部亜門)
- ゆきの弟。気弱な少年だったが、一匹のアカギツネとの出会いを通し変化が見られていく。
映画『おおかみこどもの雨と雪』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『おおかみこどもの雨と雪』のあらすじ【起】
花は親を早くし亡くして天涯孤独の身で生きてきましたが、毎日を力強く生きる女子大学生です。そんなある日、彼女は大学の講義で1人の男子学生と出会います。数多くいる同級生の中で、何故かその男が花の目に止まったのでした。
しかし実はその男は大学の学生ではありませんでした。男は普段は配送業のドライバーとして働きながら、日中可能な時間はこうして人数が多く部外者が紛れていても分からない講義に潜入し、密かに講義を受けていたのでした。何故かその男に強く惹かれた花は、生徒ではない為教科書など持ってはいないその男に「一緒に見よう」と声をかけます。
そして、2人は毎日、隣の席で講義を受ける様になり徐々に距離を縮めて生きます。花は真面目で、しかし何処か男らしいその男に惹かれ、一方の男の方も明るく、天真爛漫な花に惹かれていきます。そして2人は自然と恋に落ちるのでした。2人は毎日を楽しく過ごし、男との幸せな今後に夢を馳せる花でしたが、ある日突然、男が花に話があると言ってきました。
映画『おおかみこどもの雨と雪』のあらすじ【承】
不思議に思った花でしたが、特に気にすることもなく待ち合わせ場所に向かいました。すると待ち合わせの場所にいた男は「これが本当の自分だ」と突如口を開きます。すると、男の姿がみるみると変わっていき、人間から狼へと変わってしまったのです。
実は男はおおかみ男で、普段は人間に化け、人間として生活していたのでした。男は、自分の本当の姿を見ても花が受け入れてくれるかどうか、覚悟を決めて今回狼の姿を見せたのでした。驚いた花でしたが、男を愛する気持ちに変わりはありませんでした。花はありのままの男を受け入れることを決意し、2人は一緒に生活を始めます。それは慎ましやかでしたが、幸せな毎日でした。
そして時は流れ、更に良いニュースが入ってきます。花が男との間に子供を授かったのです。しかし生まれてくる子供がどういった姿をしているか分かりませんでした。また、エコーなどを取られて人間の姿をしていなかった時に男と自分の子供が迫害される事を恐れ、花は病院には行くことはなく、自宅にてこっそりと子供を出産するのでした。
映画『おおかみこどもの雨と雪』のあらすじ【転】
その子供は、あるとても寒い雪の日に生まれてきました。2人は彼女を「雪」と名付け、2人の毎日は一層華やかになりました。そして少し時が経ち、花の妊娠が再び分かるという幸運がありました。男は大変喜び、更に仕事に精を出すようになりました。
しかし、そんな幸せも長くは続きませんでした。男が命を落としたのです。妊娠中の花に精力のつくものを食べさせてあげようと、と狼の姿で久しぶりに狩りをしていたのでした最中のことでした。男は狼の姿で亡くなってしまった為、人間としては供養されず、狼として、そして廃棄物として処理されてしまうのでした。男を失った花は悲嘆に暮れました。
しかしそんな悲しみの最中、妊娠していた男との間の子供がとうとう誕生しました。花は男がいなくなった自宅にて、その子供を自分の手で取り上げます。深い雨が降る日に生まれたその子供を「雨」名付け、自分が男の分もしっかりと2人の子供を育てて行く決心をするのでした。雨と雪は対照的な子供でした。天真爛漫でお転婆な雨に比べ、弟の雪は気弱な性格をしていました。
映画『おおかみこどもの雨と雪』の結末・ラスト(ネタバレ)
花は、小学生になった子供達を連れ、広く、自然の多い田舎で新しい生活を始めます。人間でもあり、そして同時に狼でもある自分の子供たちが、将来自分のなりたい道を選べるようにという配慮からでした。元々お転婆で、どこか野生的な面があった雪は、小学校内でトラブルに巻き込まれます。しかし、同級生と支え合うことで人間の友人を得、自分は人間として生きて行く事を決意するのでした。
一方の雨は、動物も怖いという気弱な少年でした。しかし、ある日裏山に住む一匹のアカギツネと出会います。そのアカギツネとの交流を通し、雨は広く、自由な自然の中に魅力を感じ始めます。そして、雨は自分は狼として生きていく決心をするのでした。
そして時は流れ、雨と雪も大人になりました。それぞれが自分の道を歩きだし、雨は他の動物と共に森の中に消えて生きました。家に1人になった花は、ずっと大切にしていた男の写真を取り出します。そして、男と一緒になった事、2人の子供を授かり、それぞれがそれぞれの道を歩き出した事に対し、満足げな笑みを浮かべるのでした。
映画『おおかみこどもの雨と雪』の感想・評価・レビュー
間違いなく好きなアニメーション映画の上位に入る映画だ。
細木監督は非日常的な日常を描くのが得意だが、今作もひょんなことからシングルマザーになった主人公が田舎で半分おおかみの子供を育てていく、というファンタジーのようなストーリー。しかし、シングルマザーの苦労、田舎暮らしの大変さ、子供の葛藤など、登場人物に誰もが共感できる部分があるのではないだろうか。
音楽家、高木正勝を知ったのが本作だったが、高木正勝の音楽とアニメーションが合わさって、作品がより一層深いものになった。特に雪の中をかけまわるシーンが印象に残っている。(女性 30代)
この映画を見てまず感じたことは、監督はシングルマザーが都会で生きるには多くの障害があるということを、示唆したかったのではないかということです。
在学中に結婚、子供を産むなどしても、付属の幼稚園があったり、授業料の補助が出る国もあります。
一方、花は子供の養育のために大学を辞めて、田舎に移らざるを得なかったところを見ると、社会制度の不備以外にも、周囲へ助けを求めることの難しさや都市の人間関係の無関心さが、都会の育児を難しくしているのではないかと思います。
公開当時、ネットでも社会的な問題になぞらえてこの作品を表している人を多くみました。
この映画には、単純にストーリーを面白がるだけでなく、深く考える仕掛けが施されているなと思います。(女性 20代)
花と狼男が大学で出会う描写は、とても平凡且つロマンチックな印象を受けます。しかし、その後狼男が花にカミングアウトするシーンは、非日常で溢れています。花は夫を亡くした後も、二人の子供を育てるために、農業で自給自足をしたりと、生活のやりくりをし続けます。その様子が見ていてとても涙ぐましいです。花はいつも笑顔を絶やさず、怒りを表すことが少ないです。その笑顔は子供達の支えとなり、花の母親としてのトレードマークにもなっています。育児は笑顔だけではやっていけませんが、花のその揺るぎない心と笑みは、雨と雪の子供達だけではなく、視聴者の心をも安心させる素敵な笑顔だと感じました。(女性 20代)
大きく泣くことはないが、ほろっとくるような感動作。若干暗めのテンションで意外にもテンポよく物語は進み、だんだんと盛り上がりを見せる。細田監督らしさがあふれた作品だった。
サマーウォーズからこの作品を観た人も多いと思うが、この2作はだいぶ違ったものだと思う。明るい青春ではもちろんないし、サマーウォーズよりも若干重たい印象を受ける。ただ個人的にはこちらの作品の方が好みだ。しみじみと生きるということを考えてしまう。サマーウォーズにはない良さが今作にはあると思う。(男性 20代)
愛する人を失い、途方に暮れつつも力強く生き、そして二人の子どもを育てようとする強い母の姿がこの映画にはありました。母親の強さは、生き物ならば何でも同じなのだなとも感じます。二人の特別な子どもを育てるために一人で!と奮闘する花ですが、賢明で誠実な花の姿に吸い寄せられるように、村人たちが助けの手を差し伸べ、自然と花と家族の周りには人情に溢れ返ります。そういった人の温かさ、ありがたさも感じられる一作品ではないかと感じました。(女性 20代)
最初から最後まで胸にグッとくるような感動的で感傷的になる作品。
まず狼男、この作品内では私たちが普段思い描くような怖い狼男ではなく、優しくて人と同じように生活する害のない者として出てくる。この時点で非常にファンタジックな設定だが、ストーリー自体はひどく日常的でどこかに本当に起きていそうなリアル感。そういったこともあり、かなり感情が入り込める。
そしてほのぼのと始まるのだが、狼男や花に感情移入し、幸せ物語な雰囲気の中、突然狼男が狼の姿で死ぬのである。
しかも切ないのが近づくことすらできず、ゴミ収集車に運ばれてしまうのだ。
そこから一気に花はシングルマザーとして四苦八苦することになる。
私個人的には最終的に狼として生きることを決めた雨の成長がひどく寂しくて、嬉しいというよりも切ない気持ちが勝ってしまった。(女性 20代)
正直な感想を述べると、主人公の一連の行いも子供達の選択も納得出来ない。でも、見てよかったと思える作品だ。主人公である花の身勝手な行為や楽観的な姿、子供達の感情に振り回された言動などは見るに耐えないものだった。そんな愚かさや人間の強さ、そして狼と人の間で揺れ動く感情などが見ていて苦しくなる。自分の立場と重ねてしまったり、自分が踏み出せない一歩を思い出させられる。パッピーエンドな映画や見ていてスカッとするような映画は大好きだ。しかしこのように、自分の人生を見つめ直すきっかけをくれる映画はもっと好きだ。(女性 20代)
親子の愛情、子供はどう生きるべきか、それを親はどう見送るべきか、といういくつもの点を考えさせる良作だ。
自分がどんな親子関係経験してきたか、自分が親の立場か、子の立場かで感じる印象がまるで違ってくるのも面白いところだ。例えば、最後の花のセリフ「まだ、何もしていない」にとても共感出来たり、逆に気持ち悪いとさえ思うこともある。雪の最後の決定を随分冷たいと感じたり、親だからこそ受け止めて彼を送り出さなきゃ、とも感じる。
色々な感情が渦巻いて消化するのに何日かかかる。そういう映画だ。(男性 30代)
オオカミ男の父と人間の母の間に生まれた、女の子の雪と男の子の雨の物語です。非現実な設定でありながらも、優しいアニメーションで描かれていて、安心して物語の世界に入っていくことができました。
ゆき山でのシーンや、雨が山を駆け回るシーンの低空飛行で撮影したかのような映像は、スピード感を感じ一緒に走っているようでした。将来、オオカミとして生きるのか、人間として生きるのか選択を迫られる子どもたち。最初は自分の意志とは関係なく本能的に人間からオオカミへと姿を変えていました。その時は、オオカミでも人間の目をしていましたが、オオカミとして生きることを選んだ雨の目が最後、動物の目に見えたのが印象的でした。(女性 40代)
母親の強さに凄く胸を打たれた。オオカミとして生きるか、人間として生きるかという一見シンプルなアニメーションストーリーに思えたが、シングルマザーという立ち位置の花に対して同じ女性として無意識の内に共感していた。
全く関係のない世界なのに、家族愛や、生きることの辛さや厳しさなどが色々な感情として自分に降りかかってくる、そんな共感性を呼び起こす映画だ。母親の力強さに勇気を貰った。(女性 20代)
みんなの感想・レビュー
狼との子である雪と雨を産み一人で育てる花と、二人の子供たちの生き方を描いた作品。
将来、人間として生きるか狼として生きるかを選べるよう、田舎で二人を育てる花の、母親としての懐の深さに尊敬を覚えました。
自分が産み育てた子供が、狼として生きると決断した時の寂しさや切なさは想像もつきません。それでも受け入れ送り出せる花は、ほんとに強くかっこいい母親でした。
人間として生きることを選んだ雪も、自分の決断に自信をもって幸せに生きていってほしいと思いました。
設定はかなりファンタジーだが、出会った彼が「おおかみおとこ」であったこと、彼との間に生まれた子供が「おおかみこども」であったこと以外、シングルマザーとなる花と子供たちの成長を描いたリアルな物語だ。
彼らのある意味ドラマチックな暮らしぶりが描かれていくが、物語のラストでは親子の愛、そして母親を含むそれぞれの自立が描かれていて胸を打たれた。親子が山を駆け回るシーンでは映像の美しさを何倍にも際立たせる音楽も秀逸で、全体を通してとても美しい映画だった。
細田守監督の映画の中で、一番好きな作品です。花が恋したのは狼男だったけれど、二人は幸せに暮らしていました。子どもを身ごもった花に、精を付けてもらうため、狩りに出た狼男は、狩りに失敗して命を落としてしまいます。狼の姿で発見されたため、引き取ることもできず、切ない最後を迎えてしまいました。狼男との子どもだから、狼の姿で生まれるかもしれないため、病院を頼ることもできず、寝る間を惜しんで勉強し、一人で育児と仕事をこなしていく花の逞しさや明るさに、見ているこっちまで励まされます。
自然豊かな田舎に引っ越し、大きくなった子どもたちは、自然の中で狼として生きていくか、人間として生きていくのかと葛藤するシーンが、正解のない悩みで、色々と考えさせられました。
おおかみこどもという、ファンタジーな設定ですが、そんな違和感がなくなるくらい作りこまれた魅力的な作品です。
細田守監督の『サマーウォーズ』は大好きですが今作は「おおかみこども」、人間とオオカミのハーフの子供という設定に違和感を感じなかなか見られずにいました。
友人に猛プッシュされ、鑑賞しましたがまず思ったのは「もっと早く見ればよかった」という事。そしてこれを見た子供は何を感じるのだろうという事でした。
大人になれば世の中の理不尽さや、周りの人の冷たさを感じることは沢山あります。しかし、純粋な子供がこれを見た時に「優しさ」だけでは無い世界をどう感じるのかとても気になりました。
ファンタジーだけれど、この作品は不思議なだけではなく、半分は人間の話でリアリティーが描かれている。作品の中では特に難しい「おおかみこども」の話で、半分は狼の子でもう半分は人間の子という設定だ。家族というものの在り方、子育ての仕方、それは人間の一般論で言ってもどれも難しいことなので涙なしには観られないシーンもあった。良い意味で考えさせられた。
自然の森、冬、雪の中を家族で駆け回るシーンはとても美しかった。全体的にも自然描写がとても綺麗。人間の描き方も個人的には好きだ。
花がおおかみ男と恋に落ち、2人の子供を授かります。子供たちはおおかみと人間のハーフとして生まれ、生まれて間もなく父親は事故で亡くなってしまいます。子供のことを誰にも相談できない花は、子供達が成長したときにおおかみか人間かどちらの生き方をするのか選べるように田舎に移り住み始めます。
幼い頃、おおかみの姿でいたずらばかりしていた雪と人間の姿を気に入っていた雨が、それぞれあることをきっかけに雪は人間として雨はおおかみとして生きていくことを決意します。雨と雪は正反対の正確で、小さい頃は仲良しだった2人が徐々に衝突し合うようになり、成長して自分の生き方を探す姿がとてもリアルに描かれています。また、子供達を陰で支えながら選んだ道を受け入れて静か見守る花は本当に強くて感動します。
「サマーウオーズ」を観てから細野監督のファンになり、同監督の作品全部を制覇したいと思い鑑賞しました。比較的暗いテイストでしたが、ほっこり心が温まるような楽しいシーンも多くあったので最後まで見ることができました。他とは違うということに悩む二人の心理描写が素晴らしいので、もし学校などで上映できたら、子供たちに相手の心を思いやることを学べる良い教材になるのではないかと思いました。
全体的にリアリティに溢れていたので、狼男が登場するというファンタジックな設定でも、物語がすっと入ってきた。自分の愛する人がゴミ収集車に持ち去られ、それを止めることもできないシーンは胸が苦しくなる。シングルマザーの苦悩と苦労を知ることができる作品。
花の子どもたちに対する愛情や、子どもが自分の好きな道を選べるようにと尽力する姿に感動した。愛する人を失った中、強く健気に、懸命に子どもたちを育て上げるところに母親の強さを感じる。
主人公の花と狼男の出会いが運命的でありながら平凡であるところが良く、2人が共に過ごす時間が増えるほど愛情が深まる様子が、セリフはなくとも映像だけで読み取れる。細田守監督はそういった表現や演出、ストーリーの進め方が非常に上手いと常々感服している。夫であるおおかみおとこが亡くなり、ゴミ収集車に回収されるシーンなどは深い悲しみと大きな不安で押しつぶされそうになる。今作を一言で表すなら、母は偉大と言ったところ。子供達が自ら未来を選択した後、夢に現れたおおかみおとこが花を褒めて労わるシーンなど涙が止まらなかった。
半分人間、半分オオカミの二人の子供を育てる母。オオカミ男だった父は事故で亡くなり、シングルマザーとして雨と雪を養っていきます。
子供達の成長と共に自我も芽生え、子供なりの葛藤や戸惑い、母の苦悩はなぜかリアルなものでした。
子供達はしっかりと自分自身のことを理解し、まだ幼いながらも自分の歩む道をちゃんと見出すことができることに感心してしまいました。
涙が止まらない、大人向けのアニメです。
母目線で見ても、子供達目線で見ても感情移入必至です。
個人的に細井監督の最高傑作だとも思っています。
自分は大人だが、ほとんど号泣しながら作品を見ていた。アニメーションって子供だけが楽しむものではないのだということを体現したような作品だと思う。花とおおかみおとこが出会うところから物語が始まったのが良かった。おおかみおとこが亡くなってから、シングルマザーとして二人の子供を育てた花の強さと深い愛情に心を強く揺さぶられた。雪と雨がそれぞれ違う生き方を選んだことが寂しくもあったが、それを受け入れた花を見て清々しい気持ちで見終わることができた。
自分の中に、人間と狼の血が流れている姉弟。小さい頃は、人と違う事をきにしていなかったが成長するにつれて、自分達は人と違うことに気付きます。そして、自分の中で葛藤が始まります。
人間として生きようと必死になりますが、狼の本能が目覚めてしまい弟は狼として生きる事を決心します。生き方に迷ったら、この映画を観たらいいかもしれません。
エンディング曲が流れた時、これはファンタジーじゃなくて子育ての映画だったのだとわかりました。
同じ母親として、オオカミ子供を育てるハナに激しく共感します。
子育てが終わってから観て懐かしむのもいいと思うけど、今まさに子育て真っ最中の私のような人に見てほしい映画。
子供と過ごす時間は短い、その尊い時間の中にいるということに気づき、この尊い時間を大切に生きようと思えます。
今日もガミガミしちゃったな…そんなあなたにおすすめします。
①主人公ハナが恋をしたのは狼男!!
普通の女子大生のハナはある日、学生ではないのに講義を受けに来る不思議な青年と出会う。在校生ではない青年に協力したり、交流を深めて行く日々で、二人は恋に落ちる。ある満月の夜、青年から衝撃の真実が告げられる、自分は狼男だと・・・。それでも、そんな彼を受け入れるハナ。
②ハナの妊娠。産まれてくるのはおおかみこども?
順調に愛を育む二人に、子供ができる。しかし、産まれてくるのは、狼男との子供。
どんな子供が産まれて来るかわからない不安の中、ハナは自分達だけで出産をする事を決意する。大学も辞め、激しいつわりや自宅出産を乗り越え、産まれて来た子供はユキと名付けられる。その後、二人目の子供のアメが産まれハナは、狼でも人間でもない、オオカミコドモの二人を育てるのに苦労をするのだった。時には狼、時には人間とふたつの性質をもつ子供を守るため、人目を避けて暮らしたり、周りから誤解を受けたり、病院にも連れて行けず、収入は父親である狼男がアルバイトで稼いできたわずかな収入のみだった。
③父親(狼男)の死がハナ達親子の運命を変える。
そんな苦労の日々の中、自宅近くの川で狼が死んでいるのが見つかる。その狼は、父親の狼男だった。頼りの父親を亡くし、都会での生活に限界を感じていたハナはある、決心をする。
④そして田舎暮らしが始まる。
ハナが選んだのは、人里離れた田舎での暮らしだった。自然が多く、住民が少ない田舎に引っ越して、アメとユキが狼としても人間としても生きて行けるようにと選んだ場所だった。ボロボロの空家を自力で修復したり、自給自足をするために畑を作ったりしながら、田舎暮らしを始めるハナ。子供達もそれぞれの個性や性格を持って各々に田舎での暮らしに慣れて行くのだった。
⑤狼として?人間として?揺れる心と身体の成長。おおかみこどもアメとユキの成長とは?
順調に成長して行く子供達だったが、成長に応じて、学校に行ったりと人間生活に慣れて行くユキと、人間生活に慣れず、引きこもりがちになり、やがて森に通いだすようになってしまうアメ。成長して行く道が分かれ始める子供達。
⑥子供との別れ。アメとユキが選ぶ、それぞれの生き方は?
そして、その日がやって来る。ある大雨の日、自分は、おおかみこどもであることを同級生に告げて、それでも人間として生きて行くユキと、狼の姿になって、森に消えて行くアメ。アメは、狼として生きて行く事を選んだようだ。そんな二人の決意を見守り、子供達が巣立ってゆくのを悟るハナ。ユキはその後、人間として進学して成長していく。全く別の道を選んだ二人だが、ハナは、自分の役目を果たせたと亡くなった狼男に報告するのだった。
監督の前作の『サマーウォーズ』とはまた違った、家族の愛のあり方を描いた作品で、設定はファンタジーだけれど、しっかりと、主人公達の人間ドラマが描かれており、特に、母親の立場から見ると、感情移入していろいろ考えさせられるアニメである。そして本編でのオオカミコドモ達の活き活きとした姿や自然の描写など映像の美しさや、描き方にも魅せられる部分が多い。子供を持つ母親や、家族で見るのにお奨めの作品です。感動したり、家族や、子供について考えさせられたり、主人公の努力する姿に勇気をもらったりできます。また、ジブリ作品の好きな方にも好まれるアニメーション映画だと思います。どこか不思議で、でも心温まるストーリーと魅力的な登場人物達。監督の次回作にも期待が高まる映画です。