映画『オープン・ユア・アイズ』の概要:1997年制作のスペイン映画。監督・脚本はアレハンドロ・アメナーバル。共同脚本はマテオ・ヒル。出演はエドゥアルド・ノリエガ、ペネロペ・クルス、ナイワ・ニムリ、フェレ・マルティネスなど。
映画『オープン・ユア・アイズ』 作品情報
- 製作年:1997年
- 上映時間:117分
- ジャンル:ラブストーリー、SF
- 監督:アレハンドロ・アメナーバル
- キャスト:エドゥアルド・ノリエガ、ペネロペ・クルス、ナイワ・ニムリ、フェレ・マルティネス etc
映画『オープン・ユア・アイズ』 評価
- 点数:80点/100点
- オススメ度:★★★★★
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★★★
- 演出:★★★★★
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『オープン・ユア・アイズ』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『オープン・ユア・アイズ』のあらすじを紹介します。
セサル(エドゥアルド・ノリエガ)はハンサムで裕福な独身貴族として、自由恋愛を楽しんでいた。一度遊んだ女とは二度と遊ばないというポリシーの彼だったが、ある日ソフィア(ペネロペ・クルス)という女性と出会い、一目ぼれしてしまう。しかし当時付き合っていたヌリア(ナイワ・ニムリ)に嫉妬をされ、心中の巻き添えにされてしまう。
目覚めるとセサルは病院に入院していた。なんとか一命をとりとめたものの、美しい顔は見る影もなく潰れていた。ソフィアから見放されたセサルは、醜い顔と共に自暴自棄の生活を送るようになる。酒に溺れるようになった彼は、遂に街角で酔いつぶれてしまう。
しかし次の日目覚めて見ると、なんと彼の顔は手術で元通りになっていた。ソフィアとの仲も元に戻り、彼の生活は以前の平和なものに戻ったかに見えた。しかし、死んだはずのヌリアの幻覚が見えるようになってから、彼の生活は一変する。治ったはずの顔が元に戻っててしまったり、見るはずのない悪夢を見るようになるセサル。次第に彼は夢と現実の区別がつかなくなってくる。すべての鍵を握るのは冷凍冬眠を謳うとある会社のコマーシャル。いったい彼の幻覚となんの関係があるのだろうか……。
映画『オープン・ユア・アイズ』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『オープン・ユア・アイズ』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
スペインの鬼才アレハンドロ・アメナーバル
今作の監督はスペイン映画監督アレハンドロ・アメナーバル。デビュー作「テシス」やハリウッド進出第一弾の「アザーズ」など、ドンデン返しを多用するストーリーテラーとして有名だ。そんな彼が脚光を浴びるきっかけとなったのが今作「オープン・ユア・アイズ」である。後にトム・クルーズ主演、キャメロン・クロウ監督により「バニラ・スカイ」としてハリウッド・リメイクもされているが、やはりこのオリジナル作品の独創性にはかなわない。
この映画の主人公は性格の悪いプレイボーイである。死んだ女の幻覚に惑わされる展開からも、幽霊譚なのかと思ってしまいがちだが、そんな単純な話ではない。これはプレイボーイの贖罪の物語でもあり、また世界崩壊の物語でもあるのだ。
ディック感覚の忠実な映像化
アメリカのSF作家にフィリップ・K・ディックという人がいる。彼の書く作品は、足元から現実が崩壊していくテーマが多い事から「ディック感覚」と呼ばれる事が多い。映画界への影響も大きく、クリストファー・ノーランの「インセプション」やリチャード・リンクレイターの「ウェイキング・ライフ」、ウォシャウスキー姉弟の「マトリックス」などが挙げられる。今まで信じていた世界が実は違う世界であった、というような話がその特徴だ。今作もまさにその系統の作品であり、プレイボーイの恋愛譚はただのフェイクに過ぎない。アメナーバルが描きたかったのは、セサルの生きている世界とは実はただの夢に過ぎず、自分はずっと悪夢を見続けてきているという物語なのだ。この映画は、禁じ手ともいえる夢オチを使っているが、ここまで見事にディック感覚を再現していると拍手喝采という他はないだろう。すべてのSFファン必見の傑作である。
「夢オチ」という言葉は散々期待させたストーリーのラストが結局は夢でした、という展開の「残念」な作品に使われることが多いですが、この作品は今までに見たことの無いような大胆な世界観を表現していて、この夢オチなら誰もが納得だろうと思ってしまいました。
夢と現実の区別がつかなくなってしまうというストーリーに現実味はないと思っていましたが、この作品を見終わった時に多くの人が、今自分が生きている世界は本物なのかと考えてしまうでしょう。
自分勝手に、わがままに生きることが悪いこととは言いませんが、あまり勝手なことをしていると大きなバチが当たるかもしれません。(女性 30代)
映画『オープン・ユア・アイズ』 まとめ
後に数々の模倣作品を生み出したSF映画の傑作。この映画の夢オチは、先にやったもの勝ちというある意味卑怯なものではあるが、ラストまで展開の読めない見事なシナリオでまったく飽きさせない。エロチックシーンも多く、様々な隠喩に満ちている所も見逃せないだろう。ちなみに合同脚本を担当しているのはマテオ・ヒル。アメナーバルとのコンビ作品も多いが、単独では「パズル」というこれまた先の読めない傑作サスペンス映画を生み出している。この映画をきっかけとしてペネロペ・クルス、エドゥアルド・ノリエガはハリウッド進出に成功し、またアメナーバルははただのストーリーテラーを超えたさらなる飛躍をも遂げている。そういった意味でも今作は必見の一作だと言える。
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