映画『オペラ座の怪人(2004)』の概要:長年ブロードウェイなどで愛されている名タイトルを2004年に映画化。その中でもアンドリュー・ロイド・ウェバー版のミュージカルを題材とした映画化は初めてで、劇中で使用されている歌は実際に役者が声を入れている。
映画『オペラ座の怪人』の作品情報
上映時間:140分
ジャンル:ミュージカル、ラブストーリー
監督:ジョエル・シューマカー
キャスト:ジェラルド・バトラー、エミー・ロッサム、パトリック・ウィルソン、ミランダ・リチャードソン etc
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映画『オペラ座の怪人』の登場人物(キャスト)
- ファントム(ジェラルド・バトラー)
- 常に顔を仮面で隠した怪人。オペラ座の地下に巣喰い、その実権を握っている。クリスティーヌに密かに恋心を寄せる。
- クリスティーヌ(エミー・ロッサム)
- オペラ座のコーラスガール。ファントムに見染められ、歌の教授を受けた事で頭角を現していく。ラウルとファントムの間を揺れ動く。
- ラウル(パトリック・ウィルソン)
- 顔も性格も良いオペラ座の新支配人。クリスティーヌの幼なじみで、彼女に想いを寄せている。
映画『オペラ座の怪人』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『オペラ座の怪人』のあらすじ【起】
時は19世紀後半、富裕層は娯楽を求め、日々オペラは賑わいを見せていました。そしてその中でも名のあるオペラ座にはとある噂がありました。そのオペラ座の地下には、ファントムという誰も姿を見たことの無い男が住んでおり、実質そのオペラ座を牛耳っているのは彼だというのです。そして、噂は事実でした。
ファントムは生まれつき醜悪な顔をしていた為親に捨てられ、見世物小屋で働かされるなど迫害を受けていました。そしてとある日その見世物小屋から逃げ出した彼は、当時からいるスタッフの秘密裏の協力を得て、このオペラ座に住み着く様になったのです。彼が地上に上がることはありませんでしたが、自分でもその顔を見たくない為常に仮面を被って生活していました。
こっそりと地上の様子を伺っていたファントムは、ある日1人のコーラスガールに恋をします。音楽の神に愛されていたファントムは、その女性、クリスティーヌに歌を教えるという名目で近づきます。しかし、彼女に顔を見せることはありません。
映画『オペラ座の怪人』のあらすじ【承】
ファントムの指導元、もともと素質のあったクリスティーヌの歌唱力は格段に上達して行きます。そしてクリスティーヌの実力が主演を張れるレベルに至ったと判断したファントムは、劇場支配人に対して脅しの文面を送ります。それは現在主演を張っている女優を降ろし、代わりにクリスティーヌを据えろといった文面でした。
現在主役を務めているベテラン女優はかなりの癇癪持ちという事もあり、彼女の機嫌を損ねない為にも支配人達はその要望を断ります。するとファントムは、小道具に特殊な薬を紛れさせ、その女優の声を一時的に醜い蛙のような声に変えてしまったのです。そして代打としてヒロインを務める事となったクリスティーヌの初舞台は大成功を収め、その後もその演目はクリスティーヌが主演をつとめ続ける事に決定しました。
しかしその頃、新しい支配人としてクリスティーヌの幼馴染、顔も性格も良いラウルという男がオペラ座に赴任してきます。クリスティーヌとラウルの仲が急激に縮まっていく様子を見たファントムは嫉妬に駆られ、クリスティーヌを自分の隠れ家である地下へと連れ去ってしまうのでした。
映画『オペラ座の怪人』のあらすじ【転】
クリスティーヌは初めてファントムの姿を目にする事となります。その仮面の下に隠された姿を見たい、とクリスティーヌが手を伸ばしたところ、ファントムは烈火の如く怒り出しました。クリスティーヌはファントムのその不安定な感情、そして彼が自分を彼と同じ地下の世界に引き込もうとしている事に対して恐怖を覚えます。
しかし、今まで彼の事を音楽の天使と信奉していた自分も捨てられません。ファントムの音楽に魅力され続け、一方でその存在に恐怖するといった葛藤に苛まれているクリスティーヌを、ラウルはそのまま受け止めます。
ファントムが自分の愛しいクリスティーヌの恩人である事を認めた上で、彼が大変危険な存在であると悟ったラウルは、彼女をファントムの手から守りきる事を誓います。そして二人はとうとう恋人同士となり口づけを交わします。その様子を、ファントムは物陰から見ていました。ファントムとラウルの戦いの火蓋が切って下されたのでした。
映画『オペラ座の怪人』の結末・ラスト(ネタバレ)
クリスティーヌを本格的に自分のものとする為、ファントムは彼女を再度地下室へと連れ去りました。そして自分を邪魔するものを排除するため、二人の世界を作るためにとオペラ座に火を放ちます。
ラウルはクリスティーヌの救出に向かおうとしますが、ファントムの隠れ家への行き方がわかりません。そんなラウルを助けたのが、幼少時代見世物小屋から逃げ込んできたファントムを幼少期から匿い続けてきた関係者でした。彼女の案内の元ファントムに辿り着くラウルでしたが、待ち構えていたファントムによって拘束されてしまいます。クリスティーヌは愛しいラウルに危害を加えるファントムに激怒する一方、ここまで彼を歪ませてしまった背景を想います。そしてファントムのマスクを外したクリスティーヌは、彼にそっと口づけを落とします。その行為に心動かされたファントムは、2人を解放した後闇へと姿を消しました。
そして時はたち、クリスティーヌは天国へと旅立ちました。そしてその墓標の前には、ファントムからクリスティーヌに対する変わらぬ愛を象徴する赤いバラが一輪備えてあるのでした。
映画『オペラ座の怪人』の感想・評価・レビュー
音楽がすごく良い!途中の舞踏シーンが、曲もダンスも圧巻で、何度も巻き戻ししてしまった。
衣装も豪華で、眺めているだけでも楽しい映画だった。
綺麗なカバーから、シェイクスピアのような劇的な恋愛ものを想像していただけに、怪人の思わぬ人物像には衝撃を受けた。ちょっと残念な人だ。
ストーリーを知らずに観たからこその意外性だったので、この作品は、この話を知らない人に勧めたい。(女性 30代)
名作ミュージカルの映画化です。
昔は、奇形児など体に障害が残ってしまった人は、見世物小屋が1番の働き口でした。割り切ってそこで稼ぐ人もいる一方、ファントムはその現実にひどく傷つき、屈折してしまったのです。「こじらせちゃった系男子」です。
一目ぼれしたクリスティーヌにこっそり歌唱指導してみたり、蝋人形を作ったり。しつこくアプローチするも、最終的には身を引きます。一途なんですね。
現代社会にもこういう人いるな、と思いました。(女性 20代)
歴代の映画化された『オペラ座の怪人』の中でも、ファントムが最も美しく描かれた作品で、クリスティーヌへの執着から起こす行動も、「愛ゆえに」という言葉がよく似合う。明らかにストーカー行為、奇行であることには間違いないが、不思議と気持ち悪さや不快さは感じられない。
醜い設定のファントムが醜くないのはどうなの?と問われるかもしれないが、この作品ではロマンティックさを重視しているため、その点ではファントムの容姿の改変は良い効果を生み出したと感じる。
真っすぐ過ぎるファントムの恋が叶うことはなかったが、彼の抱えた苦しみや愛情は、クリスティーヌの心にしっかりと届いたと願いたい。(女性 20代)
儚くいとしくも思えた映画であった。映画ではあるが、演出がミュージカル感が強く、素敵な音楽や歌に魅了された。オペラ座の地下で暮らし、仮面を常に付けているファントムが恋したクリスティーヌへの想いが人一倍強く、彼女を取られない為に、ラウルから突き放し、地下へ誘導したシーンが意外にも共感できた。また、ファントムとラウルのそれぞれの愛情に葛藤するクリスティーヌの気持ちや、ファントムが姿を消し、花を添えたシーンなどが印象的であり、綺麗な終わりかただった。(女性 20代)
オペラ座の地下に棲みついている仮面の怪人ファントム。舞台女優のクリスティーヌに恋をし、彼女をプリマドンナにする為、次々と怪事件を起こしていく。冒頭のシャンデリアのシーンは圧巻、白黒の世界から音楽と共に過去に遡っていく所で一気に物語に引き込まれていく。そして、怪人役を演じるジェラルド・バトラーは醜いとされているが、色気漂う超イケメンだ。怪人の人生や報われない愛がひたすら切なく深く同情してしまう。豪華絢爛でミュージカルシーンも素晴らしい。(女性 30代)
何度見ても素晴らしいです。キャスト・歌・演奏・演出のすべてが素晴らしく、現実を忘れて見てしまう映画です。映像なしの音楽だけでも十分に聴けます。サントラ盤も思わず買ってしまいました。冒頭の壊れたモノクロのシャンデリアが色彩を取り戻して上へ上がっていくシーンはとても印象的です。
ライバル役のラウルの影が薄く、さらに彼の愛も軽く感じてしまうので、歪んではいますが怪人ファントムのクリスティーヌへの深い愛が映画の中で浮き彫りになっています。(女性 30代)
大好きで何度も見ているこの作品。「狂気」にも似た愛をとても美しく描いていて、ファントムの愛の強さを感じ、ゾクゾクしてしまう作品です。
何度も映画化されている『オペラ座の怪人』ですが、今作はファントムが最も美しく表現されていると言っても過言ではありません。醜い顔を仮面で隠したファントムと、美しい顔で王子様のようなラウル。二人の間で揺れ動くクリスティーヌの葛藤を描いた最高の三角関係。
女性目線で見るとファントム派、ラウル派と好みが分かれると思いますが、私は毎回ファントムの切なすぎる恋物語に同情し、強すぎる「愛」を持つファントムを選んでしまいます。(女性 30代)
始まり方が面白いです。白黒のオークションシーンからスタートし、シャンデリアがオークションに出て、点灯してから画面がカラーになって音楽が始まるという引き込まれる序盤です。
とにかくセットや衣装が豪華です。クリスティーヌが鏡の中に誘拐されるシーンも良かったです。ラストに向かうにつれて、ラウルが簡単に捕まりすぎている、オペラ座の怪人がそこまで残酷じゃないなどツッコミどころはあります。しかし、豪華な世界観に圧倒される作品です。音楽も良いですが、主役2人の声は好き嫌いが分かれると思います。(女性 30代)
みんなの感想・レビュー
これだけ長きに渡り愛されたミュージカルの映画化というのは難しい部分もあったとは思うが(長年に渡りロンドンの劇場のチケットは常に品薄)、この作品は期待を裏切らないものになっているのではないだろうか。映像でなければできない演出と絢爛豪華な衣装や舞台により、観ているだけでオペラ座の華やかに浸れる。台詞と歌の繋がりも自然、そしてその音楽のドラマチックさには溜息が出る。こういう作品は筋を知ってしまったら終わりということはないが、できればオチを知らずにまずは1回観て欲しい。
有名なタイトルに惹かれて見た作品です。ファントムが醜いというイメージが覆されるほど魅力的な俳優でした。音楽の神様に愛され、その運命を背負ったファントムとクリスティーナの関係が切なく、深い愛を持ったファントムが少しでも報われるといいなと思わずにはいられません。
音楽や歌が素晴らしく、見終わってからサントラを借りて、しばらく余韻に浸っていました。
音楽、映像が素晴らしい。特に自分は凝ったセットや衣装の眼を奪われました。
最初見た時は、ミュージカル俳優の中に入るとどうしても聴き劣りのするファントム役バトラーの歌唱力(発声法が全く違うのだと思う)が気になりましたが、だんだん聴いていくうちにファントムのキャラに合ってると思うようになりました。
だから製作側も敢えて吹き替えにしなかったんだと思います
ファントムの境遇やクリスティーヌに対する想いが切なくて泣けて泣けて、映画公開当時にどこかで読んだ製作側の人のコメントがあったのですが、クリスティーヌはファントムに音楽の師としての憧れだけでなく、彼の中に父性や性的魅力を見て惹かれてもいるのだそうです。
だからバトラーには身体にピッタリした衣装を着せたそうです。意図は成功でしたね。セクシーなファントムでした。
毎回登場する度にヒラリとマントを脱ぎ捨てるのがカッコ良くてうけるw
あと、歌の天才であるけれど普通の女の子であるクリスティーヌが、暗い地下の世界でファントムと暮らすなんてどう考えても無理。
だからラウルとの人生を選んだのは当然です。
だけどクリスティーヌとファントムは別れた後も心の奥底でどこか繋がっているような気がします(音楽の世界を通じてでしょうか)。
それは冒頭ラウルがファントムが使っていた猿のオルゴールをオークションで競り落とし、最後のシーンでクリスティーヌの墓に供える部分に表れている気がします。
勿論クリスティーヌは夫や子供を愛し、良き妻良き母であったけれど、音楽で結び付いた妻とファントムの間には入り込めないこと、ラウルは気づいていたのでは。
それからクリスティーヌがラウルが漕ぐボートに乗ってファントムから去って行くシーン。クリスティーヌは後ろを振り返りますね。全く思いが残らない相手を振り返ったりしないと思うのです。
あとクリスティーヌが最初に代役で歌う「Think of me」ですが、あれはファントムの行く末を暗示している歌だとか。
私はあれはラウルとの幼い頃の思い出を唄っているのだと思っていたのですが(ラウルがそれを受けて歌い出すし)、よく聞くと悲しみや暗さもある歌です。
「たまにでいいから立ち止まって思い出して」「二人で見たものを後悔しないで」
なんか納得。切なさがあります。
これらは続編と言われる「Love never dies」(まだ見てないのですが)に繋がっているのでしょうか。
意外にも、仮面の怪人ファントムが色気があり魅力的だった。
想いを寄せるクリスティーヌのために奇行を犯すが、思いやりのある一面もあり、一途なところが良い。
歌やダンスシーンに迫力があり衝撃を受けた。大変美しく感銘を受けた。
壮大でありながら細部まで繊細に表現されていて、内容も理解しやすかった。
クリスティーヌが本命の初恋の相手と結ばれるように、ファントム自ら引き下がるところは、とても胸が締め付けられた。
なんと言っても音楽と歌が素敵だと思うため、ぜひこの作品は自分で見て欲しいなと思う。若いときに見たらあまり良さは分からなかったが、少しずつ年を重ねて大人になってから見たら怪人のクリスティーヌへの深い愛にぐっときた。たまに見返したくなるぐらい、個人的には好きな作品。クリスティーヌが初恋の相手と結ばれてハッピーエンドのはずなのだが、やはり怪人の気持ちを思うと切なさが残る。そのなんとも言えない悲しさが、美しいと思える作品。
基本的にオペラ座の怪人通りのストーリー展開ではあるが、怪人ファントムが魅力的で恋敵として機能する点が特徴。芸術の魔であるファントムと現実のイケメン男との間で揺れ動くように改変されており、ファントムが単純な魔物でなく一つの選択肢になっており色気がある。ミュージカル仕立てではあるが楽曲もロック調であり全体に新鮮味が強い意欲作といえるだろう。そういえば主演のエミー・ロッサムが美しかったことにも触れておく。