映画『パラレルワールド・ラブストーリー』の概要:目が覚めるたびに2つの世界を行き来してしまう男性と、親友・恋人の関係を追う一作。原作は東野圭吾の異色恋愛小説。主演にKis-My-Ft2の玉森裕太を迎え、吉岡里帆・染谷将太などが脇を固める。
映画『パラレルワールド・ラブストーリー』の作品情報
上映時間:108分
ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ、ミステリー
監督:森義隆
キャスト:玉森裕太、吉岡里帆、染谷将太、筒井道隆 etc
映画『パラレルワールド・ラブストーリー』の登場人物(キャスト)
- 敦賀崇史(玉森裕太)
- 大学への通学中にいつも向かい合う路線の電車に乗っている女性に恋をしていた。卒業後、親友と共に研究職へと進むが、ある日を境に順調だった日々が崩れ始めてしまう。
- 津野麻由子(吉岡里帆)
- 崇史の同棲相手であり、智彦の恋人でもある存在。崇史が通学電車で恋していた相手であり、2つの世界で立ち位置の変わる女性。同じ研究所に勤めている。
- 三輪智彦(染谷将太)
- 崇史の中学時代からの親友であり、同じ研究所で働く仲間。崇史がパラレルワールドに戸惑う最中、突如崇史の前から姿を消してしまう。最先端の研究を進めていた。
映画『パラレルワールド・ラブストーリー』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『パラレルワールド・ラブストーリー』のあらすじ【起】
通学の電車で反対車線の電車にいつも同じ車両の同じ場所に乗っている女性に日に日に興味を募らせていた崇史。学生時代最後の日、崇史は大きな賭けに出る。意中の女性に告白しようといつもとは反対車線に乗り込んだのである。しかし、この日に限って彼女は崇史がいつも乗っている電車にいた。こうして崇史は電車越しの恋に終止符を打った。
卒業後、バイテック社に入社した崇史。共同研究をしている親友・智彦から恋人を紹介したいと呼ばれ、女友達を連れ喫茶店で待ち合わせをした。この日、崇史が智彦から紹介されたのはいつも電車で見ていた麻由子だった。目を覚ました崇史。やけに現実的な夢を見てしまったと同性相手の麻由子に話をして、キスをした。崇史の前にいるのは麻由子と瓜二つの女性である。
再び目を覚ました崇史。いつも通り仕事をするが、そこは智彦と麻由子が付き合っている世界である。夢と現実の区別が曖昧になってしまっている崇史は、無意識に智彦に嫉妬していた。
崇史と智彦の出会いは中学の時だった。生まれつき脚の悪い智彦を崇史が嫌がらせから救ったことがきっかけだと、飲みの席で智彦は嬉しそうに麻由子に話した。記念写真を撮った3人。ここで崇史は夢から覚めるのだった。
映画『パラレルワールド・ラブストーリー』のあらすじ【承】
崇史と麻由子が同棲している世界に戻る。二人の出会いは智彦の紹介であった。上司に思いで話をしながら、崇史は智彦の記憶がすっぽりと抜け落ちていることに気づく。麻由子や上司はバイテック社のLA支店に異動になったと言うが、その記憶がないところか連絡手段もないのである。
智彦と麻由子が付き合っている世界に戻る。体調を崩した智彦の看病に麻由子と共に向かう崇史。違和感を覚えながら、崇史は帰り道に麻由子へ通学電車でのことを話そうとしたがタイミング悪く聞き出すことができなかった。
智彦がいるはずのLA支社に連絡をしてみた崇史。智彦が特殊な任務についていること以外情報が得られなかった崇史は、智彦の自宅を訪ねてみる。当然部屋には誰もいなかったが、崇史は以前智彦が手をかけていた研究について断片的な記憶を思い返すのだった。
智彦についてもよく知る小山内教官を訪ねた崇史。智彦はLA支社にいることしか知らないという小山内教官に対して、崇史は智彦の助手であった篠崎について聞き出そうとするがすでに退職して1年が経っていると知るのだった。
篠崎は智彦が最先端の発見をしたと噂をしていた。学会で出し惜しみをする智彦に苛立ち始めた崇史は、智彦に隠れて麻由子にアプローチをしていたことを思い返した。
映画『パラレルワールド・ラブストーリー』のあらすじ【転】
目を覚ます度にパラレルワールドを行き来している崇史は徐々に疲弊していく。ようやく智彦と連絡が取れるようになったが、牡蠣が苦手なはずの智彦から「アメリカは牡蠣が最高にうまい」とメールが届く。さらには女友達と再会し、智彦から麻由子を紹介された日が1年前だと教えられた。
智彦と麻由子が付き合っているのが現実だと気づいた崇史は、麻由子を責め立ててしまう。曖昧な返答しかしない麻由子へ怒りをぶつけてしまった崇史は、かすかな記憶を頼りに智彦が使っていた地下の研究室へと向かう。しかし混乱しきった崇史は入口の前で倒れてしまった。
崇史と麻由子の自宅には智彦の教官である須藤が来ていた。智彦のチームの研究対象となっていた崇史を監視するため、麻由子は一緒に暮らしていたのである。一方で崇史は夢の中で篠崎が食堂で倒れた日のことを思い返していた。異様な状態だった篠崎はその日以降姿を消し、智彦たちは外部を遮断し研究に取り組むようになっていったのだった。
映画『パラレルワールド・ラブストーリー』の結末・ラスト(ネタバレ)
智彦の研究について聞かされた日のことを思い返した崇史。智彦は人の記憶を改変し操作する研究をしていたのである。篠崎は被験者の一人であった。
現実では智彦と麻由子は付き合っていたが、自分と付き合う前から崇史と麻由子が想い合っていたことを知ってしまった智彦。「二人を心から祝福したい」と言う智彦は、麻由子との写真をいれたロケットペンダントを崇史に託し、互いの記憶を入れ替えようと提案した。
仕方なく受け入れた崇史。しかし操作中に智彦は目を覚まさなくなった。駆けつけた須藤から智彦がわざとスリープ状態になるよう事前に操作していたと聞かされ、崇史は自分を責めてしまう。
病院へ駆けつけた麻由子は智彦に起こった出来事を須藤から聞かされた。そして崇史の記憶を書き換えてあることを知らされた麻由子は、智彦のスリープ状態を解除する方法を探すために崇史と生活するように指示を受けたのである。
全てを思い出した崇史に、解除法のデータのありかを訪ねた須藤。ロケットペンダントを託されたことを思い返した崇史は、智彦が残したデータを見つける。麻由子はもう一度やり直すために、二人の記憶を変えることを提案した。通学電車で名前も知らぬ崇史に恋していた麻由子は「私を探して」と言い残すのだった。
目を覚ました崇史は、智彦から誘いの電話を受けた。親友同士に戻った二人。信号が変わり交差点を歩き出した崇史は、黄色いコートを着た麻由子とすれ違い互いに振り返るのだった。
映画『パラレルワールド・ラブストーリー』の感想・評価・レビュー
原作を読んでいた限りでは映像化をしてどう収めるのかとても疑問の多い一作であった。しかし、見事にコンパクトに世界観をまとめていたように思う。「智彦が紹介した」という軸だけを残し、その後の麻由子と崇史の関係を一つ入れ替えるだけでドミノのように記憶が操作できるという設定はとても興味深い。現実をどちらと悟るのかで全く見方が変わる一作であるため、誰かと話がしたくなるような仕上がりであった。(MIHOシネマ編集部)
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