ポーランド映画はソ連とドイツに侵略されていた強制収容所の話が殆どなのですが、いずれも人間の生きる姿を多方面から捉えた深い作品ばかりです。監督は二人に絞られてしまいましたが、その中から7本のおすすめ名作をランキングで紹介します。
ポーランド映画のおすすめランキング7選
ポーランドの映画監督として最も有名なのはアンジェイ・ワイダでしょう。耳にされたことがない人もいるでしょうが、彼の作品は一貫してナチスとソ連に侵略されたポーランドの共産主義を背景に、その時代を生きた民衆の生活と戦いを描いています。もうひとりのロマン・ポランスキーはユダヤ人である母親を収容所で亡くし、自らも「ユダヤ人狩り」から逃れるために各地を転々とした経緯を持っています。デビュー作の「水の中のナイフ」以降はイギリスへ渡り、やがてアメリカへ移住し、現在は生まれ故郷のフランスに住んでいます。両巨匠の描いた重厚な作品をセレクトしました。
第1位 灰とダイヤモンド
注目ポイント&見所
ドイツ軍が降伏した1945年5月8日のポーランドを舞台に、党権委員会書記のシュチューカの暗殺を依頼された、ロンドン亡命政府派の青年マチェク。誤って別人を殺害した彼の、軍により射殺されるまでのレジスタンスの一日を象徴的に描いた作品であるが、ある女性に出会って希望に生きようとしたところ、ゴミの山でのたうちながら死んでいく様が強烈なインパクトを放つ。この世の中に神は無いというキリストの映像が鮮烈である。
詳細 灰とダイヤモンド
第2位 地下水道
注目ポイント&見所
1944年のワルシャワ。ポーランド国内軍による武装蜂起は、ドイツ軍による容赦ない攻撃で追い詰められ、ポーランド市民がドイツ占領軍に対して反撃を試みた「ワルシャワ蜂起」の敗北後、周囲をドイツ軍に包囲され退路を断たれた一隊が、地下水道から市の中央部の部隊に合流しようとする姿が描かれる。暗くて汚水の流れる地下水道内での逃避行で、不安と恐怖の極限状態に追い込まれた人々に悲劇が襲い掛かってくる。全編に緊迫感に満ちた作品であり、実際に起こった出来事に驚きを隠せない。光が見えようやく出口に辿り着くも、そこは鉄格子で塞がれ外に出ることが出来ない。ポーランドの悲劇を象徴するような場面である。
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第3位 戦場のピアニスト
注目ポイント&見所
ユダヤ人にとって、ナチスドイツの虐殺は忘れようとしても忘れられないものだろう。ナチスドイツの非道を扱った映画は多く作られているが、決してナチスを声高に糾弾するわけではなく、逆に静かに、冷静にその行為を描写するに留めているが、それにより不気味さと残酷さが勢いを増しながら迫って来る感じを与える。ナチス将校が弾く「月光」に導かれ、シュピルマンが弾くショパンの旋律が、対比的に美しさを奏でるシーンが白眉である。ピアニストを救った唯一のドイツ将校が戦後まもなく亡くなったのに対し、シュピルマンが天寿を全うしたのが印象的。
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第4位 水の中のナイフ
注目ポイント&見所
ロマン・ポランスキー監督の長編デビュー作。ヌーヴェルバーグ的な雰囲気を持ったモノクロ作品である。金満家の夫婦が週末を湖上のヨットで過ごす話だが、突如として現れた、二人の生活に全く関係ない青年が持っているナイフによってサスペンス要素が強調され、そこからの不安と心の内に潜んだ葛藤がむき出しになる、静かな展開ながらミステリアスな密室劇。人間関係から空虚な本質を描き出すエンディングへの括りが、シニカルなポランスキー監督の個性として表れている。
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第5位 カティンの森
注目ポイント&見所
第二次大戦のソ連によるポーランド将校虐殺事件を描いた力作で、戦後ポーランドがソ連の属国として社会主義体制になった事で、ソ連軍による虐殺をナチスドイツの仕業にして真相究明が遅れた出来事だが、遺された家族の想いは切実で、父親がその場で殺害されたワイダ監督自身にとっても、歴史の闇に葬る事はできないという想いが、執拗なまでにリアルな描写で訴えかけてくる。この事件の認識が踏み絵のように扱われ、ポーランド国民にとっても長い間沈黙を強いられた想いの深さが伝わってくる作品である。
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第6位 おとなのけんか
注目ポイント&見所
子供の喧嘩に収拾をつけるための話し合いが次第に感情的になり、夫婦間で不満をぶつけ合ったり、同性間で共感したかと思えば反感を招いたりと話の行方がぶれまくり、それぞれの夫婦の日常生活までもネタにしてトークバトルが展開される。何と言ってもオスカー女優である二人の演技は迫真であり、最後は場外乱闘でゴングが鳴り試合が終わるというような結末である。大人が喧嘩している間に子供たちが仲直りしていたり、捨てられた筈のハムスターも健在だったりするエンディングが微笑ましい。
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第7位 大理石の男
注目ポイント&見所
より良い現在を築くためには過去を振り返りながらも、それを直視することであり、そうすることの意味が、様々な障壁に苛まれながらも前進する主人公の確固たる足取りからリアルに伝わってくる。アンジェイ・ワイダ監督の生き写しとも思える作家の卵が、自国の過去に埋もれた事実を掘り返して行くうちに様々な障害に阻まれ、それでも挫けずに真実に向かって歩んで行く姿の意味を、メッセージとして読み取れる作品である。
詳細 大理石の男
まとめ
正直、アンジェイ・ワイダの作品は重くのしかかってくるような圧迫感に満ちているのだが、その怯むことのない勇気というものに裏付けられた深さに感動を覚える。一方のロマン・ポランスキーは、独特のブラックな語り口によって正体を隠すようなところもありながら、人の持つ本質を深くえぐり出す部分には共通点も見いだせるのだ。ポーランドという悲劇的な土地に生まれ育ちながら、表現のスタイルに独特な個性を放つ両巨匠の監督作品は、どれをとっても心を揺さぶられる魅力に溢れている。
みんなの感想・レビュー
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