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映画『嵐電』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『嵐電』の概要:鎌倉から京都へとやって来たノンフィクション作家を軸に、京都市街を走る路面電車・通称「嵐電」で起きた恋愛模様を綴る一作。主演に井浦新を迎え、鈴木卓爾がメガホンを取っている。

映画『嵐電』の作品情報

嵐電

製作年:2019年
上映時間:114分
ジャンル:ファンタジー、ラブストーリー、ヒューマンドラマ
監督:鈴木卓爾
キャスト:井浦新、大西礼芳、安部聡子、金井浩人 etc

映画『嵐電』の登場人物(キャスト)

平岡衛星(井浦新)
ノンフィクション作家。鎌倉で妻と暮らしていたが、執筆のために以前旅行に来た京都を訪れている。嵐電にまつわる不思議な話を聞き込みながら、2組の若者の恋模様を目の当たりにする。
小倉嘉子(大西礼芳)
撮影所の近くのカフェでアルバイトをしている女性。過去の恋愛で心に傷を負っている。京都に撮影に来た東京の俳優・譜雨と出会いひと時の恋に落ちる。
吉田譜雨(金井浩人)
京都に撮影に来た俳優。偶然、移動中の駅で嘉子と出会っている。昼食を届けに来た嘉子と再会し、京都訛りのイントネーションを教えてもらうために交流を持ち始める。
北角南天(窪瀬環)
青森から京都へ修学旅行で来ている女子高校生。偶然嵐電の撮影をしている高校生・子午線を見かけ、運命を感じる。
有村子午線(石田健太)
不登校気味の撮り鉄。嵐電を珍しいフィルムカメラで撮影し続けている。突如声をかけてきた南天を冷たくあしらっていたが、徐々に心を惹かれていく。

映画『嵐電』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『嵐電』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『嵐電』のあらすじ【起】

いつも通りゴミ捨てを済ませ嵐電に乗り込んだ嘉子。隣では譜雨が関西弁のイントネーションを練習していたが、二人は見知らぬ者同士である。譜雨が駅で迷子になっている様子を見かけた嘉子は、譜雨に声をかけ助けてあげるのだった。その頃ノンフィクション作家の衛星は嵐電にまつわる不思議な話を取材するために京都へ降り立った。

太秦撮影所の近所にあるカフェで働く嘉子。お弁当の注文が入り撮影所へ届けに行った嘉子は譜雨と再会する。京都訛りのイントネーションを確認して欲しいと頼まれ、譜雨の相手をすることになった嘉子。京都の案内をして欲しいと譜雨に頼まれたが、嘉子はきっぱりと断るのだった。

嘉子は寝たきりの父親の看病をしていた。馴染みのお香屋に立ち寄り、父親が好きな匂いのお香を買って帰路に就いた。その頃衛星は京都の寒さを痛感しながら、何もない部屋で執筆に向けた計画を立てていた。鎌倉にいる妻からの電話を受ける衛星は、「ここなら書ける気がする」とにこやかに話すのだった。

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映画『嵐電』のあらすじ【承】

衛星が嵐電を待っている時、目の前で二人の学生の会話を目撃した。修学旅行で京都を訪れた少女・南天はスーパー8という珍しいカメラで電車を撮影する少年・子午線に「運命って信じる?」話しかけたのである。しかし子午線は相手にすることなく、酷いあしらい方をして去って行ってしまった。

エキストラとして撮影に参加することになった嘉子。戻りが遅くなってしまい、カフェの店長に叱られてしまう。一度は断った嘉子だが、譜雨と駅前で再会し嵐山に行く約束をする。しかし、連絡先の交換は拒絶し「帷子ノ辻駅」で待ち合わせをするのだった。

お香屋の前のベンチに座り込み記事のネタを探していた衛星。相変わらず嵐電を撮影する子午線を見かけ話しかけた。その夜衛星は妻と来た京都旅行できつねとたぬきの駅員が乗った電車を見たことを思い返していた。

映画『嵐電』のあらすじ【転】

約束通り帷子ノ辻駅で待ち合わせをした嘉子と譜雨。歩きながらセリフの練習をして、夕方前に「京都にまた来たら誘ってください」と言い残し嘉子は譜雨と別れた。しかし、嘉子は台本を持ち帰ってしまった。連絡先も知らない譜雨は嘉子の家の最寄り駅で帰りを待つことにする。

ようやく再会できた時、譜雨は喜んだが嘉子はどこが不機嫌だった。それは会話の中で譜雨は曖昧な返答をするが要求だけはストレートであることが、人付き合いが苦手な嘉子にとって怖かったからである。嘉子の素直な気持ちを知った譜雨は真摯に受け止め、そっとキスをした。譜雨と一緒にきつねとたぬきが乗っている嵐電に乗った嘉子。しかし、うたた寝をしてしまった嘉子が目を覚ますと譜雨の姿はもうなかった。

お香屋で嵐電について話を聞いていた衛星は、偶然居合わせた南天から「きつねとたぬきの乗っている嵐電を見たカップルは別れる」という都市伝説を聞いた。同級生たちに迎えられた南天は青森へ帰っていく。冷たくあしらっていた子午線だが、去って行く南天の姿をフィルムに収めるのだった。

映画『嵐電』の結末・ラスト(ネタバレ)

譜雨を失ってしまい、必死に探す嘉子。しかし連絡手段もない嘉子は、東京に戻ってしまった譜雨とは再会することができなかった。一方で修学旅行から青森へ戻ったはずの南天は、再び子午線の前に現れた。運命だと信じている南天は子午線に素直に気持ちを伝えるのだった。

お香屋で、嵐電を撮りためたフィルム上映会が開かれた。そこには嘉子と譜雨の姿も移り込んでいる。嘉子はぽーっとスクリーンを眺めながら、目線を落とした。衛星は「変わってしまった」と言う妻の姿をスクリーンに見出し、「変わってなんかない」と呟く。再びきつねとたぬきの乗った嵐電に乗車してしまった衛星。居合わせた南天と子午線は二人が離れることが無いように嵐電が過ぎゆくのを隠れて待っていた。

河原で撮影をする譜雨と嘉子。そのセリフは二人が初めて出かけた日と全く同じであった。監督の女性は一度カットをかけ、「新しい気持ちで」とセリフを要求するのだった。一方で衛星は妻との穏やかな時間を取り戻していた。

映画『嵐電』の感想・評価・レビュー

とても不思議な空気感の作品であった。ご当地映画と言うほど、地域密着型ではない。ドラマチックなラブストーリーというよりは、都市伝説的な逸話をピックアップして寄り添った物語である。監督の鈴木卓爾が准教授を務める京都造形芸術大学映画学科と東映京都撮影所が連携している「北白川派」のプロジェクトの一貫として製作された一作。沿線風景を活かした初々しい仕上がりであった。(MIHOシネマ編集部)

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