映画『リメンバー・ミー(2017)』の概要:ピクサーの19作目となる長編映画は、『音楽』がテーマ。突如死者の世界に迷い込んでしまった少年、ミゲル。音楽をこよなく愛するミゲルは、音楽を通じて様々な人々との出会いを果たす。今年一番の感動の物語。
映画『リメンバー・ミー』の作品情報
上映時間:105分
ジャンル:アニメ、ファンタジー、ヒューマンドラマ
監督:リー・アンクリッチ
キャスト:アンソニー・ゴンサレス、ガエル・ガルシア・ベルナル、ベンジャミン・ブラット、アラナ・ユーバック etc
映画『リメンバー・ミー』の登場人物(キャスト)
- ミゲル・リヴェラ(アンソニー・ゴンザレス)
- 音楽を憎む一家に生まれた、音楽を愛する少年。名シンガーであるデラクルスに憧れている。ふとしたことから、死者の世界に行くことになる。
- ヘクター(ガエル・ガルシア・ベルナル)
- 死者の世界でミゲルが出会った死者。人々の記憶から消えかかっており、このままでは消滅してしまう。ミゲルと、ある約束を交わす。
- エルネスト・デラクルス(ベンジャミン・ブラット)
- ミゲルが尊敬してやまない大物歌手。死者の世界でもその人気は絶大だが、彼には大きな秘密があった。
- ママ・イメルダ(アラナ・ユーバック)
- ミゲルの先祖。自分の夫が音楽を追い求め家族を捨てたことから音楽を憎むようになる。
- ママ・ココ(アナ・オフェリア・ムルギア)
- ミゲルの曽祖母。認知症を患い会話もままならないが、とある人物にとってのキーパーソンとなっている。
映画『リメンバー・ミー』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『リメンバー・ミー』のあらすじ【起】
ある時、幸せな家族が暮らしていた。しかし、夫は音楽という夢を追いかけるため、家族を残し家を飛び出してしまう。そして、その後男が帰ってくることはなかった。自分達を捨てた夫に怒った妻は、家族を引き裂く原因となった音楽を憎み、自分の家族達から一切の音楽を遠ざけたのであった。
そして、時が流れ、その一族にミゲルという少年が生まれた。ミゲルは心から音楽、特にエルネスト・デラクルスという往年の名シンガーに心奪われていたが、こんな環境ではそのことを打ち明けることもできずにいた。一方、世間では一年に一度先祖が天国から帰ってくる『死者の日』が近づいていた。
ミゲルの家でも死者の日を盛大に祝うため、祭壇が設けられ、そこに先祖達の写真が飾られたのだった。しかし、家族を捨てて出て行った男の顔は、写真からくり抜かれていた。その写真を見たミゲルはとあることに気がつく。なんと、その写真の男が握っているギターが、あのデラクルスと同じものだったのである。このことから、ミゲルはデラクルスこそが自分の先祖であると確信するのだった。
映画『リメンバー・ミー』のあらすじ【承】
自分が音楽に惹かれるのは運命だったのだ、と喜ぶミゲル。ミゲルは益々音楽に没頭するが、しかし、家族はそんなミゲルのことを許さなかった。傷ついたミゲルは家を飛び出してしまう。死者の日、広場では音楽のコンテストが開かれようとしていた。
ミゲルもそのコンテストへの出場を希望するが、肝心の楽器がない。そこでミゲルはこっそりとデラクルスの墓へと忍び込むと、彼のギターを拝借した。その時だった。なんと彼は突如として死者が見えるようになってしまったのだ。先祖達と出会ったミゲルは、そのまま死者の国へと向かうことになる。そして、ミゲルは翌日の日の出までに生者の世界に戻らなければ、このまま死者になってしまうことを知らされるのだった。
生者の世界に戻るためには、自分の先祖に許しをもらうしかない。しかし、許しを与える代わりに先祖が出した条件が、一生音楽に関わらないことだった。その願いは聞けないミゲルは、デラクルスに許しを貰うべく彼を探し始めるのだった。その途中、ミゲルはデラクルスを知っているというヘクターという死者と出会う。ヘクターは、デラクルスに会わせる代わりに、生者の世界に戻ったら自分の写真を飾って欲しいとミゲルに頼むのだった。
映画『リメンバー・ミー』のあらすじ【転】
人々が自分のことを忘れてしまった場合、その人物は死者の世界からも消え去ってしまうのだ。互いの目的のために互いを利用しあっていたミゲルとヘクター。しかし、二人の距離は徐々に縮まり、いつしか二人の間には奇妙な絆が生まれ始めていた。
そんな頃、とうとうミゲルはデラクルスと出会うことに成功する。デラクルスはミゲルを歓迎するが、しかし、ここで衝撃の事実が明らかになる。ヘクターが命を落としたのは、なんとデラクルスが彼の飲み物に毒を盛ったからであった。ヘクターの音楽の才能に嫉妬したデラクルスは、家に帰ろうとするヘクターを殺した後、彼が密かに作っていた音楽や大切なギターを盗んで自分のものにしたのである。
その事実を知ったミゲルとヘクターを消すため、デラクルスは二人を監禁してしまう。刻一刻と、人々の思い出から消えかけているヘクターの存在が薄くなっていく。そんな中、ヘクターが誰よりも会いたい人物である彼の娘の名前を呟いた。ココ、それはミゲルの先祖の名前だった。ミゲルの先祖は、デラクルスではなくヘクターだったのである。
映画『リメンバー・ミー』の結末・ラスト(ネタバレ)
ミゲルはヘクターが先祖だったことを心から喜ぶ。そんな時、ミゲルの家族がミゲルを助けにやってきた。そして、ヘクターが家族の元に戻れなくなった理由を知った家族達は、ヘクターを許すことにするのだった。
しかし、現存している唯一のヘクターの写真は、デラクルスに奪われてしまった。その写真を取り戻し祭壇に飾ることでヘクターの消滅を防ごうとする一行は、デラクルスの元へと向かう。一行は協力してデラクルスの悪事を暴くことに成功するが、その途中写真は失われてしまう。
夜明けが近づき、ミゲルにもタイムリミットが近づいていた。ミゲルの先祖は、無条件にミゲルを許し彼を生者の世界へと戻す。現実に戻ったミゲルは急いでココの元へと向かい、ヘクターを思い出して欲しいと懇願する。しかし、ココは認知症を患っておりヘクターのことを思い出せずにいた。
そんな時、ミゲルが口ずさんだ『リメンバー・ミー』。それは、ヘクターがココのために作った曲だぅた。それを聞いたココは父親のことを思い出し、皆にヘクターのことを語るのだった。こうして、ヘクターの消滅は防がれた。そして、生者の世界でもデラクルスの悪事が露見し、代わりにヘクターが偉大なる音楽家として、人々に周知されるようになったのだ。
映画『リメンバー・ミー』の感想・評価・レビュー
日本語吹き替え版を鑑賞したのだが、俳優陣(石橋陽彩、松雪泰子、藤木直人)の歌唱力が抜群で、違和感なく楽しめた。
メキシコのお祭り『死者の日』が舞台のこの作品。日本の『お盆』のようなものだろうが、その死生観の違いに驚く。実際に無い世界を創り上げるピクサーのクリエイター達にはいつも感動させられるし、あんなにカラフルで面白そうな死者の国ならば自分も行きたいかも…と思った。
主人公ミゲルのように自分のルーツを探ることをしてみたくなる。
仏壇に飾ってあるご先祖様たちの写真を何となくいつもと違う感じで見てしまった。(女性 30代)
テーマは家族との絆になっており、ひいおばあちゃんが見せる涙は見ているこちら側の涙を誘う。ただ、少しテーマが押しつけがましく感じた。その点で少し人を選んでしまうかもしれない。アニメーションの出来はさすがピクサーといった感じで、色彩豊かな死者の国の描写が美しく特に素晴らしかった。また、メキシコの文化に関しても入念にリサーチを重ねて描かれており、興味がわいた。ぜひ、ピクサーにはアジアが舞台のアニメも作ってもらいたいものだ。(男性 20代)
夢を支えてくれる家族を大切にしよう。
アカデミー賞で長編アニメ賞を受賞した本作が、評価されている理由が分かった。
アカデミー会員の多くは必死で夢や目標を追ってきた人達だろう。
自分の成功の陰には支えてくれた家族の存在があったこと。それを気付かせてくれる作品なのだ。
でもそれは、アカデミー賞会員に限られたことではない。
誰にだって家族との絆があるはずだ。
陽気な歌とカラフルな死者の国で、自分の夢と家族を見つめ直す、心温まる物語。(女性 20代)
家族がテーマのピクサー映画。
音楽が物語の大事な鍵になってくるのだが、映画を観終わった後ずっとサントラを聴いて物語に浸りたくなるほど、音楽がいい。
近年観た映画の中で一番心を揺さぶられた映画で、感動したというよりもこんな映画があるのかと衝撃を受けた。ディズニーやアニメーションという垣根を越えた、子供から大人までいろんな世代が楽しめる映画だが、特に大人が観たほうがきっと感じるものは多いと思う。
少し脚色がされている部分はあるものの、メキシコの文化が作品をさらに魅力なものにしていて、メキシコにも興味がわいた。(女性 30代)
ガエル・ガルシア・ベルナルが出演しているので観に行ったが、予想以上に素晴らしい作品だった。まず絵が綺麗で、内側から発光するような色の表現やスケールの大きい世界観など、アニメでここまでできるのかと驚いた。音楽もよくて、つい口ずさみそうになる。
日本にも死者を偲ぶお盆があるので、日本人にも受け入れやすい作品だと感じた。観た人それぞれが自分の経験を反映させながら家族や死について考えられる映画なので、子供よりは大人の方が心に響くかもしれない。その時々によって感情移入するキャラクターも変わりそうだ。何年か後にまた観たいと思わせられる作品だった。(女性 40代)
ピクサーの長編映画。音楽が好きな少年と、それを禁止する家族を取り巻く物語。先祖に家族を捨てたミュージシャンがいたことで、代々音楽を嫌っていたのだ。その家の少年が死者の国に迷い込み、真実を知っていく。家族を捨てたとされていた先祖の真実がわかり、家族に温かい思い出が残った。とても心温まる感動の映画だ。子供から大人まで楽しめる、素敵な映画に仕上がっている。ぜひ家族全員で見たい作品の一つだろう。それぞれの立場で、想うことがたくさん出てくるに違いない。(女性 30代)
映画を見てこんなに泣いたのは久しぶりかもしれない。思わず口ずさみたくなる音楽、鳥肌が立つほどの死者の世界の映像美、そして時を超える家族の愛。全てが詰まった傑作だと思う。もう会えなくなってしまった人を思うとき、「こんな風に待っていてくれたらいいな」と前向きな気持ちにさせてくれる映画だ。
最後まで見ることで、原題である『Coco』、邦題の『リメンバー・ミー』の意味を理解できる。家族から無条件の許しをもらったミゲルが、物語のラストに家族みんなと歌うシーンの幸福感が胸をいっぱいにしてくれた。(女性 20代)
原題『Coco』も素敵だが、個人的には邦題の『リメンバー・ミー』の方が物語のテーマをストレートに表現していて良いと思った。ナイス翻訳。
割と早い段階でヘクターがミゲルの先祖だということは察してしまうのだが、そこは安心のディズニークオリティ、物語も映像も音楽も最後まで十分に楽しむことができた。
音楽によって再び紡がれる家族の絆、ママ・ココのシーンはわかっていてもホロリときてしまう。
ミゲルが死者の世界へ迷い込むシーンがとても美しく幻想的だった。(女性 30代)
死後の世界を舞台に家族について描かれた作品です。立体的に描かれているアニメーションで、リアリティはないのですが、人物の表情や動きはまさに人間と感じてしまいました。最初は、これまでのディズニー作品と違う感じがしましたが、メッセージ性や世界観は納得するものがありました。また、死後の世界の色彩の美しさはこれまでのディズニー作品以上だったかもしれません。骸骨の登場も最初は違和感があるのですが、観ているとだんだん可愛く見えてきます。
死後の世界や骸骨と受け入れがたい世界もディズニーの手にかかれば彩り鮮やかな美しい世界に変わります。(女性 40代)
タイトルにもある「リメンバー・ミー」、「私を忘れないで」が見事に回収される名作アニメーション。原題は「coco」だそうで、これについては日本スタッフの功績である。
主題歌の歌詞の意味も相まって、後半のストーリーには感動させられ号泣する。家族の再開は年を重ねるほど心が動かされてしまう。今作の悪役が思ったより悪い奴で救いようがなくびっくりした。
作中の死者の国は、スペインの生死感について知れて興味深くもある。日本のお盆に通じるものがあるので理解しやすかった。(男性 30代)
みんなの感想・レビュー
感動系の映画がとても好きな私にとって、この作品はピクサー映画の中で個人的に一番好きな映画になりました。まず脚本がよく練られているので、観ていて飽きることはありませんでした。アニメーションの作品ですが、流石はピクサーさん。素晴らしい映像美に加え、子供も聴きやすいキャッチーなテーマソングで終始見入ってしまいました。主人公の祖父母があの曲を口ずさみ始めた最後の方のシーンでは号泣しました。子供ができたら一緒に観たいと思います。
主人公はシンガーを夢見る少年。しかし、高祖父が家族を捨てシンガーとなったことで、彼の家系では音楽と関わることを固く禁じられている。音楽をとるのか、それとも家族をとるのか。この作品ではどちらかではなく、夢を追う中でも大切なことを忘れないでというメッセージが込められているようだ。主題、展開共にわかりやすいエンターテインメント作品だが、大人目線で観ると、大人としての家族との向き合い方の大切さや、子供の頃の輝きを思い出させてくれるほろ苦さを感じた。
わかりやすいストーリーと、個性的なキャラクター達、キャスト人の素敵な歌声により、ハラハラドキドキでき、最後は泣ける素敵な作品。
大切な人と思い出や出来事を共有することがとても素敵に思えた。
「本当の幸せとは何か」をテーマに繰り広げられる少年の大冒険だ。家族愛・自身の幸せ・
夢を諦めない心と、老若男女を問わずに人生を考えさせられる内容だった。音楽と色彩あ
ふれる映像美も楽しませてくれる。
ディズニー作品は、欧米童話や白人を主人公に描かれた作品が多かったが、近年、文化や
人種の壁を超え、現代的な視野を反映させている。本作の舞台はメキシコで、彼らの文化
と習慣に触れることができとても興味深かった。
“一年に一度の死者の日に、マリーゴールドの花びらを墓地から家まで敷いて亡くなった家族が迷わず帰ってこられるようにする”や“人は命を落としたときと人に忘れられたときとで2回死ぬ”という、この作品の世界観をとても気に入りました。また、マリーゴールドの花びらで埋め尽くされた、死の国と人間の世界を繋ぐ橋のシーンの美しさや、子供が見ても怖くない見た目のガイコツなど、さすがディズニーだなと思う点が多かったです。さらに、映画中に何回か流れる『リメンバー・ミー』を歌う、ミゲル役の男の子の透き通った歌声には、感動しました。
音楽好きの少年だが家では大好きなギターを弾く事が出来ず、ある日少年は死者の国に迷い込んでしまうというディズニー映画です。今までのディズニー映画にはないストーリーとだと思いましたが、さすが映像はとても綺麗でした。
音楽も家族も大好きな少年が、最後には両方を手に入れて無事に元の世界に戻ってきます。死者の国が、ほんとにあんなに綺麗ならいいなと思いました。
ピクサーの作品はどの作品も内容がしっかりしていて、大人も子供も楽しめる作品ばかりですが、この「リメンバー・ミー」はその中でも飛び抜けた作品でした。
唯一、日本語吹き替えが残念。
子供と観るので日本語吹き替えで観ないといけない、自分の問題なのですが、今回ヘクターの声にはガッカリ。
声を演じた藤木直人さんの顔しか浮かばなかった。
有名な俳優さんを使うのを本当にやめて欲しい。
誰かわからないミゲルの声、歌すごくよかったから。
リメンバーミーというタイトルですが、死者の世界にいるキャラクターたちの私を忘れないでほしいという気持ちが痛いほど伝わってきて、観た後は自分たちの先祖や、亡くなった大切な人たちを忘れずに生きていこうと自然と思えるような作品だったと思います。
家族の大切さはもちろん生と死が大きなテーマとなっていますが、物語の進み方やキャラクターたちのお陰で、理解するのが難しいテーマが最大限分かりやすく表現されているので、子供たちにぜひ見てもらいたい作品だと思いました。
ストーリーは死者の世界へ行くという、少し重めな感じではあったが、映像やキャラクターがポップであったため、とても見やすく印象が変わっていった。音楽を愛するミゲルと、音楽を許さない家族との違いの中、死者の世界へ行ったミゲルと、ヘクターやデラクルスとの出会いや、新たに発覚した真実など、次々と展開していく物語に釘付けになっていた。ミゲルが歌ったリメンバー・ミーを聞いたココの気持ちや、ヘクターを思い出す場面に感動し、涙がこぼれた。夢を応援する家族の形や、死者への大切な想いなど、考えさせられ学ばされた作品である。
『リメンバー・ミー』という日本版タイトルはとても素晴らしいが、本国版の『Coco』というタイトルも、映画を観賞した後であれば、実にしっくりとくる素敵なタイトルだと感じた。
物語のキーパーソンとなるのは、実はミゲルのひいおばあちゃんであるココなのだ。彼女がいなかったら、この映画の感動的なラストは成立せず、下手したらバッドエンドになってしまっていただろう。認知症で家族の顔や記憶も薄れていたママ・ココが、まさか終盤でミゲルの強い味方になるとは、私には考えもつかなかった。
幸せなどんでん返しというのは良いものだなと、しみじみ感じた映画である。
この映画で表現されている死者の国は明るい色合いで、どこが温かい気持ちになりました。主題歌のリメンバー・ミーは、映画の中身をそのまま表現しているなと感じました。「忘れずに覚えていて」そういう心の大切さ、亡くなって行った方達の気持ちがテーマかと感じます。映画も終盤になると、登場人物のミゲルとセクターとの意外な関係性も垣間見えてきます。色々な思い出を心に秘める家族と、音楽をこよなく愛する主人公のミゲル、死者の国を通してこのふたつの心が交差します。どこか懐かしい気持ちで見られる映画かと思います。