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映画『ライド・ライク・ア・ガール』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『ライド・ライク・ア・ガール』の概要:オーストラリアの競馬界で聖杯と呼ばれるメルボルンカップにて、女性騎手として初優勝に輝いたミシェル・ペインの苦難の歩みを描いた実話。騎手となった彼女はレースにて着々と功績を上げていたが、G1レースで1着を取った直後、落馬してしまう。

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映画『ライド・ライク・ア・ガール』の作品情報

ライド・ライク・ア・ガール

製作年:2019年
上映時間:98分
ジャンル:ヒューマンドラマ、伝記
監督:レイチェル・グリフィス
キャスト:テリーサ・パーマー、サム・ニール、サリヴァン・ステイプルトン、スティーヴィー・ペイン etc

映画『ライド・ライク・ア・ガール』の登場人物(キャスト)

ミシェル・ペイン(テリーサー・パーマー)
10人兄妹の末っ子として育ち、馬と触れ合い騎手になるべくしてなる。父パディから騎手としての英才教育を受け、数々のレースへ出場。諦めない精神を持ち、女性にしては攻撃的な走りを見せる。兄スティーヴィーとは特に仲良し。
パディ(サム・ニール)
ミシェルの父。競馬一家の主だが、末っ子のミシェルが生後半年になる頃、妻を交通事故で亡くし、10人の子供達を一人で育て上げる。調教師として競馬界でも名が知れており、子供達に騎手として必要なノウハウを授ける。
ブリジッド(アンネリーゼ・アップス)
ミシェルの姉。騎手として活躍していたが、レース中の落馬で命を落としてしまう。
スティーヴィー(スティーヴィー・ペイン)
ミシェルの兄でダウン症。兄妹で唯一、騎手になっていない。妹のミシェルが大好き。幼い頃から牧場にて馬と触れ合い、馬のことを誰よりも知っている。優れた厩務員として調教施設に大抜擢される。

映画『ライド・ライク・ア・ガール』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『ライド・ライク・ア・ガール』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『ライド・ライク・ア・ガール』のあらすじ【起】

オーストラリア。10人兄妹の末っ子として生まれたミシェル・ペインは、生後半年にして交通事故で母を亡くした。父パディは男手一つで10人の子供達を育てることになり、ミシェルは母と触れ合うことなく育ったが、姉と兄に囲まれ寂しさを感じることはなかった。家は牧場を営んでおり、兄妹10人中8人が騎手となったため、ミシェルも幼い頃から騎手になることを目指していた。彼女の夢は聖杯と呼ばれる最大のレース、メルボルンカップで優勝することだった。

10人も子供達がいれば家の中は常にハチャメチャである。そんな中、すぐ上の兄スティーヴィーはダウン症でミシェルのことが大好き。ミシェルはいつも兄を庇い、兄妹から責められることが多かったが、ここぞという時はいつもパディが寄り添い励ましてくれるのだった。

優しくも厳しい父パディは、息子でさえも騎手ならば泣き言を許さない。その日は兄妹4人がレースに出場し、姉ブリジッドが一着だったが、メルボルンカップに出場できるのは大方が男性騎手ばかりであった。

1991年、メルボルンカップ。国を止めるとまで言わしめるレースは小学校でも視聴の時間を取るほど人気が高い。ミシェルは兄を懸命に応援したが、兄はペース配分を間違え最下位で終わった。

10年後、高校生になったミシェルは授業中に何度もトイレへ行って姉達が出場するレースをラジオ放送でこっそり聞いていた。パディはミシェルをも騎手にさせるべく厳しく育てている。兄妹達も経験者として末っ子に幾つものアドバイスを授けた。そうして、いよいよミシェルは見習い騎手としてレースへ出場したが、レースではことごとく勝てなかった。

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映画『ライド・ライク・ア・ガール』のあらすじ【承】

パディによりクラスを変更され次のレースへ。走り出しに成功したミシェルはトップを独走し、首位でゴールした。喜びで胸を一杯にする中、姉ブリジッドがレース中に落馬し亡くなったという訃報が入る。葬式は家族総出で行われ、多くの人が参列した。

2年後、ミシェルはパディに別の調教師と組み、上のクラスの馬に乗りたいと訴えたが、父は忍耐の時だからもう少し待てと言うばかり。しかし、ミシェルはG1に出るような一流騎手になりたい。彼女はパディの言うことを聞かず家を出て行ってしまう。

コーフィールド競馬場へやって来たミシェルは、騎手として自分を売り込んだものの誰も雇ってはくれない。彼女は諦めず、調教のために乗せてもらうだけでもいいと頼み込んだが、騎手を引退して調教師となった2人の兄や騎手として現役の姉達には及ばないと言われてしまう。
そんなある日、姉の一人が騎手を引退して結婚することに。そこで、ミシェルは諦めずに調教と称してこっそり馬に乗ることに成功。馬主たちは彼女の騎手としての才能を垣間見る。

加えてミシェルのマネージャーに長年、ペイン家を見守ってきた人物がついてくれることになり、交渉に長けた彼女によって早々にレースへと出走が決定。以降、ミシェルはレース三昧の日々を送りそして、とうとう念願のG1出場が決まる。ミシェルは父に何度も報告の連絡を入れたが、パディは頑として電話には出でくれないのだった。

G1レース当日、ムーニーバレーへやって来たミシェルは、スティーヴィーが駆け付けてくれたことを喜ぶ。しかし、レースは苛烈を極めミシェルはどうにか1着でゴール。この走りに目をつけた馬主からG1に出場する馬に乗って欲しいと打診がくるが、3キロの減量を余儀なくされてしまう。ミシェルは身を切る思いをして必死に減量。それでも姉の結婚式にはどうにか参加することができた。その後、パーティーでパディが挨拶を行ったが、ミシェルのことには一切触れず、スティーヴィーが厩務員として抜擢され新しい調教施設で働くことが報告された。

映画『ライド・ライク・ア・ガール』のあらすじ【転】

ミシェルは騎手であってもまだ見習いである。G1レースで勝ってもプロとして認められたわけではない。パディは彼女が家を出て以来、一切口を開かず無視を決め込み娘に声をかけることはしなかった。兄曰く、ブリジッドのようにもう二度とレースで落馬して娘を失いたくないかららしい。

それでもミシェルはG1で走るいい馬に乗るため、無理をして減量を続けた。そうして、サンダウン競馬場にて、検量をパスしとうとうレースへ。ミシェルは隙間を縫って1着でゴールしたが、その直後にバランスを崩して落馬してしまう。馬も同時に倒れすぐに立ち上がったが、ミシェルは身じろぎ一つ取ることができなかった。

この一報に家族全員が病院へ駆け付ける。昏睡状態に陥ったミシェルは脳の内外に出血がある他、右前頭葉に損傷があった。医師の診断に愕然とするペイン一家。中でもパディの憔悴は酷いものだった。

意識は回復したものの、後遺症により身体機能が著しく落ち言葉も読めずに話せない。ようやく座れるまでに回復し、言語機能も徐々に戻った頃、実家へ帰宅することができる。リハビリは続けているが、次に頭を打つと今度こそ助かる見込みはないと言われる。

そんなある日、実家の牧場にいる馬がミシェルに近寄って来たので、彼女は馬に乗ってみることに。このことをきっかけにミシェルは再び騎手として復帰することを決意したが、兄妹達は誰もが口を揃えて反対。だが、パディだけはミシェルの味方をしてくれるのだった。

これまでの騎手としての戦歴は3200戦、361勝で落馬7回、16か所の骨折を経て、ミシェルは果敢にも騎手へ復帰する決意を固める。
そんなある日、スティーヴィーを調教施設へ送って来たミシェルは、プリンスオブペンザンスという競走馬と運命的な出会いを果たす。調教師によると、この馬はミシェルよりもケガが多いらしく、近くのビーチへと遠乗りの許可を出してくれるのだった。

プリンスオブペンザンスの素晴らしさを知ったミシェルは、調教師にどうしても乗せて欲しいと頼み込む。彼は目を輝かせる彼女に根負けし、施設への滞在を許した。以降、スティーヴィーと共に馬の世話をしたミシェル。とうとう短距離レースでの出場に許可が出る。

映画『ライド・ライク・ア・ガール』の結末・ラスト(ネタバレ)

ミシェルは復帰戦となったレースでプリンスオブペンザンスに乗り見事に優勝。華々しい復帰を遂げたミシェルはその後、メルボルンカップへの出場権を賭けたレースへ。彼女は手腕を発揮し勝利を手にした。ところが、レース中にミシェルが他の騎手の走行を妨害したとして審理にかけられる。映像判定と騎手達の証言の結果、勝利は確定されたが、ミシェルには騎手として20レースの出場停止処分が下されてしまう。

メルボルンの出走権は獲得したものの、ミシェルは20レースも出走できない。その間、プリンスオブペンザンスを休ませているわけにはいかないので、他の騎手が乗ってレースへ出場することに。不満を訴えたところで、これが現実である。そんな時、パディが心臓発作で倒れたと連絡が入る。

病院に搬送されたパディは自分は元気だと怒鳴っていたが、心臓発作で倒れたことは紛れもない事実。父はそのまま入院を余儀なくされた。
そして、翌日。病院から姉の連絡を受け取ったミシェルは父が死んだのだと酷く悲しんだが、パディは病院から抜け出し勝手に家へ帰って来るのだった。

その後、ミシェルの処分が無事に済み馬主会議が開かれる。プリンスオブペンザンスはケガが多く療養に酷く金がかかっている。出資者としてはメルボルンカップで賞金が出る10位以内に入賞しなければ、元が取れない。だが、ミシェルのような女性騎手ではレースに勝てる見込みがない。その上、彼女は割と攻撃的な走りをするため、何かあっては元も取れない。ミシェルは会議に乱入し、プリンスオブペンザンスに乗せて欲しいと告げた。すると、調教師が彼女のような勢いは勝利に欠かせないと説得。そうして、ミシェルはメルボルンカップへの出場が決定した。

出走枠のくじ引きは厩務員としてスティーヴィーが引くことになり、見事に希望通りの1枠を奪取。ミシェルは落ち着かない夜を過ごし、いよいよメルボルンカップ当日を迎えた。オッズでは人気のないミシェルが大穴となっていた。

ほとんどが男性騎手で女性騎手はミシェルのみ。これまでメルボルンカップには5人の女性騎手が出場しているが、誰も勝利を収めた者はいない。調教師からは無理をせず10着以内に入れればいいとアドバイスをもらう。そうして、プリンスオブペンザンスに乗る前、スティーヴィーと会話。ミシェルは緊張とリラックスの狭間を保ち、馬のコンデションも良かった。

すべての馬が枠に入りいざレース開始。ミシェルはプリンスオブペンザンスを抑え序盤はとにかく耐え忍ぶ。そうして、最後のカーブを曲がった時、それまで抑えていた力を解放。ミシェルはプリンスオブペンザンスと一体となり、先頭集団を抜けて何と1着でゴールした。彼女は女性騎手として初のメルボルンカップの勝利を勝ち取ったのである。レース後の検量にも問題はなく、騎手同士の諍いもなかった。

その後、ミシェルはスティーヴィーと共に実家へ。パディにメルボルンカップの優勝カップを渡す。父はそのカップを亡き妻の写真の前へ捧げた。それから、父と娘は2人で牧場の馬を厩舎へと戻しに向うのだった。

メルボルンカップ155年の歴史において、ミシェルは女性騎手として初の優勝を記録。彼女はスティーヴィーとの約束を守り、牧場を購入し共に競走馬を調教している。

映画『ライド・ライク・ア・ガール』の感想・評価・レビュー

実在する女性騎手ミシェル・ペインの苦難と懊悩の日々を描いた作品で、兄スティーヴィー役には本人が出演している。

まだ差程、昔ではない当時、騎手と言えば男性が主流で女性騎手の控室もまともに用意されていなかった。完全な男性社会で伸し上がるのは大変なことだったと思う。今でこそ、女性騎手も活躍するようになったが、今作でも男尊女卑の差別的な扱いが描かれている。メルボルンカップに出場するには、男性が優遇されるなどだ。ミシェルがどんなに頑張っても父から言葉をかけてもらえないシーンはとても寂しく感じたが、落馬後に付きっきりで娘の傍にいる姿に胸を打たれた。落馬で命を落とすことも少なくない中、ミシェルはよくぞ復帰したものだと思う。凄い根性だ。家族愛とレースに懸ける姿を描いた素晴らしい作品。(MIHOシネマ編集部)

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