映画『リスボンに誘われて』の概要:パスカル・メルシェ原作の「リスボンへの夜行列車」をビレ・アウグスト監督が映画化。出演はジェレミー・アイアンズ、メラニー・ロラン。ポルトガルの古書を巡る知的な旅。2013年独・スイス・ポルトガル映画。
映画『リスボンに誘われて』 作品情報
- 製作年:2013年
- 上映時間:111分
- ジャンル:ヒューマンドラマ、ラブストーリー
- 監督:ビレ・アウグスト
- キャスト:ジェレミー・アイアンズ、メラニー・ロラン、ジャック・ヒューストン、マルティナ・ゲデック etc
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映画『リスボンに誘われて』 評価
- 点数:80点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★★
- キャスト起用:★★★★★
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『リスボンに誘われて』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『リスボンに誘われて』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『リスボンに誘われて』 あらすじ【起・承】
ライムント・グレゴリウス(ジェレミー・アイアンズ)は、スイスの高校で古典や哲学を教えていた。かつて教え子だった女性と結婚したが、現在は離婚していた。
ある日、通勤途中に橋の上から自殺を図ろうとしている女性を見つけ助けた。
ところが彼女は、何も言わず、コートを残したままいなくなってしまう。
そのコートのポケットから、1冊の本「言葉の細工師」アマデウ・デ・プラド著とリスボン行きの高速列車のチケットを見つけます。
グレゴリウスは彼女を追いかけ、駅までゆくが、見つけることが出来なかった。その後、まるで本に吸い寄せられるかのようにリスボン行きの列車に乗ってしまう。
彼は、列車の中で一心にアマデウが書いた本を読んだ。この本に書かれていることは自分が考えていることと同じだと夢中になってしまう。
そして、著者であるアマデウに会いたいと思い、彼を訪ねることに。
グレゴリウスは、アマデウが若くして亡くなってしまったことを知り、彼の家族に会って話を聞こうと考えた。最初に会ったのが、彼の妹で年老いたアドリアーナ(シャーロット・ランプリング)。
次に伯父のジョアンナ・エッサ(トム・コートネイ)を訪ねた。その結果、1970年代に起きた民主化運動の歴史を知るのだった。その反体制運動には、アマデウも活動に関わっていたらしい。
また、バイクの事故で、怪我をした際に眼科医のマリアナ(マルティナ・ゲディク)に診療してもらう。
映画『リスボンに誘われて』 結末・ラスト(ネタバレ)
1970年代。青年アマデウ・デ・プラド(ジャック・ヒューストン)は、医師。
友人のジョルジュ(アウグスト・ディール)と共に反体制運動に加わっていた。
その仲間に記憶力の優れた女性エステファニア(メラニー・ロラン)がいた。
彼女ははじめ、ジョルジュと付き合っていたが、アマデウに一目ぼれしてしまう。
その頃、彼らの活動ににらみを利かせていた秘密警察のルイ・ルイス・メンデス(アドリアーノ・ルズ)が市民に暴行されてしまう。アマデウは、医師として彼を助けるのだが、市民の怒りを買ってしまう。
しかし、この1件で秘密警察からの情報を利用できるようになったのだ。
ところが、反体制運動の取り締まりが強くなり、秘密警察がアマデウらの拠点を捜索したのだ。多くの若者が逃げる中、ジョルジュはエステファニアとキスを交わす、アマデウの姿を見てしまう。
2人の仲に嫉妬したジョルジュは、仲間から貰った拳銃をアマデウとエステファニアに向けるのだった。しかし、殺すことは出来ず、2人を逃がすのだった。
逃げた2人は、新しい土地で共に生きようと考えるが、アマデウの崇高な理想を知ったエステファニアは、自分を求めているのではないことを知った。
結局、2人は別れてしまう。
その後、アマデウは、持病だった動脈瘤を悪化させて亡くなった。
リスボンにいるグレゴリウスの元へ、自殺未遂を起こした女性が訪れた。
元気な様子を見せ、自殺の動機がアマデウの本にあったと話す。
スイスへ帰国する直前、グレゴリウスは駅で、眼科医のマリアナと会う。
自分の人生とアマデウの壮絶な人生を比べると、自分は何も成していないというグレゴリウスに対して、彼女はやさしく微笑む。
“もう少し、リスボンにいたら。”と。
映画『リスボンに誘われて』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『リスボンに誘われて』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
ポルトガル語の古書をめぐる知的な冒険!
本を夢中で読んだことがある人なら、この映画を観てポルトガル語や1970年代のリスボンの歴史を知る喜びを発見するだろう。さぁ、自分の知性を揺り動かせ!
高校で古典や哲学について教えているグレゴリウスが、自殺未遂の女性が残したコートから、アマデウが書いた本とリスボン行きのチケットを発見します。サスペンスのような緊張感ある始まりに引き込まれ、現在と過去のリスボン、そしてアマデウの生涯が彼の中で交差してゆきます。
グレゴリウス役を演じる、ジュレミー・アイアンズが、恐ろしいまでの集中力でアマデウの本の魅力に憑りつかれる様は人間の知性の限界を越えようとするかのよう。
また映画では、1970年代に起きた反体制運動を取り上げ、崇高な理想を追う若者たちの戦いと激しい愛を描いています。同じように“革命”を扱ったものに「ドクトル・ジバゴ」があります。
原作と映画では趣きの異なるところがありますが、展開の面白さやリスボンの歴史的事実を深く掘り下げている点はさすがだと思います。
ぜひ、原作も併せて読むことで、更に文学性が増した世界を堪能して下さい。
知的な存在感を醸し出す、シャーロット・ランプリング
この映画で、主人公と共に知的な存在感を魅せているのが、「さざなみ」(15)でベルリン映画賞銀熊賞を受賞したシャーロット・ランプリングです。
この映画では、アマデウの妹アドリアーナを演じ、兄アマデウへの愛情や歴史の証人としての役割を担っています。最初は愛想のない態度でしたが、彼女がアマデウという存在を蘇らせてくれたのではないかと思います。
シャーロット・ランプリングという女優の凄いところは、どんな作品に出演しても、誰よりも目立ってしまうこと!私は秘かに“女王様”と呼んでいます。
彼女は、自分の個性に合った作品選び、自分の見せ方を熟知しています。
「リスボンに誘われて」を観て、彼女が気になった方は、フランソワ・オゾン監督の「まぼろし」(00)と「スイミング・プール」をおすすめします。
映画『リスボンに誘われて』 まとめ
1冊の本との出会いが、自分の人生を変えるなんて信じられないと思う人もいるでしょう。
しかし、世界中には同じように考え悩み生きている人が多くいます。
この映画では、「言葉の細工師」アマデウ・デ・プラド著という本に自分を重ね、文学性や歴史を探求しています。主人公を演じる、ジェレミー・アイアンズがインテリを嫌みなく演じ、深い精神性を表現していることに一番魅力を感じました。
またアマデウの妹アドリアーナを演じる、シャーロット・ランプリングには、毎回、ハッとさせられます。どの映画を観ても、彼女でなくては浮かび上がらない人生の業というものが現れるのです!
この映画を観て、リスボンという場所が特別なところに思えてなりません。スイスからリスボンへの道のりは、映像ではさらりと描かれていますが、かなり遠いのだそうです。
その距離さえも、愛おしく感じられる作品です。
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