映画『ランナウェイズ』の概要:ジョーンは“ワイルド”に憧れてロックバンドを作ろうと思っていたが、世の中はそんな“強い”女性に難色を示した。そんな時、レコード・プロデューサーのキムと出会い、ガールズ・バンドをプロデュースしてもらうことになる。
映画『ランナウェイズ』の作品情報
上映時間:107分
ジャンル:ヒューマンドラマ、青春、音楽
監督:フローリア・シジスモンディ
キャスト:クリステン・スチュワート、ダコタ・ファニング、マイケル・シャノン、ステラ・メイヴ etc
映画『ランナウェイズ』の登場人物(キャスト)
- ジョーン・ジェット(クリステン・スチュワート)
- ガールズ・バンド「ランナウェイズ」のギター担当。“ワイルド”に憧れを抱き、女性だけでロックバンドを結成することを夢に見ていた。
- シェリー・カーリー(ダコタ・ファニング)
- 15歳。ガールズ・バンド「ランナウェイズ」のヴォーカル担当。父はアルコール中毒者。母はそんな父に愛想を尽かし別れを選ぶが、シェリー自身は父のことが大好きだったため、父を捨てた母が許せずにいる。双子の姉のマリーとは仲が良い。
- キム・フォーリー(マイケル・シャノン)
- レコード・プロデューサー。“ヒステリーの王”と名乗るぐらい破天荒な性格。ガールズ・バンドに興味を持ち、「ランナウェイズ」をプロデュースする。
映画『ランナウェイズ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ランナウェイズ』のあらすじ【起】
シェリーは初潮が始まり、女の子として体は着実に成長していた。だが一方で、双子の姉のマリーが彼氏に体を触られている場面を、嫌悪感を抱きながら眺めていた。シェリーは自分で長かった髪をザンバラに切ると、マリーの手を借りながら、デビッドボウイのレコードジャケットのメイクを顔に施した。そして、その顔のまま、クラブでショーを披露した。ジョーンは“ワイルド”に憧れ、袋に入った小銭で皮ジャンを購入した。夜に友人と語り合っているときに、友人は兄の話をした。友人の兄は女性に“強さ”ではなく“柔らかさ”を求めていた。ジョーンはそのことに嫌悪感を抱いていた。
ジョーンはギターを習いに行っていた。だが、先生が教えてくれるのは穏やかな曲で、ロックは教えてくれなかった。先生は女性にはエレキギターは教えないと、ジョーンの希望を無視した。ジョーンはそのことに苛立ち、勝手にエレキギターをかき鳴らした。
シェリーは自分の誕生日にケーキを用意して父の帰りを待っていた。だが、電話で今日は帰れないと告げられる。ジェリーはショックを受け、指でろうそくの火を消した。
ある夜、ジョーンはクラブの外でレコード・プロデューサーのキム・フォーリーを見かける。ジョーンが勇気を出して話しかけに行くと、キムは自らのことを“ヒステリーの王”だと茶化しながらジョーンの話を真面目には聞かなかった。しかし、ジョーンが女子のバンドを作りたいと言うと、キムはジョーンに興味を持ち、ドラムのサンディを紹介した。
キムの指導を受けながら、ジョーンはサンディと練習をするようになった。キムはその練習風景を見ながら、このバンドにはセクシーさが足りないと感じた。キムはクラブの壁に佇むシェリーを見掛け、ルックスを気に入った。シェリーは歌うことができ、デビッドボウイの口パクで優勝経験もあった。キムはシェリーをバンドに誘い、練習に来るように伝えた。
映画『ランナウェイズ』のあらすじ【承】
シェリーがバンドの練習にやって来た。だが、シェリーが練習してきた曲は、ペギー・リーの「フィーヴァー」だった。バンドメンバーの親世代にファンがいるアーティストで、バンドメンバーは“タルい曲”は嫌だと練習に難色を示した。キムはシェリーを一度部屋から追い出すと、ジョーンにギターを弾かせ、シェリーからインスピレーションを得た言葉で曲を作った。シェリーはキムの指導で歌うが、歌詞に過激な言葉が使われていることを知り抵抗感を抱く。しかし、ジョーンからただの歌だと励まされたり、キムから熱心な指導を受けたりして、思いっきり歌えるようになった。
シェリーはジョーンが自分の家と同じように、父親が家を出て行き、母親と暮らしていることを知る。サンディに勧められて酒を飲むが、思い出すのは父のことだった。シェリーの父は酒飲みだったが、本人は“いつでも止められる”と言って、アルコール中毒の自覚がなかった。
シェリーの母が突然再婚相手を連れて帰ってきて、インドネシアに引っ越すことになったと告げた。シェリーはそのことにショックを受け、母を非難して家を出た。その一方で、バンドの練習は上手くいっていた。キムから野次のあしらい方を伝授されたおかげで、観客から野次を飛ばされてもめげずに歌うことができた。
海外ツアーが決まった。出発当日、シェリーはマリーに別れを告げ、祖母の家から旅立とうとした。しかし、そこに酔っ払った父が帰ってきて、気絶してしまう。シェリーは後ろ髪を引かれながらもメンバーから出発を急かされ、マリーに後のことを任せて旅立って行った。
キムが用意した部屋は一部屋だけで、そこに5人のメンバーが全員で寝泊まりすることになった。しかし、シェリーはマリーに、一人一部屋のホテルに滞在していると見栄を張った。マリーはそれを羨ましがった。父は相変わらず酒を飲んでいたが、心配させないように大丈夫だとシェリーに伝えた。シェリーは家族のことが心配になるが、メンバーに相談することはできなかった。
映画『ランナウェイズ』のあらすじ【転】
ジョーン達のバンドツアーは順調だった。しかしその一方で、食べ物を購入できるお金がないほど困窮していた。ジョーンはキムに連絡を取り金を振り込んで欲しいと頼むが、レコード会社と商談中だから今は無理だと断られる。ジョーンはキムに裏切られたと思っていたが、キムは大手のマーキュリーレコードとの契約を取っていた。
ジョーン達は「ランナウェイズ」という名前でデビューした。紙面では“十代の楽園”“ロック少年達にガツンと教えるガールズ・バンド”などと書かれ、演奏力も認められた。今度は日本にツアーに行くことになったが、シェリーはマリーを連れて行こうとはしなかった。バンドメンバーの誰もが家族を連れて来ないため、1人だけ浮くのが嫌だったのだ。マリーは再び置いて行かれることに腹を立てた。
キムはシェリーに電話を掛け、20分後に日本のカメラマンが雑誌の撮影に行くことを告げた。シェリーは他のメンバーがいないことに疑問を持つが、キムから別日に撮影すると言われ納得した。シェリーはカメラマンに指示されるままポーズを取った。
「ランナウェイズ」は日本へと降り立った。多くのファンが待ちわびており、メンバー達はその熱狂ぶりに喜んだ。シェリーはファンを喜ばそうと、ほぼ下着のような格好でステージに上がることを考える。ジョーンは逮捕されたり、問題になったりするのではないかと心配し、その格好に難色を示した。
映画『ランナウェイズ』の結末・ラスト(ネタバレ)
マリーは父が倒れたため、シェリーに家に帰ってきて欲しいと頼んだ。しかし、シェリーは麻薬で意識が朦朧としており、家はないと呟いて拒否した。シェリーは麻薬を吸うと、ステージへと上がっていった。観客達も熱狂し、バンドメンバー達は充足感を味わいながら楽屋へと戻った。だが、サンディがシェリーの載った雑誌を投げつけ、突然怒り出した。それは、日本人カメラマンによって撮影されたものだった。ジョーン達はポルノ女優のように過激に写るシェリーの写真を見て、バンドが色物扱いされると非難した。シェリーはバンドの宣伝のためにやったことなので、非難されることが受け入れられなかった。その後、意識を失くして倒れてしまい、病院に運び込まれた。ジョーンは見舞いに行くが、2人の間にぎこちない空気が漂った。
シェリーは家へと帰り、マリーと仲直りをした。父はシェリーのことを心配しており、掲載された記事を全て残していた。しかし、シェリーは父と向き合うことができず、眠る父にお金を握らせて部屋を出た。その姿をマリーが見詰めていた。
シェリーを批判する記事が雑誌に掲載された。すると、バンドメンバーの間でシェリーに対して鬱憤が溜まっていた者と、批判記事など気にせず曲を練習しようとする者とで口論になった。そこに、キムが現れ、世論を動かすために記事を掲載したことを告げた。キムは練習するように伝えるが、シェリーは歌う気力を失くし、キムと口論の末スタジオを去った。ジョーンはバンドをぐちゃぐちゃにしたキムに腹を立てて怒るが、キムは全く気にしていなかった。
シェリーはバンドを休み、家族と過ごしたいとジョーンに告げた。ジョーンは裏切られた気持ちになり、ショックを受ける。シェリーは家族と過ごすことで人生を取り戻そうとしていたが、ジョーンにとってはバンドで演奏することが自分の人生だった。
8か月後。ジョーンはバンドで演奏することができず、堕落した生活を送っていた。だが、友人に勧められ、ソロで活動するために動き出すことを決める。一方、シェリーはアルコール中毒になり、公衆電話で倒れて病院に運び込まれていた。マリーはそんな妹を心配し、病院まで見舞いに行った。
シェリーが仕事先でラジオを聞いていると、ジョーンが登場した。そのことに嬉しくなり電話を掛けるが、パーソナリティーに近況を聞かれ、演技の勉強をしていることを話しただけに終わってしまう。ジョーンとは気まずくて会話することができなかったのだ。しかし、シェリーもジョーンも嬉しそうに微笑んでいた。
その後、シェリーは映画に出演しマリーとレコードを出すが、薬物問題で挫折。依存から立ち直った後は、同じ問題に悩むティーンのカウンセラーとなった。現在はチェーンソー彫刻のアーティストとしても活躍している。ジョーンはバンドの解散後、「ジョーン・ジェット&ザ・ブラックハーツ」を結成。23のレーベルに断られ、自主製作のアルバムを発売。「アイ・ラヴ・ロックン・ロール」は1000万枚以上の大ヒットとなった。現在も世界的に活躍中である。キムは70年代に様々なアーティストをプロデュースした。現在はのんびりと隠居生活を送っている。
映画『ランナウェイズ』の感想・評価・レビュー
ワイルドさに憧れ女性としての柔らかさに嫌悪感を抱いていたジョーンと、自分の体が徐々に大人の女性として成長していく姿や姉のマリーと彼氏の姿に嫌悪感を抱いていたシェリーが、ガールズバンドとして活躍していく中で、様々な気持ちの変化が見られ、プロデュースしてくれたキムとの出会いなど、多くの見所があり、同じような気持ちになれた。シェリーの父親への気持ちや、マリーに対しての態度なども、見ていて心が痛むと同時に、共感もできた。ジョーンとシェリーがそれぞれの道を進み、お互いが認め合うシーンも感動的であった。(女性 20代)
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