映画『砂上の法廷』の概要:大物弁護士が、息子の手で殺され、被告人が黙秘を貫いたまま迎えた裁判。絶対不利な裁判に立ち向かう被告人弁護士。法廷の中にある嘘を暴く事は出来るのか。
映画『砂上の法廷』 作品情報
- 製作年:2016年
- 上映時間:94分
- ジャンル:サスペンス、ミステリー
- 監督:コートニー・ハント
- キャスト:キアヌ・リーヴス、レニー・ゼルウィガー、ググ・ンバータ=ロー、ガブリエル・バッソ etc
映画『砂上の法廷』 評価
- 点数:90点/100点
- オススメ度:★★★★★
- ストーリー:★★★★★
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★★
映画『砂上の法廷』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『砂上の法廷』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『砂上の法廷』 あらすじ【起・承】
巨額の資産を持つ大物弁護士ラシター・ブーン(ジェームス・ベルーシ)が自宅で殺された。
犯人は息子で法律家志望のマイク(ガブリエル・バッソ)。
事件当日ラシターの妻ロレッタ(レニー・ゼルヴィガー)に、呼びされた弁護士のラムゼイ(キアヌ・リーヴス)は、恩師ラシターの事もあり、
マイクの顧問弁護を引き受ける事となる。
しかしマイクは、裁判が始まっても黙秘を貫いたまま。
検察側弁護士が、チャーター機乗務員、ブーン家お抱え運転手、事件当日現場に呼ばれた婦警、果ては鑑識まで、
証言台に立たせるが、殆どの人間は、マイクとブーンの親子関係に言及しないにも関わらずマイクを有罪だと決め付けていた。
ラムゼイは、裁判でマイクの無罪を勝ち取るのは困難を極めると想定し、恩師の1人で、検察にも顔が利く敏腕弁護士ウォルターの娘・
ジャネル(ググ・ルバサ・ロー)をパートナーに付ける。
その鋭い洞察力から『嘘発見器』と異名を持つジャネルは、検察側の証人の発言に信憑性はなく、マイクとラシターの親子関係は、
思春期以降拗れていたのが、今回の犯行の原因では、と推測するのだが・・・。
映画『砂上の法廷』 結末・ラスト(ネタバレ)
裁判は中盤を迎え、検察側が用意した証人もラシター家の隣人のみとなった。
ブーン家と長い間親交のあった隣人ウェスティン(ショーン・ブリッジズ)は、何かにつけラシターが、ロレッタを公衆の面前で卑下していた事、
そして思春期になったマイクがそれを庇っていた事を語る。
マイクの幼馴染で隣に住んでいたアレックスは、ロレッタがラシターに虐待されているのを見たとまで証言した。
ラムゼイは、陪審コンサルタントのジャック(クリストファー・ベリー)と相談し、陪審員に好意的に見てもらい、逆転無罪を勝ち取る為にロレッタに
虐待の有無を証言させる。
しかしその後、マイクは突然今までと態度を翻し、証言台に立つと言い張り、その為なら、ラムゼイを解雇してもいいという強硬手段に出る。
うろたえるラムゼイやロレッタと反して、マイクが証言したのは、父から長年受けていた性的虐待だった。
陪審員全員一致でマイクは無罪となったが、裁判が終わった後、マイクは腕時計の絵を見せラムゼイに喰ってかかる。
ラシターを殺したのは、マイクでもロレッタでもない、ラムゼイだった。
隣人も職場の人間もマイクも、ロレッタがラシターの束縛と虐待で崩壊寸前だったのを見てみぬ振りをしていた。
そんな時、ラムゼイは一歩踏み込み犯行に及んでしまう。
ベッドの脇に隠したはずの腕時計をマイクに見られたのだった。
ラムゼイは、もう裁判は終わり、世間の目は君が母親を救うために犯行に及んだと見ていると思っていると諭し、
マイクは怒りに震えつつ、その場を後にする。
映画『砂上の法廷』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『砂上の法廷』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
登場人物の証言と回想シーンで、真偽が明らかとなる
日本では僅か11館での限定公開にしておくのが惜しいぐらい、練れた脚本とコンパクトに纏まった構成だった。
法廷ものは中だるみしやすいという欠点があるが、法廷シーンと、主人公や証言者の回想シーンをこまめに挟むコトで、
構成にメリハリがついている。
法廷に出廷している者たちが、回想シーンで思い出す事が本当なのだから、当然の事ながら、嘘もある。
その比較を主人公を演じるキアヌ・リーヴスのナレーションで解説しているという試みもいい。
誰もが嘘をついてた法廷
法廷では、皆、身の保身の為に嘘をつくとラムゼイは語る。
映画を紐解いていくと、嘘が軽いもの順から証言していってるのが判る。
チャーター機の客室乗務員は、機内で何事もなかったと言うが実は、ラシターの虐待を見逃し自分は副操縦士と関係を持っていた。
鑑識は調査の結果、ラムゼイの髪がラシターに付着していたのを見抜くが、それが陪審や判事の望む結末ではないと判断し、
証拠を隠滅する。
マイクの幼馴染がラシターの虐待を見抜いたのはロセッタに思いを抱いていたからだった。
一番嘘をついていると誰もが思っていたマイクだけが法廷に真摯であった、だからこそ無罪だったのだろう。
何故この様な結末となったのか
映画の中のラムゼイは、師であるラシターと正反対の男である。
ラシターが豪邸を構え、周囲をイエスマンで固めているのに対し、ラムゼイは叩き上げだ。
他の者が車で来ているのに、彼だけがバイクで来ている。
仕事には魅力は感じるが、何者にも縛られない、彼だけがラシターを取り巻く人間の中で異端児だったのだろう。
だからこそ犯行に及んだのだとすれば、哀しい結果となる。
集中してみていたのに真相が明らかになった時、思わずえっ?と声が出てしまいました。マイクの犯行だったとしても性的虐待を受けていたのだから仕方ない。それで済んでしまうはずだったのに、マイクが黙秘を貫いていたのには違った理由があったと分かると全てのストーリーが違ったものに見えました。
真実を正しく裁くべき法廷で、皆が嘘をついていたなんて展開は誰も予想できなかったでしょう。
静かに進んでいくストーリーなので、驚きの真実を余計に引き立たせていて、とても面白かったです。(女性 30代)
映画『砂上の法廷』 まとめ
ラムゼイのファーストチョイスは、ダニエル・クレイグだったそうだ。
だが、クレイグは『007』の撮影に入り、この役はキアヌ・リーヴスに回されたらしい。
もしもクレイグのままなら、途中で真犯人が判ってしまったのでは、という考えはなきにしもあらずだ。
キアヌの様に、一見何を考えているのか判らない顔立ちだからこそ、この映画は最後の最後まで
ミステリアスに進んでいったのではないかと思う。
余談になるが、ロレッタ役がゼルウィガーと映画の途中まで気がつかなかった。
あまりの劇痩せで別人同然だったので、これは映画の結果以上に驚きという声もあがっている。
みんなの感想・レビュー
犯人は息子である。として息子が被告人として物語が始まり、実は母親を庇っていて真犯人は母親か?という疑いから最終的に息子の弁護をしていた弁護士が犯人だったという結末。
よく見る法廷ドラマだと母親が犯人として終わるものか、母親に疑いを向けさせたが結局息子だった。という展開が多いのでこの終わり方は気に入りました。
物語の端々で犯人の母親に対する特別な感情を感じさせるような態度がほんの少し残されていて、見終わった後にそういえば。と納得できる程度に抑えられていたのがとても良かったと思います。
マイクも法廷をよく熟知し、最後にした父からの性的虐待の話は一発逆転を狙う作り話では。
マイクを含め全員が秘密と嘘を持っていたと思います
先ほど見ましたがちょっと後味が悪い映画でした。ナレーターでもある主人公が犯人ってどうよ‥。あと、マイクが性的虐待されてたというのも本当が嘘かわからないので、マイクだけが正直だった‥と言うことは言えないと思います。
あと気になったところ‥ 1.被害者の名前はブーン・ラシター(順序が逆では?) 2.ベットではなくベッドでは? 3.腕時計は隠したのか情事の時にでも落ちたのかちょっと不自然ですよね 4.「諭し」が「聡」になってます 5.乗務員はただくっちゃべってただけですよね、映画を見る限り。しかもその時間に性的虐待があったかは嘘かもしれない。6.ロゼッタではなくロレッタでは? あと、私も彼女がゼルウィッガーだったと知ってビックリでした。一時整形に失敗したとか言われていましたよね。
あまりの洞察力に感服いたします。