映画『先に愛した人』の概要:癌で亡くなった夫の死亡保険金の受取人が“愛人”とされる男に変わっていた。セクシャリティの壁を根底に置きつつ、コミカルなリズムで一組の親子と内縁の夫の関係性を描く。
映画『先に愛した人』の作品情報
上映時間:99分
ジャンル:コメディ、ラブストーリー、ヒューマンドラマ
監督:シュー・チーイエン
キャスト:ロイ・チウ、シェ・インシュエン、ジョセフ・ホアン、スパーク・チェン etc
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映画『先に愛した人』の登場人物(キャスト)
- ジエ(ロイ・チウ)
- 小さな劇団で俳優兼演出家として活動している。陰ながら関係を続けていたジェンユエの最期を看取ったのち、突然正妻から詰め寄られ日常が変わり始める。
- サンリェン(シェ・インシュエン)
- 亡くなった旦那の死亡保険金を息子の留学費用に充てるつもりが、受取人が変更されていたことを知る。息子への愛情が強すぎるあまりに、ヒステリックな過保護になってしまう。
- チェンシー(ジョセフ・ホアン)
- 思春期真っ盛りの高校生。過保護で悲劇のヒロイン振る母親に嫌気が刺している。突如現れた愛人が「悪者」なのかどうか確かめるために歩み寄り始める。
映画『先に愛した人』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『先に愛した人』のあらすじ【起】
ゲイである父親は96日前に亡くなったとチェンシーは話す。母・サンリェンはヒステリックにジエの自宅の扉を叩き続けていた。ちょうど帰宅したジエに、死亡保険金の受取人が息子のチェンシーからジエに変えられていると文句を言いに来たのである。来年留学する予定のチェンシーのために保険金を使うはずだったサンリェンの怒りは止まることを知らなかった。一方的に怒鳴りつけるサンリェンに「自分は内縁の夫だ」とジエは言い切るのである。チェンシーに言わせると、この日の一件でサンリェンは「愛人」に成り下がってしまったという。
常に機嫌が悪く、口うるさいサンリェンを鬱陶しく思うチェンシー。怒っては泣き、また怒る。連日のヒステリックな様子にはハリウッド女優デビューでもするべきと皮肉を並べていた。そして、部屋に隠していた父親の残した手紙と時計を、サンリェンに捨てられてしまい我慢の限界に達してしまう。チェンシーはおじいちゃんの誕生日会を投げ出し、家を出た。
小劇団の俳優兼演出家をしているジエ。仕事仲間の前では強がるジエだが、ジェンユエンの死を誰より悲しんでいた。そんなジエの自宅を訪ねてきたチェンシー。置かれている状況に嫌気がさし、ジエの自宅で自殺しようと試みたのである。サンリェンの説得はもちろん効果がなく、チェンシーはしばしの間ジエと暮らすことになった。
映画『先に愛した人』のあらすじ【承】
借金をしながら次の公演のチケットを売るため歩き回るジエ。保険会社から電話があり、初めてジェンユエンの保険金受取人になっていると知るのだった。ジエの稽古場で様子を伺うチェンシー。ジエが手がける演目になんだか見覚えのあるチェンシーは一生懸命にきおくをたどった。ジェンユエンは音楽担当として舞台に関わっていたのである。父親とジエの関係のヒントを見出した時、劇団員とジエは揉め始めてしまった。ジエは金銭的に追い込まれていることに気付いたチェンシー。質素な晩飯を食べる気ながら帰宅すると、自宅前にサンリェンが待ち構えていた。
絶対に家に戻る気がないというチェンシーの態度に、サンリェンのヒステリックが発動する。チェンシーの身体を気遣う言葉を言いつつ、怒りに身を任せて暴言を言い、その場を去っていった。チェンシーはジエの自宅から保険金を盗むために居座ろうとしていた。その保険金でヒステリックはサンリェンの元を離れるために留学するつもりだという。母親に対して悪態をつくチェンシーに対して、「年上を敬え」と叱るジエ。「家庭を壊した」というチェンシーの言葉を聞き流しながら、ジエはギターを手に取りジェンユエンとのやり取りを思い返していた。
映画『先に愛した人』のあらすじ【転】
翌朝、チェンシーがジエの部屋を覗くと、点滴が残されていた。癌に身体を蝕まれているジェンユエンの面倒を見ていたのはジエなのである。チェンシーがきちんと学校に行った後、サンリェンがジエの自宅へ訪ねてきた。過保護なサンリェンはうるさいほどに細かな指示をして、「私から2人の男を奪った」と言い去った。
大嫌いなはずのサンリェンと離れ、初めての「無力感」に追われるチェンシー。その気持ちを察するように、ジエは自宅へ戻るよう諭し始める。そして、別れたはずのジェンユエンが戻ってきた日の話を聞かせた。ジェンユエンは自分の癌を知り、再スタートするためにジエと暮らし始めたのだろうとチェンシーは察した。
翌日もサンリェンは掃除をしにジエの自宅へやってきた。徹底的に掃除をするサンリェンを追い返そうとしたとき、ジエの母親と鉢合わせてしまう。男性が好きであることをカミングアウトしていないと知ったサンリェンは、ジエの弱みを握りある策略を立てた。すぐに稽古中のジエの元に向かうサンリェン。「3日以内に保険金を手放さないと、母親にゲイであるとバラす」と脅しに来たのである。タイミング悪くその様子を見てしまったチェンシー。「お金のために結婚したの?」と聞くチェンシーに対して、サンリェンは強がって「そう。なぜ私が母親なのか?」と言い捨ててしまった。その日、サンリェンは初めてヤケ酒を経験する。お酒を買ったことがないサンリェンが手に取ったのは、調理酒だった。
サンリェンはジエの母親の元を訪ねた。そしてゲイであること、夫を奪ったことをカミングアウトし逃げ去ったのである。ジエの母親は立ちすくむことしかできない状態であった。その足で、チェンシーが通うカウンセリングに向かったサンリェン。時間がないというカウンセラーの言葉に耳を向けず、一人早口に話し出した。実はサンリェンは、ジェンユエンがゲイであることを打ち明けられていたのだ。カウンセラーに騙されたと怒りをぶつけ、泣きながら「全部嘘だったの?」と夫婦の愛情の有無を問うのだった。
映画『先に愛した人』の結末・ラスト(ネタバレ)
帰り道、チェンシーから助けを求める連絡があり、サンリェンはジエの自宅へ急いだ。借金取りに襲われ、大けがをしていたジエ。救急車を呼び何とか処置してもらうも、この日は舞台の初日だと言いジエは劇場へ向かった。
ジエの演出する舞台では、サンリェンとジェンユエンの出会いのきっかけとなった楽器が使われていた。ジエとサンリェン、ジェンユエンとの出会いはほぼ同時期だった。「普通」の結婚を選んだジェンユエンはジエと別れ家庭を築いたのである。ジェンユエンとサンリェンの結婚式もジエは見守っていた。ジェンユエンの移植手術のために多額の借金をしていたジエ。手術前にこっそりとチェンシーの姿を見せに連れ出したのもジエである。もちろん最期を看取ったのもジエだ。この日はジェンユエンが亡くなって100日目であった。大怪我をしてでも守りたかった舞台の初日は、愛したジェンユエンとの告別を兼ねていたのである。そして、カーテンコールではジエの母親が大きな花束を持って現れた。本当のジエを受け止めてくれたのである。
この日を境に、チェンシーはカウンセリングに通うのを辞めた。健康食志向のサンリェンが、屋台のチキンを買ってくれるようになったのだ。さらに、保険金はジエに譲ることにしたのである。サンリェンとの関係は改善されケンカはしていないという。
映画『先に愛した人』の感想・評価・レビュー
カラフルな色彩と大人を風刺するような息子視点のコミカルなイラストレーションがとてもいいスパイスとなる一作であった。台湾独特の街並みを生かす作品が多いが、今作の主なロケーションはジエの部屋である。エキゾチックなジエの部屋は、ジェンユエンとの思い出が詰まっているというのに、相反する立場であるチェンシーとサンリェンは居心地を求めているように見えた。「悪人」を立てることで安堵するのは大人も子供も同じだ。ただ、この物語には「悪人」は居なかった。(MIHOシネマ編集部)
ゲイだった父親が死んだ。それを息子が語り出すところから始まるのだからこれは普通の映画ではないなと感じてしまいました。保険金を貰えると思っていた妻は怒り爆発で周りが見えなくなってしまうし、そんな母親に嫌気がさした息子も勝手な行動をする。結局亡くなったジェンユエンの面倒を見ていたのはジエなのに、トラブルに巻き込まれてなんだか可哀想になってしまいました。
ヒステリーな人間は本当に怖いです。自分でも何をしているのか分からくなってしまうのだろうと感じました。(女性 30代)
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