映画『サクラダリセット 後篇』の概要:河野裕が手がけた青春ミステリー小説を原作とし、2017年5月に2部連続で公開された一作。前篇とキャストを変えず、野村周平・黒島結菜を主演に咲良田という町の謎を解き明かす。新たに、管理局の人間として浦池役で及川光博が参加する。
映画『サクラダリセット 後篇』の作品情報
上映時間:126分
ジャンル:ファンタジー、ミステリー、青春
監督:深川栄洋
キャスト:野村周平、黒島結菜、平祐奈、健太郎 etc
映画『サクラダリセット 後篇』の登場人物(キャスト)
- 浅井ケイ(野村周平)
- 記憶にまつわる能力を持つ高校生。両親と離れ一人咲良田に住んでいるが、離れた町に本当の両親が住んでいることを知っている。春埼と共に、よりよい未来を掴むため動いている。
- 春埼美空(黒島結菜)
- ケイの指示がないと自身の能力である「リセット」と「セーブ」を使うことができない少女。ケイに対して恋心を抱いており、菫をライバル視していた。
- 相麻菫(平祐奈)
- 「未来視」の能力を持つ少女。第二の魔女として、自分が咲良田の安定のために必要とされていることを理解している。ケイを物語の中心に置き未来への筋書きを描いている。
- 中野智樹(健太郎)
- ケイの同級生でバンドをやっている少年。「声を届ける」能力を持ち合わせている。求められると指定された時間、相手にメッセージを伝えられるため、ケイの依頼をよく受ける。
- 津島信太郎(吉沢悠)
- ケイの高校の先生であり、「奉仕クラブ」の顧問。ケイに「普通の高校生」に戻ってほしいと願いつつ、咲良田のために動くケイを陰ながら支えている。
- 浦地正宗(及川光博)
- 管理局・幹部のひとり。「サクラダリセット」の首謀者であり、秘密裏に計画を進めている。記憶を操作できる能力を持っているため、能力者の時間を操り能力を意識する前に戻していた。
- 加賀谷(丸山智己)
- 管理局の職員。秘密裏に計画をされている「サクラダリセット」に手を貸している。過去の後悔を引きずりながら生きていた。
- 索引(中島亜梨沙)
- 忠実な浦地の部下。「人の感情を読み取る」能力を持つため、本当のことを言っているのかどうか判断ができる。
映画『サクラダリセット 後篇』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『サクラダリセット 後篇』のあらすじ【起】
「名前のないシステム」の後継者は私だという菫の告白を思い返すケイ。その頃春埼は暗い部屋で一人、何もできず動けなくなっていた。一方で、管理局では室長の浦地正宗が過去の魔女と対面していた。浦地の能力は「対象の時間を巻き戻す」ことである。過去の魔女は浦地にこう告げた、「浅井ケイこそが希望の光だ」と。
ケイたちの高校では文化祭が行われていた。バンドでオリジナル曲を披露する智樹。浦地も部下の索引と共に文化祭を訪れ、ケイと接触しようとしていた。津島の引率の元、ケイと会う直前、索引の携帯に菫から連絡が来た。浦池の本当の目論みを知っていた菫は、ケイに手出しをしないようくぎを刺し、自ら会う約束を取り付けるのであった。その頃ケイは智樹にお願いをしていた。「これから春埼に会いに行く」という内容の声を菫に届けてほしいと。文化祭の出し物で主役を演じる春埼。出番の前に春埼とケイはこれからについて話し合った。そこで初めて菫に対する嫉妬心を露わにした春埼に対して、ケイは告白をした。出し物が終わり、春埼はセーブをする。帰宅したケイの元に菫から声が届く。「翌日、ショッピングモールで春埼とゴミ拾いをして欲しい」と。その頃、菫は浦地と会っていた。「感情を色で見分けられる」能力を持つ索引を連れて居たため、どんな嘘をつこうとバレてしまうが、菫は本当のことしか言っていないため、浦地は信用し始める。浦地の計画は、咲良田から能力者を消し去る「サクラダリセット(聖なる再生)」。決して計画の邪魔をする気はないという菫の言葉を聞き、浦地は計画の成功を確信するのであった。
翌日、春埼と一緒にゴミ拾いをするケイ。二人の前に、管理局の手によってバラバラにされた宇川沙々音が現れる。再開を懐かしみながら話していると、騒がしい声が聞こえてくる。人込みの先には、宙吊りにされた車や観覧車が破壊されるという能力の暴発が立て続きに怒っていた。不審に起こったケイは津島に確認すると、管理局でも能力の連続暴発事件は把握しているという。魔女が管理局から逃げ出したことを機に、管理局の基盤は大きく崩れ始めていたのだ。
その頃管理局では、浦地の指示で絵里が菫の能力を奪っていた。
映画『サクラダリセット 後篇』のあらすじ【承】
菫は咲良田に能力が根付いた経緯を知っている。それは51年前、咲良田にまだ3人しか能力者がいなかった頃のことである。そのうちの一人である「特定の記憶を消す能力」を持ちながら大病を患う夫。数年後に命を落とす夫の未来を見た魔女は、咲良田市を出ると「能力の存在を忘れる」という境界線を作り上げたというのだ。この夫婦の間には、一人の男の子が誕生した。しかし夫婦は咲良田の環境を維持するために、ある人物の手により管理局で眠らされ続けている。息子と父親の別れの時、父親は「犠牲になるのではない」と言い残し、管理局へと向かったという。
実は津島は浦地と通じており、ケイの行動を報告していた。境界線を越えても能力を忘れることのないケイを管理局は非常に警戒している。そして津島はケイに普通の少年と同様に過ごして欲しいと願うからであった。
浦地と菫が会った夜、菫はケイの家を訪ねていた。なぜ菫が死ぬ必要があったのか、問いただすケイ。浦地の計画を阻止するためにも、菫は一度死に、アンドロイドとして写真から出てくる必要があったという。その夜、浦地は咲良田の能力者、すべての能力を封じる予定だとケイに告げる。その頃、春埼の元に浦地が現れ、ケイと出会う前の記憶へと巻き戻されてしまうのである。これでリセットできなくなる。浦地の計画は着々と進んでいた。その足で管理局の奥へと向かう浦地。ひとり叫ぶのだった「お母さん、夢から覚める時間だよ」と。咲良田に能力者をとどめていた、夫婦を眠らせていたのは浦地だったのだ。
夫婦が目覚めたことで、咲良田から能力者はいなくなった。ケイは一人故郷に向かい、実の母と会う。記憶を操作されている母親はケイのことを知る余地もなく、初めて会う青年としてこれまでの後悔を懺悔させてもらうケイ。管理局に操作されて、ではなくもう一度自分の意志で母親を捨てることを決意するのであった。その頃、病院で目覚めた春埼は15歳だと言い張り、ケイのことが記憶からすっぽりと抜け落ちていた。
映画『サクラダリセット 後篇』のあらすじ【転】
佐々野からもらった写真を使い、能力がある頃にタイムスリップした春埼とケイ。それは菫の紹介で初めて二人が会った日。春埼が目を開けると泣いているケイがいた。そして「僕を助けてほしい」と頼むのである。そこでリセットをした春埼のおかげで、文化祭の日へと戻るのである。「咲良田から能力が消える日が来る」とことを春埼に伝えたケイ。さらに「咲良田を支配するため、共犯になってほしい」と春埼に頼むのであった。
浦地と菫が喫茶店で会うはずだった夜。菫はケイがリセットを使ったことに気づき、自分が浦池と会ってしまうと、ケイの邪魔になってしまうと行き先を変えた。そのことに気づいた索引は浦地にすぐに報告する。管理局への冒涜だと、ケイと共犯者を全て拘束するように動き出した。そして菫を追い込んだ浦池。死を覚悟した菫の元にケイの声が届く。「菫を助けるルートを用意するため、5分だけ時間を稼いでほしい」と。
その頃、ケイは坂上・智樹・春埼を連れて、写真の中で菫に会っていた。そして菫の能力をケイにコピーするよう坂上にお願いをするのである。準備ができたケイは再び声を届ける。合図を受け、菫はビルの屋上から身を投じる。そこで待っていた陽香が重力を消し、菫はケイの指示の元、咲良田の外を目指すのであった。
ケイは絵里に会いに向かう。「ギブアップするから助けてください。…助けろ」と伝え、絵里を仲間に迎え入れた。そして協力者が待つカラオケボックスへと急ぐ。実はケイは浦地もカラオケボックスに呼び出していた。仲間たちに計画を伝え、浦池と個室で対峙する。能力に対して平行線の考え方を持つ、ケイと浦池。能力は誰かに管理されるべきだと主張するケイは、浦池に自分の能力を管理してほしいと依頼した。
映画『サクラダリセット 後篇』の結末・ラスト(ネタバレ)
嘘をつきながら、能力の管理を承諾した浦池。握手を求め、部下の加賀谷にも握手をさせようとする。それは能力をロックしようと目論んでの動きである。しかし、ケイの作戦は先手を打っていた。隣の部屋にいる仲間たちの能力を掛け合わせ、加賀谷の記憶から「ロック」能力の使い方を抜き取っていたのである。本来は浦地の能力を抜き取る予定だったケイ。作戦は最終段階へと向かい、津島が運転する車を使い、浦地を連れ出すのである。
その頃、春埼は索引に追い込まれ、ビルの階段で対峙していた。ケイは別の屋上で浦地を対峙し、善悪について意見を交わしていた。そして浦地の両親の時間が止められていたことを引き合いに出すケイ。「すべての人が幸せになる方法を考えよう」と提案するケイに対して、実直に自分の意見を述べる浦地の声は、智樹の能力で加賀谷へと届けられていた。管理局の指示で、8歳の時に浦地の両親をロックした加賀谷。罪悪感を背負って生きてきた加賀谷も含め救う手段を提案するケイの言葉は浦地には届かなかった。しかし、加賀谷はケイたちに協力することにする。動き出した環境に、降伏した浦池。握手の代わりに、大切に持ち歩いている手帳を託すのであった。
菫を迎えに行くケイと春埼。道中寝てしまったケイを横目に、春埼は菫と交わした会話を思い返す。ケイの視線はいつも菫を追っていたことに気づいていた春埼は、実は菫に憧れていた。しかし、嫉妬や憧れと決別すると決め、「私はいつかケイの隣で、あなたのようになります」と告げたのである。そしてと、菫と対面したケイ。アンドロイドとして生きる菫に対して「ずっと君は、相麻菫だった」と存在を認めてあげた。そうして菫は管理局の保護の元、より良い未来のために動くことにした。帰り道、春埼はケイに全ての記憶をコピーさせてほしいと頼む。「大好きなあなたをすべて、理解したい」と。了承したケイの前を歩く春埼。その時をセーブするのだった。
映画『サクラダリセット 後篇』の感想・評価・レビュー
2部構成の後篇ということで、もっと盛り上がりや見せ場があるのかと期待していたが予想に反して全て大人的解決であった。キャストは全く変わらず、物語は進行する。ようやく作品タイトルの意味が明確になる後篇。前篇を見ていないと各々の能力の把握には追い付かず、難しいかもしれない。アニメ化された際には2期に渡り展開したというボリュームある物語なので、少し物足りなく感じてしまったのが残念であった。(MIHOシネマ編集部)
タイトルの『サクラダリセット』の意味がやっと分かった後篇。前篇と同じく大きな盛り上がりの無い淡々とした展開でしたが、キャラクターたちの過去に隠された秘密や能力が入り組み、かなり難しいストーリーでした。それぞれの能力をかけあわせることで敵の能力を無くしたり、正しい道へ向かわせたりする展開はとても面白かったです。
結局、アンドロイドとして生きることとなる菫はやはり可哀想だなと感じました。春崎とケイを見守っていくであろう菫の気持ちを考えるととても切なかったです。(女性 30代)
前半が上手に纏まっていたので後編も視聴。時間的制約があるためか説明不足なシーンがあり、理解が追い付かないまま進んでいくところが多々あり、そうかと思うとテンポがあまり良くないシーンもあったりと、時間のかけどころを間違っているような印象だった。
でも静かな雰囲気は嫌いではないし、主演のふたりも頑張っていると感じた。しかし、及川光博の存在はパステルカラーのこの作品にあってペンキのような強烈な色を落とした。ミスマッチ感が否めない。(男性 30代)
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前作 サクラダリセット 前篇
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