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映画『サヨナライツカ』あらすじとネタバレ感想

この記事では、映画『サヨナライツカ』のあらすじをネタバレありで解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『サヨナライツカ』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。

この記事でわかること
  • 『サヨナライツカ』の結末までのストーリー
  • 『サヨナライツカ』を見た感想・レビュー
  • 『サヨナライツカ』を見た人におすすめの映画5選

映画『サヨナライツカ』 作品情報

サヨナライツカ

  • 製作年:2009年
  • 上映時間:134分
  • ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ
  • 監督:イ・ジェハン
  • キャスト:中山美穂、西島秀俊、石田ゆり子、加藤雅也 etc

映画『サヨナライツカ』 評価

  • 点数:85点/100点
  • オススメ度:★★★★★
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★★☆

[miho21]

映画『サヨナライツカ』 あらすじ(ストーリー解説)

映画『サヨナライツカ』のあらすじを紹介します。

1975年のタイ、バンコク。婚約者との結婚を数か月後に控えているエリート会社員の東垣内豊は、早く昇進するためにバンコクに赴任する。そこで会社の仲間と飲んでいた時、謎の美女・真中沓子と出会う。

沓子が豊の家を訪ね、体を重ねたことをきっかけに、二人はそれから激しく逢瀬を重ねることになる。沓子が暮らすホテルのスイートルームで過ごすことが多く、豊は会社を頻繁に休むようになる。

会社を休みがちなことを同僚に指摘され、ついに沓子との関係も知られてしまう。元々タイにいる間だけ、結婚するまでの間だけ、と軽い気持ちでいた豊だが、頭で考えている以上に沓子に惹かれていることに気付き、このまま関係を続けるべきか悩む。

一方、沓子も豊を愛するようになっていた。美しさもお金も持っていて、何不自由なくただ「愛されること」が一番だった沓子が、豊と出会ったことで、叶わぬ恋と知りつつも「愛すること」が何よりの幸せだと気づく。

豊は沓子との関係を終わらせて婚約者の光子との結婚を選び、沓子を冷たく突き放すようになる。

婚約者の光子は、沓子の存在に気付いていた。豊に知らせることなくタイにやってきた光子は、沓子のホテルの部屋を訪ねる。「一度でも豊に愛していると言われたことがあるか」と問うた光子に、沓子は答えることができない。最後に、日曜の午後1時までにいなくなるように言って光子は去った。

日曜、空港で必死に豊に縋り付く沓子だったが、豊は冷たく体を引きはがして二人は別れる。沓子が去った後、豊は静かに涙を流していた。

そして25年後、二人は昔一緒に過ごしたホテルで運命的な再会を果たす。お互いにまだ想い合っていた二人だったが――。

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映画『サヨナライツカ』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『サヨナライツカ』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

光子の詩「サヨナライツカ」

映画のタイトルである「サヨナライツカ」とは、光子が書いた詩である。途中まで書かれたこの詩を勝手に読むところからこの映画は始まっている。

「人間は死ぬとき、愛されたことを思い出すヒトと愛したことを思い出すヒトとにわかれる」

豊は死ぬときにどちらを思い出すかを沓子に問うと、「愛されたこと」と返される。しかし、沓子は25年もの間たった一人を想い続けることを選ぶのである。

光子の詩から始まったこの映画は、光子の詩で終わっていく。25年後、沓子と再会した後東京に戻った豊だったが、もう一度沓子に会いに行こうとタイに向かう。その直前に光子に詩集を渡され、そこで初めて完成した「サヨナライツカ」を読む。

同じホテルでまた再会した沓子は病に侵され、翌日に亡くなってしまう。ただ「愛している」と伝えに来たはずだったのに、言えないまま終わってしまったのだ。沓子は愛されたことを伝えられないまま、ただ愛したことだけを考えて死んだ。

この映画は光子によって二人が動かされているなと感じた。光子は詩の最後を「私はきっと愛したことを思い出す」と締めくくっている。光子も沓子も、「愛していると言って」と豊に頼む。この二人の女性は似ている。ただ愛して、愛されている自信はない。豊だけが「愛されたこと」を知っているのではないだろうか。

色彩表現

この映画の前半、1975年の映像は、色彩が豊かだと思った。タイの気怠いような熱、湿気も表現されているし、沓子のメイクや衣装も色使いが鮮やかだ。

対して25年後は、全体が青みがかったような、灰色っぽい画面で、無機質で温度を感じさせない。

この対比は良い演出だなと感じた。1975年の豊と沓子の激しい愛を思わせる暖色系の色使いから一変して画面は暗く冷たくなり、「ああ、彼女のいない人生はこんなにもつまらないのか」という豊の心情を表しているようでとても良かった。

沓子の変化

作品前半の沓子はメイクも衣装もド派手で妖艶で、中山美穂は歳を感じさせないなあと驚くほどだった。ところが、豊に突き放されるようになってからどんどん素朴になっているように感じた。

特に空港で別れる日の姿はまるで化粧っ気がなく、服もシンプルだった。あんなに飾り立てて男性を惹きつけていた沓子が今度は自分の想い一つで豊の心を引き留めようとしているのか、と思うと本当に切ない。

25年後はホテルのスタッフをしていて、あの豪華な暮らしぶりはどうしたのかと思うほど素朴だった。

豊を愛したことをきっかけに沓子が変わっていく様子も見どころなのではないかと思う。


豊がめちゃくちゃ悪い男というか、女心を無意識に弄ぶ罪な男なのに、彼を愛してしまう2人の女の気持ちも物凄く分かるので感情がぐちゃぐちゃになりながら鑑賞していました。
光子のように、全てを知っていながらも豊を愛し続け、自分を崩すことなく生きていけるのは本当に強くて立派な事だと思いましたが、彼女が書いた詩には本当の気持ちが綴られていたように感じます。
光子に対して可哀想だと思うのは失礼かもしれませんが、こんなにも愛しているのに愛してもらえないのは辛すぎて哀れに思ってしまいました。(女性 30代)


男女の立場がはっきりしている時代に、それでも惹かれ合ってしまう“許されない愛”が描かれていて、とても切なかったです。中山美穂さんの圧倒的な存在感と妖艶さに引き込まれました。豊と沓子の再会シーンでは、時間を越えた愛の重みが胸に刺さりました。ラスト、沓子の死を知った豊の表情がすべてを物語っていて、涙が止まりませんでした。大人の恋を丁寧に描いた珠玉の恋愛映画です。(30代 女性)


時代背景や価値観の違いに苦しみながらも、どうしても惹かれ合ってしまう二人の関係に、心が締め付けられました。結婚という“正しさ”を選んだ豊と、ひとり孤独に愛を抱え続けた沓子。もし違う人生だったら、二人は幸せになれたのかと何度も考えてしまいます。静かな演出と台詞が、逆に感情を強く揺さぶってくるのが印象的でした。(40代 男性)


中山美穂さんの美しさと儚さが、この作品のすべてだと思います。愛してはいけないと分かっていながらも、愛さずにはいられない気持ち、その感情が画面からひしひしと伝わってきて胸が苦しくなりました。再会を果たしながらも、手遅れだった二人。現実の残酷さと、それでも消えない愛の余韻に涙が止まりません。映像も美しく、時間をかけてじっくり味わう作品です。(20代 女性)


「運命の人」とは何なのかを深く考えさせられる映画でした。豊は“正しい人生”を選びながら、心のどこかで沓子を忘れられなかった。それが一番リアルだったと思います。再会の場面でのセリフひとつひとつが切なく、特に沓子の「会いたかった」という一言がずっと胸に残っています。愛がすれ違ったまま終わる、そんな残酷な現実が逆にリアリティを感じさせました。(30代 男性)


決して派手なストーリーではないけれど、細かい感情の機微が丁寧に描かれていて、心に染み入りました。中山美穂さんの演技は圧巻で、歳を重ねた後の姿も美しく、彼女が歩んできた人生が顔に出ているようでした。豊の視点から描かれる愛の喪失と、残された想いが静かに観客に語りかけてくる。人生において何を選ぶか、深く考えさせられる作品です。(50代 男性)


若い頃に観たときはただの不倫映画だと思っていましたが、年を重ねてから観返すと、全く違う印象を受けました。人生で一度だけ、本当に心が震えるような恋に出会ったとき、その記憶は永遠に残る。たとえ離れても、それが“愛”だったことに変わりはない。大人になった今だからこそ、この作品の本当の美しさと哀しさがわかります。(40代 女性)


恋愛に理屈は通用しないんだなと改めて感じさせられました。豊と沓子の関係は決して許されるものではなかったけれど、だからこそ純粋で、本物だったようにも思えます。中山美穂さんの艶やかで哀しげな姿が、まさに“最後の恋”という言葉にふさわしい存在感でした。ラストシーンは静かだけど、心にずしんと響きました。(20代 男性)


“もしあのとき違う選択をしていたら…”という思いを、映画の中で何度も感じました。タイミングさえ違っていれば、二人は結ばれていたのかもしれない。でも人生ってそううまくはいかない。そんな苦い現実を映しながらも、豊と沓子の間にあった深い愛情は確かに存在していた。抑えた演出が、逆に感情を際立たせていて良かったです。(50代 女性)


自分の気持ちに正直であり続けた沓子と、責任ある立場を選んだ豊。どちらも間違っていないけれど、どちらも幸せになれなかった。それがとても切ない。時間が過ぎてもなお、忘れられない人がいること。今を大切にしないと、後悔しか残らないということを、この映画が教えてくれました。淡々とした語り口が心に残る作品です。(30代 男性)

映画『サヨナライツカ』を見た人におすすめの映画5選

累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『サヨナライツカ』を見た人におすすめの映画5選を紹介します。

冷静と情熱のあいだ

この映画を一言で表すと?

10年越しの再会が描く、切なさと美しさに満ちた恋愛映画の傑作。

どんな話?

かつて強く惹かれ合いながらも別れた男女が、10年後、フィレンツェで約束を果たすために再会するラブストーリー。時間と距離を超えても消えない想いと、再会に込められた感情が胸を打ちます。

ここがおすすめ!

イタリアの美しい街並みとともに描かれる大人の恋愛が魅力的で、『サヨナライツカ』と同様に「時を経ても消えない愛」をテーマにしています。静かな余韻が残る感動の作品です。

今、会いにゆきます

この映画を一言で表すと?

再び出会った“奇跡”が紡ぐ、涙なしでは見られない愛の物語。

どんな話?

亡くなったはずの妻が、梅雨の季節に記憶を失った状態で戻ってくる。不思議な再会から始まる家族の物語は、やがて涙の真実へと辿り着きます。時を越えて再び紡がれる愛のかたちが描かれます。

ここがおすすめ!

ファンタジーの要素を含みながらも、深い愛情が根底に流れる作品。『サヨナライツカ』のように「別れ」と「再会」、「記憶」がテーマになっていて、観終わった後にやさしく心を包み込んでくれます。

誰かがあなたを愛してる(原題:2046)

この映画を一言で表すと?

記憶と未来、そして過去に囚われた愛を描く映像詩のような恋愛映画。

どんな話?

失った愛を忘れられず、未来を舞台にした小説を書く男の姿を通して、さまざまな女性との関係が描かれる。舞台は近未来ながら、全編に流れるのは“過去”への執着と未練。

ここがおすすめ!

ウォン・カーウァイ監督独特の映像美とセンチメンタルな世界観が魅力。『サヨナライツカ』と同じく、「失われた愛」への追憶をテーマにしており、余韻と感傷をじっくり味わいたい人におすすめです。

マディソン郡の橋

この映画を一言で表すと?

人生に一度だけ訪れる“本物の愛”を描いた、大人のための恋愛映画。

どんな話?

地方に暮らす平凡な主婦と、偶然訪れたカメラマンのたった4日間の恋。決して一緒にはなれない二人が、それでも忘れられないほど強く惹かれ合った短くも濃密な時間を描く。

ここがおすすめ!

抑えた演技とセリフの一言一言が深く心に響きます。『サヨナライツカ』同様、人生の選択と愛の意味を静かに問いかける作品で、「あの人を想い続ける」という感覚に共鳴するはずです。

ナイロビの蜂

この映画を一言で表すと?

愛と陰謀のはざまで紡がれる、深く静かなラブストーリーとサスペンス。

どんな話?

外交官の夫が、殺害された妻の死の真相を追うなかで、彼女の隠された活動と本当の姿に気づいていく。愛していたはずの人の“真実”に触れる旅が、やがて彼自身の変化へと繋がっていく。

ここがおすすめ!

政治的背景とロマンスが絶妙に絡み合い、ひとつの愛が人間をどう変えていくかを繊細に描いています。『サヨナライツカ』と同様に、再発見される愛と、喪失の美しさが胸を打つ作品です。

この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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みんなの感想・レビュー

  1. フジミネ子 より:

    25年前の沓子はゴージャスで、男にとっての「夢の女」。
    25年後、豊は、社長になるという自分の夢をまず叶えた上で沓子のもとへ。25年も暮らした貞淑で、出世に必要だった妻や、まだ未成年の次男を放っぽり出して、「自分の愛の為」に冒険しちゃう。

    しかし沓子は静かに死んで退場。この先のリアルな老後の生活や夫婦喧嘩は一切なし。
    25年間、豊だけを愛し続け、待ち続け、魅力的なのに新しい愛など考えもせず死んでしまう沓子。

    なんとも男にとって理想的な「夢の女」のお話でした。