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映画『性別が、ない!インターセックス漫画家のクィアな日々』のあらすじ・感想・評判・口コミ(ネタバレなし)

エッセイ漫画家・新井祥。30歳まで女性として暮らしていたが、染色体の検査でインターセックスと判明。ホルモン療法などにより、少しずつ体の男性化を行っていった。現在はセクシャルマイノリティなどについての漫画を描いている。

映画『性別が、ない!インターセックス漫画家のクィアな日々』の作品情報

性別が、ない!インターセックス漫画家のクィアな日々

タイトル
性別が、ない!インターセックス漫画家のクィアな日々
原題
なし
製作年
2018年
日本公開日
2018年7月28日(土)
上映時間
106分
ジャンル
ヒューマンドラマ
ドキュメンタリー
監督
渡辺正悟
脚本
不明
製作
キム・ヒージュン
製作総指揮
不明
キャスト
新井祥
うさきこう
IKKAN
倉持智好
中山貴将
細細老師
青山とまり
製作国
日本
配給
オリオフィルムズ

映画『性別が、ない!インターセックス漫画家のクィアな日々』の作品概要

女性として暮らしていたエッセイ漫画家の新井祥が、30歳を契機に染色体の検査を受けることになった。今まで自分の性に違和感を感じていたのだ。それにより、インターセックスだと判明する。昔医者に投げかけられて疑問に思った言葉、性別に関して思ったことなどを漫画にして描き、『性別が、ない!』という題で出版している。セクシャルマイノリティと一括りにしても、悩みや思いなど人それぞれ異なる。本作品はそんな当たり前のことを思い出させてくれる映画になっている。

映画『性別が、ない!インターセックス漫画家のクィアな日々』の予告動画

映画『性別が、ない!インターセックス漫画家のクィアな日々』の登場人物(キャスト)

新井祥
エッセイ漫画家。離婚経験があり。30歳の頃に自分の性に違和感を覚え、染色体の検査を受けることになる。
うさきこう
新井祥のアシスタント。BL漫画としても活躍中。ゲイであることを公表している。新井祥と共に暮らしている。

映画『性別が、ない!インターセックス漫画家のクィアな日々』のあらすじ(ネタバレなし)

エッセイ漫画家・新井祥。30歳まで女性として暮らしていたが、染色体の検査でインターセックスと判明。それ以降、セクシャルマイノリティに関する漫画を描き続けている。昔医者に投げかけられて疑問に思った言葉、性別に関して思ったことなどが綴られている。

新井祥はどこにでもいるような「街のおじさん」として暮らし、恋をした相手にだけ、真実を伝えればいいのではないかと考えていた。現在は、BL漫画家でゲイのうさきこうと暮らしている。2人は穏やかで幸せな日々を過ごしていたが、ある日2人の関係に亀裂が入るほどの大きな喧嘩をしてしまう。

新井は色んな国の、色んなセクシャルマイノリティと交流を持った。本作品は男性でも女性でもなく、「中性」として生きる新井祥の内面に迫ったドキュメンタリー作品である。

映画『性別が、ない!インターセックス漫画家のクィアな日々』の感想・評価

インターセックス

インターセックスとは、「半陰陽者」と呼ばれる者達のことで、「中間的な性」を表す言葉である。外見上は男性だけれども、女性の染色体を持ち女性器を持っている人。またその逆で、外見が女性で、男性の生殖体を持ち精巣を持っている人のことを示す。生殖能力の有無は個人差があり、出生時にインターセックスだと判明する人もいれば、気づかれないまま外見上の性別で役所に登録されてしまう人もいる。

現在、2000人に1人はインターセックスとして誕生すると言われている。しかも、医学的には60以上の疾患に分類することができる。そのため、インターセックスと大きく一括りにしているが、症状などは個人によってバラバラなのである。インターセックスの場合、他のセクシャルマイノリティと違ってホルモンのバランスが崩れて身体に異変が起きるため、病院での治療が必要になってくる。

セクシャルマイノリティ

セクシャルマイノリティは性的少数者のことで、別名「ジェンダー・マイノリティ」とも呼ばれる。同性愛者・両性愛者・トランスジェンダーなど、多数派とは異なる「性」または「性別」を有している。

セクシャルマイノリティはLGBTよりも幅広い意味を持っていると言える。LGBTはレズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランジェンダーの頭文字から取って作られた言葉である。だが、性的少数者はゲイなどの他にも存在している。上記で書いたインターセックスや、自分の性についてはっきり判断することができないクエスチョニングの人などがそれに当てはまる。

性的少数者は弱者だと決められ、社会的に追い詰められやすい傾向がある。各国この問題にどう対処するかが争点になっている。

エッセイ漫画家・新井祥

女性として生まれるが、性別に対する違和感を拭えず30歳のときに染色体検査を受ける。それにより、ターナー症候群であることが判明する。ターナー症候群とは染色体異常の1つで、通常女性の染色体が2本(XX)あるのに対し、1本(X)しかない状態である。症状としては、低身長や月経不順、対人ストレスを強く感じるなどがある。新井自身は男性器を持っておらず、月経があった。ホルモン治療などを通して、少しずつ男性化を行っていった。

本作品の元にもなった『性別が、ない!』では、主にセクシャルマイノリティについて取り上げられている。その著書内で、新井は自分自身のことを「パンセクシュアル」であると書いている。パンセクシュアルとは性別に囚われず、恋愛をする人達のことである。

映画『性別が、ない!インターセックス漫画家のクィアな日々』の公開前に見ておきたい映画

映画『性別が、ない!インターセックス漫画家のクィアな日々』の公開前に見ておきたい映画をピックアップして解説しています。映画『性別が、ない!インターセックス漫画家のクィアな日々』をより楽しむために、事前に見ておくことをおすすめします。

キャロル

パトリシア・ハイスミス原作の小説『The Price of Salt』を元に作られている。独身女性と人妻の禁断の愛が描かれている。「カンヌ国際映画祭・女優賞」や「フランクフルト・ブックフェア・脚色賞」など、数々の賞を受賞しノミネートされている。著書が発光されたのは1952年で、今よりももっとセクシャルマイノリティに対しての目が厳しかった時代である。今の時代と変化した部分はあるか、変わらない部分はあるか、ぜひ確認しながら見て欲しい。

デパートで働くテレーズは、おもちゃ売り場でキャロルという名の人妻に出会う。テレーズは美しいキャロルに一目で惹かれた。そんなキャロルは、夫婦仲があまり良くなく、「お飾りの妻」として夫と生活を共にしているような状態だった。キャロルは離婚を決意するが、娘の親権について夫と裁判で争うことになってしまう。審問の前に家を出ると、テレーズを旅に誘った。2人は強く惹かれあっていくのを感じながら、旅を楽しんだ。

詳細 キャロル

ぼくのバラ色の人生

主人公の少年(リュドヴィク)は、MtF(Male to Female)トランスジェンダーである。リュドヴィクと家族の、トランスジェンダーに対して葛藤する姿が描かれている。周囲の大人達だけではなく、両親も少年との向き合い方に悩み、外見の性別だけで判断しようとしてしまう。セクシャルマイノリティの人が経験する拒絶や孤独感を、リュドヴィクを通して見ることができる。

6歳のリュドヴィクは、自分の性別について違和感を感じていた。体は男の子なのだが、心が女の子だったのだ。いつか奇跡が起こり、自分の体が女の子の体に変わるのではないかと思っていた。あるパーティーで、リュドヴィクはドレスを着用し、女の子らしく振る舞った。だが、家族・友人達・近所の人達は、そんなリュドヴィクのことを受け入れることができなかった。

詳細 ぼくのバラ色の人生

ようこそ、アムステルダム国立美術館へ

10年もかかったアムステルダム国立美術館の改修工事を追った、ドキュメンタリー作品。美術館や芸術に重きを置いた作品ではなく、建物の改修工事に注目しているところがポイントである。

芸術大国オランダが誇る、世界的にも有名な美術館がピンチに陥っていた。「アムステルダム市民による市民のための美術館」という言葉を胸に、改修工事を進めた。だが、様々な問題が沸き起こった。入口に階段を設置しようとしたことで、日に13000台の自転車が通れなくなることが予測されたのだ。市民と美術館の間で、激しい意見交換が行われた。その他にも、館長と建築家、官僚と美術館の間で揉め事が起こったりした。果たして、無事にオープンを迎えることができるのだろうか。

詳細 ようこそ、アムステルダム国立美術館へ

映画『性別が、ない!インターセックス漫画家のクィアな日々』の評判・口コミ・レビュー

映画『性別が、ない!インターセックス漫画家のクィアな日々』のまとめ

近年、LGBTという言葉は世間に浸透しつつあるが、そこに当てはまらない人達もいることを知らない人も多いのではないだろうか。インターセックスやパンセクシュアルなど、性的少数派は他にも大勢いる。さらに、同じゲイの人でも、生き方や考え方、周囲の環境など違いはたくさんある。本作品はそんな当たり前のことを思い出させてくれる内容になっている。セクシャルマイノリティの芸能人も多数テレビに登場するようになった現代だからこそ、改めて理解を深めるためにも見て欲しい作品である。

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