映画『世界一キライなあなたに』の概要:世界中で話題を呼んだジョジョ・モイーズの恋愛小説が原作。事故により自分では何もできない青年と、世話係の女性の恋愛模様を描く。
映画『世界一キライなあなたに』の作品情報
上映時間:110分
ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ
監督:テア・シャーロック
キャスト:エミリア・クラーク、サム・クラフリン、ジャネット・マクティア、チャールズ・ダンス etc
映画『世界一キライなあなたに』の登場人物(キャスト)
- ルイーザ・クラーク / ルー(エミリア・クラーク)
- 家族を支える26歳の女性。職場が閉店になり、ウィルの介護の仕事を見つけた。おしゃべり好きで明るい性格の持ち主。彼氏の趣味に合わせる傾向にあり、多少の不満を持っていた。
- ウィル・トレイナー(サム・クラフリン)
- 順風満帆な人生を歩んでいた途中、バイクに轢かれ脊髄を損傷。四肢麻痺を患う。頭がキレるため嫌味がちだが、ルーの存在で少しずつ穏やかさを取り戻していった。
- カミーラ・トレイナー(ジャネット・マクティア)
- ウィルの母親。安楽死を反対し、半年だけでいいから待って欲しいとウィルに交渉していた。明るいルーの存在に期待し、ウィルの気持ちを動かして欲しいと望んでいる。
- スティーブン・トレイナー(チャールズ・ダンス)
- ウィルの父親。安楽死を希望するウィルに対し、彼の意思を尊重している。
- バーナード・クラーク(ブレンダン・コイル)
- ルーの父親。無職で娘に家計を支えてもらっていた。
- ネイサン(スティーブン・ピーコック)
- ウィルの担当看護師。何年も寄り添っているためウィルの気持ちや変化には誰よりも敏感。ルーの存在に肯定的で、ウィルの安楽死を選ぶ気持ちが変わることを望んでいる。
- パトリック(マシュー・ルイス)
- ルーの恋人。自分本位で趣味のトライアスロンに夢中な男。ウィルに気持ちが動き始めたルーの変化に気づき、初めて焦りを見せる。
- カトリーナ・クラーク / トリーナ(ジェナ・コールマン)
- ルーの妹。一児の母でシングルマザー。いい仕事に就くため、大学への復学を希望している
映画『世界一キライなあなたに』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『世界一キライなあなたに』のあらすじ【起】
真っ白なベッドルームで朝を迎える二人。幸せな朝を迎えたはずのウィルの人生は大雨によって変わってしまう。恋人にバイクは乗らないようにと言われ、約束を守るためタクシーを拾いに通りに出た時、バイクに轢かれてしまった。それは2年前の出来事である。
現在。ルーは6年働いた店が閉店してしまい、退職金の給料1か月分を受け取ったところだった。職を失い、祖父と両親、妹と甥の生活を支えることが難しくなってしまったルー。求人センターで必死に仕事を探していた。そこに舞い降りてきた仕事は四肢麻痺の障害を抱えた人の世話係だった。高給な待遇に飛びついたルー。半年間という猶予も気にせず、早速面接へ向かうのだった。
面接先は大きなお屋敷。そこにはウィルの母・カミーラが待ち構えていた。ルーを雇うメリットを教えて、というカミーラの質問に答えられないルーだったが熱意は伝わったようで、月曜から土曜の朝8時から17時までという条件で採用されたのだった。ルーが世話をするウィルは2年前のバイク事故で脊髄を損傷していた。気分にムラがあるというウィルと初めて会ったルー。嫌味な口調のウィルの第一印象は最悪。看護師のネイサンと3人の生活が始まる。
仕事初日、ネイサンからウィルが服用する薬のことを教わったルー。身体のケアはネイサンがするので、元気付けて欲しいと頼まれてしまう。期待に応えようとルーは必死にウィルへ話しかける。そんな気持ちを踏みにじるように、ウィルは自分の前ではおしゃべりを控えろと突き放すのだった。ネイサンのフォローも受けながら、毎日必死に食らいつくルー。しかし、10日経ってもウィルの対応は変わらず硬い表情しか見せてくれないのだった。
ウィルの世話に苦戦するルーに、妹のトリーナが復学することを告白する。シングルマザーであり、いい仕事に就くために学歴が欲しいという妹の背中を押すことしかできないルーは複雑心境であった。翌日、ウィルの元へ事故当時の恋人だったアリシアと親友のルパートが訪れた。ずっとアリシアとの面会を拒絶し続けていたウィル。ようやく対面したウィルにアリシアはルパートと結婚することを報告しに来たのだった。ルーの前では平静を装いながらも、ウィルは過去の写真が入った写真立てをたたき割り荒れていた。そんなウィルを目の当たりにしたルーは、恋人のパトリックにアリシアの非道な行動を愚痴るのだった。しかし、パトリックは仕方ないことだとルーを適当になだめた。そして、バカンスの予定と自分の趣味とぶつけノルウェーに行こうと提案するのだった。
映画『世界一キライなあなたに』のあらすじ【承】
どんなにウィルに冷たくされても、ルーには家族と自分の生活がかかっているのでウィルのお世話をやめるわけにはいかなかった。ある雨の日、ウィルはDVD日和だと言い、ルーに映画を選ばせた。手に取ったのは重めのフランス映画だったが、ウィルはフランスのゲイポルノだと嘘をつき一緒に見るように命令した。映画の話で盛り上がった二人は、少しずつ打ち解けていく。その証拠に、ウィルはルーを散歩に誘い、久しぶりに人前で笑顔を見せたのだった。半年に一度の検診にネイサンと共に付き添ったルー。初めてウィルの病状を知り、脊髄損傷は治らないという現実を突きつけられた。
冬を迎え、とある大雪の日。ルーが家に着くと父のスティーブンだけが居た。その日、ウィルの体調が悪く、ネイサンには電話はしてあるとのことだったが、ルーは不安だった。顔色の悪いウィルに付き添いながら、不安が解消できないルーはスティーブンとネイサンに代わる代わる連絡した。その様子を見て、ウィルはカミーラだけには連絡をしないように口止めする。そんな中に、大雪を乗り越え到着したネイサン。ウィルは体温調節の効かないことをルーに教え、対処方法を伝授するのだった。その時、ルーはウィルの左手首に自殺未遂の傷があることに気づいてしまう。眠るウィルに付き添いながら、ウィルのパソコンに入っていたDVDを見ていたルー。その中には事故前の元気なウィルの様子が収められていた。
眠りから覚めたウィルはルーに声をかける。勤務時間を超えて寄り添ってくれるルーに、面白い話をしてくれと頼む。ルーは恥ずかしがりながら、父が歌ってくれた歌や幼いころの思い出話をしてあげた。そして大学進学を諦めたことなどを告白する。希望を捨てるなというウィルに対して、ルーは願い事を伝えた。「ウィルの髭を剃りたい」と。ウィルは渋々ながら承諾し、病気になって初めて髭を剃ったのだった。
一方でウィルの両親が大きな声で口論する様子を聞いてしまったルー。「半年」待ったという両親の口論の内容は、ウィルの安楽死についてだった。ウィルの本心を知ったルーは、困惑しながらトリーナに相談した。トリーナは「残された時間を有意義なものにしてあげたらどうか」とルーに提案し、自殺を思い留めるきっかけを作る兆しが見えたのだった。その夜、ルーは障害者にも可能なスポーツや娯楽を調べはじめた。
映画『世界一キライなあなたに』のあらすじ【転】
まずルーは「ネイサンが体験したことがないから」という口実で競馬に誘った。存分に楽しんだ3人は、ランチをしようとレストランに向かったが上級な会員ではないと入れないと断られてしまう。失敗をしてしまったルーだが、諦めることはない。次は、ルー自身が経験ないこととして、ウィルをクラシックのコンサートに誘う。初めて二人きりでの外出。正装した二人は少し固くなりながらも、楽しいひと時を過ごした。レストランに入ろうとするルー。その時、ウィルは「もう少しだけ車いすの障がい者ではなく、赤いドレスを着た女の子とデートする普通の男でありたい」と車を降りるのを拒んだ。
互いに距離を縮めていたある日、ルーは自分の誕生日会にウィルを誘った。それは、連日遅くまで介護するルーを心配した両親と彼氏のパトリックの提案だった。断られる前提だったが、ウィルは快諾。ルーの家族と食卓を囲むのだった。30分ほど遅れてきたパトリック。少しチグハグなやり取りが続く中で、会はプレゼントタイムへと移行した。パトリックからは特注のネーム入りネックレス。しかしそれはパトリックの名前だった。ウィルからは黄色と黒のシマシマタイツ。それは以前ルーが昔話をした中で、ルーが成長して履けなくなったのが惜しいと言っていたものだった。飛び跳ねて喜ぶルー。ネイサンが迎えに来て、早く帰宅するウィルに対して、パトリックは嫉妬心を隠せずにいるのだった。
ウィルは自分の思い出の場所にルーを連れ出した。そして世界で一番好きな場所はパリだと告白する。もう一度行ってみようと提案するルーだったが、不自由な身体の自分がいくことで楽しかった思い出を上書きするのが嫌だとウィルは弱音を吐いた。しかし、アリシアの結婚式がパリで開かれるのでルーに付き添って欲しいとお願いするのであった。ルーが帰宅すると両親は浮かれていた。父の仕事が決まったのだ。それはウィルが手配した仕事であり、そのことに気づいたルーはウィルに電話をする。タイミングが良かったと説明するウィルだったが、ルーは本当にいいのか困惑していた。するとウィルはもう家族のために働く必要はないと伝え、ルーの呪縛を解いてあげるのだった。
映画『世界一キライなあなたに』の結末・ラスト(ネタバレ)
アリシアとルパートの結婚式。心配するカミーラをよそに、順調に楽しむ二人。ルーはウィルをダンスに誘い、車いすに乗って一緒に踊るのだった。そしてウィルは言う、「僕が毎朝起きる気になるのは君がいるからだ」と。二人はパーティを抜け出し一晩を共に過ごした。
翌日、ルーはパトリックにノルウェー旅行をキャンセルしたいと伝える。それはウィルとの旅行が理由だった。正直に伝えたルーだったが、パトリックは理解できず困惑するばかり。その矢先、ルーの携帯にウィルが肺炎を起こし入院したという連絡が入った。細菌に弱く外泊には注意が必要であることを知らなかったルー。ウィルの病状を気にかけるルーを心配させまいと強がるウィル。その様子を見てネイサンは、ルーに声をかけた。ウィルの様子が以前と大きく変わったこと、安楽死に関して。ルーはウィルを後悔させたくないとネイサンに伝え、医者の許可を得た範囲で旅行をしたいと次の計画に誘ったのだった。ネイサンはもちろん快諾する。帰宅したルーを待ち構えていたパトリック。ようやく向かい合って話し合えた二人だが、ルーの気持ちはウィルを公開させないことにだけ向いていた。理解できないパトリックは怒ってその場を去るのだった。
ルーはウィル、ネイサンとバカンスへと出かけた。充実した時間を共にする三人。嵐の夜、ルーとウィルは二人で過ごし、初めてキスをするのだった。翌日、ルーが嫌がっていたダイビングを予約していたウィル。渋々体験したルーはしっかりとダイビングにハマり、帰りたくないと笑顔を見せるのだった。その笑顔を見たウィルは安楽死を選ぼうとしていることを初めて告白する。今の自分を受け止めきれないというウィルに、たった半年ウィルといたことで自分が変われたのだから思い直して欲しいと必死に説得するルー。しかし、病状が回復しないことを知っているウィルの気持ちは変わらなかった。そして帰国したのち、スイスに一緒に向かい看取って欲しいと本心をぶつけたウィル。ルーは愛する人の最期を看取るために出向くなんてできないと拒絶。ウィルの世話係という仕事を受けたことを大いに後悔したのだった。
空港でウィルたちを迎えに来ていた両親。調子の良さそうなウィルを見て安堵し、ルーを食事に誘うが、ルーは断りその場を去った。追ってきたカミーラに対して、給料はいらないと伝えルーは自宅へ戻る。そしてトリーナにウィルを説得できなかったと泣き出してしまった。そんなルーを見て父・バーナードは、ウィルたちはもうスイスへ立ったことを伝えた。同時に、まだ間に合うから電話をするようにと娘の気持ちを後押しした。
最後を看取るため、トリーナについてきてもらいスイスへ向かったルー。
ルーの到着を喜んだウィルはベッドにルーを呼び寄せた。そして「そばにいて」と伝える。ルーは「あなたが望む限り」と伝え最後のキスを交わしたのだった。
ウィルの命が終わりを告げ、数週間が経った。ウィルの希望でルーはパリへと向かっていた。それはウィルが生前一番好きな場所だと話したカフェだ。そこでウィルからの手紙を読むルー。そこには、ウィルが遺したルーへのプレゼントと自分のために可能性を持って生きて欲しいと書かれていた。ウィルの意思を継いで、前を向き直したルーがそこにはいた。
映画『世界一キライなあなたに』の感想・評価・レビュー
邦題からは想定できないが、「安楽死」という人命についての重たいテーマが主である一作。
ラブストーリーと生命は相性がいいが、自ら死を選ぶとなると話は変わる。ルーの母が言うように、自殺ほう助は殺人に近いのかもしれない。しかし、今作はウィルの生まれ持った環境も伴い愛する女性へ可能性を遺すことができるのだから少し未来は明るさを見出す。決断はそれぞれといいつつ、気持ちは揺らぐ賛否両論な展開であった。甘さだけを求めない方にはおススメしてみたい一作。(MIHOシネマ編集部)
前向きで明るいルイーザ、後遺症で心を閉ざしたウィル、互いを嫌い、言いたいことを言い、徐々に打ち解けていく関係がとても美しいです。エミリア・クラークの私服と正装のギャップにドキッとしてしまいます。この映画の辛いことは、二人が出会ってしまったこと。ルイーザの必死な願いにも揺るがないウィルの死の覚悟…何が彼のためか考えさせられました。ラストは好き嫌いが分かれると思いますが、自分は彼の意思を尊重したいです。安楽死というテーマをぼかすことなく描いた作品です。(男性 20代)
本作は、バイクに跳ねられた事故による全身麻痺で自分では何も出来ない青年と世話係の恋愛模様を描いたジョジョ・モイーズの原作のラブヒューマンドラマ作品。
ラブストーリーというよりも、前向きに生きようというメッセージ性の強いヒューマンドラマという印象的だった。
最悪の出会いから一転して段々打ち解けていく2人の雰囲気が素敵で、出てくる人達も皆優しい人ばかりで心が温まった。
様々な愛の形を感じて切なく、運命の苦しさもしっかり描かれていながらポジティブな気持ちになれる作品。(女性 20代)
ウィルのルイーザに向けた言葉がどれも素敵で、深い愛情が伝わってきた。ラブストーリー映画ではあるがただ恋愛を描いているだけではなくて、家族愛や将来についても描かれていて考えさせられるストーリーだった。ウィルの決断は悲しいものではあったが、彼を咎めることは誰にもできないのではないかと思う。残される立場からすれば安楽死は止めて欲しいと思ってしまうが、苦しんでいる本人の立場から見ると、自分で最期を選びたいと思う気持ちも分からなくはない。(女性 30代)
芯があって明るい性格のルイーザと、事故によって自由を奪われたウィルとの切ないラブストーリー。ありきたりなラブストーリーかと思いきや、ルイーザのファッションの奇抜さと衝撃的なラストによって、観終わった後も独特の余韻が残る作品である。賛否両論分かれるラストではあるが、個人的には障害者のリアルな心情を表現できていると感じた。愛する人を抱きしめられない苦しみは、想像を絶するだろう。自分がウィルの立場だったら、きっと同じような運命を辿ると思う。(女性 20代)
『ゲーム・オブ・スローンズ』を見て、エミリア・クラークの別の演技を見てみたくなったので視聴。そうしたら、ちょいださの可愛い女性を見事に演じていたので驚いた。流石、役者さん。
物語の結末は賛否分かれると思うが、世の中には様々な考えた方の人がいて、それぞれを尊重しなければならないと感じた。その人の苦しみは、その人にしか分からないのだから。ただ、その人に寄り添えば寄り添うほど、「生きていて欲しい」と願ってしまうのもまた事実だ。(男性 30代)
「安楽死」についてとてもリアルに描かれていた今作。男女が少しずつ仲を深め、生き方や考え方が良い方向に向いていくハッピーな作品かと思っていましたが、生きること、死ぬことについて考えさせられる重みのある作品でした。
全体的に明るい雰囲気で描かれているので死に対する悲しみや悲壮感はそこまで目立ちません。ただ、安楽死という「死の選択」については物凄く考えさせられました。自分が苦しいから、これ以上生きていてもつらいだけだからと本人が安楽死を望んでいても、残される家族は簡単に決断は出来ませんよね。
賛否分かれるラストだと思いますが、考えるきっかけになる作品だと思います。(女性 30代)
みんなの感想・レビュー