映画『死びとの恋わずらい』の概要:女子高生の間では「辻占」と呼ばれる、占いが流行っていた。お堂の前に顔を隠して立ち、通りかかった人に運勢を尋ね答えをもらう変わった占いだ。引っ越しでしばらく地元を離れていたが再び転校してきたみどりは、幼馴染の龍介と再会を果たしたのだが……。
映画『死びとの恋わずらい』の作品情報
上映時間:95分
ジャンル:ホラー、ラブストーリー
監督:渋谷和行
キャスト:後藤理沙、松田龍平、秋吉久美子、三輪明日美 etc
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映画『死びとの恋わずらい』の登場人物(キャスト)
- 深田みどり(後藤理沙)
- 元々はこの街にいたのだが、再び戻って来た転校生。幼少期の何らかのトラウマから辻占にはかかせない「お堂」の前を通るのを避けたがる。
- 柴山龍介(松田龍平)
- みどりの幼馴染み。みどりが転校した先で、同じクラスとなり再会を果たすこととなる。恐らくみどりには幼少期から淡い恋心を抱いていた。
- 和子(秋吉久美子)
- みどりの母親。夫とは不倫が原因で離婚してしまった。極度の潔癖症。
- 田中鈴枝(三輪明日美)
- みどりの転校先のクラスメイト。辻占に手を貸したことから悲惨な末路を迎える。
- 手島光太郎(高橋慎二)
- 転校先のクラスメイトで、爽やかな風貌と端正な顔立ちの青年。それ故に女性からのアプローチは多い。どうやら、みどりに恋をしているようである。
- 鈴木珠代(猪俣ユキ)
- 手島に恋心を抱くみどりのクラスメイト。嫉妬からみどりに嫌がらせを働く。
映画『死びとの恋わずらい』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『死びとの恋わずらい』のあらすじ【起】
世間では辻占と呼ばれる占いが密かに流行っていた。女子高生のみどりは毎晩見る悪夢に悩まされている。みどりは父がおらず、母子家庭だ。辻占とは夕方、お堂に立って顔を隠し、道行く人に話しかけ発した言葉を元に占ってもらう。助言をもらうというもの。通りがかった人におかしな事を言われてしまうかもしれない、というリスクも孕む。
そんな中、みどりは以前住んでいた地元へと帰り新たな高校で転校生としてやってくる。そこへ鈴枝という女子生徒と手島という男子生徒が話しかけてきたので共に行動することとなる。教室でみどりは、かつての幼馴染み・龍介と出会い、屋上で再会の喜びを分かち合う。一方、教室ではクラスメイトの珠代が気になる相手との相性を占っていた。占いの結果、みどりの存在が大きく関わっているのではないか?と述べる女子生徒。予想通り、手島のみどりに対する振る舞いはそれに近いもので珠代は辻占に望みを託すことを決意する。
みどりは帰宅次第、龍介との再会と共に彼が変わっていなかったことに安堵し、風呂へと入る。風呂場で黴を見つけたみどりは母にそれを話し、黴の研究をしていた大学の研究部だった父の話をするのだがみどりの母・和子は「外に女を作って出て行った人の話はするな」と一蹴する。母は潔癖症の傾向があるのか、家具を丹念に掃除している。それから、転校先で幼馴染の龍介に再会したことを話すと、龍介の名を聞くなり母は頭痛を訴える。
翌朝、またもや黒尽くめの謎の男が近づいてくるという悪夢を見て目を覚ますみどり。階段を降りると、母の姿が見当たらない。見れば母が浴槽の黴を神経質なまでにタワシで擦り取っていた。慌ててみどりが彼女を止めると、高熱であった。
映画『死びとの恋わずらい』のあらすじ【承】
一方、辻占を決めた珠代だったが友人は「辻占に出没する奇妙な人間」についての嫌な噂を語る。黒尽くめの美青年が現れ、ネガティブな言葉を吐いて去って行くらしい。
みどりは、その日お堂の前で胸騒ぎがしてしまい回り道を決めるみどり。そこへ、姿を見せたのは龍介であった。龍介と歩きながら、みどりは毎晩見る悪夢について打ち明ける。顔は分からないが黒尽くめの男は、昔は遠くにいたのに段々とこちらへ向かってくる……途端立ち眩みを覚え、みどりは龍介に支えられる。それから、手島に思いを寄せる珠代はみどりの内履きをカッターで切り裂く嫌がらせをする。おまけに珠代はみどりに足を引っかけて転ばせ、開き直る始末。そこへ手島が現れ、珠代は皆から糾弾され教室を飛び出して行く。
珠代は例のお堂の前で顔を隠し人が通るのを待つが、彼女の前に現れたのは例の黒服の青年であった。助言を求める珠代に、青年は幼い少年のような声で言った。「その恋は実らない。それどころか君は一生、誰からも愛されない」――絶望のあまり、珠代はその場でカッターを使い自らの首を切りつけ自殺した。
翌日、珠代の通夜が行われた後であったが、鈴枝は手島がみどりに恋をしているのを知り、お堂へ向かい辻占を実行する。やがて、姿を見せたのはあの黒尽くめの青年であった。青年は鈴枝の心を見透かすよう、本当は手島を愛しているのだろうと言い、鈴枝はまるで洗脳されてしまったかのようにその言葉に取り憑かれる。
映画『死びとの恋わずらい』のあらすじ【転】
翌朝、またもや和子は浴室の黴を落とすのに躍起になっており、半ば病的ですらあった。そんな光景を見てからの登校中、龍介が現れ彼女を自転車に乗せる。彼が向かった先は学校ではなく、昔よく遊んだと言う公園であった。嬉しそうに懐かしがるみどり。2人はそのまま、幼かった頃からの思いが通じ、キスをして結ばれる。
やがて、龍介はみどりをとある場所へと案内させる。その先で、嫌な予感を覚え立ち竦むみどりに、龍介の姿が段々と夢の中で観るあの男の姿に変わりつつあるのを見て、戦慄を覚える。そこでそれは夢だったと分かり、目を覚ますみどり。
学校へ向かう途中、みどりは女子生徒らの噂話から珠代の自殺以外にも10年前に別の女性がその場で自殺しているのを知り息を飲む。みどりは事件について調べようと図書室へ向かおうとするが龍介に止められてしまう。それでもみどりは事件の真相を知るべく図書室へと向かい、あのお堂で起きた痛ましい事故を知る。当時26歳だった女性は、35歳の男との痴情のもつれが原因だと思われた。その時、みどりは同じ記事に「当時6歳だった龍介君を誘拐した」「生存は絶望的」との見出しを見つけ、酷く驚愕する。同時に、けたたましい悲鳴が轟いた。
一方、手島に惚れてしまった鈴枝は手島に手作りの弁当を振る舞うなど有難迷惑な行為に困惑していた。おまけに卵焼きには鈴枝の血が混ざっているらしく、狂気じみた笑顔を浮かべる鈴枝に手島は思わず口にしたおかずを吐き出してしまう。みどりが聞いた悲鳴は、暴れ出した鈴枝が周囲に取り押さえられたせいであった。みどりは慌てて教室へ引き返し、本来、龍介のいる場所に違う人物がいることに驚きを隠せない。そこは龍介の世界ではないのか尋ねるみどりに、そんな生徒はいないと答える男子生徒達。思わず、みどりは教室を飛び出して行ってしまう。
その頃、事態が落ち着いた手島であったが、戻って来た鈴枝は彼に謝罪の言葉を漏らす。同時に「ごめんなさい。でも私、手島君の事が好きで、好きで、好きで、好きで、好きで、好きで……」と延々繰り返し辺りには嫌な空気が流れ始める。鈴枝はカッターナイフを首に当て、「好きなの。死ぬ程」と手島らの前で自殺を図る。
映画『死びとの恋わずらい』の結末・ラスト(ネタバレ)
みどりは真相を探るべく、龍介の家へと辿り着く。古びたその館には誰もいないかに思われたが、中には和子がいた。思わず和子に抱き着くみどりだったが、和子は他人行儀に「ああ、深田さん家のみどりちゃんね。龍介なら今出かけていて……」と妙な言葉を吐いた。その手には包丁が握られており、またその視線は虚ろだ。和子は龍介の姿を求め彷徨い歩くが、その時、何かが崩壊する音を耳にするみどり。音の方へと振り返ると、壁が崩れ中からは白骨化した遺体が姿を覗かせていた。悲鳴を上げるみどり。
場面は変わり、そこはどこか病院のような場所であった。医師が名前を問いただすと、そこには和子が病衣を纏って座っている。和子は、息子がいながら何故か娘と2人暮らしだったと言うが、彼女に娘はいない。医師は彼女が病棟の子供を連れ、逃亡したことを指摘する。またもう一方では、みどりが医師から質問を受けている。今までどういう風に生活を送っていたか尋ねられ、みどりは「転校した高校に通っていた。龍介君とも会えたんです」と笑顔で話す。しかし医師は言う、「君はもうずっと学校へは行っていないんだよ」――再び視点はみどりの母へと移り、医師は和子に龍介の存在を問う。それから、壁に埋められていた彼女の夫についても。錯乱し始めた和子は、龍介の居場所を探し始め、更には医師を旦那だと同一視し、「あなたがあんな女なんかと不倫したせいで龍介が……龍介を返してくれないならもう1度あなたを殺してやる!」と襲い掛かり窘められる。同時に、医師と話していたみどりは「私行かなきゃ」と立ち上がるがそれも制される。
ふと、みどりには昔の記憶が甦る。お堂の前で龍介と遊んでいた頃の、幼い時の自分がそこにはいる。2人の前に現れたのは、龍介曰く「お菓子をくれるパパの友達」だそうだが恐らく彼女が不倫相手なのだろう。どこか不気味な笑顔を称える彼女に恐怖したみどりは龍介を置いてその場を去る。
翌日、みどりがお堂の前へ行くと隆介の姿は無く、またあの女がいた。女は全身にタトゥーを入れており、好きな相手の名前を刻むためにそうしたようだがはっきり言ってその見てくれは異様でしかなかった。更には女の手にはナイフが握られており、女はみどりに迫る。女は不倫相手、すなわち和子の夫の子を身籠っており、堕胎しろと言われたのだと語る。その恋は叶わない、と吐き捨てみどりが走り去った後、女はその場で投身自殺を図る。みどりは走り去った先の廃墟で小さな冷蔵庫を見つける。中からは、血が流れている。
時は再び現代へ。みどりはベッドの上にいるが、次第にまどろんでいく。ここは夢の中なのか、それとも――、気付くとお堂の前に訪れたみどりだったが、そこには黒尽くめの龍介が座っていた。彼の手を取り、歩いていく2人。向かった先はあの廃墟だった。冷蔵庫の前で「ごめんね。あの時助けられなくて」と囁くみどりの隣では、仕方がなかったのだと龍介は語る。それから、みどりは彼がまだこの中にいるのか尋ね、龍介は無理してここを開く必要はないと言う。しかし、みどりはもう逃げたくはないと言う。後悔はするかもしれないが、こんなに暗くて寂しい所に龍介を閉じ込めておきたくない。すると、龍介の姿は消え、みどりは扉を開く。光に包まれ、果たしてみどりはその中で何を見たのかは分からない――。
やがて、時は移りお堂の前。1人の女子高生が辻占を待っている。そんな彼女の元へ現れた人物に、自分の恋は実るのか尋ねかける。姿は見えない主は言う。優し気な女性の声で、その恋は必ず叶うと……。
映画『死びとの恋わずらい』の感想・評価・レビュー
伊藤潤二原作の漫画の実写化だが、原作とは話が全く異なる。ホラーを期待すると肩透かしを食らうこと請け合いなのと、禁じ手の精神病オチは食傷気味か。みどりが高校に行っていなかったのならあのカッターで自殺した女子らは何だったのかという矛盾も生じるのだが、勝手に病院にいる人達を当てはめていたのかも?とは深読みだろうか。色々と言いつつ、終盤辺りは実に切なく、憂いを帯びた松田龍平の美しさも見所。ちなみに脚本は『STACY ステーシー』等の友松直之氏だ。(MIHOシネマ編集部)
ストーリー自体はありがちな展開で大きな驚きもありませんでしたが、龍介を演じた松田龍平が物凄く良かったです。若さの残る彼の表情は虚ろげで危うく、儚さを感じます。今作にぴったりの役者だったのではないでしょうか。
過去と現在、そして現実と妄想など何が真実なのか分かりづらい点はありますが、そこまで難しくは無いので不気味な雰囲気を感じながら面白く見られると思います。ホラー要素はほとんど無いので、恐怖を期待するとガッカリしてしまうかもしれません。(女性 30代)
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