映画『i 新聞記者ドキュメント』の概要:映画『新聞記者』の原案者である東京新聞社会部記者・望月衣塑子のジャーナリストとしての姿を追ったドキュメンタリー。取材活動を介して、日本社会が抱える忖度や同調圧力の実態を追及する。
映画『i 新聞記者ドキュメント』の作品情報
上映時間:113分
ジャンル:ドキュメンタリー
監督:森達也
キャスト:望月衣塑子 etc
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映画『i 新聞記者ドキュメント』の登場人物(キャスト)
- 望月衣塑子
- 東京新聞社会部の記者。粘り強い取材力と妥協のない質問で国家権力にも忖度のない姿勢で取材を続ける。幾度も官邸から質問妨害などを受け排除されそうになるが、耐え乗り越えようと奮起する。
映画『i 新聞記者ドキュメント』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『i 新聞記者ドキュメント』のあらすじ【起】
タクシーの運転手にいくつもの住所を指定し、慣れぬ街・辺野古で目当ての家を訪ね続けた東京新聞社会部記者・望月衣塑子。移動の合間に息子に連絡をする時だけは母親の顔になる。2018年望月は政府に対して赤土問題について厳しく追及をしていた。
埋め立て地を作る際、海中へ投入する土砂の中に大量の赤土が使われているという疑いが世を騒ぎ立てた。赤土は自然環境に多大な影響を及ぼす可能性があるのである。この問題が発覚する以前、2013年に沖縄防衛局は10%前後にすると約束を交わしていた。しかし、現地で取材を重ねる望月が目にしたのは、当時の約束とは大幅に異なり40%近くの赤土が含まれた状況である。
担当者立ち合いの報告会では黙秘を続け、厳しく追及する望月の問いには返答を出さなかった。記事として世間に伝えたい望月だが、上司の承認が下りず悶々とする日々が続く。分刻みのスケジュールをこなす忙しない日々の中、夫が作ってくれた弁当を片手に取材に向けての準備を進めるのだった。
映画『i 新聞記者ドキュメント』のあらすじ【承】
望月が追っている問題は1件だけではない。辺野古の赤土問題の他にも女性ジャーナリストが受けた純強姦問題や森友学園問題といった社会的にもニュースなどで注目される問題に厳しく追及していく。
その姿勢を応援する支持者もいれば、当然敵視する者もいた。それは同業者に限らず、一般市民からの声でも明らかになる。東京新聞社会部の留守番電話に「望月衣塑子は北朝鮮のスパイだ」と殺人予告ともとれるメッセージが残されたのである。
ありもしない出来事をでっち上げられ傷つく望月だが、それでも真実を追求する姿勢を貫き取材の足を止めることはない。大きな荷物を抱え、ワイヤレスイヤホンで電話をしながら足早に目的地へと向かうのである。監督・森達也は望月の「真の姿」を写そうと記者クラブに登録されているメディアだけが入ることのできる「官邸記者会見」での質疑応答の映像を撮りたいと申し出る。
「森友学園問題」や「加計学園問題」の取材チームに参加した望月。真相を追求するため当事者や関係者へのインタビューを幾度も繰り返す。他の記者やメディアが暴くことのなかった当事者のインタビューなどを世に明かし続ける。
映画『i 新聞記者ドキュメント』のあらすじ【転】
辺野古の埋め立て問題に関して、世界のジャーナリストも望月の記事に注目をしていた。「公平な民主主義は日本の未来に貢献するのか?」という外国人ジャーナリストの問いかけに葛藤する望月。閉鎖的で隠蔽体質である日本の政治に関して、外国人ジャーナリストと意見を交わすのだった。
ある日より、官房長官記者会見で望月だけが「質問妨害」と「2問制限」を受けることとなった。それは望月があらゆる問題に対して何度も質問をするアグレッシブな姿勢は不正を隠したい政治家にとって鬱陶しかったのである。
さらに内閣官房の総理大臣官邸報道室長は「特定の記者」による事実誤認の質問があったと記者クラブへ異例の申し入れ書を通達したのである。日本独自の「記者クラブ」というシステムは事前に質問を告知しなければならない。その運用にそぐわない望月の姿勢は、当時の官房長官による「あなたに答える必要ない」発言を生むのだった。
沖縄・宮古島の弾薬倉庫問題について、市民と現地メディアの意見交流会に参加した望月。本土メディアの一員として官邸での記者会見で質問を投げかけるが、返答は有耶無耶なものである。結果的に望月の書いた記事の影響から、当時の防衛大臣は謝罪をするのだった。
映画『i 新聞記者ドキュメント』の結末・ラスト(ネタバレ)
ある夜、総理官邸の前で行われたデモに同行した。これは望月の支持者たちが言論の自由を守ろうと立ち上がり起きている。「記者イジメやめろ」と繰り返す望月の支持者たち。その様子を目の当たりにした望月は何とも言えない表情でその場を去る。
監督の森は望月の姿を追う中で、眼鏡にカメラを仕込み隠れて裁判の撮影を行った。東京新聞社の名前にも傷がつくと激怒する望月。森は官邸での記者会見を撮影するために正式な手続きをとっても回答を先延ばしにされ許可が下りないことに葛藤していたのである。
選挙を前に、再び望月への「質問妨害」が始まった。「記者クラブへ要望を出すように」と官房長官からぞんざいな回答をされ続けた望月は、会社として申し入れをして欲しいと上司に頼み込む。しかし記事の掲載も無く期待通りの対応とはならなかった。
森は官邸前での公道ですら撮影することを警察警備員に阻止されるようになる。その頃、望月は候補者の後援演説をする官房長官の姿をしっかりと目に収めていた。理不尽な政府の対応を受け、森は「一人称」つまり「i=個」として考えることの重要性を訴えるのだった。
映画『i 新聞記者ドキュメント』の感想・評価・レビュー
日本のジャーナリズムにおける問題を、一人のジャーナリズム越しに提起していく一作であった。過去にも社会派のドキュメンタリーを手掛けてきた森監督ならではの切り口で現代の日本を写した今作は、国内の映画賞も受賞している。同調圧力に流された集団では、どうしても浮いてしまう「望月衣塑子」という存在。積極的で忖度のない姿勢は実に学びが多いが、敵を作りやすいのも事実である。権力とメディアの関係性と、世論ではなく個人として主張を持つことのきっかけを与えてくれる時間であった。(MIHOシネマ編集部)
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