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映画『静かなる男』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『静かなる男』の概要:トラウマを持った元ボクサーは、自身のルーツを追い故郷・アイルランドへ移住する。愉快な村人に囲まれながら、一組のカップルが愛を育む様子を追う一作。主演にジョン・ウェインを迎え、ジョン・フォードが手がけている。

映画『静かなる男』の作品情報

静かなる男

製作年:1952年
上映時間:129分
ジャンル:コメディ、ラブストーリー、ヒューマンドラマ
監督:ジョン・フォード
キャスト:ジョン・ウェイン、モーリン・オハラ、ヴィクター・マクラグレン、ウォード・ボンド etc

映画『静かなる男』の登場人物(キャスト)

ショーン・ソーントン(ジョン・ウェイン)
アメリカから故郷のアイルランドへ移り住み心機一転新たな生活を始めようとした青年。偶然見かけたメアリーに一目惚れし、村を巻き込んだ騒動を起こす。
メアリー・ケイト・ダナハー(モーリン・オハラ)
村の大地主の妹。広大な土地で羊の放牧をしている。偶然出会ったショーンに一目惚れをしていたが、アイルランドの仕来りを重んじるため素直になれずにいる。気性が荒い女性。
ミケリーン・オグ・フリン(バリー・フィッツジェラルド)
初めてアイルランドのある駅に降り立ったショーンを、故郷の田舎町まで案内してくれた男。常にショーンとメアリーの仲を取り持ってくれる貴重な存在。
“レッド”・ウィル・ダナハー(ヴィクター・マクラグレン)
メアリーの兄。傲慢な性格から、村人たちに嫌われている。お金に細かく、希望通りにならないと怒り散らす男。ショーンに狙っていた土地を取られ目の敵にする。

映画『静かなる男』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『静かなる男』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『静かなる男』のあらすじ【起】

3時間遅れでキャッスルタウン駅に到着した列車。初めて駅に降り立った男・ショーンの風貌は一般の観光客とは少し違った。釣り目的の観光客が多い中、さらに8キロ離れたイニスフリーに向かうというショーンは、ミケリーンの馬車で案内してもらうことになった。

母親の言葉を思い出したショーンは、小さな小屋を買うという。ミケリーンは不思議がるも、ショーン・ソーントンという名前を聞いてすぐに合点がいった。イニスフリーはショーンの生まれ育った故郷なのである。ミケリーンが地元の牧師と話している間、ショーンは一人の女性に一目惚れをしてしまった。その女性の名前はメアリー・ケイト・ダナハー。結婚はしていないものの、避けるべき家系の人間だとミケリーンは注意するのだった。

ミケリーンの案内で小屋の持ち主であるティラン夫人に会いに行ったショーン。母親からイニスフリーは「天国のような町」と聞いていたショーンは熱意を持って交渉をする。同じ土地を狙っていた隣人のダナハーが邪魔をしに来てしまったものの、嫌われ者に譲る気はないティラン夫人はショーンに権利を譲る決断をするのだった。しかしその男はメアリーの兄である。ショーンの名前をメモしたダナハーは目の敵にしようと試みるのだった。

ダナハー兄妹の中は最悪であり、強情なダナハーの態度は村でも不評であった。家を買い戻した祝杯にパブに寄ったショーンは、ダナハーの思惑通りにさせなかったことを称賛される。納得がいかないダナハーは喧嘩を仕掛け一発触発状態であったが、ショーンは冷静に対応し、場を収めた。村人たちはショーンを「静かなる男」と呼び盛大に歓迎するのだった。

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映画『静かなる男』のあらすじ【承】

実はショーンに一目惚れしていたメアリー。こっそりとショーンの家を掃除していた。しかし、ショーンが帰ってきてしまったことで予定は変わる。メアリーの存在に気付いたショーンは、ぐっと抱き寄せキスをするのだった。結婚前にキスをするなど問題外の話だと怒り、ショーンの頬を打ったメアリーは、暴風の中へと飛び出していくのだった。

次々とショーンの元を訪ねる村の人々。直接会いに行く時間を取ることができないショーンは、ミケリーンにメアリーへの伝言を依頼した。財産目当てかと突っぱねたメアリーだったが、実は歌いだすほどに嬉しかった。しかしショーンが居たアメリカとは異なり、アイルランドでは親族の許可なくして結婚はできない。ミケリーンを仲介人として立て、ダナハーに会いに行くも、当然追い返されてしまうのだった。

ショーンの不遇さを知った村人たちはある計画を立てた。ティラン夫人の財産を狙っていたダナハーは一度縁談を失敗している。それは小姑が居る家に嫁ぐのを懸念していたからであり、メアリーが片付けばティラン夫人はダナハーの元に嫁ぐだろうと、ロナガン神父は嘘を吹き込んだのである。

ダナハーは持参金を値切ったが、ティラン夫人との婚約のためにメアリーを差し出すことにした了承した。気性の荒いメアリーは初めて二人で出かける時も小さなことで怒り出すが、ショーンは優しく包み込む。二人は仲介人のミケリーンの目を盗み自転車で走り出すのだった。アイルランドの伝統を重んじるメアリーは、キスもその先もすぐにはしてはならないと言い張った。しかし、ショーンの優しさに触れ自らキスをするようになるのだった。

映画『静かなる男』のあらすじ【転】

ついに披露宴を迎え、上機嫌なダナハーは雑に持参金を見せびらかした。そして結婚する自分のために乾杯して欲しいと、ティラン夫人に式の予定を尋ねた。もちろんティラン夫人はそんなつもりはなく、村人たちの計画は失敗に終わりダナハーの怒りはショーンにぶつけられた。持参金は持たせないと言い、ショーンを殴るダナハー。床に倒れ込んだショーンはアメリカでボクサーだった頃に、対戦相手を死なせてしまった苦い記憶が蘇るのだった。

アイルランドの仕来りを重んじるメアリーは、持参金を取り戻すまでは正式な妻ではないと自負しショーンを拒んだ。翌朝、村人たちはダナハーを説得し家具やピアノを持ってきてくれた。しかしダナハーは持参金だけは渡してくれないようであった。

しびれを切らしたメアリーは、ショーンにダナハーと対峙するように懇願する。賞金を懸けた試合で人を殺めてしまっているショーンは、お金に固執するメアリーの願いが受け入れがたかった。

耐えかねたメアリーは神父に懺悔を申し込む。それは、持参金が手に入るまでは寝袋で寝てショーンを拒否しているという内容であった。どんなに貧しくとも夫婦たるもの一緒に寝るべきだと、メアリーは叱りを受けてしまった。

映画『静かなる男』の結末・ラスト(ネタバレ)

メアリーに拒否される日が続いたショーンは、パブにいるダナハーと対峙にしに向かった。しかし、ダナハーの酷い挑発を受けやはり暴力で解決するべきではないとパブを出るのだった。その足で牧師の元を訪ねたショーン。村で唯一ボクサーだったショーンの過去に気付いている存在だったのだ。牧師はアイルランドの習慣についてショーンに伝え、メアリーの気持ちを汲み取るよう諭した。その晩、メアリーは初めて同じベッドに眠り、ショーンも過去の傷について伝えることができたのである。

翌朝、メアリーはショーンの愛情を試そうとミケリーンに伝言を残し、家を出た。もちろんショーンは後を追い、メアリーを連れ戻した。ショーンとダナハーの直接対決を期待した村人たちは、こぞって後を追い始める。

ダナハーを前にしたショーンは、持参金が無いなら妻を返すと強気に出る。恥をかいたダナハーは仕方なく持参金を渡すが、ショーンとメアリーはなんと焼却炉に持参金を投げ入れた。ようやくお金に固執しなくなったメアリーの姿に惚れ惚れするショーン。ダナハーはその不意を突いて一発頬にお見舞いする。ダナハーとショーンの勢いに感化された村人たちも乱闘騒ぎを起こすが、ミケリーンは場を鎮めた。「クイーンズベリー・ルール」を適用させるも、村人たちには通用しない。事態は病床に就く老人までも巻き込むほどの騒動になっていた。

散々殴り合ったショーンとダナハーは、それまでの確執などどうでもよくなっていた。どちらが勝つのか賭けをしていた村人たちの期待に相反して、和解しメアリーが夕食を用意する家へ共に帰宅した。後日、ダナハーはティラン夫人にもう一度交際を申し込み、アイルランドの仕来りに沿って関係を作り始めるのだった。

映画『静かなる男』の感想・評価・レビュー

過去との決別する瞬間は、自分の意志と異なるタイミングで不意にやってくる。「名作人情喜劇」と称される当作品。第25回のアカデミー賞では7部門にノミネートされながらも、作品賞は叶わず監督賞、カラー撮影賞の2部門を受賞で留まっている。赤や緑といったハッキリした色彩で遊びながら、人間の滑稽さをリズミカルに描いている。1950年代に制作された作品ではあるが、時代を超えてライトに鑑賞できる勧めやすい一作であった。(MIHOシネマ編集部)


元ボクサーの男が故郷に戻り、新しい人生をスタートさせてようとするストーリー。寡黙な男が少しずつ村の人達と打ち解けあって…というお話かと思っていましたが、意外にも作品全体が明るい雰囲気でイメージとは全く異なる作品でした。
一筋縄ではいかない個性豊かな村の人達のおかげで、なんだかわちゃわちゃしたシーンもありますが、お酒を飲んで大声で歌って、ラストは村人総出の大喧嘩。この、なんでもありだけど暖かさを感じる展開がすごく心地よかったです。(女性 30代)


西部劇以外のジョン・ウェインを初めて観た。吹き替えで観てみたのだが、演劇のようであり、こんなにもテンポよく見やすく作られていた映画だということに気づいた。

そして映像で魅せてくるジョン・フォードの世界をじっくり堪能できる。50年代とは思えぬ映画の余裕さというか、ただ外側から撮ってない感じが不思議な感じがした。フォードが演出するジョン・ウェインが生き生きしていたように思える。(女性 20代)

この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ局の映画番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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