映画『スノーデン』の概要:世界中に衝撃を与えたスノーデン事件の真相を描く。CIA所属のスノーデンはある日、CIAがテロ対策と称して極秘に国民の個人情報の収集・通信傍受をしていることを知る。彼はこの重大な機密の暴露を決意する。
映画『スノーデン』の作品情報
上映時間:135分
ジャンル:ヒューマンドラマ、ドキュメンタリー、伝記
監督:オリヴァー・ストーン
キャスト:ジョセフ・ゴードン=レヴィット、シェイリーン・ウッドリー、メリッサ・レオ、ザカリー・クイント etc
映画『スノーデン』の登場人物(キャスト)
- エドワード・スノーデン(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)
- アメリカ国家安全保障局の契約社員で元CIA職員。国民の個人情報や通信の秘密に関する機密情報を暴露した。コンピューター、特にインターネットの分野の専門家である。
- リンゼイ・ミルズ(シャイリーン・ウッドリー)
- スノーデンの恋人。日本アニメ好きという共通の趣味を通じてインターネットで知り合った。写真が趣味でもある。
- ガブリエル・ソル(ベン・シュネッツァー)
- スノーデンのCIA時代の同僚でコンピューター技師。テロ対策のため、特殊プログラムにより国民の通信を傍受している。
映画『スノーデン』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『スノーデン』のあらすじ【起】
2013年の香港。ホテルでエドワード・スノーデンと彼から依頼を受けたドキュメンタリー作家・イギリス大手新聞社の記者とが待ち合わせをしていた。スノーデンは部屋に入るなり二人から携帯電話を没収し、電波を遮断するため電子レンジの中に入れた。スノーデンはこれまで経験したアメリカ政府・CIA・国家安全保障局の機密情報を暴露するため二人を呼び寄せていた。この暴露が万が一、国にばれることがあれば彼は逮捕されてしまう。しかし、それでもスノーデンは信念に基づき情報を暴露することにしたのである。
高校を中退したスノーデンは国に尽くすべく軍隊に所属するも訓練中の怪我により除隊を余儀なくされる。その後、コンピューターに秀でていたスノーデンはCIAの試験を受け、その優れた能力を買われコンピューター技師としてCIAに就職し、インターネットに関する職務に従事する。同時期、スノーデンはネットを介して知り合った同じ日本アニメ好きのリンゼイと交際を始める。
スノーデンはある日、同僚のソルからあるコンピューターシステムを披露される。そのシステムは任意の検索ワードを世界中のチャットやメールから探し出し、その発信者のデータをすべて閲覧できるというものだった。デモンストレーションとして「攻撃」「殺し」「ブッシュ」と検索すると膨大なチャットやメールが検索結果として表示された。
映画『スノーデン』のあらすじ【承】
その後、スノーデンはアラブ系の銀行家を見つけるという任務を命じられる。リンゼイとパーティーへ参加したスノーデンは、リンゼイの機転によりマルワンというアラブ系銀行家と知り合う。結果としてマルワンは無実であったが、スノーデンは捜査の過程でシャットダウンされたパソコンであっても、パソコンに搭載されたカメラを起動・ハッキングすることが可能だとソルから教わる。それ以来、スノーデンはあらゆるカメラを恐れるようになり、写真好きのリンゼイが向けるカメラにも抵抗感を覚えるようになった。
スノーデンとリンゼイの関係はぎくしゃくし始めた。大統領がオバマに変わったタイミングでスノーデンはCIAを退職する。その後、スノーデンは契約社員として国家安全保障局からオファーを受け就職する。
就職後の初任務は日本での任務だった。日本アニメが好きだったスノーデンは日本での生活に憧れがあり、日本での任務を受けることにする。リンゼイも同行するが、就労ビザが無く働けないリンゼイはスノーデンの留守中暇を持て余す。
スノーデンは横田基地ですべての通信を監視し、ドローンをも駆使してテロの監視を行う。その一方で秘密裏に日本の監視も行っていた。膨大な人数の情報にアクセスすることにスノーデンは疲弊していった。
そしてリンゼイとの関係も悪化の一途を辿る。リンゼイが自分のポールダンス中の写真をSNSに掲載しようとしていたことをきっかけに二人は口論となり、翌日に富士山への登山デートを控えていたにも関わらず、リンゼイはアメリカへ帰国してしまう。しばらくしてスノーデンもアメリカへの帰国が決まる。帰国後、スノーデンはリンゼイを迎えに行き、復縁する。
映画『スノーデン』のあらすじ【転】
スノーデンとリンゼイはしばらくの間、穏やかな時間を過ごしたが、ある日スノーデンは中国のサイバーチーム参加のオファーを受ける。赴任先はハワイだという。スノーデンはオファーを受けるかリンゼイに相談している最中、てんかんの発作で倒れてしまう。医者の診断でストレスを溜めないようにと言われたスノーデン。リンゼイは医者の診断を聞いて、スノーデンのハワイ赴任を賛成する。
ハワイでスノーデンはCIA時代の同僚ソルと再会する。当初、中国のサイバー攻撃への反撃が任務だと伝えられていたスノーデンだったが、実際の任務は携帯電話のSIMハッキングを利用して国の指示する悪党を追跡・ドローンでの攻撃仲介をすることだった。軍の容赦ない殺害にスノーデンは反感を覚えるが、莫大な開発費がかかっているため、スノーデンの力ではどうすることもできなかった。
ある日リンゼイとバーベキューパーティーに参加したスノーデンは民間の個人所有のドローンに反応して、てんかん発作が再発する。リンゼイはスノーデンが発作を抑制する薬を服用していなかったことに激怒する。スノーデンは副作用で頭の働きが鈍くなるのを嫌がって薬の服用を避けていたのである。それを聞いたリンゼイは仕事と命のどちらが大切なのかとスノーデンに詰め寄る。
そして職場では面談でのポリグラフ検査でアメリカへの忠誠心に異変が見られたことで上司からプレッシャーをかけられる。スノーデンのストレスはもはや限界だった。
耐えかねたスノーデンは部屋で大音量の音楽を流し、携帯電話やパソコンを置き去りにしてリンゼイを外へと連れ出した。そしてリンゼイに、メールや通話がCIAによって監視されていると告げる。リンゼイは驚くが、スノーデンは知らないふりをするよう指示する。スノーデンはドキュメンタリー作家に連絡を取った。
映画『スノーデン』の結末・ラスト(ネタバレ)
その後、CIAはサイバー攻撃を受ける。スノーデンは同僚たちと攻撃に対処している間、同僚の目を盗んで監視プログラムに関わるあらゆるデータをマイクロSDにコピーし、いつも持ち歩いているルービックキューブの中に隠して外へと持ち出すことに成功する。そして今に至ったのである。
話を聞いたドキュメンタリー作家と新聞記者は、事の重大さに驚愕し、彼に残された時間が短いことを知る。そしてあちこちへ手を回して、どうにかこの情報を報道できないかと奔走する。その翌日、彼らはなんとかインターネット記事で最初のニュースを流すことに成功する。内容は、国家安全保障局が国民の通話記録を収集しているというものだった。このニュースに大手のメディアも注目し、続々と報道を始めるのであった。さらに翌日にはワシントンポスト紙も新聞紙面での報道を大々的に行った。オバマ大統領も公式にコメントを発表し、スノーデンの暴露は世界的な騒ぎとなった。
ついにはスノーデンの顔出し映像がテレビで報道される。報道を見たスノーデンの指導教官はショックを受ける。一方リンゼイは正義を果たした勇敢な男の姿が国民に周知されたことを喜ぶ。
初報道から5日後、いよいよスノーデンの潜伏先が突き止められてしまい、アメリカからの追手が迫る。なんとか逃げ出したスノーデンをアメリカは告発するが、逮捕には香港の許可を得なければならず、即逮捕とはいかなかった。その隙にスノーデンは国連の難民施設を経て、モスクワ、エクアドルに移動する。
その後、スノーデンはアメリカからパスポートを無効にされてしまう。アメリカへ戻れないスノーデンはロシアで暮らし始める。ロシアの講演会でスノーデンは「恋人と家族を失ったが、自由を取り戻した」と明るく語る。現在ではスノーデンはモスクワに暮らし、彼と人生を添い遂げるべくリンゼイもモスクワへと移住している。二人はこのままモスクワに永住するつもりだそうだ。
映画『スノーデン』の感想・評価・レビュー
このエドワード・スノーデンという人物が引き起こした騒動は、一時期日本のニュースも騒がせました。
それを基にサスペンスタッチで制作された映画です。スノーデンを演じたジョセフ・ゴードン=レヴィットが本人にそっくりで驚きました。知的な雰囲気もしっかり出ていて、彼以外のキャスティングは考えられません。監督はオリバー・ストーンで、こちらは少々意外でした。
英雄か、犯罪者か。というコピーはストレートで良かったです。英雄と思いたいです。(女性 20代)
情報社会の闇と真実を描いた作品。ネットに繋がったあらゆる機器にアクセスし、自由に情報を引き出して監視もできる。現代の情報社会にプライバシー名の無いのかもしれない。疑いたくなるが、技術的に不可能ではないため信じざるをえない。スノーデンはプログラムの開発者であるが、自身の道徳心に従い告発を行った。決して犯罪者ではないと思う。彼以外の関係者も個人個人の良心は持っていただろう。国や機関といった組織内では、個人の良心は無力なのであろう。(男性 20代)
ノンフィクション本を元にした映画ということで、さてここに出てくることはどこまで事実なのかというのは気になるところ。とはいえ、そんなことは一切気にせず完全な作り話だと思って観ても単純に面白いサスペンスに仕上がっているのはさすがオリバー・ストーン。こういう話が表に出てきている内はまだいいのかもしれない。本当に怖いのはこれが話題にすらならなくなった時なのだろう。インターネットを通る情報は全て誰かに知られる可能性はあるのだから。(男性 40代)
見終えた後、すぐにパソコンを閉じてしまった。インターネットのお陰で生活が便利になったものの、同時に簡単に悪用することもできることを、この映画で嫌というほど知ってしまったら、改めてこの便利さが一気に恐怖へと一変する。今、この瞬間にも「監視」されているからだ。
最後の本人の登場には鳥肌が立った。しかし、また別の映画俳優が本人を演じているのかと思うほど、演技に慣れている感じがしたのは気のせいだろうか。(女性 20代)
自分が正しいと思う行動をするのは、とても勇気がいることでそれが世間からも「正しい」と言って貰えるとは限らないのだと思い知らされたこの事件。詳しいことはよく知らなかったので、この作品は本当に勉強になりました。
争いごとをしたくないし、ゴタゴタに巻き込まれたくないタイプの人間はスノーデンの行動に対して余計なことしなければいいのにとか、放っておけばいいのになんて思うでしょう。しかし、彼はなぜ行動を起こしたのか、家族や恋人を失うかもしれない決断を出来たのかなど、この作品を見た事で少し理解出来た気がしました。
ラストのご本人登場はびっくりしすぎて鳥肌が立ちました。(女性 30代)
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