この記事では、映画『砂時計(2008)』のあらすじをネタバレありで解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『砂時計(2008)』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『砂時計』 作品情報
- 製作年:2008年
- 上映時間:121分
- ジャンル:ラブストーリー、青春
- 監督:佐藤信介
- キャスト:松下奈緒、夏帆、井坂俊哉、池松壮亮 etc
映画『砂時計』 評価
- 点数:60点/100点
- オススメ度:★★★☆☆
- ストーリー:★★★☆☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★☆☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★☆
[miho21]
映画『砂時計』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『砂時計(2008)』のあらすじを紹介します。
両親の離婚により、母の実家がある島根へ引っ越した杏。東京で生活していた杏にとって島根での暮らしはなかなかなれなかったが、同級生の大悟や藤、藤の妹の椎香らと仲良くなって馴染んでいく。
対して、杏の母美和子は実家での生活に馴染めず、杏を置いて自殺してしまう。それに激しくショックを受けた杏は、大きな砂時計がある美術館で美和子が買ってくれた砂時計を遺影に投げつける。母の死は杏の心に深い傷を残し、それから長い間苦しめることになる。
傷ついた杏を気遣い、元気づけたのは大悟だった。二人は互いに想いあうようになるが、杏が東京の父に引き取られることになる。遠距離恋愛となった二人だが、それからしばらく関係はうまくいく。しかし、東京と島根の隔たりや、杏を好きな藤、大悟を好きな椎香の四角関係などで、苦しみ別れる。
10年後、他の人と婚約をしていた杏は、祖母にあいさつするため島根に帰っていた。同窓会で大悟と久しぶりに再会し、預かってもらっていた砂時計を受け取る。それを大事に持って東京へ戻った杏だったが、母の死にとらわれ、過去に執着していることで婚約者と仲違いし、婚約破棄となる。
人生に絶望した杏は、母と同じように自殺しようとする。しかし、寸でのところで杏を止めて助けたのは大悟だった――。

映画『砂時計』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『砂時計(2008)』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
映画一本にまとめるには長すぎるストーリー
『砂時計』は、原作はコミックスで10巻出ていて、ドラマ版は30分ドラマで60話となっている。扱うテーマも、自分を置いて死んだ母に対する思いと、恋愛の二つがあり、複雑に入り組んでいるので短くまとめるには難しい内容だったと思う。
原作では小学生から始まっているけれど、映画では14歳に変更され、登場人物も大幅に減らされ、他にも様々な変更があり、短縮されている。そのため、母の死とどう向き合うかも恋愛についても中途半端な感じで、映画版しか観ていない人にとっては少し理解しにくい内容だったのではないかと思う。そして原作とドラマ版を知っている人にとっては物足りない内容だっただろう。
二人が演じる杏
ドラマ版でもそうだったが、少女の杏と大人の杏は別の女優が演じている。少女の頃を夏帆が、大人になった杏を松下奈緒が演じている。特に夏帆の演技はすごかった。母の死を乗り越えられない深い闇を抱えている役どころを上手く演じていたと思う。大悟役の池松壮亮もすごく良かった。二人ともセリフだけでは描き切れない心の中を表現するのがうまいなと感じた。
それに対して、大人の方はというと、なんだかパッとしない感じだった。夏帆の「杏」を受けて大人になった杏を演じなければならない難しさもあっただろうし、やはり少年少女の心の葛藤を描くという一番盛り上がるところを過ぎてしまっているので、大人パートはあまり印象に残らなかった。
まるでホラー映画
おそらく杏の心情を表現しているのだろうが、ものすごく暗くて重いシーンがいくつかあった。これは何の映画なんだろう……と思ってしまうほど。「純愛」要素がかすんでしまうほど暗かったので、マイナスイメージで残念だった。
漫画原作だということは知りませんでしたが、ドラマシリーズでやっていたので、見たことは無いのに何故か印象に残っている作品でした。
夏休みの昼間の楽しみといえば『大好き五つ子』か『キッズウォー』だった私にはこの作品は重すぎて見ようという気持ちにはならなかったのでしょう。
正直、ティーンにはこの作品の良さはなかなか伝わらないのかなと思います。ある程度経験を重ねて大人になってから見ると、純粋な心だけでは上手くいかないのも分かるし、自分がどうしようもなく嫌になる瞬間も理解出来るのでは無いでしょうか。(女性 30代)
幼少期から始まる杏と大悟の恋の軌跡は、本当に繊細で心を打たれました。母の自殺という重い出来事を抱えながら、田舎で心を開いていく杏の姿には思わず涙。別れと再会、そして再び結ばれるラストには、時間の流れと人の想いの強さを感じました。切ないけれど、温かい恋愛映画です。(20代 男性)
恋愛映画としては王道だけど、描き方がとても丁寧で感情移入しやすかったです。杏の心の成長や、純粋な気持ちがぶつかり合う様子がリアルで、まるで自分もそこにいるかのようでした。大悟とのすれ違いももどかしくて、でも最後には結ばれる展開にホッとしました。青春時代を思い出しました。(30代 女性)
全体的にゆったりとしたテンポですが、それが登場人物の心情の変化に寄り添っていて良かったです。中学時代の恋が、時を経て再び動き出すところにドラマがあって、ラストの「今でも大悟が好き」という杏の言葉がすごく響きました。初恋の儚さと永遠性を感じる、じんわり泣ける作品です。(40代 男性)
学生時代に原作を読んでいたので、映画化には不安もありましたが、想像以上に丁寧なつくりで満足でした。特に中高生時代の風景や空気感が忠実で、懐かしさが込み上げてきました。過去と現在を行き来する構成もテンポがよく、杏の回想がリアルに伝わってくる演出でした。(20代 女性)
人が人を想い続けるということが、どれだけ強いことかを教えてくれる作品。杏と大悟は何度も離れてしまうけれど、心の奥には常にお互いの存在があった。その積み重ねがラストにしっかり結実していて、じわっと感動しました。大人になってからこそ観る価値のある映画だと思います。(50代 男性)
杏の繊細でまっすぐな感情表現が印象的でした。自分の気持ちに嘘をつけずに、ぶつかっては悩む姿がとてもリアルで、特に大悟とのすれ違いに涙しました。母との思い出も優しく描かれていて、家族愛と恋愛の両方が心に残る映画です。女性視点で共感できるシーンが多かったです。(30代 女性)
全体を通して「時間」というテーマがしっかりと貫かれていて、砂時計のモチーフも象徴的でした。若い頃の淡い恋愛が、時を超えてまた動き出す…という展開はベタだけど、やはり感動してしまいます。音楽や風景の美しさも作品を支えていて、余韻の残る仕上がりでした。(40代 男性)
少女漫画原作にありがちな甘さだけでなく、登場人物たちがしっかり悩み、痛みを抱えているところが良かったです。杏の母の死や、東京と田舎を行き来する中での心の揺らぎが細やかに描かれていて、リアリティがありました。杏と大悟が大人になってから再会する流れも素敵でした。(20代 女性)
懐かしい田舎の風景や、夏の匂いを感じさせる映像美に癒やされました。その中にある恋愛と喪失の物語が胸に迫ります。杏と大悟が別れてからも、ずっと互いを想っていたという事実が、ラストでとても重く響いて感動的でした。派手さはないけど、心に残る映画です。(30代 男性)
映画『砂時計』を見た人におすすめの映画5選
いま、会いにゆきます
この映画を一言で表すと?
奇跡の再会が紡ぐ、涙が止まらないラブストーリー。
どんな話?
亡くなった妻が、雨の季節に突然帰ってきた――。記憶を失った彼女と再び家族として過ごす日々が描かれる中、やがて明かされる真実が胸を締めつける。運命を感じる優しい愛の物語。
ここがおすすめ!
『砂時計』と同様、時の流れの中で紡がれる愛と記憶がテーマ。切なくも温かいラストに涙が止まりません。竹内結子と中村獅童の夫婦役も自然体で、心に染み渡る傑作です。
恋空
この映画を一言で表すと?
運命に引き裂かれた高校生たちの、純粋で過酷なラブストーリー。
どんな話?
携帯小説から話題となった本作は、明るく前向きな少女・美嘉と、不器用な少年・ヒロの出会いと別れ、再会と別れを繰り返す切ない青春の軌跡を描いていく。
ここがおすすめ!
若くて不器用な恋愛が描かれる点で『砂時計』に近く、号泣必至の展開が胸を打ちます。理不尽な運命に立ち向かいながらも、最後まで相手を思う強さが感動を呼びます。
ただ、君を愛してる
この映画を一言で表すと?
歪な愛がやがて“永遠”になる、写真が結ぶ純愛のかたち。
どんな話?
写真を愛する内気な大学生と、少し風変わりな少女との不思議な関係。やがて彼女は姿を消し、数年後、再び送られてきた写真が語る真実が、静かに涙を誘う。
ここがおすすめ!
『砂時計』と同じく、純愛と時間をテーマにした静かな名作。愛のかたちは一つじゃないと教えてくれます。宮崎あおいの儚い演技と、透明感あふれる映像が魅力です。
僕等がいた
この映画を一言で表すと?
切なくもまっすぐな青春の痛みが胸を打つ、前後編にわたる恋愛映画。
どんな話?
明るく優しい少女と、過去にトラウマを抱える少年の、長い時間をかけて成長しながら愛を深めていく青春恋愛物語。別れと再会を繰り返しながらも、二人は運命を確かめ合う。
ここがおすすめ!
『砂時計』と同じく、時間の経過とともに変化する恋愛模様が魅力。若いころの気持ちを思い出させてくれるようなリアルさがあり、原作ファンでなくても胸に刺さる内容です。
きみにしか聞こえない
この映画を一言で表すと?
声にならない想いが、心でつながる――静かな奇跡のラブストーリー。
どんな話?
自分の声をうまく出せない少女と、遠く離れた場所に住む少年が、“心の電話”でつながる不思議な関係。次第に心を通わせていく二人に訪れる、運命の結末とは…。
ここがおすすめ!
不思議な設定の中にも、思春期特有の孤独や不器用な愛が丁寧に描かれており、『砂時計』の切なさが好きな方におすすめ。淡く儚い演出が心を打つ、隠れた名作です。
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