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映画『終戦のエンペラー』あらすじネタバレ結末と感想

映画『終戦のエンペラー』の概要:『終戦のエンペラー』は、アメリカ制作の歴史映画。第二次世界大戦終結後、戦争の責任者として昭和天皇を「戦犯」とし裁くかが問われた。マッカーサーとその部下たちは、日本の再建のためにどうするかを考える。

映画『終戦のエンペラー』 作品情報

終戦のエンペラー

  • 製作年:2012年
  • 上映時間:107分
  • ジャンル:歴史、戦争、ヒューマンドラマ
  • 監督:ピーター・ウェーバー
  • キャスト:マシュー・フォックス、トミー・リー・ジョーンズ、初音映莉子、西田敏行 etc

映画『終戦のエンペラー』 評価

  • 点数:80点/100点
  • オススメ度:★★★☆☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★★★

[miho21]

映画『終戦のエンペラー』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)

映画『終戦のエンペラー』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

映画『終戦のエンペラー』 あらすじ【起・承】

第二次世界大戦終結後、アメリカはマッカーサーを日本に送り、GHQを設置。彼らは戦争責任を持つ「A級戦犯」を裁き、逮捕することを命じられる。
ここで問題となったのが、昭和天皇の戦争責任である。連合国は天皇を「戦犯」として裁く必要があると考え、マッカーサーは戦争にどれだけ天皇が関わったのか、責任があるのかどうかを10日で探るように命じた。
この命令を受けたフェラーズ准将は、かつて日本人留学生の恋人を持ち、彼女を通して日本文化に興味を持ち研究していた専門家である。フェラーズは、「わびさび」の心や、日本人の考え方が西洋人のそれとは全く違うことを研究していた。

フェラーズは任務をきっかけに、かつての恋人あやを思い、13年前父親の危篤で別れたきりの彼女の行方を探し始める。
運転手・通訳の高橋に捜索を依頼するが、あやは空襲で死んでいたことがわかる。片時も彼女を忘れたことのないフェラーズは悲しみに暮れるが、それでも調査を続けた。

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映画『終戦のエンペラー』 結末・ラスト(ネタバレ)

調査はなかなかうまく進まなかった。フェラーズは強引に皇居に乗り込み、天皇が御前会議で平和を望む和歌を詠んだことを聞くが、説得力に欠ける。そして天皇が玉音放送によって戦争を終わらせたことを聞くと、「天皇にどれほどの戦争責任があったかはわからない。しかし戦争を終わらせたのは天皇である」とし、マッカーサーに報告する。

確かな証拠が何もない報告を受けてマッカーサーは不満に思う。天皇を戦犯として裁けば国民の反乱は免れないことは想像できる。そのために調査をさせたのに、これでは判断ができない。しかし、天皇に興味を持ち、会談を行うことにする。
天皇は会談に応じ、二人はマッカーサーの公邸で面会した。
天皇は、戦争の責任は全て自分一人にあるとし、国民の未来のためなら命も差し出す覚悟であることを伝える。天皇としてはタブーである間近での写真撮影や握手にも快く応じ、誠意ある態度を持ってマッカーサーに接した。
天皇の覚悟を知ったマッカーサーは、日本の未来のために協力してくれるように言う。会談で天皇の戦争責任が問われることはなく、始終和やかだった。

映画『終戦のエンペラー』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『終戦のエンペラー』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

アメリカには理解しにくい「天皇制」と日本の心

天皇は日本の象徴である。第二次世界大戦までは、「現人神」であった。多くの国の君主とは異なり、日本は政治のトップこそ何度も変わったが、「天皇制」は有史以来ずっと続いてきた。今では天皇は象徴としてだけ存在するが、未だ崇拝の対象でもある。
外国人にはこの「天皇」が到底理解できない。現代日本人ですらその意識は低くなり、説明は難しいのだから、日本文化に触れたことすらない西欧人にとってはなおさらである。
そんな天皇に戦争責任があるのかどうか。この判断は本当に難しい。
実際、兵隊は「天皇万歳」と叫んで命を捧げてきたわけで、天皇に戦争責任がないなどとは言えない。しかし天皇は日本を象徴する人物で、多くの国民が敬い崇める存在。
どう折り合いをつけるか迫られたフェラーズは、罪を問う必要はないと判断する。
実はこれこそ日本人の考え方である。
天皇に戦争責任がないとはいえず、しかし日本人の希望でもある。国の象徴として、表裏一体なのである。
だからこそフェラーズは白黒つけず、日本にとっていいと思える道を選んだ。

「NOといえない日本人」というほど、日本人ははっきり物事に区別をつけることを嫌がる。はっきり断れなければ「善処します」と言い、物を断る時でさえ「いりません」ではなく「結構です」「いいです」と曖昧に返事をする国民性。物事にはっきり白黒つける西欧人にとってはこれが理解できないと思うのだが、日本文化の専門家フェラーズは日本人よりも日本の心を理解し、マッカーサーは英断を下したのである。


私を含め、今の日本人には愛国心や、国のために戦い、死ぬという決断をした当時の兵士たちの思いは到底理解できないと思います。
戦争映画で語られることの多い、日本人の愛国心や「天皇万歳」と言う言葉。アメリカ人には理解できない心だと思いますが、この作品はその「日本人らしさ」みたいなものをとても上手く描いていたと思います。
戦争を知らない私には、日本人の行動は理解出来るものではありませんでしたが、その行動の裏にあるものを教えて貰った気がします。(女性 30代)

映画『終戦のエンペラー』 まとめ

この映画を製作したのがアメリカであるというのがまず驚きである。現在、日本人にすらあるのかどうかわからない愛国心。天皇がどういう存在か、ちゃんと考えたことがある人も少ないのではないだろうか。
そんな失われかけている日本の心を、日本人の美学を、フェラーズ准将という専門家を通して教えてもらえたように思う。
本音と建て前を使い分ける日本人。現代でも曖昧な表現や建て前はいろんなところにあるけれど、そこに美学はあるのかどうか。この映画をみてふと疑問に思った。

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